卓球
卓球(たっきゅう、Table tennis)は、球技の一種である。2人(あるいは2ペア)の競技者がテーブルをはさんで向かい合い、対戦相手のコートへとプラスチック製のボールをラケットで打ち合って、得点を競う。
卓球 | |
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![]() 2011年ITTFワールドツアーグランドファイナル女子ダブルスの試合 | |
統括団体 | 国際卓球連盟 |
通称 | ピンポン |
起源 | ゴッシマテニスというインドの遊戯を元に、1880年代にイギリスで考案され、上流階級で広まった。当時ボールはワイン用のコルクから削り出したものを使用したといわれる。 |
特徴 | |
身体接触 | 無 |
選手数 | 2人(シングルス)あるいは4人(ダブルス)で行う |
男女混合 | 有。男女混合ダブルス(ミックスダブルス) |
カテゴリ | 屋内競技、球技、ラケットスポーツ |
ボール | プラスチック製で直径40 mmの中空球 (ラージボールでは44 mm) |
実施状況 | |
オリンピック | 1988年- |
歴史編集
卓球は、ジュ・ド・ポームなどの古代のテニスゲームをもとに、19世紀後半にイギリスで考案された[注釈 1][1]。1887年、ゲーム用品・スポーツ用品メーカーであるジャック・オブ・ロンドンが「ゴシマ」という名前でこれを発売した[1]が、この最初の製品は商業的成功には至らなかった。1900年頃に、ボールがコルク製からセルロイド製[注釈 2]に改良された。ジャック・オブ・ロンドンが、このボールを打つ際の音にちなみ「ピンポン」と命名して売り出したことで、瞬く間に一般に普及した[1]。
日本には、1902年に東京高等師範学校教授の坪井玄道がフランスから用具一式を日本に持ち込み、坪井の普及活動を契機に国内中へ広まった[2]。一方で、山田耕筰の著作によると、1901年[注釈 3]には岡山で卓球をしたという記録もある[3]。
競技スポーツしての発展が進んでおり、ルールの制定を含む国際大会の円滑な運営のために、国際卓球連盟 (ITTF)が1926年に発足した。同年には、ロンドンで最初の世界選手権が開催されている。各国でも卓球の管理組織が設立されており。日本では、1929年7月12日に日本卓球会(現在の日本卓球協会 (JTTA))が創立されてた[4]。
ルール編集
ここでは特に断りが無い限り、ITTFによる標準的なルール (40 mmボールを使用)のうち、非身体障害者を対象としたシングルス(1名対1名)の競技ルールについて説明する。(ダブルス(2名ペア対2名ペア)のルールについてはダブルスの節を、ラージボール (44 mmボール)を使用する競技についてはラージボール卓球の節を、障害者向けの競技ルールについてはパラ卓球あるいは車いすの部を参照)。
用具規定編集
卓球台(台、テーブルとも)は、プレイイングサーフェスと呼ばれる平らな上面を有しており、各辺の長さが奥行2.74 m、幅1.525 mの長方形の木製板である[注釈 4]。プレイイングサーフェスは、競技場の床から76 cmの高さに水平に設置されており、標準ボール(後述)に対して全面で均質な反発特性を有している。卓球台の長辺をサイドライン、短辺をエンドラインと呼ぶ。対戦する各プレイヤーはそれぞれのエンド(エンドラインの傍)につく。卓球台の中央において、エンドラインに平行にネット(後述)が張られており、このネットで台は2つのコートに等分されている。さらに、各コートは、サイドラインに平行でプレイイングサーフェスの中心を通る直線で等分されており、それぞれハーフコートと呼ばれている。ハーフコートは、各エンドからみてそれぞれ、右側はライトハーフコート、左側はレフトハーフコートと呼ばれる。エンドライン・サイドラインおよびハーフコートの境界には白線が引かれている[注釈 5][5]。
卓球におけるネットは、プレイイングサーフェスから15.25 cmの高さに、上述の両コートを分ける位置に2つの支柱(サポートとも)によって吊り下げられている網状構造物である。ネットと支柱およびその支持器具を合わせて、ネットアセンブリと呼ぶ[注釈 6][6]。
卓球におけるボールは、直径40 mm[注釈 7]の球である。質量2.7 gのプラスチック製であり、白色で無光沢のもの(ラージボールはオレンジ色で無光沢)のものが用いられる[7][8]。
他に、ラケットやユニフォームについても、競技の円滑な実施のため規定が定められている(これらの詳細については用具の節を参照)。
試合進行編集
卓球の試合は奇数のゲームから構成される[9]。たとえば、最大で7ゲームを行う試合は「7ゲームマッチ」等と呼ばれる。各ゲームは0-0でスタートし、各プレイヤーは、ルールで定める以下の要件等を満たすことで得点する[注釈 8]。11点を先取したプレイヤーが1ゲームを取得する。ただし、双方のプレイヤーがともに10点を得た状態(10-10、いわゆるデュース)となった場合は、これより以降の競技を進めて2点差となる得点を先取したプレイヤーが、その時点でそのゲームの勝者となる。
- サービスを含めて、相手コートへの正規の打球・返球(リターン)に失敗した場合は、自身の失点となる(対戦相手に1点が与えられる)。
- 相手のリターンの妨害(オブスタクル行為)は失点(相手に1点の得点)となる。
ひとつのゲームが終了すると、勝者にゲームポイントが1つ付されて、エンドおよび最初のサーバーの交代(下記)をしたうえで、次のゲームを行う。次のゲームでは再度0-0からスタートし、同様に勝者を決め[注釈 9]、これにゲームポイントを1つ与える。このようにゲームを繰り返していき、既定のゲームポイント数を先取した時点で、そのプレイヤーが試合の勝者となる。7ゲームマッチの場合、4ゲーム(最大ゲーム数の過半数)を先取することで勝者となる[注釈 10]。
- 試合開始前
- 公認審判がレフェリングするような大規模な大会の例を述べる。試合実施に先立って、挨拶、選手間でラケットの交換(対戦相手のラケットの双方による確認)とコイントスを行い、第一ゲーム開始時のサーバー・レシーバー・使用コート等の試合の諸条件[注釈 11]を定める(日本では、コイントスに代えて、じゃんけんの実施も広く行われている)。つづけて、ラリー練習を2分間程度行う[注釈 12]。
- サービス
- 各ゲームのプレー(ラリー)はサービス(第一球の打球)によって始まる。サービスを行うプレイヤー(サーバー)は、同じプレイヤーが正規のサービスを2本行うごとに交代する[10]。ただし、10-10のデュースとなった以降は、サーバーは1本ごとの交代となる。
- サーバーは次の手順に従ってサービスを行わなければならない。
- ただし、上記の手順通りにサービスを実施して相手のコートに打球が触れた場合であっても、ネットを越える際に、ネットにボールが接触していた場合は、即座に「レット」と宣告される。サービスでの「レット」宣告では、サーバー・レシーバーいずれの失点ともならず、サービスの再試行となる[注釈 15][注釈 16]。
- サービスをするときには、サーバー選手の身体等[注釈 17]によって、打球されるボールをレシーバー選手から視覚的に隠してはならない。以上のサービスの規定を満たしているか審判は注意深く観察し、違反行為には注意や失点が与えられる[注釈 18][11]。
- 参考までに。サービスが2本実施されるごとにサーバーが交代し、加えて、サービスの実施ごとにどちらかの競技者に1点の得点が入る。したがって、両プレイヤーの得点の和が偶数(2の倍数)となったときに、サーバーの交代が起こると、得点状況から判断することができる。
- レシーブおよびリターン(ラリー)
- レシーブを行うプレイヤー(レシーバー)は、以下の手順によってリターン(打球による返球)を行わなければならない。
- 相手の打球が自分のコートに1度バウンドするまでは、これを打球してはならない[注釈 19]
- 自陣でボールがバウンドしたら、これをボールをラケットで打球する(このバウンド以後であれば、ボールが次に卓球台や競技場地面にバウンドするまでの間に、いつ打球してもよい)
- このとき、打球したボールは、相手コートにて1バウンド以上の接触が起こらなくてはならない。以上の手順の返球の結果、打球がラケットから離れてから、直接(またはネットアセンブリに接触した後)に、相手のコートに落ちた場合、正規のリターンとして認められる。正規のリターンが出来なかった場合は、1点の失点(相手選手の得点)になる。
- レシーバーの選手が正規のリターン(レシーブ)に成功したのちは、サーバーの選手にリターンの義務が生じ、同様に[注釈 20]相手選手のコートにリターンしなくてはならない。あとは、プレイヤー間で繰り返し交互にリターンが発生するラリーの状態に移行し、ラリーの終了(通常主に、どちらかの選手のリターンの失敗・失点)までリターンが繰り返される。
- サービス・レシーブを含めたラリーの際において、次のケースに該当する場合は、正規のリターンとは認められず、失点(相手の得点)となる。
- 対戦相手が自身のコートへのリターンを試みる際において、まだ相手の打球が自身のコートに接触する前に、その飛球にラケット・身体を問わず触れてしまった場合(リターンへのオブスタクル行為)
- ただし、相手の返球がコート触れることなく自らのコートのエンドラインより後方に飛球した状態等であれば、地面に落球する前にボールを(ラケットや手やなどで)捕球しても、オブスタクル行為(失点)とはならない。
- 相手が返球したボールが自分の台にバウンドする前に、ボールに直接ラケットや身体・ユニフォームで触れた場合(ボレー行為[注釈 21])
- ボールを自分のコートで2バウンドさせた場合
- ボールを自分の身体やユニフォームに当てたり、一回のリターンでラケットで2度に打球した場合(ダブルヒット、二度打ち)[注釈 22][12] 上に挙げた例の一方で、ラケットを持つ手の手首よりも先(指など)にボールが当たって(そのあと、ラケットやそのラバーに当たらずに)相手のコートに入った場合は、正規のリターンとして認められる[13]。
- 対戦相手が自身のコートへのリターンを試みる際において、まだ相手の打球が自身のコートに接触する前に、その飛球にラケット・身体を問わず触れてしまった場合(リターンへのオブスタクル行為)
- また、リターンの義務の発生・有無とは無関係に、ラリー中(インプレー状態)に次の行為を行った場合、失点(相手の得点)となる。
- フリーハンドが台上に触れるなどした場合。(ハンドオンテーブル)
- 体やラケットがネットに触れた場合。(タッチネット)
- チェンジコート
- ひとつのゲームの勝者が決まり[注釈 23]、次のゲームに進めるにあたって、各プレイヤーは前のゲームと反対側のコート(エンド)に移って次のゲームを行う(チェンジコート、コートチェンジとも)。このとき、コートの交代だけでなく、ゲーム開始時のサーバーも代わり、前のゲームにおいて最初にレシーブをした選手からサービスを始める。
- また、最終ゲーム[注釈 24]では、いずれかのプレイヤーが5点を獲得した時点で、チェンジコートが実施される[注釈 25]。
- カウントの取り方
- スコアボードの点数を付ける審判は、点数が入る度にサーバー側の点数・レシーバー側の点数を順に英語[注釈 26]で発声し、スコアボードの得点カウンター部を表面からめくりあげて得点者の得点表示を更新する。
- 促進ルール
- ひとつのゲームにおいて、双方の合計得点が18未満であり、かつ、開始より10分が経過してもゲームが終わっていない場合は、試合時間短縮を目的に促進ルールが適用される(詳細はリンク先を参照)。促進ルールは、双方が合意すれば、上記の条件を満たさずとも最初から適用させることもできる。
- タイムアウト・タオリング
- ゲーム中のタイムアウトは、1試合につき1回のみ、ゲームを中断して取ることができる。但し、制限時間は60秒以内である。片方の選手がコートに戻った時には、もう片方の選手もコートに戻らなくてはならない。また、双方の選手が同じタイミングでタイムアウトを取った場合には、双方のタイムアウトの権利が消費される。[注釈 27]
- また、次の条件を満たせば、競技中に短時間にてタオルで汗をふくこと(タオリング: towelling)が認められる。各ゲームの開始から6ポイントの得点が発生した際(競技者両方のポイント数の合計が6の倍数の時)[14]、最終ゲームでチェンジエンド(コートの交代)をした際。[注釈 28]
- その他
-
- ラリー中にボールが割れた場合は、そのラリーによる得点は無効となる。ただし、割れたことに気付かずにラリーが終わって、ラリー後にボールを検めて割れたいたことが判明した場合は、そのラリーでの得点は有効となる。[注釈 29]
- 他のコートからボールが飛んで来てラリーの妨害になった場合は、審判が即座にレットを宣告してラリーは中断され[注釈 30]、そのラリーによる得点は無効となる。その後は、ゲーム再開に支障がなくなったのを確認してから、サービスのやり直しにてゲームは再開される。
- バッドマナー(ラケットを台に投げつける、汚い言葉でののしる。フェンスを蹴飛ばす、台をラケットで故意に叩くなど)の行為については警告として、イエローカードが提示される。2度目の同様な行為にはイエローカードとともにレッドカードが提示され、相手に1点が与えられる。3度目の同様な行為に対しては、相手に2点[注釈 31]が与えられる。4度目の場合は、レフェリー(審判長)に報告され、審判長が処断する(原則として退場処分)。
ダブルス編集
各チーム2名の計4名で試合が行われるダブルス競技では、基本的にはシングルスと同じルールで行われるが、以下に示すいくつかの規定・条件が加わる。
- サービスは、サーバー側コートのライトハーフコートからレシーバー側コートのライトハーフコート[注釈 32]へと、プレイイングサーフェス全体を斜めに交差するようにバウンドさせなければならない。サービスの打球のバウンド位置がこの規定の面(各サイドの右半面)から逸脱[注釈 33]した場合は、相手のポイントになる。[注釈 34]
- ラリーにおいて、各ペアの選手は必ず交互に交代してリターンしなければならない。相手ペアからのリターンを同一のプレイヤー(最後に相手ペアに対してリターンしたプレイヤー)が二度続けて打球した場合、正規のリターンと認められず、失点(相手ペアの得点)になる。
- サービス権の移動の際は、これまでサーバー側だったペアにおいては、サービスをしていなかった選手がレシーバーになる。また、レシーバー側だったペアにおいては、それまでレシーバーだった選手が次のサーバーになる。
- これらの規定(必ず交互してのリターン、サービスの移動規則)から必然的に、ひとつのゲームにおいて、誰が誰の打球をリターンしなくてはならないかは固定化されている。
- 1ゲームが終わって次のゲームに入るときは、前のゲームで最初にレシーブをしたペアからサービスを始める。その際、最初にサーバーになるのはペアのどちらの選手でも良い。ただし、レシーバー側は、サーバーの打球をリターンする者が前のゲームと異なる組み合わせとなるようにする。
- 最終ゲームでどちらかが5点を取った場合は、チェンジエンドをする。このとき、サーバー側からの打球をリターンするべきレシーバー側のプレイヤーも入れ替えとなる[注釈 35]。
世界卓球選手権や全日本卓球選手権などでは、男子2人または女子2人のペアで行われるダブルス(男子ダブルス、女子ダブルス)に加えて、男子1人、女子1人ずつのペアで行う混合ダブルス(ミックスダブルス)が行われている。
ゲーム内におけるサーバー・レシーバーの交代例編集
上で述べた通り、ダブルスにおいても、サーバーのペアは2回のサービス実施ごとに交代する。以下に、A選手とB選手のペアと、それに対するX選手とY選手のペアの打球交代の例を示す。ここで、Nは0以上の整数であり、サービスは第1球目、レシーブは第2球目と数えている。以下同じく、レシーブに対するリターンは3球目であり、3球目打球へのリターンが4球目…となって、ラリーが継続する。
ゲーム進行 | サーバー(4N+1球目打者) | レシーバー(4N+2球目打者) | 4N+3球目打者 | 4N+4球目打者 |
---|---|---|---|---|
第1, 2ラリー | A選手 | X選手 | B選手 | Y選手 |
第3, 4ラリー | X選手 | B選手 | Y選手 | A選手 |
第5, 6ラリー | B選手 | Y選手 | A選手 | X選手 |
第7, 8ラリー | Y選手 | A選手 | X選手 | B選手 |
第9, 10ラリー
(第1, 2ラリーと同じ) |
A選手 | X選手 | B選手 | Y選手 |
以下同様に継続 | … | … | … | … |
上の表の通り、ゲーム内ではリターンするべき打球をする相手は一貫して固定されている。[注釈 36]
コートチェンジ時における各ゲーム開始時のサーバー・レシーバーの交代例編集
以下に、上記の選手構成におけるペアの打球交代の例を示す。上記の同じゲーム内における場合とは異なり、コートチェンジ(ゲームの終了・開始、あるいは、最終ゲームでのいずれかのペアの5点先取)が起こると、リターンするべき打球を打つ相手も交代する。
ゲーム進行 | サーバー(4N+1球目打者) | レシーバー(4N+2球目打者) | 4N+3球目打者 | 4N+4球目打者 |
---|---|---|---|---|
第1ゲーム | A選手 | X選手 | B選手 | Y選手 |
第2ゲーム | X選手 | A選手 | Y選手 | B選手 |
第3ゲーム | B選手 | Y選手 | A選手 | X選手 |
第4ゲーム | Y選手 | B選手 | X選手 | A選手 |
以下同様に継続 | … | … | … | … |
ここでは仮に第二ゲームのサーバーをX選手としたが、Y選手であってもよい(ここでY選手がサーバーになると、レシーバーはB選手でなくてはならない)。第三ゲーム以降も、各ペア内において、ゲーム開始時のサーバーは自由に選んでよい[注釈 37]。この後の各ゲーム内でのサーバーの交代は先に述べた例に沿って実施される。
各ゲーム内で固定し、かつ、コートチェンジごとに変更するべきは、リターンするべき打球をする相手である。その結果、たとえば、A選手が打球を受ける相手は、各ゲーム中はX選手かY選手と一貫しつつも、X選手とY選手の打球を受ける機会は試合全体で均等化されている。参考までに、奇数ゲームおよび「最終ゲームの5点先取時まで」は、打球順(誰が誰の打球をリターンすべきか)は一貫して同一である。偶数ゲームおよび「最終ゲームの5点先取後」では、打球順は(奇数ゲームのものとは)逆順で一貫して同一となる。
団体戦方式編集
団体戦は大会等により様々な方式が取られている。世界卓球選手権などでは、対戦する両チームは3人の選手で構成されている。この3人から試合出場順(オーダー)を決めて、シングルスによる最大5回の試合を行い、先に3勝した側が勝ちとなる方式が採用されている。北京オリンピックの団体戦では、同じく1チームは3人の選手で構成されていたが、4試合のシングルスと1試合のダブルス(4単1複)を戦う方式が採用された。この場合、同じ選手がシングルスとダブルスの両方に出ることができる。
日本国内では、日本卓球リーグを始めとして4人の選手で1チームを構成[注釈 38]し、4試合のシングルと1試合のダブルス(4単1複)を行う方式が多い。大会によっては6試合のシングルと1試合のダブルス(6単1複; 関東学生連盟等)や3試合のシングルと2試合のダブルス(3単2複; 新日本スポーツ連盟等)などの方式もある。さらに、ローカル大会になると2単1複やダブルスのみの団体戦や男女混成の団体戦もあり、多彩な方式で行われている。
