松野博一
松野 博一(まつの ひろかず、1962年〈昭和37年〉9月13日 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(8期)、内閣官房長官[2](第85代、第86代)、沖縄基地負担軽減担当大臣、拉致問題担当大臣。内閣総理大臣臨時代理就任順位第1位。
松野 博一 まつの ひろかず | |
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生年月日 | 1962年9月13日(61歳) |
出生地 |
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出身校 | 早稲田大学法学部卒業 |
前職 | ライオン従業員 |
所属政党 | 自由民主党(安倍派) |
称号 | 法学士 |
公式サイト | 松野ひろかずホームページ |
内閣 |
第2次岸田内閣 第2次岸田第1次改造内閣 |
在任期間 | 2022年4月1日 - 2023年9月13日[1] |
内閣 |
第1次岸田内閣 第2次岸田内閣 第2次岸田第1次改造内閣 第2次岸田第2次改造内閣 |
在任期間 | 2021年10月4日 - 現職 |
内閣 | 第3次安倍第2次改造内閣 |
在任期間 | 2016年8月3日 - 2017年8月3日 |
選挙区 |
(千葉3区→) (比例南関東ブロック→) (千葉3区→) (比例南関東ブロック→) 千葉3区 |
当選回数 | 8回 |
在任期間 | 2000年6月26日 - 現職 |
ワクチン接種推進担当大臣(第2次岸田内閣・第2次岸田第1次改造内閣)、文部科学大臣(第21代)、教育再生担当大臣(第3次安倍第2次改造内閣)、文部科学副大臣(福田康夫改造内閣・麻生内閣)、厚生労働大臣政務官(第1次安倍内閣)、衆議院情報監視審査会長、同地方創生に関する特別委員長、同文部科学委員長、自由民主党総務会長代行、同雇用問題調査会長、同政務調査会会長代理、同国会対策委員会筆頭副委員長、同副幹事長を歴任した[3][4]。派閥は清和政策研究会に属し、同派の事務総長を務めた[5]。
来歴 編集
生い立ち 編集
1962年(昭和37年)、千葉県木更津市生まれ。現在は同県の市原市に在住する[6]。
1981年(昭和56年)に千葉県立木更津高等学校を卒業[7]。
1986年(昭和61年)、早稲田大学法学部を卒業し、ライオン株式会社に入社した[7]。
1988年(昭和63年)に退社し、松下政経塾に入塾した(第9期生)[7]。
1996年(平成8年)、自由民主党千葉県連の候補者公募に合格した[8]。これは「日本で初めての候補者の公募制度」だったという[9]。同年、第41回衆議院議員総選挙に千葉3区から自民党公認で出馬したが、新進党の岡島正之に敗れ、落選。
初当選以降 編集
2000年(平成12年)の第42回衆議院議員総選挙では保守党の岡島を破り、初当選した。以後、松野は「日本で初めて、公募制度から生まれた衆議院議員」を名乗っている[9]。
2003年(平成15年)の第43回衆議院議員総選挙では岡島正之の長男で、民主党公認で出馬した岡島一正に917票の僅差で敗れ、千葉3区で落選したが、重複立候補していた比例南関東ブロックで復活当選し、再選した。
2005年(平成17年)の第44回衆議院議員総選挙(郵政選挙)では、岡島に比例復活も許さず千葉3区で3選。
2006年(平成18年)9月、安倍内閣で厚生労働大臣政務官に任命された[7]。
2008年(平成20年)、福田康夫改造内閣では文部科学副大臣に任命され、麻生内閣まで務める[7]。教育問題がライフワークであり、文部科学副大臣在任中はスポーツ政策を担当していた[8]。
2009年(平成21年)8月の第45回衆議院議員総選挙(政権交代選挙)では、千葉3区で岡島に敗れたが、重複立候補していた比例南関東ブロックで復活し、4選。しかし、同選挙では民主党が大勝して与党となり、松野が属する自民党は下野した。
2012年(平成24年)の第46回衆議院議員総選挙では、民主党から日本未来の党に鞍替えした岡島や日本維新の会、民主党公認の新人らを破り、5選。同選挙では自民党が大勝して再び与党となった。同年より衆議院文部科学委員長を務めた[7]。
2014年(平成26年)9月から自由民主党副幹事長[7]。同年の第47回衆議院議員総選挙では、生活の党から出馬した岡島らを千葉3区で破り、6選。
文科相として初入閣 編集
2016年(平成28年)8月、第3次安倍第2次改造内閣で文部科学大臣に任命され、初入閣した[10]。2017年7月に大学入学共通テストの実施方針を決定[11]。
2017年8月3日の第3次安倍第3次改造内閣で文部科学大臣を退任。同年の第48回衆議院議員総選挙で岡島が今度は立憲民主党から立候補したがそれを退けて、7選(岡島は比例復活)。