ルールの変遷編集
卓球の世界的な公式ルールは、1926年に発足の国際卓球連盟(ITTF)が管理・管轄している。技術や用具の変遷に応じて、時代ごとに改正が行われてきている。
- ITTF設立期
- 1900年代頃に欧州でゴム製のラバー(現在の1枚ラバーに相当するラバー)が開発され主流となったが[15]、それほど強い打球が打てなかったことやネットの高さが高かったこともあり[16]、守りに徹した方が有利であった期間が長く続き、1936年に行われた第10回世界卓球選手権では1点取るのに2時間以上もかかった試合の記録が残っている[16]。1937年、日本初の国際試合が行われ、ハンガリーの元世界チャンピオンと対戦し、その際日本選手は初めてラバーに接した[15]。当時、日本選手のラケットには何も貼っていない状態(別称:木ベラ)でありながらも、好成績を収めた[15]。
- フィンガースピンサービスの禁止等
- 男子アメリカチームによって、指を使い、ボールに様々な回転を生み出すサービス「フィンガースピンサービス」が開発され、1937年に行われた第11回世界卓球選手権にて、強い回転をかけたプレーが持ち込まれた[16]。これを駆使したアメリカチームは好成績を収めたが、その反面、強い回転に慣れていない対戦相手がレシーブミスを連発し、ラリーが続かない展開となった[16]。一方ではラリーが長すぎ、一方では短すぎる、という両極端な展開となり、観客が退屈と感じる試合が続出した。これをうけて、国際卓球連盟はルールの改正を行い、ネットの高さの引き下げ、試合時間の制限(促進ルール)、フィンガースピンサービスの禁止を決定し[16]、現在に至っている[17][18][19]。これらの影響で、再び守備型が有利な状況となり、1940年代から1950年代初頭までは欧州の選手によるカット主戦型が全盛であった[15][16][20]。
- 用具の発展と近代卓球の基礎となる規則の制定
- 第二次世界大戦後、1950年代に日本が新しい用具を続々と開発し、実戦に使用され結果を出しはじめた[15][16][20]。たとえば、従来のラバー(現在の1枚ラバーに相当する)を裏返しにして貼る「裏ラバー」が使われるようになった。これは従来のラバーと比較してボールとの接触面積が広いために摩擦の効果が大きく、強い回転をかけやすくなり、それを大きく活かした攻撃を行うことが可能となった。さらに、太平洋戦争時に航空機燃料タンク防弾用など、軍事用に用いられていた独立気泡スポンジが卓球の用具として使われるようになった。スポンジラバーは反発力が強く、従来のラバーと比べてて打球の威力が飛躍的に向上した[15][16][20]。スポンジをラケットの打球面に貼り付けた「スポンジラバー」[20]や、裏ラバーとスポンジを貼りあわせた「裏ソフトラバー」、一枚ラバー(表ラバー)とスポンジを貼りあわせた「表ソフトラバー」が開発されていき、さらに、表ソフトのツブを発展させた「ツブ高ラバー」も開発された。それらの特徴を大きく活かし、主にスマッシュ攻撃を武器に、1952年の第19回世界卓球選手権で日本は大会初参加ながら、女子団体・男子シングルス・男子ダブルス・女子ダブルスの4種目で優勝を果たした。これにより、日本卓球は黄金時代の口火を切り、1950年代の世界選手権において日本選手が各種目にて優勝者を多数輩出した[15][16][20]。
- 1959年、この状況に国際卓球連盟は用具の制限に乗り出した。スポンジのみの使用は禁止され、スポンジラバーは姿を消した。その他のラバーについても、厚みが規定され、4 mmまでと制限され、現在に至っている[21]。
- 同色ラバーの禁止
- 1983年のルール改正により、両面同色ラバーの使用が禁止された。ラバーを貼った面の反対側の面には異なる色のラバーを貼るか、異なる色に着色しなければならない[22]。これは、異なる性質の同色ラバーをそれぞれの面に貼った場合に、相手選手が見分けられなくなるためである。
- ボール径の変更(38 mmボールから40 mmボールへ)
- 2000年より、競技に使用されるボールの直径が38 mmから40 mmへと変更され、現在に至っている[23]。これによって、ボールの空気抵抗が増し、従来よりもラリーが続くようになった。しかしその一方で、回転がかけにくくなり、またラバーが回転の影響を受けにくくなったために、カット型や前陣速攻型のような戦型は苦戦している[要出典]。
- 1ゲームの勝利得点数の変更(11点制の導入)
- 2001年には、これまでの21点制から11点制に変更された。ともなって、サービスも5本ずつの交代であったが、2本ずつの交代に変更された。これにより、11点の取得(2点差以上を付けた状態)、あるいは、10-10からのデュースで2点差以上を付けることが、1ゲームの勝利の要件となった[24][10]。
- サービスルールの再改正
- 2002年には、サービス時にボールを隠す行為(ハンドハイドサービス、ボディーハイドサービス)が完全に禁止され、現在に至っている[25][26]。
- 有機溶剤等の使用禁止(ラバーの後加工の禁止)
- 2007年9月から、日本国内での主要大会において有機溶剤性接着剤の使用が禁止された。以後、有害な揮発性有機溶剤の(少なくとも競技場での)不使用はITTFのポリシーとなり[27]、2008年9月から全面的に有機溶剤性接着剤の使用が禁止され、その1カ月後に補助剤も禁止となり、物理的・化学的および他の手段を用いた後加工は禁止[28]となった。また、アンチ加工された粒高ラバーの使用も禁止され、以後のラバーはITTFの承認を得たもののみ使用が可能である[29]。
- 中国のメーカーからは、本規則への対策として、製造段階でラバーのスポンジ面に補助剤グルーを塗布した「已打底」と呼ばれるラバーが発売されている[注釈 39]。ただし、已打底のラバーであっても、国際卓球連盟の公認ラバーリストに掲載されているものであれば、公式大会での使用は可能である。
- プラスチックボールの使用開始
- 2014年から、ボールの素材が変更となった。これまでのセルロイドボールに加えてプラスチックボールが登場[30]し、2015年からは主要な国際大会においてもプラスチック製ボールが使用されている。(ボールの直径は40 mmのままで変更なし)
- カラーラバーの解禁
- 1983年のルール改正以降、ラバー及び塗りつぶす面の色は一貫して赤と黒のみが認められていたが、2021年10月以降はブルー、ピンク、バイオレット、グリーンのカラーラバーの使用が解禁された。黒と赤、黒とカラーラバー(黒及びボール色とは明確に識別できる色)の組み合わせであれば使用が認められるようになった[22]。
用具編集
卓球における用具とは、卓球台やその付随品などの競技環境設備のほか、ラケットやユニフォーム等といった競技者が身につけて使用する道具・服飾類を総称したものである。卓球の打球等のボールの運動は非常に繊細であり、用具によって大きな影響を受ける。そのため、卓球の公的管理組織(ITTFやJTTA等)によって、その規定が詳細になされている。以下では、各用具について概説する。
ラケット編集
卓球に使用するラケットは、サービス時やリターン時にボールを打球するものであり、主に木材から作られた板からなるもの(単一の木板あるいは合板)と特殊素材入りのもの(木材に特殊素材を複合化したもの)等がある。ラケットの打球表面にはラバーが貼られている(ラバーを張る前の状態のラケットも、同じく「ラケット」と呼称されることがある。区別のため以下ではこれを「ブレード」と呼ぶ)。ラバーはゴムシートとスポンジ等から構成される。ラケット用具一式には様々な種類・特徴を持った製品が存在しており、選手はそれらの中から自分に合う用具を選択することができる。
卓球のラケットには、世界的に様々な呼び方があり、日本や国際卓球連盟は「ラケット」、アメリカ合衆国では「パドル」、ヨーロッパでは「バット」と呼ばれる。世界各国でラケットに対する考え方は異なり、ヨーロッパでは、ブレードに弾みや打球感を求め、ラバーに回転の掛けやすさやコントロールを求めることが多い[注釈 40]。アジアでは、ブレードに回転の掛けやすさやバウンド後の変化を求め、ラバーに弾みや加速力を求めることが多い[注釈 41]。
公式試合に使用できるラケットには、レジャー向けに低価格で販売されているラバー付きラケット[注釈 42]や、競技レベルで用いられる市販製品ラケット[注釈 43]、プレイヤー自身の好みでカスタマイズした特注ラケット等がある。日本国内の公式試合に使用するラケットには、目視できる箇所にメーカー名や日本卓球協会の公認の表示 (JTTAA) が義務付けられている[注釈 44]。いずれのラケットも、保管には温度・湿度・日光などの条件に細心の注意を払う必要があり、保管に適したラケットケースが各メーカーから発売されている。
国際卓球連盟の規定[31]では、ブレードの材質は厚みにして85パーセント以上の部分が天然の木でなくてはならないと定められている[注釈 45]。ブレード面は、平らで硬質であることが必須である。ブレードの大きさ(面積)は特に決められていない。面積が大きくなるほどボールを捉えられる領域が増えて有利になるが、一方で、重たさや空気の抵抗が増すといった不利がある[32]。
- グリップよるラケットの分類
卓球の他のラケット球技と異なる特色として、握り方の異なる2種類のタイプのラケット(シェークハンドとペンホルダー)が主に存在することである。
伝統的には、ヨーロッパ出身の選手は主にシェークハンドを使用している。一方アジアでは、ペンホルダーが主流であったが、1990年代以降にシェークハンドを使用する選手の割合が増加し、ペンホルダーの選手数を上回る状況になってきている。また、主として片面のみにラバーを張るペンホルダーは、シェークハンドと比べ総重量が軽く、威力が出るため、女子選手やフットワークに自信のある選手が選択するケースが多くあった。しかし、フォアハンドとバックハンドの両面(両ハンド)での攻防が重視されるにつれ、こういった選手でもシェークハンドを選択するケースが多くなっている。
以上のように、現在はシェークハンドが比較的多数を占めている。一方で、中国式ペンホルダーを使っての両ハンド攻撃を得意とする選手が世界ランキングの上位に名を連ねることもあり、一概にどちらが技術的に優位であるかを結論付けることはできない。
シェークハンド編集
シェークハンドラケットは、握手する様に握るタイプのラケットである。両面にラバーを貼って使用する。ラバーの色は、表面と裏面とで異なる色と視認できるものを貼らなければならない。グリップの形状は、ストレート(ST)、フレア(FL)、アナトミック(AN)など様々な形状があり、特に前二者のグリップの使用率が高い。一般的には、右図の形のような曲線的な円弧の形状のラケットが使われている[注釈 46]。フォアハンド面(手のひらの側)とバックハンド面(手の甲の側)とを、前腕や手首を返すことで比較的容易に打球方向に向けることができる。
ペンホルダー編集
ペンホルダーラケットは、ペンを持つように握るタイプのラケットである。ペンホルダーラケットはさらに、以下に示すように日本式ペンホルダーラケットと中国式ペンホルダーラケットに大別できる。
ペンホルダーラケットには、表面[注釈 47]にラバーが貼られる。ラケットの片面のみにラバーを貼る場合は、ラバーを貼っていない面で打球すると即座に失点となる[33][注釈 48][13]。
打球技術の幅を広げることを目的として、ペンホルダーブレードの裏面[注釈 49]にもラバーを貼るケースもある。たとえば、試合中あるいはラリー中に、表裏を反転して打球(反転打法)して、球質の異なるボールでリターンする目的で用いられる[注釈 50]。他に、バックハンドの技術を強化するために、裏面打法[注釈 51]をする選手が多くなってきている。
ラバーの色の規定はシェークハンドと同様である[注釈 52]。片面のみにラバーを貼る場合の裏面は、そのままでは木材面が露出している。この木材面には、表面と異なる色の薄い着色シートを貼るか、塗料やインク等で塗りつぶすかしなければならない。
- 日本式ペンホルダー
- 日本式ペンホルダーラケットは、主にコルク製の台形柱型のグリップが使用されているのが特色である。ブレードの形状によって角型・角丸型・丸型などのペンホルダー独自のバリエーションがあり、得意とする打法・技術がそれぞれ異なる。日本や韓国、台湾などに使用選手が多く、片面のみにラバーを貼ることも多い。日本式ペンホルダーでは、購入時には既に裏面が塗りつぶされている製品が多い。
- 反転式ペンホルダー
- 反転式ペンホルダーラケットは、表面・裏面を反転しても持ちやすいように、台形柱型のコルクのグリップを特殊形状に設計された日本式ペンホルダーである。これは両面にラバーを貼れるように特化したブレードであり、上述の反転打法の使用を前提としている。
- 中国式ペンホルダー
- 中国式ペンホルダーラケットは、日本式ペンホルダーと比べるとグリップ部に大きな構造体(コルク等)がなく、ちょうどシェークハンドの柄を短くしたような形状をしたペンホルダーラケットである。ブレードの形状・厚さ等は、シェークハンドの同コンセプトの製品とほぼ同じものが多い。中国式ペンホルダーでも、裏面へのラバーの貼り付け有無は任意である。
その他のラケット編集
- ハンドソウ
- ハンドソウラケットは、拳銃を握るように持つタイプのラケットである[34]。その握り方から「ピストルタイプラケット(ピストル型ラケット)」や「ガンブレード型ラケット」と呼称されることもある。使用している選手は非常に稀である[注釈 53]。このグリップの特性としては、曲がるドライブが打ちやすいといわれる。一方、サービスに変化をつけるのが難しいとされる。
ブレード編集
上述の通り、ブレードとは、ラケット用具のうち、ラバーを貼っていない状態のものである。ラケットのうち、グリップと板の部分のみを指す言葉でもある[注釈 54]。
トップ選手などの競技レベルでは、寸分狂わないボールタッチやボールコントロールなどが要求され、ブレードの特性が打球感や弾性に少なからずの影響を与える。ブレードの特性のひとつは、反発力である。反発力は球を打ったときのスピードに反映される。もうひとつの特性は剛性である。剛性は打ったときのラケットに伝わる微小変形(振動)に反映される。一般的に、剛性が高いラケット、すなわち、硬いラケットは反発力が高く、弾離れが速くなり、スピードのある打球を可能にする[35][注釈 55]。逆に、剛性が低いラケット、すなわち、柔らかいラケットは、打球の衝撃を吸収しやすく反発力が抑えられるため、回転をかけたり、飛球方向のコントロールがしやすい[注釈 56]。表記はまちまちだが、各メーカーは販売するブレードの上記特性をパラメーターづけて表示している[注釈 57][注釈 58]。
単板と合板編集
ブレードの主要素材は木材を原料としており、一枚の板からなると単板と、複数枚の板を貼り合わせて作られる合板とに区別できる。単板ラケットがほぼ一枚の木板から作られるのに対し、合板ラケットでは異なる特性の板材を組み合わせることによって作られる。
単板のブレードでは、檜や桂が主に使用される。合板のブレードでは、和材・洋材など多種多様であるが、中芯には桐・バルサ材・柳・シナ材・アバシ・アユース・サンバなどの比重が軽量な木材が使われ、添芯にはパイン・アネグレ・スプルース・染色材などが使われ、上板にはリンバ・コト・ウォルナット・檜・アユース・染色材が主に使用される。近年では、黒檀・紫檀・ウエンジ材・ブラッドウッド・ホワイトアッシュなどのハードウッドが上板に用いられている。このように、ブレード材は木材種によって使用用途が異なるが、その製造工程や保管方法によってもラケットの特性は変化する。
合板の中芯に使われている桐やバルサ材について、これらは軽量材であることから、セルロイドボール時代では打球が軽くなるという欠点を抱えていた[注釈 59]。しかし、現代のプラスチック製ボール時代においては、桐は、特有の球を掴む感覚と扱いやすさに加えて、高い弾性も有しているため、板厚を多少厚くすることで球威(主に回転量)が出せるようになった。バルサ材も同様である[注釈 60]。このように、プラスチックボール時代に移って以降は、主に回転量を増すための選択肢として、合板ブレードも求められるようになった。
- 単板
- 単板ブレード(単板ラケット)は、その名の通り一枚の檜板ないし桂板から作られているブレード(ラケット)である。単板では、吸い付くような独特の打球感が得られる。木目を縦横に組み合わせることで耐久性を上げられる合板に比べて、単板には割れやすいという欠点がある。このため、木目を縦目に配置して板厚を厚くして耐久性を上げている。
- 特性が一枚の板材の質に影響されるため、同じ種類のラケットであっても、品質のばらつきが大きい。一方で、高品質の檜を使った単板ラケットは、独特の打球感に加えて、反発力と剛性のバランスが良いため、特に角型ペンホルダー[注釈 61]のドライブ主戦型選手に人気がある[注釈 62]。
- 合板
- 合板ブレード(合板ラケット)は、異なる特性の板材を木目を縦横に組み合わせることによって、反発力と剛性のバランスをとったブレード(ラケット)である。単板ラケットに比べて、多彩な特性のラケットが作られており、品質のばらつきが小さいというメリットもある。シェークハンドや中国式ペンホルダーなどで特に主要に用いられており、3枚合板、5枚合板、7枚合板などに大別される[注釈 63]。また、合板は特殊素材との併用が可能であることも特徴である。打球感や反発性・剛性について、木材と特殊素材の組み合わせから、様々なタイプのブレードが設計・製造可能である。構成板の数については、3枚のものから、多いものだと17枚のものも存在している。
- 基本的な合板の構成を5枚合板ブレードを例にして述べる。5枚合板では、軽め中芯材[注釈 64]を2枚の添材[注釈 65]で挟み、さらに最表面となる2枚の上板[注釈 66]で挟む構造になっている。この中芯材・添材・上板の使用木材と厚さの設計で、ブレードの様々な要求性能に応えている。
- 3枚合板
- 3枚合板ブレードは、中芯材と2枚の上板で構成されているブレードである。合板の枚数が少なく強度で劣るため、中芯材の厚さを確保したり特殊素材を入れることで高い弾みを有するラケットが登場している。合板の枚数が少なさと中芯材の木目が横目になることから、強度の観点からブレードの薄型化が困難である。この構造に由来する打球感の柔らかさを利用して、前陣速攻型ないしカット主戦型向けのラケットが存在する。
- 5枚合板
- 5枚合板ブレードは、上記の通り、中芯材と2枚の添材、さらに2枚の上板で構成されているブレードである。中芯材の木目が縦目のため、反発力と剛性のバランスがよく、ブレードの薄型化も可能である。製品によって特徴が異なるバリエーションが多いため、戦型を問わず初心者から上級者まで広く扱われている。特殊素材と組み合わせても、中芯材が硬い縦目になるため、純木のものと特殊素材入りのものとをあわせて、5枚合板のブレードは最も主流となっている。
- 7枚合板
- 7枚合板ブレードは、中芯材と4枚の添材、さらに2枚の上板で構成されているブレードである。比較的ブレードが厚くなりやすいので、反発力と剛性が強い。硬さに由来する球離れの早さがある一方で、中芯材の木目が柔らかい横目になるため、中・後陣での打法では、5枚合板と比べてて弾みが上がらないという短所もある。この性質から、7枚合板は専ら前陣に特化した仕様である。
- これまで、上級者向けないし純木材のブレードを好むプレイヤー向けのラケットとされてきたが、材質の項で述べたように、プラスチックボールに対して特有の球威があり、新たな選択肢となっている。
特殊素材編集
先述の通り、ブレードは厚みの15%以内であれば天然の木以外の材料を使用することが認められている[注釈 67]。そこで、ブレード材の一部として、炭素繊維(カーボンファイバー)・アリレート(ベクトランファイバー)・ケブラー・ガラス繊維(グラスファイバー)・チタン・ザイロンなどの特殊素材が使用されている[注釈 68]。
ブレードの合板構成のなかに特殊素材を配置することで、純木ラケットよりも弾みが高くなるだけでなく、ラケットのスイートスポットが広くなって、均一な弾みが実現した。一方で、特殊素材を用いることにより、木材本来の打球感とは異なる打球感になり、弾みの緩急が付けにくいという短所も抱えている。
5枚合板における特殊素材の配置パターンとしては、たとえば、上板と添芯の間に配置するもの(アウター型特殊素材合板ブレード)や、それより内側の中芯と添芯の間に配置するもの(インナー型特殊素材合板ブレード)等がある。アウター型は弾みと球離れが高くなり、インナー型は木材寄りの打球感になる。
木材の加熱処理編集
フォアとバックの両ハンドでの攻防スタイルが確立された現代卓球では、これを実現したラバーの重量化に伴って、軽いブレードが求められている[注釈 69]。そこで用具メーカーは、卓球ラケットには適していなかった桐材[注釈 70]を、素材の有効利用とコストダウンを兼ねて模索していた。
このなかで、木材を簡便に乾燥させるブレードの製造方法が確立された。この方法では、木材が含む水の沸点よりも低い温度で加熱処理することで木材に含有されている水分を取り除き、軽量化と吸湿性低減を実現している。この方法で製造されたラケットでは、均一的な弾みに加えて、特殊素材を用いない5枚合板であっても、従来より高い剛性と反発力を得ることが可能となった[注釈 71]。一方で、この加工法は、木材に物理的な加工を施すために、木材本来の球を掴む感覚は失われることになる[注釈 72]。
ラバー編集
卓球のラバーは、ゴム(英語ではラバー)製とスポンジ製のそれぞれのシートを接着剤で貼り合わせたものである。例外として一枚ラバーはゴムシートのみからなる[注釈 73]。ラバーはラケットにおける最表面であり、ラバーの部分でボールを打球する。
国際卓球連盟の規則[36]によれば、ラバーの厚さはゴムシート部分の厚さが2 mm以内でなくてはならない。また、ラバーシートとスポンジ層の厚さの合計は、4 mm以内と定められている[注釈 74]。他に、粒の形状やアスペクト比に関しても規定が詳細に定められている。ラバーは以下の項に示す通り、沢山の種類が存在する。一方で、公式戦の出場には卓球連盟等の認証が必要[注釈 75]である。国際大会等の公式大会では、国際卓球連盟の公認ラバーリスト[注釈 76]に掲載されているラバーに限り使用が認められている。2006年4月以降の日本国内の公式大会においては、仮に日本卓球協会の公認の表示[注釈 77]がないラバーであっても、国際卓球連盟の公認ラバーリストに掲載されているラバーであれば使用が認められている[注釈 78]。
- ゴムシート
- ラバーにおけるゴムシート(あるいは単にシート)は、ラケットのラバー面の最表面となるゴム製のシートである。天然ゴムまたは合成ゴムを主原料として、顔料を混ぜて黒や赤その多の色をつける[注釈 79]。一般に、天然ゴムと合成ゴムの割合等によって性能や寿命、シートの透明度が変わる[注釈 80][注釈 81]。
- ゴムシートの形状は、ゴムシートとブレードとの間にはさまるスポンジへの食い込みを考慮して設計されている。具体的にはゴムシートは、片面が均一な平面であり、その反対側の面には粒(あるいはイボ)と呼ばれる円柱型の突起がある。粒は平面六方格子状に規則的に密に配置されている。この粒の配置には縦配列ないし横配列のものがそれぞれある[注釈 82]。これらのゴムシートの構造は、ラバーの特性や重量等に大きく影響している[注釈 83]。
- スポンジ
- ラバーにおけるスポンジのシートは、上記のゴムシートを組み合わせて用いるラバーの構成要素である[注釈 84]。ラバーがブレードに貼り付けられる際は、このスポンジ層が接着剤を介して直接ブレードに貼り付けられる。スポンジの性能は主に、打球時のボールのラバーへの食い込みとその後の復元力に影響する[注釈 85]。スポンジ層はゴムシートと比べて重量は軽い。
- スポンジの厚さについては、厚いものは球が食い込みやすく、打球の方向の狙いを付けやすい。しかしながら、必ずしも厚いスポンジ層がゴムシートやラバーの特性にとって良いわけではない。一般に、スポンジ層が厚いほど、威力のある強い回転が掛かる[注釈 86]。ただし、反発時の弾性が高くなることで、飛距離等の制御が難しくなる。逆に、薄いスポンジ層のものはラバーによる回転量は比較的低い[注釈 87]。これには、スマッシュ打法に適しているほか、擦り打ちでの回転を掛けやすいなどのメリットがある。
- ラバー製品におけるスポンジの厚さは、メーカーごとに表記は異なる[注釈 88]が、様々な厚さのラバーが販売されている。ラバーの種類・性質によって、好まれるスポンジの厚さの傾向には差異がある[注釈 89]。
- ラバー硬度
- ラバーの硬さは「ラバー硬度」という指標(数値)で表記される。数値が高いほど硬いラバーである[注釈 90]。製品としてのラバーの性能表記には、ISOに準拠した硬度[注釈 91]やその他の硬度値[注釈 92]が複数の硬度表示が採用されており、ラバーの選定・検討に際しては注意を要する[注釈 93]。硬いシート・スポンジのラバーは、相手の下回転に対してカット打ちがしやすく、威力のある打球を可能にする[注釈 94]。逆に、柔らかいシート・スポンジは、球が食い込むので打球のコントロールがしやすい(回転の影響を食い込みで相殺しやすい)[注釈 95]。
- ラバーの特性
- 上記の通り、ラバーは主にゴムシートとスポンジから成る。ラバーの性能は、特に最表面のゴムシートの特性に大きく依存しているが、ゴムシートと組み合わさるスポンジ層の特性・厚さ、等の条件の組み合わせによって総合的に決まる。用具メーカーも多様なニーズにこたえるラインナップ用意している[注釈 96]。打球には、ラバーの特性に加えて、ブレードの特性も影響するため、プレイヤーに合う組み合わせのラケット(ブレードとラバーの組み合わせ)を求めるには、情報収集や試行錯誤が必要となる。
- ラバーの長期的な耐久性があまり高くない。放っておいても乾燥や酸化でゴムが劣化するうえ、練習等での摩耗[注釈 97]によりラバーの性能(摩擦力や弾力)は徐々に変化してくる。用具メーカーが推奨するラバー交換の目安(ラバーの寿命)は、一般の選手で1カ月、練習量が少ない選手でも2 - 3カ月とされる[37]。また、短期的な性能についてみると、打球するうちにラバーに埃などのゴミが付着し、摩擦力が落ちてくる。そのため、これらをふき取ってラバーの性能を回復するための専用のラバークリーナーが市販されている。
多くのラバーに共通する基本的な構成と特徴は以上の通りである。以下に、各タイプのラバーについてそれぞれ解説する。
裏ソフトラバー編集
裏ソフトラバーは、ゴムシートの平らな面を外向きにしてスポンジ層と貼り合わせたラバーである。ボールとの接触面積が大きくなるため、ボールに回転をかけやすく、一般的なほとんどの打法を実践しやすいため、現在においても最もよく使われているタイプのラバーである。
- 高弾性・高摩擦系
- 高弾性・高摩擦系裏ソフトラバーは、シートを薄くして粒をやや細くて高めに設計されたラバーである[注釈 98]。弾道の安定性が良く、伸びのあるドライブを打つのに適している。40年以上もの長い歴史を持っているのでロングセラーのラバーが多い[注釈 99]。かつては、最もシェアの高いラバーであったが、ルール改正によるノングルー化に伴って、テンション系ラバー(下記)が普及したために、使用者は減少している。近年に登場したラバーは、生産技術の改良で従来のものより高い弾性と摩擦力を実現している。日本のメーカーの得意分野である。
- テンション系
- テンション系裏ソフトラバーは、シート及びスポンジを構成するゴム分子に負荷(テンション)がかかった状態としたラバーである[注釈 100]。これにより、従来の裏ソフトラバーと比べて高い弾性と摩擦力、高い打球音を実現している[注釈 101]。一方で、ラバー寿命が短くなりやすい。シートの形状は、高弾性・高摩擦系ラバーに準ずる[注釈 102]。
- 強打に際して、鋭く曲がったカーブドライブやシュートドライブ等を打つのに適している。一方で、競技者の技量水準の高さを要し、棒球となったり、回転量不足となったり、弾みの制御が難しいという側面も持ち合わせている。トップ選手の間では使用者が多く、グルーの使用が禁止となった2008年以降は、「回転系テンションラバー(下記)」が登場したことで、最も主流となったラバーである。近年、ラバーのさらなる高性能化と耐久性向上が図られるているも、価格は高騰化傾向にある。ドイツや日本のメーカーの得意分野である。
- スピード系テンション
- スピード系テンションラバーは、テンション系裏ソフトラバーのなかでは最も歴史が長い製品である。全般的にシートが柔らかく変形しやすく、球が食い込んでからのレスポンスが非常に早い。そのため、軽打時でも高い弾みを有する[注釈 103]。打法によっては、シートの引き連れ効果を巧く引き出して、強烈な回転を掛けることが可能である[注釈 104]。
- 回転系テンション
- 回転系テンションラバーは、ゴムシート表面に高い摩擦力が生じさせて、回転を掛けやすくしたテンション系ラバーである。シートの硬さとスポンジの柔らかさが適度に設計されており[注釈 105]、軽打時、中打時、強打時で弾みと回転の緩急が付けやすい。全般的に球が食い込むレスポンスに優れている[注釈 106]。このような特徴から、上述の事情もあって、現在において最も主流となっているラバーである。
- また、回転系テンションラバーのなかには、いわゆる「曇り系」や「マット系」と言われている製品があり、カット主戦型や日本式ペンには好まれるラバーとされる[注釈 107]。
- 粘着系
- 粘着系裏ソフトラバーは、シート表面に粘着性を付与したラバーである[注釈 108]。粘着性能が強いラバーでは、静止したボールを表面に付けても持ち上げても、落ちないものもあるほどである。そのため、ラケットの面を添えて当て擦ることで、ボールに強烈な回転を掛けるのに適している。ボールがラバーに触れる時間が長いため、クセ球が出しやすく、回転量に変化もつけやすい。その反面、相手の回転の影響も受けやすい。また、他のラバーと比べて非常にデリケートである[注釈 109]。粘着系ラバーは、主に中国系の選手が使用しており、日本国内においてもドライブ主戦型やカット主戦型選手などに使用者が多い。中国のメーカーの得意分野である。
- 強粘着系、微粘着系、超微粘着系
- シート表面の粘着性能の強さによって、さらに強粘着系、微粘着系、超微粘着系といった分類されることがある。粘着性が強いほど回転量が多くなりやすいが、打球スピードが低下しやすい傾向にある。
- 粘着系テンション
- 粘着系テンションラバーは、粘着系ラバーとテンション系ラバーの性能を併せた、従来の粘着系ラバーよりも高弾性であることを特徴とするタイプの裏ソフトラバーである。気泡の大きいテンションスポンジを採用した粘着系回転系テンションラバーも、市販されている。粘着系ラバーの欠点であったボールの食い込みが改善されており、当て擦りのドライブ打法などがやりやすい。
- 極薄系
- 極薄裏ソフトラバーは、粘着質のシートと粒が低いシート形状の特性を生かして、極薄スポンジと組み合わせることで「粒高ラバーもどき」の性能を実現した粘着系ラバーである。粘着ラバーの特徴である回転量とクセ球に加えて、粒高ラバーのような変化をつけることが可能であるが、弾みが非常に弱く回転の影響も大きいので、専らペンホルダーの粒ラバー使用者に向いたラバーである。
- コントロール系
- コントロール系裏ソフトラバーは、柔らかいスポンジとシートを用い、ボールコントロールがしやすいように設計されたラバーである。扱いやすく、安価で長寿命な事が多いため、初心者などを含め、技術を身につける際に使用されることもある。しかしながら、反発力と摩擦力は低いため、競技段階のレベルでの使用では、威力不足の感があり使用している人は少ない。
表ソフトラバー編集
表ソフトラバーは、ゴムシートの粒の面を外向きにして、スポンジ[注釈 110]と貼り合わせたラバーである。粒の面が最表面であるために、ボールとの接触面積が小さく、球離れが早い。裏ソフトラバーと比べると、相手の打ったボールの回転の影響を受けにくい[注釈 111]。基本的に前陣速攻型の選手やカット主戦型の選手が用いる場合が多い。シートの粒形状や特性により回転系・スピード系・変化系等に分類される[注釈 112]。
近年では、ラケット両面に裏ソフトラバーを貼ったドライブ主戦型が全盛となっている影響もあり、裏ソフトラバーよりも製品のラインナップが圧倒的に少ないのが現状である。一方で、従来の表ソフトラバーよりも高弾性であることを特徴とした、テンション系表ソフトラバーが登場している。裏ソフトラバーと同様に、気泡の大きいスポンジを採用した回転系テンション系表ソフトラバーも製品化されているなど、表ソフトラバーの特徴を活かす用具の開発自体は引き続き行われている。
後述のラージボール卓球の競技では、ルールにより表ソフトラバーのみが使用を認められている。ラージボール競技用に開発された表ソフトラバーも存在し、これらは硬式用と比べて柔らかいものが多く、ボールが変形しにくいという特徴を有している。
- 回転系表ソフト
- 回転系表ソフトラバーは、粒の形状が台形で、大きめのラバーである。表ソフトラバーのなかでも回転がかかりやすいが、スピード系表ソフトのように球離れは速くない。また、ナックルなどの変化した質の球も出しにくい。主に、スマッシュを主戦としながら、ドライブを織り交ぜるタイプの選手が多く使用している。
- スピード系表ソフト
- スピード系表ソフトラバーは、粒の形状が台形と円柱を組み合わせた小さめの形状のラバーである。表ソフトラバーの中では、もっとも球離れが速く、ナックル系の球も出しやすい。一方で、回転系表ソフトのような強い回転をかけるのは困難とされる。主に、ドライブはつなぎで使い、スマッシュを主戦とするタイプの選手が多く使用している。
- 変化系表ソフト
- 変化系表ソフトラバーは、円柱型の高めの粒をもったラバーである。ナックルなどの変化が出やすい設計になっている。かつては、表ソフトラバーの中では前2者と比べて使用者は少なかったが、福原愛がこのタイプのラバーを貼って実績を残したことに加えて、プラスチック製ボールの移行により粒高ラバー(後述)でのカットの威力が低下したことから、近年はカットマンを中心に使用者が増えている。
粒高ラバー編集
粒高ラバーは、構造上は上記の表ソフトラバーと類似している(粒を打球面側に向けた構造である)が、その名の通り、粒の高さが高く柔らかいといった特徴を有するラバーである。スポンジの有る粒高ラバーと、スポンジの無い粒高一枚ラバーの二種が、主に市販されており、これらを総称して、粒高ラバーと呼ぶ[注釈 113]。近年は、従来の粒高ラバーよりも高弾性化したテンション系粒高ラバーも登場している。
粒高ラバーは、構造上の性質[注釈 114]から、打球時に大きく粒がしなるように変形するのが特徴である。粒が柔らかいほど打球に変化をつけやすい。弾みは弱く、表ソフトラバーとは異なる弾道になる。表ソフトラバー以上に、自発的にボールに回転を与えるのは難しい一方で、相手の回転の影響も受けにくい。そのため、相手の回転を利用したり、そのまま回転を残してリターンすることが可能[注釈 115]という特性もある(相手が打った球質とは逆回転でのリターン)。粒高ラバーは、自身の打法と相手の打球の質の双方に打球が影響をうけるため、扱う側も予測しなかった回転や変化がでることもある。使用者の技量にもよるが、粒高ラバーによるドライブ打法等も可能である。
粒高ラバーは、主にカット型や前陣攻守型の選手が変化を付けるために用いる。反転型ペンホルダーラケットに貼って使用する場合もある。いすれも、戦型によって粒高ラバーは用途が異なり、好まれるラバーも異なる[注釈 116]。
かつては、シート表面にアンチ加工された「アンチ粒高ラバー」が存在していた。2008年以降にアンチ粒高ラバーの使用が禁止[注釈 117]されたことにより、以前と比べて粒高ラバーの性能は相対的に低下しており、プラスチック製ボールの移行後はさらにこれが顕著となっている。
一枚ラバー編集
一枚ラバーは、表ソフトラバーからスポンジを除いた構造のラバーである[注釈 118]。第二次世界大戦以前は、この一枚ラバーしかなかった。あまり弾まず、回転をかけにくいラバーであるが、安定した打球を打てるという利点がある。現在、このラバーを用いる選手は非常に少ない。かつては、この一枚ラバーの構造の表裏を裏返したラバー(裏ソフトラバーからスポンジを除いたものに相当)も存在したが、このラバーは現在はルールによって使用が禁止されている。
アンチラバー編集
アンチラバーは、一見しての外見は普通の裏ソフトラバーだが、摩擦が極端に少なくなるように設計されたラバーである[注釈 119]。アンチラバーを用いて裏ソフトラバーと同様の打法を試みても、ボールに回転がかかりにくい。コントロール性を高めるため、やわらかいスポンジが使われていることも多いが、メーカーによっては折れないほどの硬いスポンジとシートで構成されているものもある。
かつては、同色の裏ソフトラバーと組み合わせることで、ラバー外観の酷似性とそれに反した性質差を利用し、ラケットを反転させて相手に打球の変化を分かりづらくさせるスタイルに主に使用されていた。しかし、1983年のルール改正(両面同色ラバーの使用禁止)の後は、アンチラバーの使用者は激減した。
ボール編集
一般的に卓球(硬式卓球)で使用されているボールは、直径が40 mmで質量が2.7 gである。ラージボール卓球用いられるものは直径が44 mm、質量は2.2 - 2.4 gである。ボールの色は白と橙色の二色がある。硬式卓球ではどちらの色のボールを使用してもよいが、ラージボール卓球では橙色のみが用いられる。周囲環境(照明・床・背景)、ユニフォームの色、卓球台の色によってボールを視認しづらい場合は、どちらか色のボールを使用するか選ぶことができる大会もある。完全な球形を精度よく大量に作ることは技術上難しいため、同じ製造工程で作られた球に対し、どの程度球形に近いかでグレード付けされている。最も真球度の高いものは「3スター(スリースター)」とグレード付けされ、最低ランクの無印まで4段階に分けられている。グレード分けは、ボールを坂路で転がしたときの軌跡のずれの大きさで実施している。完全な球ならば坂路をまっすぐ下り、ゆがみが大きいほどずれが大きくなる。通常、いわゆる公式戦が行われる大会では、3スターが使われる。ボールはプレイの精度に大きく影響する一方で、1つの大会の公式球に複数のメーカーが選ばれる例もあった[38]。
従来の硬式卓球の試合では直径38mmのボールが使われていたが、2000年のルール変更により直径40 mmのものが使われるようになった。このボールの大きさの変化による影響としては、空気抵抗が大きくなったために速く遠くへ飛びにくくなったこと、回転がかけにくくなったこと、ナックル等の変化性の打球の影響が小さくなったこと、それらの結果としてラリーが続きやすくなったことなどが挙げられる。