内閣官房長官 編集
2021年(令和3年)10月4日、第1次岸田内閣の内閣官房長官に任命された。1960年代生まれの官房長官は民主党政権の枝野幸男以来、昭和30年代生まれとしては前任の加藤勝信から続いての就任となった。2021年10月31日、第49回衆議院議員総選挙で8選。総選挙後の2021年11月10日に発足した第2次岸田内閣でも内閣官房長官に再任。
2022年(令和4年)4月1日、第2次岸田内閣のワクチン接種推進担当大臣に任命された。これは、前任者の堀内詔子が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の設置のために閣僚枠が増員される期間が終了し、退任することとなったためである(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の後任は末松信介文部科学大臣が兼務。)。
2022年5月、ロシアのウクライナ侵攻に伴うロシア政府による日本への報復措置(ロシア連邦への日本政府の政策に対する報復措置に関してのロシア外務省声明)によって、ロシア連邦への入国を恒久的に禁止された[12]。
2022年8月10日に発足した第2次岸田第1次改造内閣でも留任。
2023年2月11日、岸田文雄内閣総理大臣が全身麻酔を伴う慢性副鼻腔炎手術を受けたため、内閣総理大臣臨時代理として執務に当たった(2000年4月に内閣総理大臣臨時代理就任順位を指定するようになって以来では初のケース。)。
2023年9月13日に発足した第2次岸田第2次改造内閣で内閣官房長官、沖縄基地負担軽減担当大臣、拉致問題担当大臣を留任[13]。
政策・主張 編集
憲法観 編集
外交・安全保障 編集
- 「日本の立場をハッキリと主張する外交と、東アジアの現実に向き合う安全保障。我が国の領土と主権を守る国内法や組織の整備を進める」と2012年の広報誌で述べた[9]。
- 「日本の国益に資する自由貿易を推進しつつ、『聖域なき関税撤廃』には反対する」と2012年の広報誌で述べた[9]。
- 「非核三原則を保つべきか」という質問に賛成と回答[16]。
- 特定秘密保護法に賛成と回答[14]。
経済 編集
- 2012年に「デフレからの脱却に集中し、今後5年間の集中改革を行う」「新しい経済成長モデルで雇用を守る」と広報誌で述べた[9]。
- 2017年に「当面は財政再建のために歳出を抑えるのではなく、景気対策のために財政出動を行うべきか」という質問に「どちらかといえば賛成」と回答[15]。
エネルギー 編集
福祉 編集
人権 編集
教育 編集
家族観 編集
選挙制度 編集
- 「自民党の公約に基づく国会議員の定数削減と、中選挙区制の復活を目指す」と2012年の広報誌で述べた[9]。
- 2009年の民主党による政権交代については「多くの問題点があったが、日本の民主主義にとっては次のようなメリットがあった」と2012年の広報誌で述べた[17]。
歴史観 編集
- 第二次世界大戦における日本軍による従軍慰安婦の強制連行について、「日本政府が発見した資料の中には証拠がなかった」と2016年に否定した[18]。
- 村山談話および河野談話の見直しに賛成[14]。
- 内閣総理大臣の靖国神社参拝に賛成と回答[14]。
- アメリカ合衆国議会が「日本政府による慰安婦への謝罪を求める決議」を2007年に審議する直前、松野を含む日本の保守派の国会議員など39名が、「日本軍が慰安婦へ売春を強要したという証拠はない」「慰安婦は『性的奴隷』ではない」という主張を、アメリカの新聞紙での意見広告という形で行った。松野の他には櫻井よしこ、安倍晋三、岸信夫、稲田朋美、高市早苗などが参加した[19]。
- 2011年7月27日、衆議院文部科学委員会で教科書検定における事実認定のあり方について質問し、その一例として関東大震災朝鮮人虐殺事件を取り上げた[20]。その中で松野は教科書によって表現の違いがあり、警察や軍隊の関与について記載されている教科書が3冊、被害者が数千人或いはそれ以上に上ると記載されている教科書が2冊ある点を指摘し[20]、司法省及び内務省警保局が取りまとめたデータが231人、朝鮮総督府官房外事課による発表では地震による直接被害を含めた被害者が832人で、ある文献で殺人事件の被害者がその中の2〜3割程度であるとの表記があることから被害者は200人前後と推測されるとの見解を示し、これらデータを比較した上で被害者が数千人或いはそれ以上に上る旨の記述は事実に対する事象が全く変わってきてしまうと指摘した[20]。また、これらの記述が民主党政権以前の教科書にもあり、松野自身も与党議員として審議に加わったことから自身にも責任があるとしたうえで、「正すべきものは、今後の日本の教育、子供たちの正しい歴史観をつくっていくために正していかなければならない」と述べた[20]。