ボールの素材はかつてはセルロイドが主流だったが、2010年代に非セルロイドの材質のもの(プラスチック素材)に移行した。オリンピックの卓球競技では、2012年のロンドンオリンピックからプラスチックボールに変更されている[39]。この変更の背景として、セルロイド製のボールは燃えやすく、火災の危険性があったためである。このため、航空機への持込を断られた例(アテネ五輪の前)も出てくるなど、IOCがITTFに材質変更を求めたともいわれる[40]。ITTFはボールの素材の変更理由として、セルロイドは燃えやすく太陽光などにより劣化し耐久性に乏しいこと、良質のセルロイドの入手が難しくなっていること、プラスチック素材のほうが回転が少なく弾みを抑えることができラリー戦が続く、などの理由を挙げたとされる[39]。たとえば、セルロイドの公式球は製造に半年かかる(セルロイドを練り上げて板状にするのに3か月、丸く型抜きしてアルコール浸けで半月、自然乾燥に半月、半球体にするのに半月、一つの球体にして表面を研磨するのに半月、その後に乾燥、マーク押し、包装という工程を経て完成させていた)[41]。
日本では、2014年から日本卓球教会の定めるルールとして、非セルロイド素材で製造する事が義務付けられ、直径40mmのプラスチックボールが登場した(つなぎ目のあるボールと、つなぎ目のないシームレスボールの双方が認められている)。プラスチックに材質が変わったことによる影響として、打球感が変化したこと、シボがつけられなくなったことで回転量が相対的に低下したこと、打球時の初速が速くなったこと、などの変化が挙げられる。それに加えて、シームレスボールでは、弾みのばらつきが減少したことで、打球が安定しやすいという特徴がある。一方で、プラスチックボールはメーカーによって性能のバラツキが激しく、壊れやすいという指摘もある[42]。
サイドテープ編集
サイドテープは、競技中に予期せずラケットが卓球台にあたったときに、ラケットの側面(サイド)を破損しないためにつける保護テープである。ラケットのブレードのみを覆うように貼る競技者や、使用しているラケットのラバーのスポンジ部分まで覆うように貼る競技者もいる。一般的に、サイドテープ幅は6 mm、8 mm、10 mm、12 mm等のラインナップがある。金属製のサイドテープもあり、ラケットの総重量や重心位置を調節することも出来る。
接着剤編集
上述の通り、競技用のラケットの多くは、ブレードとラバーが別々に市販されており、両者を接着してラケットとして完成させる必要がある。ラバーとラケットを接着するために使用する接着剤について、現在使用が認められているのは、水溶性接着剤、接着シート、固形接着剤のものである。かつては、ゴムを有機溶剤で溶かした接着剤が広く使用されていた。しかし、有機溶剤が人体に有害であるという理由から、日本国内の小学生の大会で2007年4月1日より使用が禁止されたのを皮切りに、有機溶剤を含む接着剤の使用は禁止され、2007年9月1日以降は日本国内の大会で完全に禁止されている。国際大会では2008年9月1日より禁止となった。
現在、日本国内においては、日本卓球協会公認の接着剤の使用が認められている。一方で、2009年時点おいて国際卓球連盟に公認された接着剤はない。また、塗った接着剤とラバーにわずかに含まれている残留溶剤が反応するおそれがある。たとえば、たとえ使用が認められている接着剤を用いたとしても、試合後のラケット検査で残留溶剤が検出された場合は失格となる。これを未然に防ぐために、ラバーのパッケージを開けてから72時間放置した後に、公認の接着剤を使用してラケットに貼ることが推奨されている。
スピードグルー編集
スピードグルーは、ラバーとラケットを接着するための有機溶剤性の接着剤の一つである。一般の接着剤よりも有機溶剤を多く含んでおり、ラバーに塗るとスポンジの中で拡散して、スポンジが膨張する。この状態でラバーをラケットに貼ると、スポンジの膨張分だけシート面が面方向に引っ張られた状態になるため、常にゴムに負荷がかかった状態となる。その結果、反発力と摩擦力が高くなり、「金属音」とも呼ばれるほどの高い打球音になる。スピードグルーによって、スポンジが柔らかくなるため、ゴムシートが引張圧で少し硬くなっていても、ラバー全体としては柔らかくなっている。ただし、スピードグルーを使用すると、常にゴムに負荷がかかっているため、一般の接着剤を使用した時よりもラバーの劣化が早い。
上記のグルー効果を最初に発見したのは、ハンガリーのティボル・クランパと言われている。日本では、1980年前半に元日本チャンピオンだった渡辺武弘がベルギー製のグルーを持ち帰って使用したのが最初であった。その後、スピードグルーが開発されて以降は世界的にグルーは普及し、主に攻撃型の選手に広く普及していった。
ルールの変遷で述べたように、スピードグルーは複数の理由から現在は使用が禁止されている。スピードグルーの使用を問題視したのは、当時国際卓球連盟の会長を務めていた荻村伊智朗であった。荻村は、卓球の普及という観点から、ボールスピードの減速、スピードグルーは「用具へのドーピング」でありスポーツ精神上好ましくないこと、多くのスピードグルーが含有するトルエンが人体に有害であること、シンナー遊び等の卓球以外の不適切な用途に使用されて社会問題化した経緯があることを説いた。これらの理由から、荻村はスピードグルーの使用禁止を提案したが、荻村の死去により一旦は白紙の状態となった。
これらの諸問題をうけて、スピードグルーのトルエン規制に乗り出した。ここでは、トルエンに代わってヘプタンが主成分となった。しかしながら、弾性と回転量が低下したために、これを補うために、スピードグルーの「重ね塗り」や「蒸らし」といった方法が確立されるに至った。こうして、スピードグルーの使用と規制は、イタチごっこの状態が長らく続いたのである。
やがて、スピードグルーは卓球用途での使用時においても、アナフィラキシーショックによる事故を起こし、これら健康上の問題が再度議論されるようになってきた。また、スピードグルー自体も揮発性・可燃性が高く、輸送の面で危険を伴っていた。こうした経緯から、国際卓球連盟はスピードグルーの使用禁止を決断するに至った。このスピードグルーの使用禁止を定めた規則は、当初2007年9月1日に施行される予定であったが、翌年に北京五輪を控えたこともあり、最終的には北京五輪終了後の2008年9月1日に施行されることとなった。
補助剤編集
前述の通り、有機溶剤を含む接着剤の使用が禁止されたことで、毒性のない水溶性接着剤(主成分は水、天然ゴム、アクリル)が普及した。しかし、スピードグルーの使用が禁止となることを見越して、「ブースター」とも呼ばれる接着力の無い「補助剤」や水溶性グルーが卓球用品メーカーから発表されるようになった。
スピードグルー同様に、補助剤はラバーへの使用によって、未使用の状態よりも弾性と回転量を向上させることができており、揮発性の有機溶剤を含まず鉱物油を主成分としているため取り扱いが比較的容易で、かつ、効果が持続しやすい、といったメリットがあった。一方で、揮発性が低いためラバーを剥がしての塗り直しがでかないこと、スピードグルーのような鋭いレスポンスは得られないこと、塗ることによって重量が重くなること、といったデメリットがあった。
これについて国際卓球連盟は、補助剤を塗る行為が(貼る前の)ラバーを加工・改造する行為であり「用具のドーピング」にあたるとして、ルール改正を行い、2008年10月1日以降において「後加工の禁止」という規定を加えた。事実上、補助剤が使用禁止となったのであった。これを受けて、日本卓球協会 (JTTA) は、国際卓球連盟のルール改定通知に基づき、2008年10月1日以降に開催される全ての大会において、ブースター等の接着補助剤やスピード補助剤についても使用禁止すると発表した[43][44]。また、対象の接着補助剤やスピード補助剤の販売を行っていた卓球用品メーカーは、2008年9月末をもって販売中止することを発表した。
このように、スピードグルーの禁止から僅か1ヶ月で補助剤も禁止されたため、グルーや補助剤を発売してきたメーカーは、多くの在庫を抱えるようになり経営を圧迫する要因にもなった。その一方で、禁止化の直後のヨーロッパ卓球選手権では、大会運営のラケット検査が新ルールに対応できなかったことから、従来通り補助剤を使用する選手もいる状況になっていた。
卓球台編集
卓球競技を行うにあたって、卓球台は競技場の床面に設置される水平な台であり、サイズや高さ、材質、物性がルールで規定されている。卓球台は経年による反り返りを防ぐために3層構造になっており、三層の中心の層には、細長い板がフローリング床のように横の継ぎ目をずらして配置され、変形を防ぐ設計となっている。
卓球台は1980年代まで緑色(黒に近い深緑[45])をしていたが、当時の国際卓球連盟会長であった荻村伊智朗の発案により卓球のイメージチェンジを図って[46]、現在の青色の卓球台を製作された。1991年に千葉市で開催された第41回世界卓球選手権と翌1992年のバルセロナオリンピックにこの青色の卓球台が使われたことから世界中に広まり、現在に至っている。また、この卓球台の改善事例の背景として、テレビ番組で出演者のタモリが織田哲郎に『あれ(卓球)って根暗だよね』と発言したことにより、翌年の中学生の卓球部の部員が激減した事がきっかけである、とも指摘されている[47]。
ユニフォーム・シューズ編集
卓球におけるユニフォーム(試合着)は、上が襟付でポロシャツに類似した形状のものやTシャツ状のもの、下はハーフパンツ・スカートが基本である。日本国内の公式試合で使用が認められるのは、日本卓球協会の公認品のみで、その公認マークの表示が義務付けられている。非公認品あるいは打球が視認しづらいなど試合の妨げとなるデザインがされているものは、審判長の判断のもと使用不可とされる。また、選手同士が類似した色のユニフォームを着ていた場合は、片方の選手が着替えなければならない(その際に着替える選手は、サーバー・レシーバーや使用エンドの決定時と同様に、コイントス(じゃんけん)で決める)。
かつての卓球のユニフォームは、単色のポロシャツ形状のものが多かったが、近年はテニスやバドミントンと似た素材・デザインで軽く撥水性が向上したものが多い。ショーツは股下が短いものが多く、女性に不評であったが、近年では男性用でも太ももにかかるくらいのものが増えるなど、時代に応じて変化している。また、アンダーシャツやスパッツの着用も認められている。
また、事前の確認が必要であるが、個人がデザインしたユニフォームも、前述の要件を満たせば使用可能である。2007年1月に行われた全日本卓球選手権では、四元奈生美選手がワンショルダーとミニスカートという斬新なユニフォームで試合に出場し、注目を集めた。
シューズに関しては県大会まで規定が無く、体育館用シューズであれば何を履いてもよい。
打法編集
卓球における打法は、主にフォアハンドとバックハンドに大きく分類される。これに加えて、台上で球を処理する台上技術と台から離れた場所での打法の区別が存在するのが、卓球の特徴の一つである。
かつては、フォアハンド打法主体のプレイの全盛期もあった。しかしながら、スピードグルー類の使用や規制、40 mmボールへの変更等の度重なるルール変更で、打球のスピードやそれに応じた打法は絶えず変化してきた。こうした積み重ねの結果として、ルールは打球速度を抑える方向に改訂される傾向にあるも、打球スピードの低下を補う新打法の開発等により、ラリーのスピード自体は全体的に速くなってきている。近年は、この速いラリーに対応するために、フォアハンドとバックハンドの速やかな切り替えを念頭に、フォア・バックの両ハンドによる強打で攻める打法が発展している。
以下では、特に断りがない限り、右利きの競技者の打法について述べる。左利きの競技者については、下記内容において適宜左右を反転させて読解することで、同様の打法を説明・理解・実践できる。
ボールの回転編集
以下の各打法の説明に先立って、まず卓球における回転(スピン)について、概説する。卓球において、ボールのスピンは打球の応答ひいてはリターンの成否、得点・失点につながる重要な要素であり、以下に示す打法の多くはスピンの性質を活用する技術である。ボールのスピンは、縦回転(上回転/下回転)、横回転(順横回転/逆横回転)、ジャイロ回転(コークスクリュー回転: ヘッドコークスピン/フットコークスピン)の独立した3軸方向の回転に分類できる。練習や試合で行われる打法での実際のスピン状態は、これらのなかの単独の回転あるいは複合された回転となる。また、どの方向にもほとんど回転のかかっていない無回転(ナックル)の打球も存在する。
通常の質点は重力の存在下で放物線の軌道を描くが、卓球のボールの飛跡はスピンの影響を顕著に受けるため、スピンと空気に由来する抗力と揚力(マグナス力等)によって、放物線からやや外れた軌道となる。また、スピンを有する飛球が卓球台やラケット面に反射すると、多くの場合は回転するボールと接触面の摩擦によって、逸れた方向へ飛び出すようにボールが跳ねる。たとえば、あるプレイヤーが上回転(角速度のベクトルの方向は打球者からみて左)をかける打球をすると、このボールは下方向(角速度ベクトルと速度ベクトルの外積の方向)に向かって徐々に放物線軌道よりもずれていく。このボールが相手コート上でバウンドすると、ボールは前進方向(角速度ベクトルと卓球台面の法線ベクトルの外積の方向)へ加速を受けて跳ねる。このボールを相手が正面から静止したラケットで打球しようとすると、ボールはラバーの表面で上方向(角速度ベクトルとラケット・ラバーの反射面の法線ベクトルの外積の方向)へ跳ね上がるように反射する。これは「ドライブ打法のボールは、伸びるように飛んだ後に弧線を描いて沈み込み、台上で加速するように跳ねる。これをリターンしようとするとリターンボールは上方向に逸れる」という実践上の打球の挙動に相当する。打法によって生み出されるスピンは以上のような効果を有しており、また、打法によって正規のリターンを試みる際はこれらの点に注意する必要がある。以下の表に、ボールの回転とその揚力による軌道・反射の変化についてまとめた(表中の「方向」は打法の打球者からみた方向である。また、まっすぐ正面への右利きのフォアハンド打法を、相手が正面からリターンすることを仮定している。また、左回転・右回転は、どちらが「順」でどちらが「逆」を指すか、打法等によってもケースバイケースであり得る。技法の解説を読み解くに際しては、実際の回転方向(スピンの角速度の方向)がどちらであるか注意を払う必要がある)。
球質 | 角速度の方向 | 飛跡の加速方向 | 台上バウンド時の加速 | 相手が受ける球の加速 |
---|---|---|---|---|
上回転(ドライブ、トップスピン) | 左 | 下 | 前 | 上 |
下回転(カット、バックスピン) | 右 | 上 | 後 | 下 |
左回転(カーブ、逆横回転サーブ) | 上 | 左 | (無) | 右 |
右回転(シュート、順横回転サーブ) | 下 | 右 | (無) | 左 |
ヘッドコークスピン | 前 | (無) | 右 | (無) |
フットコークスピン | 後 | (無) | 左 | (無) |
無回転(ナックル) | (無) | (無) | (無) | (無) |
注意点として、どのようなスピンがかかっていても、それを上回るほどの球速がある場合は、かならずしも上記のようにはならない。たとえば、わずかに上回転がかかったボールであっても、非常に大きな前進速度を有する場合に台上でバウンドする際においては、後退する方向への加速を受ける。
サービス編集
卓球では必ずサービス(いわゆるサーブ)から一連のラリーが始まる。サービスは、これを戦略の起点としてゲームを組み立てる最重要技術のひとつである。トップ選手になると、レットによるサービスのやり直しを利用する者もおり、打球ミスしたサービスをレットで逃げることで無駄な失点を防ぐこともある。この他、巧みなサービスの一連の動作で、相手のレシーブタイミングを外したり、相手のペースを乱したり、高度なサービス戦術を採る選手が多い。
サービスは、フォアサービスとバックサービスに大きく分類され、さらに、それぞれにショートサービスとロングサービスがある。狭義でのショートサービスは、相手コート上で2バウンド以上する軌道となるサービスのことを指す。これに対して、ロングサービスは、相手コート上で1バウンドだけして卓球台の外へ出る軌道のサービスのことを指す。特にサービスでは、回転は非常に重要な要素であり、縦回転(上回転/下回転)、横回転(順横回転/逆横回転)、ジャイロ回転(ヘッドコークスピン/フットコークスピン)や、これらの複合回転(斜め回転: 順横上回転/順横下回転/逆横上回転/逆横下回転)、あるいは無回転(ナックル)のサービスといった、多くのバリエーションの球質を出すためのサービスが存在する。一見同じモーションのサービスであっても、ラケットの角度や向き、微妙なラケット捌きなどで縦横の回転の比率を変えることが可能であるため、回転の質・量やスピードの異なるサービスを出すことができる。
ハンドハイドサービスおよびボディーハイドサービスが完全に禁止された2002年以降は、相手にサービスが見抜かれやすくなったが、このことで、さらに高度なサービス技術が発達した。代表的なものとしてはフェイクモーション、打球前後のラケットを隠す行為、フォロースルー、バーティカルサービス等がある。
フォアサービス編集
フォアサービスは、自分の体に対して利き腕側(右利きであれば、身体の右側)で、ボールを打ち出すサービスである。コントロールを付けやすくする為や、強い回転を掛けるために手首の可動範囲をひろげる為、サービスを出した後の戻りを早くする為、などの様々な目的から、選手によってサービス時のグリップはラリー時とは異なることがある。シングルスの試合では、基本的に自陣のバック側の位置からサービスを出すことが多いが、試合展開や戦術によっては、中央付近でサービスする場合もある。
- アップダウンサービス
- アップダウンサービスは、フォアサービスの一種であり、同じスイング軌道からラケットを上または下に振って上回転と下回転を使い分けるサービスである。技術が上がれば横回転系を混ぜることも、後述のバーティカルサービスにすることも、フェイクモーションを加えることも可能である。
- YGサービス (ヤングジェネレーションサービス)
- YGサービスは、フォアサービスの一種であり、体の内側から外側にスイングして回転をかけるサービスである。逆横回転系のボールを出すサービスとして主に使われている。上述のルール改正以前は、打球のインパクトを隠すことが認められていたため、順横回転系のフォアサービスと併せてよく用いられた。ボディーハイド・ハンドハイドサービス禁止以降も、YGサービスは、回転のバリエーションを増やしたり、サービス戦術やラリー展開を変える目的等で用いられている。YG、ヤンジェネなどと略称もされる。
- 巻き込みサービス
- 巻き込みサービスは、フォアサービスの一種であり、ラケットのヘッドをやや上向きに立てて、逆横回転系のボールを出すサービスである。YGサービスより回転量は劣ることがあるが、シェイクハンドではラケットのグリップをサービスの為に変える必要がないため、速い戻りを必要とする女子選手を中心に使用者が多い。
- バーティカルサービス
- バーティカルサービスは、横回転サービスの一種であり、インパクト時にラケットを立ててラケットの面を相手に見せ、どの方向に回転を掛けたのか相手にわかりづらいくしたサービスである。ボディーハイド・ハンドハイドサービスの禁止に伴って、フォアハンドサービスを発展させたものであり、順横回転系・逆横回転系の双方のボールを出すことが可能なサービスである。特性上、必ず横回転が掛かるため、純粋な下回転サービスと上回転サービスが出来ないという短所もある。バックサービスとして用いることも技術的に可能である。
バックサービス編集
バックサービスは、主に利き腕の反対側(右利きの場合、身体の左側)からスイング・打球されるサービスである。身体に対してどの位置でボールをインパクトするかは選手によって異なる(フォア側まで振り抜いて打つ選手もいる)。両足のスタンスをラリー時を同じに保ってサービスを出せるため、サービス後に早く体勢を戻すことが出来る。
その他のサービス技術編集
- しゃがみ込みサービス
- しゃがみ込みサービスは、サーブを出す際に膝を曲げてしゃがみ込みながら出すサービスである。強い回転をかけることが可能だが、元の体勢に戻るのが遅くなると、相手のレシーブに対して反応が遅くなるという欠点もある。
- 王子サーブ
- 王子サーブはしゃがみ込みサービスの一種であり、下へ屈伸しながらラケットを縦に振り下ろして、ラケットの裏面で球を切り回転をかけるサーブである。
- スピードロングサービス
- スピードロングサービスは、ロングサービスの一種であり、速いスピードをつけることを目的としたロングサービスである。2バウンド目を相手コートのエンドライン付近にバウンドさせるように狙う。相手の不意を突ければ、サービスエースを狙うことができ、レシーバーに充分な体勢で打球させない目的でも使用される。一方で、相手にカウンターを狙われると、サーバーが早く体勢を戻せず、失点につながるという短所もある。
- 投げ上げサービス(ハイトスサービス)
- 投げ上げサービスは、サーブのトスをする際に、ボールを高く投げ上げて出すサーブである。落ちてくる球の軌道が打球ポイントからずれてミスも出やすいが、落球の勢いを利用でき、回転やスピードを増すことができる。競技場によっては、照明の光が投げ上げた先で重なるので、サービスを行う前に、プレイ環境を確認する必要がある。世界には、投げ上げサービスで7 - 8メートルもの高いトスを上げる選手もいる。
- フェイクモーション・フォロースルー
- フェイクモーション、フォロースルーは共に、サービスでの打球前、打球後において、相手を幻惑させることができる、サービスに付随する技術の一種である。
- 通常のサービスのスイングのみでは、レシーバーにサービスの回転パターンが見抜かれやすいため、高い競技レベルになると、サービス時にフェイクのスイング(ボールを打球しないスイング)を入れるフェイクモーションが用いられる。また、サービスを打った直後のフォロースルーでは、ボールへの干渉とは無関係に肘を上げたり、ラケットのスイング軌道とは異なる動きを入れたり、肘を上げてラケットの向きを変えたり、ラケットを隠したり、といった各種のモーションを加えることで、相手を惑わすことができる。トップ選手を中心に使用者が多い。
フォアハンドとバックハンド編集
本節以降では、レシーブを含めたラリーにおける打法技術について、それぞれ概説する。ラリーにおいても、打法はフォアハンドとバックハンドに大別される。フォアハンド・バックハンドともに、前陣(台上や台に近い位置)・中陣(台から少し離れた位置)・後陣(台から離れた位置)の位置取りや相手の打球の質によって、各打法の詳細は異なる。
フォアハンド打法は、身体の利き腕側の飛球(右利きの場合、右側の飛球)に対して、ラケットを右外側から身体の中心に向けて弧を描くように振り、このスイング動作でボールを捉えて打球する技術である。利き腕を動かせる空間的あるいは身体的な自由度が高く、スイングを大きくできるので、威力のある打球が可能である。
一方、バックハンド打法は、身体の利き手とは逆側の飛球(右利きの場合は左側の飛球)を打つ打法である。ラケットを振り抜く方向は、ペンホルダーとシェイクハンドのラケットの違いや打法によって異なり、多様である。利き腕が体幹等と交差するため、フォアハンドと比べてスイングは小さくなる。打球の威力は出しにくいが、身体の前側で早い時点で打球しやすいといった特徴がある。相手の打球をリターンして再度相手へ返すまでの時間を短縮しやすいため、速いラリー展開に持ち込む場合に有効である。
ペンホルダースタイルが全盛の時代には、利き手側の逆足(右利きの場合は左脚)をやや前に出して打球するのが基本であった。近年、シェークハンドが主流となり、フォアハンドとバックハンドによる「両ハンド打法」が求められるにつれ、両足をほぼ平行にしてフォアハンドとバックハンドを打ち、フォアハンドでストレートに打球する場合やバックハンドでクロスに打球する場合は従来のように利き手の逆足を前に出したり、バックハンドを振りやすくするために都度利き手側の足を前に出して打つのがデファクトスタンダードとなっている。(たとえば、シェークハンドラケットにおいて常に利き手の逆足を前に出して打つ打法では、フォアハンドで強打できるゾーンは広いものの、打球位置が後退してしまう。ほかにも、バックハンドが振りにくいことや、フォアハンドとの切り替えの難しさや、フォアハンドのクロスとストレートの打ち分けが難しいことなどの、デメリットが指摘される。)
ロング打法編集
ロング打法は、卓球台からそう離れていない位置(前陣・中陣)への飛球に対して、特に意識した強い回転をかけようとせずに、身体の外側から中心に向けてラケットを斜め上に振り抜き、ボールをやや摺り上げるようにして前方の相手コートへとリターンする打法である。フォアハンドロング打法とバックハンドロング打法とがあり、それぞれ、後述の様々な打法の基礎となる標準的なスイングである。強振しないロング打法(特にフォアハンドロング)は、専ら練習においてラリーを長く続ける目的で行われることがあり、卓球入門者の基礎固めや中・上級者のウォーミングアップとして、利用される打法である。
この打法では、回転は特に強くかけないが、ボールを摺り上げて打つ結果として、ゆるやかな上回転がかかっている。
ドライブ打法編集
ドライブ打法は、ロング打法から派生した、ボールに強い前進回転(トップスピン)を与える打法である。ヨーロッパではドライブのことを「topspin」と呼んでいる。基本のロング打法をある程度身に付けてから習得する技術である。ドライブ打法で前進回転をかけるにあたっては、基本的に「擦る」あるいは「食い込ませる」といった2つの技術が重要である。一般的なドライブ打法においては、通常のロング打法よりもボールの上を擦るように打ち、かつ、落球しないように、より上に振り上げるようなスイングで打ち抜き、強い前進回転のボールとする。
以下に示した様々なドライブ打法(スピードとスピンのかけかた等)が確立されており、弱点とされたミドルへの打球に対するリターンにおいても、それを克服する打法がトップ選手を中心にして普及している。また、用具やラケット、ラバーの進化や練習環境の変化に伴い、従来はパワーに難のあった女子選手においても、一通りの代表的なドライブ打法を習得する選手が増加し、多くの戦型の選手に幅広く用いられるようになった。
ドライブ打法によるボールは、放物線運動から下方向に沈み込むように加速を受ける(いわゆる「弧線の弾道」を描く)ため、強振しても、相手コートに安定して入りやすい。このように、回転量の少ないスマッシュより比較的安定性が高いほか、打法の多様さから、ドライブ打法を中心とした戦術は現在広く用いられている。
- スピードドライブ
- スピードドライブは、台の水平面に近い位置から低い軌道を狙う、スピード重視のドライブ打法である。トップ選手のものは、スマッシュ並みの速い打球になる。ラバーの性能の向上により比較的コントロールしやすくなってきており、ボールを早い打球点で捉えやすく、リターンされても連打しやすいことから、上回転系の球種への強打において使用することが多い。一方で、下回転系の球種に対してはスピードドライブを打ちにくく、しっかり回転を掛ける技量を要する。
- ラバーのシートの引き連れ効果を利用した上回転がかかっており、上述の通り、弾道が弧線を描いて沈むため、リターンの安定性を確保することが可能である。
- 打球音について、スマッシュは打球音が大きく鳴るのに対して、スピードドライブはスマッシュと比べて打球音が小さい。
- パワードライブ
- パワードライブは、スピードドライブにさらに強いスピンを掛けるドライブ打法である。スマッシュ並みのスピードに加えて、強烈な回転をかける必要があるため、習得するには相応の練習量、筋力を必要とする。
- ループドライブ
- ループドライブは、回転量を重視した、山なりに近い軌道のドライブ打法である。回転の影響が通常のドライブより顕在化するため、ドライブ打法特有のバウンド後の伸びる軌道が、特に沈み込むように感じる。スピードドライブに比べて、下回転系のボールに対して使用しやすい。弾道の安定性が高いため、上回転系のボールを強打することにも使用できる。一方で、ループドライブの軌道は高く、着地位置によっては遅い打球となるため、反撃を受けることもある。
- ラケットの振り抜き方が弱いと、対下回転系のレシーブでもミスをしやすく、また、打球のスピードも遅くなりやすい。そのため、弧線を描いたスピードのあるループドライブを打つには、相応の練習を必要とする。
- ループドライブの発展技術として、相手側のネット近くに山なりの弧を描いた弾道でバウンドさせた後に、低い弾道で相手コート上でさらにバウンドする(相手の台上で二度バウンドして反撃を防ぐ)ようなループドライブ打法が試合で使われるようになった。これには、強い回転をかけ、スピードを殺して、かつ、ネット近くに落とす高度なコントロールが求められる。
- カーブドライブ
- カーブドライブは、上回転に加えて、左回転(右利き選手のフォアハンドドライブの場合)を打球に与えるドライブ打法である。このとき打球者からみて、カーブドライブは左側へ曲がる。他の球技の変化球と同様に、(上回転と合成された結果の)回転軸の向きや、回転量、打球のスピードによって、多彩な球質の打球となる。たとえば、上記のカーブドライブ例では、相手コート上でのバウンド時にボールは前方への加速を受ける。さらに、これをリターンしようとする相手は、(カーブドライブの打球者からみて)右上方向への加速を反発時に受けることになる。競技者の利き腕の左右や固有のドライブ打法のスイングの癖によって、カーブのような一定の横回転がかかる場合もあるが、上級者は意識的にシュートドライブ(下記)と合わせて左右の回転を操ることができる。
- シュートドライブ
- シュートドライブは、上回転に加えて、右回転(右利き選手のフォアハンドドライブの場合)を打球に与えるドライブ打法である。このとき打球者からみて、シュートドライブは右側へ曲がる。同じくこの例では、相手コート上でバウンドする際にボールは前方への加速を受け、これをリターンしようとする相手は、(シュートドライブの打球者からみて)左上方向への加速を反発時に受ける。
スマッシュ打法編集
スマッシュは、ロング打法のスイングを基本にして、ボールを正面から弾くように、ラケットのフラット面で叩き付けるように強振する打法である。決定打として打つ選手が多い。ドライブより小さなスイングでより速いボールを打つことができる。一方で、ドライブのような相手コートで沈む弧線は描かない(いわゆる「直線的な弾道」)。そのため、打球の位置や角度がずれると、相手コートに正確に入らない可能性がある。世界のトップ選手の中には、初速が時速280km以上のスマッシュを打つ者もいる。球離れの早い表ソフトラバーを使用する競技者が多用するほか、高く浮いた飛球への強打やロビング(後述)への対応で使用することが多い。
相手にスマッシュを打たれてしまった場合は、打球にスピードがあるためラケットに当てることさえ難しい。しかしながら、応用技術にて示す打法等によって、リターンすることは不可能ではない。
- バックハンドスマッシュ(ペンホルダー)
- 威力を重視するスマッシュは、大きくスイングできるフォアハンドで専ら用いられる打法である。一方で、シェークハンドでもペンホルダーでも、バックハンドによるスマッシュ打法で打つこと自体は可能である。特に、ペンホルダーラケットを使用してのバックハンドのスマッシュ打法は独特であり、たとえば、右足を前にしてフリーハンドを引き(右利きの場合)、肩を支点に腕を動かしながら体重を乗せ、相手コート向けて強打する打法がある。これは、少ない予備動作でコンパクトに振り抜く打法であるため、コースを読まれにくいメリットがある。
カット打法編集
カット打法は、カット主戦型の選手が特に使用する、大きい旋回半径で斬り下げるようなスイングが特徴的な打法である。上で述べた、主に前方上方向にスイングする様々な打法とは大きく異なり、下向きに切るスイングでボールに強い後退回転(下回転、バックスピン)を与える。ドライブ打法類の上回転のボールが、下方向に沈み込むように加速を受けるのに対して、カット打法の下回転のボールは、浮き上がるような力を受ける。このため、カット打法で速い速度のボールを打っても、カットの飛球は相手コート内で沈みにくく、強打によるカットボールのリターンは安定しない。一方で、カット打法から繰り出されたボールを攻撃的打法で強く打ち返すことは、触球時に意図せず落球させてしまうなど、難度が高い。こういった理由から、カット打法は、ドライブ打法類と比べて緩やかな速度のボールを打つことに特化し、カバーできる空間的範囲の広さを恃んで、中陣・後陣に下がって相手の強打をリターンする守備的な戦術に用いられる。
カット打法は、後方でボールを身体の比較的近くまで引き付けて、フォアハンドでもバックハンドでもボールを拾うように、相手の球威も利用しつつ、切り下げて相手コートへと返る打球を行う。カット打法の上級者となると、下回転(バックスピン)のほかに、斜め下回転、横回転、コークスクリュー回転をカットボールに織り交ぜたり、巧妙に無回転のナックルボールを繰り出したりする選手もいる。
一般に用具には速い球速が追及される傾向がある一方、カット主戦型向けのラケットはコントロール性能などの安定性を重視して設計されている。また、カット打法で使用するラバーは裏ソフトラバーのみでなく、粒高ラバーないし表ソフトラバーを組み合わせて貼って、速度・スピン・コースに大きな変化を付けるような用い方も少なくない。一般的には、守備頻度が高いバックでのカットを行う面に、粒高ラバーや表ソフトラバーが使用されることが多い。
台上技術編集
台上技術は、競技場の構造に「台」が存在する卓球に特有の技術である。基本的には、相手側のコート内でそのままでは2度バウンドするような打球(「台上に収まる打球」とも表現される)へ対処する打法であり、相手のショートサービスをレシーブする場合やレシーブ側の短いリターンに対して使用される技術である。
台上技術に共通していることは、台上でレシーブする位置に合わせて、相手の打球に近い側の足を動かして台の下まで移動し、そのうえで打球するという点である。脚を動かしての身体の移動と打球を同時に行なってしまうと、体重移動と打球が同時となり、余計な力が加わってネットミスやオーバーミスの原因となりやすい。このことから、ラリーで咄嗟に打球する場合を除いて、移動と同時の打球は基本的に推奨されていない。
台上技術自体は、台が構造上邪魔となって強く振り抜けないため、球威がなく、これを決定打とすることは難しい。そのため、ツッツキを使って相手側の甘いループドライブを誘発したり、チキータ等の台上強打で中陣ないし後陣での引き合いのラリーに持ち込んだりといった、戦術的な駆け引きもセットで考える必要がある。
ショート打法編集
ショート打法とは、台上(あるいは台上の近くを含む前陣)において、相手の打球のバウンド直後を身体の中心あたりで捉えて、ボールを押し返すように、ラケットを前に押し出して打球する技術である。ショート打法は、ペンホルダー・シェークハンドともに、バックハンドにおいて主体となる技術である。一方で、相手の球質によっては、フォアハンド側であっても、以下の応用技術を中心に、フォアハンドによるショート打法の派生技術が用いられる。
- ショート打法は、後述の台上技術の基礎となる打法である。フォアロング打法と同様に、強振しないショート打法は、練習における基礎固めやウォーミングアップとして、専らに利用される。
ツッツキ打法編集
ツッツキは台上の短いボールに対して、カット(上記)よりもコンパクトなスイングでボールの底部を突くようにして打球する打法である。台上から出ないボール(そのままでは台上で2度バウンドする短い飛球)や長めのボールに対して、下回転を掛けて返す為に使用することが多い。ミスをするリスクが少ない打法だが、相手の攻撃を受けるリスクが比較的高い。技術次第では、強烈な下回転や横回転を入れたり、長短の変化をつけたりすることができ、相手のミスを誘うこともできる。また、回転を掛けない無回転のツッツキでリターンすることもできる(ナックル)。
ストップ打法編集
ストップは、主に相手の短い下回転系のボールに対して、バウンド直後の打球を捉えて、相手のコートで2バウンド以上するように短く手前にリターンする打法である。台上の短いサーブに対するレシーブなどで主に使われる。低いストップに対しては、空間的制約からドライブ打法が不可能であるため、防御技術として有効である。しかし、ストップした球が意図せず浮いてしまった場合は、相手にとってのチャンスボールとなってしまう。上級者のレシーブでは、短い上回転系のボールに対してもストップで返したり、ストップ打法で強烈な下回転を掛けることも可能である。ストップ打法の飛球をストップで応じてリターンすことをダブルストップという。また、後ろへ下がった相手に対して、ネット際に小さく落とすようなストップ打法を「ドロップショット」と呼ぶ場合もある。
フリック打法編集
フリックは、相手のショートサービスまたは台上への短い打球に対して、台上で前進回転を与えつつ払うようにリターンする打法である。フリック打法に際しては、フリックした球を相手にカウンター強打されないように、テイクバックのない非常にコンパクトなスイングで素早く打球がなされる。技術が向上すれば、台上での強打ともいえるほどのスピードのある打球を打つことも可能で、レシーブから直接得点を狙うこともできる。
プッシュ打法編集
プッシュは、ショート打法において強く押し出すように打つ打法ある。主に、ペンホルダーのバックハンド側の攻撃として用いる。シェークハンドのバックハンドの強振に比べて威力は出しにくいが、打点が早く、やり方によっては同等以上に打ち合うこともできる。
台上ドライブ打法編集
- 台上ドライブ(台上フォアハンドドライブ)
- 台上ドライブは、台上から出ないような短い打球に対して、当て擦りでドライブ打球とする打法である。フォアハンドフリックとの大きな違いは、打球時にテイクバックが必要でスイングが大きい点である。元々は、中国で開発された粘着系ラバーの特性を活かすための台上技術であり、使用する用具の制約を受けるという短所がある。
- 台上バックハンドドライブ(台上BD)
- 台上バックハンドドライブは、上記の台上ドライブをバックハンドで行う打法である。台上ドライブと比べてチキータ(下記)のように速い打球点でボールを捉えやすく、ボールの横を捉えるチキータに対して台上BDはボールの上を捉えるため、スピードが出て一発で抜き去ることが可能である。また、スイングがコンパクトなので、台上では弾み過ぎない上に、用具の制約を受けにくいというメリットがある。しかし、ボールの上を捉えるため、相手のサービスの回転(特に下回転)の影響を受けやすいということであり、ある程度のスイングスピードに加えて、フリーハンドや体の動かし方や打球時の体重移動が必要である。中国の張継科が多用し、世界選手権で2連覇を飾ったことから、近年世界中のトップ選手のみならずジュニアや小中学生クラスにも広く流行している。
チキータ打法編集