- 2023年8月30日の記者会見において関東大震災の直後に発生した朝鮮人虐殺事件について質問があり、松野は内閣官房長官として「調査した限り、政府内で事実関係を把握できる記録が見当たらないところだ」との見解を示したうえで「特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、暴力や犯罪はいかなる社会でも許されない」と述べ、外国人差別解消に向け、取り組みを進めていると説明した[21]。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係 編集
不祥事 編集
著作 編集
- 『導き星との対話』 - 幻冬舎ルネッサンス新社(2020年)[26]
所属団体・議員連盟 編集
- ボーイスカウト振興国会議員連盟(理事・事務総長代理)
- 日本会議国会議員懇談会
- 神道政治連盟国会議員懇談会
- 創生「日本」
選挙 編集
当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 |
政党内比例順位 /政党当選者数 |
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落 | 第41回衆議院議員総選挙 | 1996年10月20日 | 34 | 千葉3区 | 自由民主党 | 7万3254票 | 34.45% | 1 | 2/5 | 10/7 |
当 | 第42回衆議院議員総選挙 | 2000年6月25日 | 37 | 千葉3区 | 自由民主党 | 9万5311票 | 39.01% | 1 | 1/5 | / |
比当 | 第43回衆議院議員総選挙 | 2003年11月9日 | 41 | 比例南関東(千葉3区) | 自由民主党 | 8万4693票 | 47.30% | 1 | 2/3 | 3/8 |
当 | 第44回衆議院議員総選挙 | 2005年9月11日 | 42 | 千葉3区 | 自由民主党 | 10万8937票 | 53.24% | 1 | 1/3 | / |
比当 | 第45回衆議院議員総選挙 | 2009年8月30日 | 46 | 比例南関東(千葉3区) | 自由民主党 | 8万5777票 | 42.46% | 1 | 2/3 | 6/6 |
当 | 第46回衆議院議員総選挙 | 2012年12月16日 | 50 | 千葉3区 | 自由民主党 | 8万710票 | 44.24% | 1 | 1/6 | / |
当 | 第47回衆議院議員総選挙 | 2014年12月14日 | 52 | 千葉3区 | 自由民主党 | 8万5277票 | 53.37% | 1 | 1/4 | / |
当 | 第48回衆議院議員総選挙 | 2017年10月22日 | 55 | 千葉3区 | 自由民主党 | 8万5461票 | 53.27% | 1 | 1/3 | / |
当 | 第49回衆議院議員総選挙 | 2021年10月31日 | 59 | 千葉3区 | 自由民主党 | 10万6500票 | 61.87% | 1 | 1/2 | / |
脚注 編集
- ^ 『官報 令和5年特別号外第62号1頁 人事異動 内閣』(プレスリリース)国立印刷局、2023年9月13日。
- ^ “石原伸晃氏が内閣官房参与の給与辞退、日当約2万6000円で計4日間出勤”. 日刊スポーツ (2021年12月13日). 2021年12月13日閲覧。
- ^ “松野 博一”. 首相官邸ホームページ. 内閣官房内閣広報室. 2023年9月14日閲覧。
- ^ “国会議員情報 松野 博一(まつの ひろかず)”. 時事ドットコム (時事通信社) 2023年9月14日閲覧。
- ^ “松野博一官房長官ってどんな人?教育問題がライフワーク、細田派事務総長も経験”. 東京新聞 TOKYO Web (中日新聞東京本社). (2021年10月4日) 2023年9月14日閲覧。
- ^ “自由民主党千葉県支部連合会 政治資金収支報告書(平成30年分定期公表)” (PDF). 千葉県選挙管理委員会 (2019年11月27日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g プロフィール/衆議院議員 松野博一
- ^ a b “第3次安倍再改造内閣 閣僚・自民党執行部の横顔”. 毎日新聞. (2016年8月4日) 2016年9月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “日本をたて直せ(松野ひろかずの政策①)”. 松野ひろかず. 松野博一 (2012年12月4日). 2021年9月30日閲覧。