チキータは、ピーター・コルベル(チェコ)が発案した打法であり、バックハンドの横回転系のフリック打法である。チキータバナナ(バナナのブランド名の一つ)のようなカーブを描くことから、このように呼ばれるようになった。チキータ・レシーブとも称する。この打法を応用したドライブ打法も存在する。基本的に、シェークハンドでの打法であるが、ペンホルダーでも裏面打法を使うなどしてチキータを打つことは可能である。チキータ打法は、台上での強打が可能な実用的技術として重宝されており、現代卓球の主要なレシーブ技術となっている。
チキータのスイングから打球する逆横回転系のチキータは逆チキータと呼ばれている。
打法は様々であるが、加藤美優が多用する逆チキータは「ミユータ」、シモン・ゴジが多用する逆チキータは「ゴジータ」と呼ばれている。
応用技術編集
ここでは主に、上記の打法に対して応じる技を中心に解説する。
ブロック編集
ブロックは、相手のスマッシュやドライブ等の強打に対して、前陣・中陣にかまえて、バウンドの上昇期や頂点で当てるようにリターンする守備的打法である。ブロック打法では、相手の球威を殺す為、回転の影響を特に受ける。そのため、裏ソフトラバーでブロック打法を行う場合は、ラケット角度を的確に調整する必要がある。ブロックは、相手の強打を返すことが目的のため、スイングはあまり大きくとらない。
相手の球の威力を「殺して返す」、「そのまま返す」、「自分の力を上乗せして返す」など、リターンの球質に変化をつける技術もある。技術レベルにもよるが、選手によっては、相手の強打をブロックして、台上で2バウンドさせるほどまでに威力を殺すことが可能である。
サイドスピンブロックなどで回転をかけて変化させてミスを誘ったり、相手が打ってきた球を悉くブロックして相手のつなぎ球を狙い撃ちするという戦術を取る選手もいる。粒高ラバー等の使用者では、カット性ブロックやサイドスピンブロック等技術によって、相手の打球のスピンをそのまま反転させてリターンすることもできる。
カウンター編集
カウンターは、相手の強打をさらに強打で撃ち返す技術全般を指す。カウンターに際しては、体勢が整わない相手を打ち抜くことや、相手の球威を利用することが目的である。このように応じ技であるため、定まった打法は特になく、カウンタードライブ(下記)のような特に攻撃的なカウンターもあれば、カウンターブロックのような守備的な側面をもった打法もある。いずれも、相手の強打を狙い打つ打法であるため、難度は高いが、成功すれば得点力も高い、といったハイリスク・ハイリターンな技術である。
- カウンタードライブ
- カウンタードライブは、相手のドライブ打法に対して、打球の反発力や回転量を利用してドライブ打法で打ち返す技術である。スピードのあるドライブをリターンする局面もあるため、練習量に加えて、打球の性質を判別する能力や打球するタイミングの判断力も要求される。上級者の選手がよく用いる技術である。
- みまパンチ・はりパンチ
- 伊藤美誠や張本智和が使用しているカウンター技術の総称。卓球の打法の中では難易度の高い部類に入る。共通しているのは、肩関節内旋2ndポジションのスイングによる打法であることであり、肩関節内旋1stポジションのスイングである一般的なカウンター打法とは全く別の技術とされている。一般的なカウンターと比べて、腕の可動域が大きいために威力が出しやすく、ナックル性の変化も出しやすいため重い球質となる。
ミート打ち編集
ミート打ちは、主に表ソフトラバーの選手が使う攻撃方法であり、相手の回転がかかったボールに対して、スマッシュのように強くはじいてリターンする打法である。相手の回転に合わせてのラケットの角度の微調整が肝要であることから、ミート打ちの一部を角度打ちと呼ぶこともある。ラケットをコンパクトに振り切り、ボールを擦らず打球するので、あまり回転がかからず威力自体はそれほど強くないが、早い打点で打つため、相手のリターンへの動作が時間的に間に合わず、ミート打ちを決定打とすることもできる。
カット打ち編集
カット打ちは、ツッツキやカットの下回転を利用してリターンする打法である。打つべき相手の打球がツッツキである場合は、ツッツキ打ちとも呼ばれる。相手の下回転を利用する打法のため、打点やタイミングの正確さが要求される。カット打ちによって、強く前進回転を掛けてリターンする方法もある。
カット打ちは、打ち損じた場合に打球スピードが遅くなり、浮いしまった打球を相手に強打されるリスクがある。しかし、高島規郎によって「8の字打法[注釈 120]」が考案されたことにより、このようなカット打ちの欠点がほぼ解消され、8の字打法の技巧は、ドライブ打法にも応用されている。
ロビング編集
ロビングは、相手の強打等をボールを高く打ち上げるように打球して、時間を稼いてリターンする打法である。相手のミスを誘うものだが、繰り返し相手の強打を受けやすい。ロビング打法では打球が高くあがる分、卓球台でのバウンド時に回転の影響を受けやすい。そのため、上下回転やコークスクリュー回転などの強烈な回転(ボールの回転を参照)をかけてロビングすることで、相手にとって打ちにくい球としてリターンすることが可能である。
フィッシュ編集
フィッシュは、中陣・後陣でにおいて、ロビングよりも低い弾道で相手のボールを返す打法である。フィッシュ打法は、ブロック打法(上記)よりも打球点を遅くして、頂点を過ぎところで打球する打法とされる。相手の攻撃をしのぐ為のいわゆるつなぎ球だが、ロビングに比べて打ちにくくすることもできる。このように、相手の攻撃をフィッシュでしのいで、相手が攻めあぐねたところで、一気に反撃をするといった戦法も用いられる。
戦型編集
卓球において通常は、ひとりの個人がひとつのラケットのみを用いてすべての打法を、望む競技レベルの水準までに習得することは難しい。したがって、卓球の競技者は、自身の得意・不得意や好みによって、習熟する技術をある程度選ぶ必要がある。その結果、卓球には戦型と呼ばれる、攻守や前陣・中陣・後陣のプレイ領域やその他の各ジャンルに特化した戦い方のスタイルがある。たとえば、グリップよるラケットの分類で述べたように、ラケットはシェークとペンの各グリップごとに長所短所があり、戦型もシェークハンドによるものとペンホルダーによるものとに大きく分類できる。以下にそれぞれで細分化した戦型の概要を示す。
シェークハンドの戦型編集
シェークハンドラケットは、フォアハンドとバックハンドの双方(両ハンド)で強振・強打を行いやすい。一方で、ミドル(身体の近く、フォアとバックの選択に迷う位置)への強打には比較的弱い。これらの特性を活かして、主に以下の戦型が多くの競技者によって実践されている。
- ドライブ主戦型 (シェークハンド)
- ドライブ主戦型は、現在多くの戦型のなかで主流となっている戦型である。中陣~後陣へと卓球台から少し距離をとり、前後左右のフットワークを駆使し、ボールに強いドライブをかけて常に積極的に攻撃的打法に試合にのぞむスタイルである。ドライブ主戦型同士のラリー戦は、力強く迫力があることに定評がある。
- 前陣速攻型 (シェークハンド)
- 前陣速攻型は、その名のとおり、卓球台に近い位置(前陣)でプレーする戦型である。相手の打球の種類やコースを瞬時に見てとり、早いタイミングで攻撃を仕掛けていくプレースタイルである。早いテンポでの打ち合いに向いている表ソフトラバーをラケットのいずれかの面に貼っている選手もいる。判断の速さと動体視力がもっとも必要とされる戦型である。一方で、小柄な選手でも強さを発揮することができるため、日本人でこの戦型をとるトップ選手も多い。
- カット主戦型
- カット主戦型は、卓球台から離れた位置(後陣)で、相手の強打に対してカット打法による強い下回転をかけたボールで対応する戦型である。相手の強打に対してカット打法で守備にまわる一方で、チャンスとみると一気に前に出て反撃する攻撃的な戦型でもある。動く範囲の広くするフットワークとねばり強いカット打法の技術、そして、攻めに転じたときのパワーとスピードが要求されるため、専ら上級者向けのスタイルである。[48]
- 異質攻守型
- 異質攻守型は、台から離れずショートに対しての相手のミスで点を取る戦型である。その名の通り、ラケットのバックハンド側に粒高ラバー等の異種ラバーを貼り、それによる変化ボールやコースの緩急で相手のミスを誘う。フォアハンド側には裏ソフトラバーや表ソフトラバーを貼り、フォアに来たボールはスマッシュやドライブで攻撃する。また、打球に緩急をつけるために、ラリー中にラケットを反転させて攻守を切り替えることがある。
- 「ペン粒」とも呼ばれているペンホルダーの異質ショート型(下記)に対して、シェークハンドの異質攻守型は「シェーク粒」と呼ばれている。この戦型は、異質ショート型とは異なり、ミドルに弱いため、ブロックで変化を付け続ける守備的なスタイルが取れないため、攻撃的な粒高ラバーを貼ることが多い。
- 著名な選手: 福岡春菜(日本)
- オールラウンド型
- オールラウンド型は、両面に裏ソフトラバーを張り、ドライブ・ロビングなど多くの技術を駆使して点を取る戦型である。戦術の柔軟性や高い身体能力、前陣・中陣・後陣全てで戦うことができる技術力が求められる。
- 著名な選手: ヤン=オベ・ワルドナー(スウェーデン)、水谷隼(日本)
ペンホルダーの戦型編集
ペンホルダーラケットは、フォアハンドで特に威力のある打球が可能であるが、バックハンドでは相対的に守勢に回らざるを得ないことが多い。一方、台上での技術を含むミドルへの打球に対しては対処しやすい。ペンホルダーの使用者はこれらの特性から、主に以下の戦型を採っている。
- ドライブ主戦型 (ペンホルダー)
- ペンホルダーのドライブ主戦型は、主にフォアハンドドライブによって攻め、回り込みや飛びつきなど、フットワークを活かしたダイナミックなプレーをする戦型である。日本語では「ペンドラ」とも通称されている。身体とラケットグリップの構造上、シェークハンドのドライブ主戦型ほど強いバックハンドドライブを打つのは難しいといわれるが、それを十二分に補えるだけの得点力のある快速プッシュや、バックハンドスマッシュを得意とする選手もいる。ペンホルダーの弱点であるバックハンドで太刀打ちするために、裏面打法によって強力なバックハンドドライブ(いわゆる裏面ドライブ)を打つ選手もいる。
- 著名な選手: 金擇洙(韓国)、馬琳(中国)、吉田海偉(日本)、柳承敏(韓国)、王皓(中国)、許昕(中国)
- 前陣速攻型 (ペンホルダー)
- ペンホルダーの前陣速攻型は、表ソフトラバーを用いて、できるだけ短い手数で攻撃につなげ、積極的に攻める戦型である。主にスマッシュを決定打として用いている。ドライブ主戦型と同じく、裏面打法でバックハンドドライブを打つ選手もいる。
- 著名な選手: 田崎俊雄(日本)、劉国梁(中国、元・中国ナショナルチームコーチ、現中国卓球協会会長)
- 異質ショート型
- 異質ショート型は、主に反転式や中国式のペンホルダーラケットを用いて両面にラバーを貼り、このうち貼った片面に粒高ラバーを駆使して攻守に立ち回る戦型である。「ペン粒」と通称される。裏ソフトラバーと粒高ラバー、あるいは、表ソフトラバーと粒高ラバーの組み合わせたラケットを使用すること一般的である。試合中は、台の近くでプレーし、粒高ラバーによるブロックの変化で相手のタイミングを崩し、相手の隙をみて攻撃を行う。加えて、ラケットを反転して異なった球質の打球を出して、相手のミスを誘うなど、守備的な戦法を採る。ラバーの基準変更などのルールの変遷によって、粒高ラバーの威力がかつてより減少していることもあり、この戦型を採用しているトッププレーヤーは非常に少ない。
- 著名な選手: 倪夏蓮(元・中国代表選手、後にルクセンブルクに帰化し代表選手に)、陳晴(中国)
他の競技ルール編集
ラージボール卓球編集
概要編集
ラージボール卓球[注釈 121]とは、日本卓球協会が卓球の普及を目的として考案、ルール・用具規格等を1988年に制定した、新しい体系の卓球競技である。一般的な卓球(硬式卓球)で使われているボール(直径40 mm)よりも大きなボール(直径44 mm)を使って行われる。ボールが大きい等のルールから、空気抵抗の効果が増大するため、ボールの速度および回転量が従来の卓球よりも減り、ラリーが続きやすくなるなどの特徴がある。
日本では、高齢者等でも手軽にできる生涯スポーツとして、主に中高年に人気がある。近年は、ラージボール卓球へ参入する硬式卓球経験者が多くなっている状況にある。こうのような競技者人口の増加に伴い、全国各地で多くの大会が開催されている。
硬式卓球との違い編集
硬式卓球との主な違いは、以下の通りである。
- 使用するボールが大きく(直径44 mm)て軽い(質量2.2~2.4 g)。[注釈 122]
- ラバーは表ソフトラバーのみ使用が可能である。[注釈 123]
- プレイイングサーフェスからのネットの高さが2 cm高い(17.25 cm)。
- 競技大会ルールにおけるゲームの進行は、3ゲームマッチ(2ゲーム先取で勝利)で、各ゲームは11点制である。
- 促進ルールの適用を判断する基準の時間が8分である。(硬式卓球の場合(10分)より2分早い)
歴史編集
- 1988年: これまでの卓球から派生した新競技としてルール等が制定された。
- 2012年4月1日: 現在の名称(「ラージボール卓球」)に変更され、基本ルールと競技ルールが整備・制定された。
- 2018年3月31日まで: 10-10のいわゆる「デュース」となって以降において、スコアが12-12となった場合は、13ポイント目の先取でゲームの勝者となる。また、サービスのトスの高さの規定がなかった[注釈 124]。
- 2018年4月1日: 競技ルールは「競技大会ルール」に改められ、硬式卓球の基本ルールに合わせるかたちで、以下の改定が行われた。
- ひとつのゲーム内で10-10となった以降は、先に2ポイントを付けたものを勝者とすると改められた。
- サービスに関しては、ボールのフリーハンドの手のひらの上で2〜3秒静止すること、トスの高さは16 cm以上上げること、といったルールが追加された。
- 競技大会ルールの制定にともなって、基本ルールは「レクリエーションルール」へと名称が変更された。
- 2019年1月1日: 競技大会ルールにおいて、競技用服装やアドバイスに関する規程が硬式卓球と同様となるよう、ルール・規定が変更となった。[注釈 125]
- 2022年4月1日: 競技大会ルール・レクリエーションルール共に、黒と赤のみだったラバー色に関するルールについて、「片方は黒、もう片方はボールの色とはっきり区別できる明るい色」に変更され、硬式と同様に、カラーラバーの使用が可能となった。
軟式(日本式)卓球編集
歴史で述べた通り、日本への卓球の伝来・普及は、1902年からの坪井玄道によるものとされる[15]。それよりしばらくの間は、日本独自の用具とルールの発展があった[15]。初の卓球統轄機関として大日本卓球協会が創立された1921年(大正10年)頃は、軟式卓球(日本式卓球)のルールによる競技が行われていた。硬式卓球との主な違いは以下の通りである。
- 競技で使用するボールの直径は、36.9 mm以上かつ38.9 mm以下である
- ボールの重さは、2 g以上かつ2.13 g以下である
- ネットの高さは、2 cm高い17.25 cmである
この日本独自の軟式(日本式)卓球は、ラージボール卓球の普及や硬式卓球のルールの変遷などをうけて、2001年(平成13年)度を最後に幕を閉じた。
卓球用語編集
ここまでの節で特に解説のなかった卓球関連用語を本節に示す。
- クロスとストレート
- クロス(クロスコース)は、プレイイングサーフィスの対角線上に沿った打球コースを指す。反対にストレート(ストレートコース)は、プレイイングサーフェスのサイドラインに沿った打球コースを指す。一般にラリーの際、クロスコースは、ネットの高さに対する相手コート中での飛距離の長短の許容幅(リターン可能なエリア)が広く、ストレートコースに比べてリターンをしやすい。また、ダブルスにおけるサービスは、ライトハーフコートからのクロスコースのもののみが許容されている(上述)。
- エッジ(エッジボール)
- エッジボールは、ラリーの際などに卓球台の端(エッジ)に触れたボールのことである[49][50]。一般にラリーの際、エッジにリターンしたボールはプレイイングサーフェスに当たったものとみなされ、有効なリターンである。一方で、卓球台天板の鉛直側面(サイド)はプレイイングサーフェスではなく、仮にリターンしようとしてサイドに当てたとしても、有効なリターンとは認められない[51]。
- レット
- 「レット」は審判に拠る宣告のひとつで、プレー中断させて、もう一度やり直させる事である。たとえば、サーブのボールがネットに触れて相手コートに入ったり、相手が準備が出来ていない状態でサーブを打った時などが、レットに該当する[52]。
- ラブゲーム
- ラブゲームとは、相手に一点も取られず(11-0で)ゲームの勝者となることである。
- 国際大会では、10-0になった時に勝っている側はわざとミスをし相手に1点を与え、負けている側は勝とうとせず次にミスをする、ということがいわゆる「マナー」となっているとされる。これは競技上のルールではなく、この「マナー」に従わず完封(ラブゲームの達成)を行う選手もいる[53][54]。
卓球の普及編集
卓球の盛んな国々編集
競技スポーツとしては、傾向として、アジアとヨーロッパで卓球が盛んである。以下に述べる中国の帰化選手が世界各地に移り住んで競技者・指導者として生活を営んでいるため、元・中国人の代表選手や指導者が多い国もある。
- 日本
- 競技スポーツとしては、国際大会での好成績やセミプロリーグ(Tリーグ)の存在、複数の国内トップ大会(下記)の定期開催、国際大会の多数誘致がなされていること等から、世界でも屈指の卓球の盛んな国といえる。歴史をみると、1950年代 - 1970年代には、日本式ペンホルダーの豪快なフォアハンドを武器に、シングルスの世界チャンピオンを男女あわせて13人輩出するなど、世界でトップクラスであった。1980年代以降、シェークハンドラケットの普及のタイミングで、プレイスタイルの変化・世代交代等による停滞期が続いたものの、2000年代以降は、日本卓球協会主導による強化方針が実を結びつつある。たとえば、世界選手権やオリンピック等の主要国際大会をみると、女子[注釈 126]、男子[注釈 127]ともに結果を残している。また、2021年の東京五輪での新種目の混合ダブルスでは、日本卓球史初となる五輪の金メダルも獲得している。個々の選手をみると、リオデジャネイロオリンピックの男子シングルスで銅メダル獲得の水谷隼[注釈 128]や、2017年アジア選手権優勝・2017年の世界選手権銅メダル獲得の平野美宇[注釈 129]、2021年の東京五輪女子シングルスで銅メダル獲得の伊藤美誠[注釈 130]といった傑出した選手も近年登場している。
- 文化面や生涯スポーツの面では、娯楽・文化としての卓球に示すように、国民的関心も高い。
- 中華人民共和国
- 世界最大の卓球大国である。歴史的には、前陣速攻を軸とした台上卓球を得意としている。かつては、表ソフトラバーを使用する選手が多かったが、近年では、粘着系ラバーを使用する選手が圧倒的に多くなっている。男子・女子いずれも選手層が厚く、その反面で、行き場の無くなった強豪選手が数多く海外に流出し、結果的に世界中に帰化選手を送り込むこととなった。2008年の北京オリンピックでは、男女の各個人部門で表彰台を独占し、同・団体では男女共に金メダルを獲得した。こうした背景として、2019年に『ラリーズ』が報じたところによると、有力な選手候補生は、小学校相当の年頃から学校へは行かず、年中卓球に打ち込んで、ナショナルチームを目指しており、このシステムが強豪卓球選手を輩出しているという[55]。
- 香港
- 卓球の国際試合には「地域」として参加している。中国と似たプレースタイルの選手が多いほか、代表選手のほとんどは中国の帰化選手である。