- ^ “文科相に千葉3区の松野氏初入閣 支持者ら喜びと期待”. 産経新聞. (2016年8月4日) 2016年9月4日閲覧。
- ^ “高等学校教育の現状について”. 文部科学省. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “ロシア外務省:Заявление МИД России об ответных мерах на политику правительства Японии в отношении Российской Федерации”. www.mid.ru. 2022年5月4日閲覧。
- ^ "第2次岸田第2次改造内閣 閣僚名簿" (PDF) (Press release). 内閣官房内閣広報室. 13 September 2023. 2023年9月13日閲覧。
- ^ a b c d e f “2014衆院選 千葉3区 松野 博一”. 毎日jp (毎日新聞社) 2014年4月3日閲覧。
- ^ a b “松野 博一”. 朝日新聞×ANN 第46回総選挙. 朝日新聞. 2021年9月30日閲覧。
- ^ a b c d “候補者アンケート(朝日・東大谷口研究室共同調査) - 千葉3区 候補者の考え”. 朝日新聞×ANN 2017衆院選. 朝日新聞 (2017年10月18日). 2021年9月30日閲覧。
- ^ “日本をたて直せ(松野ひろかずの政策②)”. 松野ひろかず. 松野博一 (2012年12月4日). 2021年10月1日閲覧。
- ^ “給付型奨学金の検討進める=松野博一文科相-新閣僚インタビュー”. 時事通信. (2016年8月15日). オリジナルの2016年9月11日時点におけるアーカイブ。 2016年9月4日閲覧。
- ^ a b “日本軍「慰安婦」強制を否定 安倍首相が賛同 米紙に意見広告 4閣僚も”. しんぶん赤旗 (日本共産党). (2013年1月6日)
- ^ a b c d “第177回国会 衆議院 文部科学委員会 第15号 平成23年7月27日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム”. 国立国会図書館. pp. 発言ナンバー163,165. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “松野官房長官、朝鮮人虐殺「記録ない」 関東大震災”. 時事ドットコム (時事通信社). (2023年8月30日) 2023年10月14日閲覧。
- ^ “こども“家庭”庁は旧統一教会の影響? 松野官房長官は会見で問われ”. 朝日新聞デジタル. (2022年11月8日) 2023年10月19日閲覧。
- ^ “旧統一教会創設者の来日「当時の法相判断は適切」 松野官房長官”. 毎日新聞. (2023年4月6日) 2023年10月19日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “松野官房長官の政策秘書 酒気帯び運転の疑いで検挙 | NHK”. NHKニュース. 2023年1月31日閲覧。
- ^ “松野博一官房長官、酒気帯び運転容疑の秘書は「義弟」と答弁”. 朝日新聞. (2023年2月2日) 2023年2月4日閲覧。
- ^ “導き星との対話 | 自費出版の幻冬舎ルネッサンス新社 - 自費出版の幻冬舎ルネッサンス新社”. www.gentosha-book.com. 2022年4月4日閲覧。
外部リンク 編集
公職 | ||
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先代 青木幹雄 2000年・小渕内閣 |
内閣総理大臣臨時代理 2023年 第2次岸田内閣 |
次代 - |
先代 加藤勝信 |
内閣官房長官 第85・86代:2021年 - |
次代 現職 |
先代 堀内詔子 |
ワクチン接種推進担当大臣 第4代:2022年 - 2023年 |
次代 廃止 |
先代 馳浩 |
文部科学大臣 第21代:2016年 - 2017年 |
次代 林芳正 |
先代 松浪健四郎 池坊保子 |
文部科学副大臣 山内俊夫と共同 2008年 - 2009年 |
次代 中川正春 鈴木寛 |
先代 西川京子 岡田広 |
厚生労働大臣政務官 菅原一秀と共同 2006年 - 2007年 |
次代 松浪健太 伊藤渉 |
議会 | ||
先代 浜田靖一 |
衆議院情報監視審査会会長 2020年 - 2021年 |
次代 小野寺五典 |
先代 渡辺博道 |
衆議院地方創生に関する特別委員長 2018年 - 2019年 |
次代 山口俊一 |
先代 川内博史 |
衆議院文部科学委員長 2012年 - 2013年 |
次代 小渕優子 |