- 大韓民国
- フットワークを生かしたダイナミックなプレーをする選手が多い。ソウルオリンピック・アテネオリンピックでは男子シングルスの金メダルを獲得している。
- 朝鮮民主主義人民共和国
- 男子は、韓国の選手と比べてストイックなプレーを得意としているとされる。女子は、粒高や表ソフトを使った異質選手が多いとされる。中国選手と練習を行うこともある。2002年のアジア競技大会の決勝では中国を破ったり、アテネ五輪ではキム・ヒャンミが中国系選手を倒して銀メダルを獲得したり、2016年の世界卓球選手権団体では女子が銅メダルを獲得したり、リオデジャネイロオリンピックではキム・ソンイがシングルスで銅メダルを獲得したりと、結果を残している。
- 台湾や日本、韓国に近いプレースタイルの選手が多い。中国ほどの強さはないが、ランク上位に顔を出すことがある。
- シンガポール
- 代表選手は中国の帰化選手が多く、プレースタイルも中国と類似している。女子は、2008年世界選手権と2008年北京オリンピックの団体でいずれも銀メダルを獲得しており、2010年の世界選手権(団体)では中国を破り、金メダルを獲得した。
- ドイツ
- 卓球のプロリーグ(ブンデスリーガ)があり、特に男子では世界中から有力な選手が集まっている。男子は、2008年北京オリンピック団体で銀メダルを獲得し、2012年ロンドンオリンピック団体で銀メダルを獲得のほか、2016年リオデジャネイロオリンピック団体で銅メダルを獲得している。女子においてもは、2016年のリオデジャネイロオリンピックで団体銀メダルを獲得するなど、ヨーロッパの強豪国である。
- スウェーデン
- かつて1980年代後半から1990年代にかけて、スウェーデンは男子の卓球の頂点を占めていた。近年は復調傾向にあり、2018年の世界選手権団体戦で銅メダルを獲得しているほか、2019年の世界選手権個人戦ではシングルスで銀メダルを獲得している。
- フランス
- 卓球のプロリーグがあり、かつてはヨーロッパにおいてドイツやスウェーデンと並ぶ強豪国であった。しかし、世代交代により2000年代までは低迷傾向であった。
- イングランド
- 卓球の国際試合には「地域」として参加している。島国であり、かつ、過去に香港を統治した歴史的背景から、他のヨーロッパ諸国とは異なるプレイスタイルの選手が多いとされる。長らく低迷期が続いていたが、男子部門は2016年の世界卓球選手権大会で銅メダルを獲得している。
- ロシア
- 卓球のプロリーグ(プレミアリーグ)があり、男子では世界中から有力な選手が集まっていおり、若手の育成も進んでいる。
- オーストリア
- 世界選手権団体戦では、近年はほとんど決勝トーナメントに進出しており、安定した強さを有している。2003年の世界選手権個人戦では、ヴェルナー・シュラガーがシングルスで金メダルを獲得した。
- 他のヨーロッパ諸国
- 上記諸国以外のヨーロッパの国々においても、卓球は盛んである。比較的に小国が多いため、世代交代による浮き沈みが激しい一方、有力選手の所属国は国際大会において好成績を残すことがある。
- 北アメリカ
- 上述の国々ほど卓球が盛んとは言えないが、中国の帰化選手が代表となり、レベルの底上げがなされている。
- ブラジル
- リオデジャネイロオリンピック以降に卓球が盛んになってきており、2018年の世界選手権団体戦では初のベスト8入賞を果たした。
娯楽・文化としての卓球編集
娯楽スポーツ・生涯スポーツとしての卓球は、他のスポーツと比べ、ゲームをプレイするにあたっての敷居(最低限のルールの理解、スキルの習得、場所・道具・プレイヤーの確保)が比較的低い。それほど服装は問われず、力のない女性や子供でもできること、ケガの心配も比較的少ないことから、気軽に遊ぶことが出来るスポーツの一つである。そのため、老若男女問わず親しみやすく、実践しやすいスポーツとして主に卓球の盛んな国々で愛好されている。
日本において文化面では、1993年に漫画『行け!稲中卓球部』がベストセラーとなり、ほぼ同時期に福原愛が「天才卓球少女」として脚光を浴びたこともあり、大衆への認知が広まった。1996年~1997年には松本大洋による漫画『ピンポン』が発表され、その映画化作品『ピンポン』(窪塚洋介主演、2002年)も封切りされ、以降、ブームが若者の間にも広まった。
卓球組織・団体編集
運営機構・育成組織等編集
- 国際卓球連盟 (ITTF)
- アジア卓球連合 (ATTU)
- ヨーロッパ卓球連合 (ETTU)
- ラテンアメリカ卓球連合 (ULTM)
- 北アメリカ卓球連合 (NATTU)
- オセアニア卓球連合 (OTTF)
- 日本卓球協会
- 関東学生卓球連盟
- 全国専門学校卓球連盟
- 日本オリンピック委員会 (JOC)
- JOCエリートアカデミー
上記機構等による賞・段級制度編集
各国代表編集
主要な卓球大会・リーグ戦機構編集
主要な国際大会編集
- オリンピック卓球競技 - 4年に1度開催される夏季オリンピックにおいて、1988年ソウル大会から正式種目になった。
- 世界卓球選手権 - 1926年に始まった世界大会。現在では奇数年に個人戦、偶数年に団体戦が交互に開催されている。
- ワールドカップ (卓球) - 1980年に始まった毎年開催される国際大会の1つ。
- ITTFワールドツアー - 1996年に始まった毎年世界各地で開催される国際オープン大会。
- ITTFワールドツアーグランドファイナル - 毎年行われるITTFワールドツアーのチャンピオンを決める最終戦。
- ユースオリンピック - 2010年に始まった4年に1度開催される18歳以下のオリンピック。
- 世界ジュニア卓球選手権 - 2003年に始まった毎年開催される18歳以下の国際大会。
- アジア卓球選手権 - 1952年に始まった隔年開催されるITTF認可のアジアの国際大会。ATTU主催のアジアカップとは異なる。
- アジア競技大会卓球競技 - 1958年の東京大会から正式種目になった。
- アジアカップ - アジア卓球連合(ATTU)主催で1983年に始まった、毎年行われるアジアの国際大会である。また本大会3位までの選手は同年に開催されるワールドカップの出場権を獲得する。
- アジアユースゲームズ - 2009年に始まった4年に1度開催されるアジアの18歳以下の国際大会。翌年開催されるユースオリンピックのアジア予選も兼ねる。
- アジアジュニア卓球選手権 - 1964年に始まった毎年開催されるATTU主催のアジアの18歳以下の国際大会。
- アジアカデット卓球選手権 - 1986年に始まった毎年開催されるATTU主催のアジアの15歳以下の国際大会。
- 東アジアホープス卓球選手権 - 1992年に始まった毎年開催される東アジアの12歳以下の国際大会。
- ヨーロッパ卓球選手権 - ヨーロッパの選手を対象に個人戦と団体戦を行っている。ヨーロッパチャンピオンズリーグとは異なる。
- ヨーロッパトップ12 - ヨーロッパ卓球連合(ETTU)が主催するヨーロッパの選手を対象にした国際大会で、2017年現在は、16人によるヨーロッパトップ16として開催されている。
- ユニバーシアード卓球競技
- 世界ベテラン卓球選手権
主な卓球リーグ編集
- Tリーグ
- 日本卓球リーグ
- 中国スーパーリーグ (卓球)
- ヨーロッパチャンピオンズリーグ - ヨーロッパの各リーグの上位クラブによる国際大会。
- ETTUカップ - ヨーロッパの各リーグのクラブの国際大会。サッカーのヨーロッパリーグに該当。
- ドイツ・ブンデスリーガ
- スーパーリーグ
- フランスリーグ
- オランダリーグ
- ポーランドリーグ
- トルコリーグ
- スウェーデンリーグ
- スーパーサーキット - 2002年に日本で開幕した、世界トップ選手を集めたトーナメント方式の個人戦の大会。2006年に消滅。
各国の卓球大会編集
主要な日本国内大会編集
- 荻村杯国際卓球選手権大会- 1989年に始まった毎年開催されるITTFワールドツアーの一つ。通称ジャパンオープン。
- 全日本卓球選手権大会
- カデットの部
- 全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビの部
- 全日本卓球選手権大会マスターズの部
- ジャパントップ12卓球大会
- 東京卓球選手権大会
- 全日本社会人卓球選手権
- 全日本実業団卓球選手権大会
- 全日本大学対抗卓球選手権
- 全日本学生卓球選手権大会
- 全日本学生選抜卓球選手権大会
- 全国高等学校卓球選手権大会
- 全国高等学校選抜卓球大会
- 四国高等学校卓球選手権大会
- 全国中学校卓球大会
- 全国中学選抜卓球大会
- 全国ホープス卓球大会
- 全国ホープス選抜卓球大会
- 全国レディース卓球大会
その他大会編集
- 国民体育大会
- 全国健康福祉祭(ねんりんピック)
- 全国青年大会
- 全国スポーツ祭典
- スリッパ温泉卓球大会
卓球に関連する商業組織編集
卓球用具メーカー編集
企業名 | 主な展開ブランド名 | 備考 |
---|---|---|
タマス | Butterfly(バタフライ) | |
日本卓球 | Nittaku(ニッタク) | |
VICTAS | VICTAS(ヴィクタス)、TSP(ティーエスピー)[注釈 131] | 旧社名・ヤマト卓球株式会社 |
ヤサカ | Yasaka(ヤサカ) | |
アームストロング | Armstrong(アームストロング) | |
三英 | SAN-EI(サンエイ) | 主に左記ブランドの卓球台を製造 |
上海紅双喜 | 紅双喜 DHS(こうそうきディーエイチエス) | |
XIOM | XIOM(エクシオン) | |
スティガ | STIGA(スティガ) | スウェーデンの企業 |
ドニック | DONIC(ドニック) | ドイツの企業 |
ティバー | THIBHAR(ティバー) | ドイツの企業 |
Schöler&Micke | andro(アンドロ) | エベルハルト・シェラーとヴィルフリート・ミッケによるドイツの企業 |
ジュウイック | JUIC(ジュウイック) | 日本の企業 |
コルニヨー | cornilleau(コニヨール、コルニヨー) | フランスの企業 |
卓球メディア編集
脚注編集
注釈編集
- ^ 考案者の詳細は定かでないが、ジェームズ・デボンシャーが1885年に特許を申請していることが分かっている。
- ^ 現在はセルロイドでなくプラスチック製のボールが主に用いられている。
- ^ 1886年生まれの山田耕筰が15歳の時(1901年)に相当する。
- ^ 卓球台天板の木製版において、その横側面はプレイングサーフェスではない。
- ^ ハーフコート境界を示す白線部分は、ライトハーフコート面に含まれるとみなされる。これらのハーフコートの区分や取り決めはダブルスで使用する。
- ^ ネットの張り方としては、張られた状態のネットの中央に100 gの錘を乗せ、ネットの下がりが1 cm以内になるように張るよう定められている。また、ネットは、プレイイングサーフェスおよび左右二つの支柱に接触するように張られる
- ^ ラージボール卓球では、直径は44 mmである。
- ^ 卓球における得点の加点は、ほぼすべての場合において1点のみである。
- ^ 2点差以上をつけての11点先取者、あるいは、10-10からの2点差以上の取得者が勝者である。
- ^ 7ゲームマッチのほか、5ゲームマッチ(3ゲーム先取で勝利)などもよく実施される。また、練習的な意味合いで、3ゲームマッチや1ゲームのみの試合も行われることがある。
- ^ コイントスの勝者は、「第一ゲーム開始時のサービスあるいはレシーブ」もしくは「第一ゲームのコート」のいずれかを選択することができる。他に、使用ボールやユニフォーム等の取り決めが必要な場合は、これらも同じく選択される。
- ^ 時間の関係により、「ラリー練習はラリー数にして○本」などと適宜変更されることがある
- ^ 卓球台の自らのコートエンドより後方であり、かつ、卓球台の水平面より上である位置。
- ^ ボールを初期静止位置の条件と同じく、このときの打球位置は、エンドラインより後ろであり、さらに、台水平面より上でなくてはならない。
- ^ レットとなったサービスは、サービスの実施回数に数えない。また、このときサーバーは、競技ルール上のいかなる不利益を負わずに、サービスのやり直しができる。
- ^ ただし、上記手順の通りでなかった場合(たとえば、自身のコートと相手のコートに順番に打球が接触しなかった場合)は、打球がネットに触れていたとしても、サービスミスになり、即座に相手(レシーバー)の得点になる。
- ^ ここでは、フリーハンドやユニフォーム等も含まれる。
- ^ たとえば、サービスをする際にトスが低かったり(16 cm未満のトス)した場合など、サービスに審判が疑義を示した場合は、サーバーの選手に「注意」が与えられる。このときは、サービスのやり直しをするが、再度同様の疑わしいサービスとなったときは「フォルト」とされ、レシーバー選手の得点になる。一方で、ルール上明らかな違反サービスは(このような注意がなされることなく)フォルトとされ、レシーバーの得点となる。
- ^ 打球の予備動作等はこの時点でも実施してよい。
- ^ リターンの手順は、サービスに対するレシーブのものと同一である。すなわち、リターンせねばならないプレイヤーは、自身のコートに一度バウンドしたボールを打って相手コートに直接(あるいはネットアセンブリへの接触を経て)返球する必要がある。
- ^ 上記のオブスタクル行為と形式的には同一の違反である。
- ^ ただし、一連の打球動作において、意図的なものでなければ、ダブルヒットは有効なリターンとして認められる。
- ^ 上述の通り、勝者は、2点差以上で11点を得た者か、10-10の後に2点差を付けた者である。
- ^ たとえば、7ゲームマッチの7ゲーム目など。
- ^ ただし、かならずしもここではサーバーは交代せず、サーバーの交代は該当ゲーム内でのサービスの実施回数(得点経過)に従う。
- ^ この発声は、中国国内の試合においては、サーバー側の点数・対・レシーバー側の点数の順に中国語でなされる。(大会開催地の現地語での発声が実施されている例)
- ^ それ以降その試合では、双方ともにタイムアウトは使用できなくなる。
- ^ 他に、ラケットの表面が汗でぬれた場合や、メガネに汗がついた場合りといった、意図しないアクシデント対しては、審判員の許可があった場合は、タオリングが認められる。
- ^ ボール破損していた場合。その後の対応としては、審判によるボール交換が行われる。新しいボールに対しては、練習打(ラリー)を行う。その後、あらためて、サービスから、ラリー・ゲームが再開される。
- ^ 審判がレットを宣言していない「インプレーの状態」で、競技者は審判の許可なくラリーを中断できない。その場合は、許可なくラリーを中断した競技者の方の失点(相手の得点)になる。
- ^ 卓球において、得点は一度に1点であることがほとんどだが、これは一度に2点以上が得点される数少ない例である。
- ^ レシーバーからみてライト(右側)である。
- ^ ライトハーフコートとレフトハーフコートを分ける白線上をバウンドした場合は、ライトハーフコートでバウンドしたとみなされる。
- ^ 卓球のルールの大部分は、右利き・左利き双方のプレイヤーにとって対称(対等)に構築されているが、このダブルスのサービスの面規定(各エンドのプレイヤーの右半面であること)は競技者の利き手によらず固定であり、上記の「対称性」からは外れる。
- ^ シングルスの最終ゲームの場合と同じく、このチェンジエンドによるサーバーの交代はない。最終ゲーム中も、サーバーの交代は、サービスの実施回数(得点経過)によって決まる。
- ^ 先述の通り、この打球順序を誤って打球した場合、その誤打球者のペアは失点(相手ペアの得点)となる。
- ^ 同様に、レシーバー側はサーバー側の選択によって、レシーバーとなる選手を正しく選ばなくてはならない。
- ^ 中学生等では6人の選手で1チームとすることがある。
- ^ このような処置をしていないノングルやノン・ブースターのラバーは「未打底」として区別されている。もちろん、未打底については、公認接着剤の規定違反に触れるものではない。
- ^ この場合、硬いラケットに柔らかいラバーを貼って使用する傾向にある。
- ^ この場合、やや硬いないし中間的な硬さのラケットに対して、硬いラバーを貼って使用する傾向になる。
- ^ パッケージによってはボールや二個目のラケットが入っている。また、公式試合で使用できない「レジャー向けラケット」も販売されている。
- ^ ここでは、ラバーは付属していないブレードのみのものを指す。ラバーは販売店舗あるいは個人で別途に貼り付ける必要がある
- ^ JTTAAの刻印が入っていないラケットの使用については、大会主催者側への使用許可の届け出が必要である。
- ^ この規定については、グリップ部を対象としない。
- ^ 変わったタイプのラケットとして、サイバーシェイプと呼ばれる多角形型のラケットなどもある。
- ^ 親指と人差し指で挟み込む側の面のこと。
- ^ 通常、ラケットハンド(ラケットを持つ手)の手首より先の部分に当たってのリターンは正規な「打球」と認められるが、ペンホルダー等のラバーを貼らない面はその例外である。
- ^ 中指、薬指、小指で支える側の面のこと。
- ^ この場合、表面と裏面とで性能の異なるラバーを貼ることが多い。
- ^ ペンホルダーラケットの表裏の反転をせずに、そのままのグリップで、裏面による打球を行う打法のこと。
- ^ 表面と裏面とで異なる色のラバーを貼らなければならない。
- ^ ハンドソウラケットで、フォア面とバック面を異質のラバーにする選手は、さらに数少ない。
- ^ この強調をする場合は、「ブレード部」という表現もなされる。
- ^ ブレード厚が厚いと板の剛性が高くなり、弾みやすく、球離れも速くなりやすい。
- ^ ブレードが薄いと、ブレードが柔ら目になりしなるので、弾みにくくはなるが、回転がかけやすくなる。
- ^ たとえば、弾みやすさの指標として、OFF、ALL、DEF(および+や-の符号)といった記号が用いられて。類似の表記として、ファースト、ミッドファースト、ミッド、ミッドスロー、スローいった表記もある。上記の場合、最も硬いものは「OFF+」ないし「ファースト」、最も柔らかいものは「DEF」ないし「スロー」である。
- ^ これらの性能と関連して。打球音とラケットの性能には特に因果関係は示されておらず、打球音は使用される材質や重量によって左右される部分が大きいとされる。
- ^ 特に桐は、箪笥などに使用されてきたほどの木材なので、湿気を吸うことで、打球感や弾性が変化してしまいやすい特性もあった。
- ^ ただし、湿気への対策は以前課題点である。
- ^ 単板ブレードの仕様は、ラバーを両面に貼るシェークハンドでは、ラケットの総重量が大きくなってしまうために、あまり用いられない。
- ^ このような背景から、高品質の檜単板を求めるプレイヤーのなかには、特注の単板ラケットを購入する者もみられる。
- ^ 4枚合板や6枚合板といった奇数枚の合板のブレードも存在する。
- ^ 上述の通り、中芯材はブレードの基盤となる木材で、ブレード中に占める割合が高いため、軽量材が主に使用されれている。
- ^ 添材と上板(後述)は、反発力と剛性のバランスをとるために用いられている。
- ^ 上板については、ラバーの交換時に木材が割れて剥がれるのを防ぐため、柔らかすぎる木材は用いられない。
- ^ ITTF Handbook, 50th ed., 2.4.2.
- ^ 他にも、カーボンファイバーとアリレートを合わせた「アリレートカーボン」や、ザイロンとカーボンを合わせた「ZLC」、ケブラーとカーボンが使われた「ケブラーカーボン」、テキサリウム、シルバーカーボン、バサルトファイバー、テキストリーム… など多種多様の特殊素材がある。
- ^ この事情とは別に、ラバーの反発力を向上させるグルーが禁止されたことでも、ラバーだけでなくラケットの反発力の向上が求められている。
- ^ 前述の通り、湿気による変化の克服が課題であった。
- ^ 2010年頃より登場した新しいタイプのラケットがこれにあたる。
- ^ また、桐材などの軽量材では球威が落ちるといったデメリットもあったが、プラスチックボール化にともない、軽量材でも固有の球威は出せるようになっている。
- ^ 一部の粒高ラバーもゴムシートのみからなる。
- ^ この厚みには、ラバーのゴムとスポンジの各層をつなぐ接着層の厚さも含む。
- ^ この認証を明示するため、2008年以降発売の新製品ラバーには、国際卓球連盟の公認の表示 (「ITTFA」の文字)と、メーカー番号、登録番号(「メーカー番号-登録番号」の形式)が、縁で囲まれた形で表示されているものが多い。
- ^ ITTAによって、このリストは毎年4月と10月に更新されている。
- ^ ラバー表面の縁取りされた「JTTAA」の文字列。
- ^ それ以前の日本国内での公式大会では、目視可能な位置にメーカー名、ITTFAマーク、JTTAAマークの表示があるものの使用が義務付けられていた。
- ^ このとき顔料の赤・緑・青の比率を変えることでシートの色が決まる。顔料を赤のみ使用した場合は赤いシートとなり、全ての色の顔料を使用した場合は黒いシートとなる。
- ^ 天然ゴムの比率が高いほど、ボールにかけられる回転量が大きく、ラバーの寿命が長く、シートの透明度が低くなる。逆に、合成ゴムの比率が高いほど、ボールの弾みが大きくなり、ラバーの寿命が短くなり、シートの透明度が高くなる。
- ^ 顔料の使用量が多い黒いシートは柔らかくなりやすく、球離れに至るまでの滞在時間が長くなるため、回転量が増えやすい。逆に、赤いシートは固くなりやすいために球離れが早い。それ以外の色のシートの性能は、顔料の比率によってバラツキが大きい。
- ^ 六方格子の最近接した粒の並ぶ方向が、ラケットの横幅方向(グリップに対して垂直な方向)と平行なものが「横目の粒」の配列である。同じく、粒がラケットの縦の長さ方向(グリップに対して平行な方向)と平行なものが「縦目の粒」の配列である。それぞれ、ラバー性能の差異につながる。
- ^ たとえば、ゴムシートの平面部分が厚いほど重量が重くなる傾向にある。
- ^ 上述の通り、スポンジ層は一部のラバーでは必須の構造ではない(一枚ラバー等)
- ^ 弾性が高いスポンジほど、復元力が速く強く、ゴムシートの引き連れ効果も増す。「皮付き」と呼ばれる硬いものもある。
- ^ スポンジ層が厚いほど復元力が高くなるので、ラバーの弾性が高くなると同時に、ボールとの接触時間が長くなり、ゴムシートの引き連れ効果で強い回転が掛かる。
- ^ ボールがラバーに深く球が食い込まないので、強打に対するリターンなどに際しての弾みが低下し、ボールとの接触時間が短くなる。その結果として、回転量も小さくなる。
- ^ 表記については、たとえば、2.2 mmのものが「MAX」、2.3 mmのものが「ULTRA MAX」ないし「MAX+」、MAX未満のものはスポンジ厚の数値で表記されるなどしている。日本では、これに準じて「特厚」、「厚」、「中」、「薄」、「極薄」等の表記がされている。
- ^ 裏ソフトラバーは厚いスポンジ層のラインナップが多い。表ソフトラバーは、プレイスタイルの多様さから、スポンジの厚さのバリエーションが豊富である。粒高ラバーについては、薄めのスポンジかスポンジ無し製品が多い。
- ^ 回転系テンションラバー(後述)は、気泡スポンジを搭載しているために、表記数値よりも数度程柔らかいとされる。
- ^ 日本硬度、中国球式硬度等
- ^ 中国針式硬度、あるいは、メーカー独自の硬度基準(ドイツ硬度、タマス(バタフライ)硬度)等がある。
- ^ このように、ラバー硬度の数値は製造国ごとに異なるため、ラバーを選ぶ際には硬度換算する必要がある。たとえば、日本硬度で40度の硬さのラバーと同じ硬さのラバーを選ぶ場合は、バタフライ硬度で-5度前後、ドイツ硬度で+5度前後、中国針式硬度で-10度前後の硬度数値を目安にしてラバーを選ぶことになる。ラバーを選ぶ際に基準とされるラバー硬度値は、日本硬度で40度、ドイツ硬度で47.5度が目安とされる。中国では、針式硬度と球式硬度の二種類の硬度基準があるため、ラバー選定時に混乱をきたさないように、メーカーによっては軟、中、硬等の表記がなされている。
- ^ 一方で、球が食い込みにくいために、打球のコントロールが難しい(回転の影響を受けてしまいやすい)。
- ^ 一方で、球が食い込んだ後の復元が遅く、強打時のエネルギーロスが大きい。
- ^ たとえば、同じゴムシートの製品ラインナップでも、異なる特性のスポンジを組み合わせた製品がある。逆に、同じ種類のスポンジ層に異なるシートを組み合わせたラインナップが用意されることもある。
- ^ ラバーに球を食い込ませたり、回転を掛けるために擦ったりするので、ラバーは著しく大きな摩擦を反復的に受けることになる。
- ^ 粒がスポンジに食い込みやすい。スポンジの反発力でボールを飛ばすと同時に、シート表面の摩擦力を利用して引き連れ効果を起こして、高い弾性と摩擦力から、ボールに強い回転を掛けることを実現している。
- ^ 過去には、シートの合成ゴム比率を上げることで弾みを向上させたラバーや、高弾性・高摩擦系の特徴を生かしてテンション系ラバー並みの高い弾性を有する2.6 mmの超極厚スポンジ採用のラバーなど個性的なラバーも開発された。
- ^ メーカーによっては、ハイテンション型、エネルギー内蔵型などの様々な呼び名がある。
- ^ ボールが食い込んでからの速い復元力と強烈なシートの引き連れ効果によって、従来の高弾性・高摩擦系と比べて高い弾性と摩擦力を実現している。打球音が高い。
- ^ 一部のラバーではシートが厚くて粒が低くて太く、粒の太さもルール上で認められているギリギリの太さにすることで、台上処理技術に適したテンション系ラバーも登場している。
- ^ ただし、強打時にはエネルギーをロスしやすい。また、使用者が回転を掛ける技術に乏しいと、打球時に棒球が出やすい。
- ^ シェークのバック面や中国式ペンの裏面に貼るのに適しているとされる。
- ^ 天然ゴム比率が高いシートと気泡の大きいテンションスポンジを組み合わせたタイプのテンション系裏ソフトラバーである。スポンジがラバー硬度よりも若干柔らかいので、球が食い込みやすい。ゴムシートの構造的特徴としては、通常のテンション系と比べて少し厚く、粒が若干太くて低い。
- ^ 一方で、食い込んでからのレスポンスが遅いので、手首主体の打法は比較的やりづらい傾向にある。特にスポンジが柔らかいものは、食い込んでからのレスポンスがさらに遅くなるために、打球時に球が浮いてオーバーしやすい。
- ^ これらは、天然ゴムで構成された硬いシートに強いテンションを掛けたものを指す。従来の回転系テンションよりも回転が多く掛かりやすいが、シートが硬いため重量が重く、スポンジが硬いものになると粘着系ラバーと遜色ない硬さとなる。シートが非常に硬いことから、シェークのバック面では扱いづらいが、記述の通りマッチする戦型もある。
- ^ シートが厚めで、粒が低くて太いものが多い。粒配列は縦目のものと横目のものがある。同じ厚さの他種のラバーと比べると、重量が重めで、弾性が低いものが多い。粒が低い上にスポンジが硬いものが多く、ボールが食い込みにくくなっている。
- ^ たとえば、シート表面の粘着性能の保持のため、市販の一部のラバークリーナーが使えないというデメリットがある。各メーカーからは、粘着系ラバー保管用の粘着シートが発売されており、これを使用してラバーを保管することで、シートの粘着力を強化あるいは維持することが可能である。
- ^ スポンジとゴムシートの接合部の構造上、スポンジに食い込みにくいため、裏ソフトよりも柔らかいスポンジが採用されている。
- ^ その一方で、自発的に掛けられる回転量は、裏ソフトラバーに比べると小さい。
- ^ それぞれに適するよう、粒配列は縦目と横目のパターンがラインナップされている。
- ^ 日本語では「イボ高」とも呼ばれるが、イボという語感を避け、粒高ラバーと称されることが多い。
- ^ 表ソフトラバーと比べて、粒の形状がさらに高く、ゴムシートは水平面部分が薄い。粒配列は横に並んでいる横目のものが多い。粒の頂点部も加工(布目)されており、この有無によっても粒高ラバーの性能は異なる。また、スポンジ有りの粒高ラバーであっても、スポンジは非常に薄い。
- ^ 打球の際に粒がボールを弾くため、自発的な回転はかけにくい反面、相手が打ち込んできた打球の回転を維持・残存させることができる。
- ^ 一般的に、カットの回転量と変化量を求めるカット型では粒が高くて細いものが好まれる。ブロックでの変化量とスピン反転能力を求めるペン粒などの守備型では、粒が低くて細いものが好まれる。ミドルが弱く粒高にも攻撃力が求められるシェーク前陣攻守型では、それらの中間くらいの性能のものが選ばれる傾向にある。
- ^ なお、2008年以降に発売されたラバーはITTF登録番号が表記されているものが多く、これらのITTF登録番号の表記は、使用している粒高ラバーが「アンチ粒高ラバーではない」という証明としても使用できる。
- ^ 粒高ラバーのスポンジ層のないものとは異なるものとして、区別される。
- ^ ラケット交換時などにラバーの製品名等の刻印を確認できるため、アンチラバーであること自体の確認は容易に可能である。
- ^ 高島自身が提唱した「肩甲骨打法」や「楕円打法」を発展させたもので、利き手側の肘の軌道が「8の字」を描くことから命名された打法である。ラケットのスイング軌道が8の字を描くわけではない。
- ^ 2012 (平成24)年4月1日より前は新卓球と呼ばれていた。
- ^ 硬式卓球のボールと比べると、ちょうど直径は10%大きく、質量は10%小さい。この結果、慣性質量は10%小さく、慣性モーメントは10%大きい(ただし、同じ用具・同じ打法でのトルク自体も10%大きくなる)。
- ^ ただし、ラバーの項で述べたように、表ソフトラバーと粒高ラバーは異なるものであり、ラージボール卓球でも粒高ラバーは使用できない。
- ^ 硬式卓球では、16 cm以上ほぼ真上に投げ上げるよう定められている。
- ^ 具体的には、競技用服装の色については、「ボールの色とは関係なく任意」であったが、「使用するボールの色と明らかに違う色」に変更された。アドバイスについては、「ラリー中を除いていつでも」に変更された。
- ^ 世界選手権団体では、5大会連続で銅メダルを獲得。2014年と2016年の同・団体戦では、銀メダルを獲得。五輪の団体戦では、2012年に銀メダル獲得。2016年に銅メダル獲得。2021年に銀メダルを獲得している。
- ^ 2005年世界ジュニア選手権団体戦で優勝。2008年~2014年の世界卓球選手権団体で、4大会連続の銅メダル獲得。オリンピックの団体では、2016年に銀メダル獲得。2021年に銅メダルを獲得している。
- ^ 水谷は、同大会の男子団体でも銀メダルを獲得している。
- ^ アジア選手権では3人の中国選手を破っての優勝であった。また、世界選手権での銅メダルは48年ぶりの女子シングルスでの快挙であった。
- ^ 伊藤は、2021年の東京五輪では、女子シングルスの銅メダル獲得のほか、水谷と出場の混合ダブルスでも金メダルも獲得し、女子団体では銀メダルを獲得した。これは、一つのオリンピック大会における金銀銅の3種のメダルのコンプリート獲得であり、オリンピックにおいて卓球史上初の達成者となった。参考までに、一大会におけるオリンピックの金銀銅のメダルコンプリートの達成者は、日本人選手では9人目である(他の達成者は、体操競技の小野喬、中山彰規、監物永三、笠松茂、塚原光男、具志堅幸司、森末慎二、競泳の萩野公介、スピードスケートの髙木美帆)。伊藤の達成は、夏季オリンピックの日本人女子選手としては初のことである。
- ^ 2020年10月から「TSP」と「VICTAS」がブランド統合しており「VICTAS」ブランドのみとなっている
出典編集
- ^ a b c “HistoryofTableTennis”. International Table Tennis Federation. 2020年3月30日閲覧。
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- ^ ルール変更について (PDF) (2008年9月15日時点のアーカイブ) 日本卓球協会 2008年(平成20年)9月13日
- ^ 「理念と経営」2016年8月号
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- ^ https://number.bunshun.jp/articles/-/832627
- ^ https://www.tv-tokyo.co.jp/tabletennis/news/2020/03/010022.html
- ^ なぜ中国は卓球が強いのか?<Vol1.水谷隼> ラリーズ 2019.08.02 (2020年8月17日閲覧)
参考文献編集
- 国際卓球連盟 (ITTF) ハンドブック 第50版 (2022年)
- 日本卓球協会 「日本卓球ルール2023 (令和5年版)」 2023年6月1日改定
関連項目編集
映画編集
テレビ編集
- パリス卓球 チームヒルトン
- 卓球ジャパン
- FAKE MOTION 卓球の王将
- FAKE MOTION たったひとつの願い
漫画編集
- 卓球戦隊ぴんぽん5
- 行け!稲中卓球部
- ピンポン
- 必殺卓球人
- 卓球社長
- 卓球少女
- ラバーズ7
- 卓球Dash!!
- Doubles!
- P2! - let's Play Pingpong! -
- ねこみみぴんぐす
- タッコク!!!
- 灼熱の卓球娘
- 卓上のアゲハ
- 少年ラケット
ライトノベル編集
ゲーム編集
外部リンク編集
- 国際卓球連盟(ITTF) (英語)
- アジア卓球連合(ATTU) (英語)
- 公益財団法人日本卓球協会
- 日本卓球リーグ実業団連盟
- 関東学生卓球連盟
- 全国専門学校卓球連盟
- 日本オリンピック委員会(JOC)
- JOCエリートアカデミー
- 「卓球ラケットができるまで」 - 株式会社タマスを取材して卓球ラケットの製造工程を紹介(全14分) 2001年 サイエンスチャンネル
- 「ピンポン球ができるまで」 - 日本卓球株式会社古河工場を取材してピンポン球の製造工程を紹介(全14分) 2003年 サイエンスチャンネル
- THE MAKING(130)ピンポン球ができるまで SCIENCE CHANNEL(JST)