おばあちゃんの思い出
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『おばあちゃんの思い出』(おばあちゃんのおもいで)は、2000年3月11日から『ドラえもん のび太の太陽王伝説』と同時上映公開(26分33秒)。てんとう虫コミックス『ドラえもん』第4巻「おばあちゃんのおもいで」を原作とするドラえもんの映画作品、および、以下のテレビアニメのリメイク版である。
おばあちゃんの思い出 | |
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監督 | 渡辺歩 |
脚本 | 藤本信行 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 |
大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 千々松幸子 中庸助 高村章子 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | タケカワユキヒデ andT'sカンパニー「ハグしよう」 |
撮影 | 熊谷正弘 |
編集 | 岡安肇 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 |
シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 |
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上映時間 | 26分33秒 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
前作 | のび太の結婚前夜 |
次作 | がんばれ!ジャイアン!! |
2000年度第55回毎日映画コンクールアニメーション映画賞受賞作品[1]。
物語のあらすじ編集
のび太は、ゴミ捨て場に幼いころのお気に入りだったクマのぬいぐるみ(以下、クマちゃん)が出されているのをたまたま見つける。つぎはぎだらけのうえにボロボロのクマちゃんを持ち帰ったのび太は、幼稚園児のときに死別したおばあちゃんがぬいぐるみを繕ってくれたことを懐かしむ。
クマちゃんを手に部屋でドラえもんにおばあちゃんとの思い出を話すのび太は、タイムマシンを使えばおばあちゃんに会えると思いつく。しかし、ドラえもんは「未来から来たのび太だなんて、きっとどう言ってもわかってもらえない」と良い顔をしない。
それでも会いたいのび太は、「姿を見るだけ」とドラえもんに約束して2人で8年前を訪れるが、そこでは幼いのび太が秋も終わる時期だというのにおばあちゃんに花火をねだるというわがままを言い、困らせていた。その様子を見たのび太は、「僕はわがままばっかり言ってた」と自責の念にかられ、最終的におばあちゃんと対面して言葉を交わすことになる。
「せめてあの子が小学生になるまで生きていられたら…」というおばあちゃんの言葉を聞いたのび太は、意を決して黒いランドセルを背負い、「5年生になったのび太です!」と名乗って正体を明かす。ドラえもんの予想に反し、おばあちゃんは疑うことなく8年後ののび太を受け入れる。のび太は優しく懐かしいおばあちゃんのひざ元にすがり付き、感極まって号泣するのだった。
作品概要編集
劇場版映画だけ異なる点編集
- 原作では、野比家の物置の整理でママが落としたクマちゃんを見つけたことから話は始まったが、劇場版では、野球の試合から始まり、クマちゃんに関しては、野球の帰り道ののび太がゴミ捨て場でクマちゃんが捨てられているのを発見・持ち帰っている。
- おばあちゃんが、「次はのびちゃんのお嫁さんを見たい」と言ったため、現代にとってかえしたのび太が「お願い、今すぐ結婚して」としずかにせまるというギャグ的な締めくくりで話は終わるが、劇場版ではカットされている。
- 3歳ののび太が野犬に奪われてしまったクマちゃんを5年生ののび太が取り返すシーンや、5年生ののび太がクマちゃんを抱えているのを見た3歳のスネ夫とジャイアンが、5年生ののび太がクマちゃんを奪ったと思い、「のび太のだぞ、返せ」と取り返そうとするシーンなどが新しく挿入されている。
- おばあちゃんの探し物…劇場版では町中をのび太とおばあちゃんが一緒に探す設定だが、原作では、おばあちゃん1人で探し歩く設定である。
- 劇場版のみ、ママの髪型が過去と現代で大きく異なり、現代ではショートカットだったのが、過去は肩までのセミロングヘアーである。劇場版以外では、過去も現代も同じ長さの髪型である。
- 原作では未登場だった現代のスネ夫とジャイアンは冒頭の野球とエンディング映像で登場。
- 現代のしずかは原作ではラストシーンのみの登場だったが、劇場版では現代のスネ夫とジャイアンと同じく、冒頭の野球とエンディング映像シーンでの登場に変更。また、幼少時のしずかが登場するシーンも加えられ、スネ夫とジャイアンに意地悪されたのび太を慰めていた。
- 原作では未登場だったパパはエンディング映像に登場。
- 野比家の2階の窓が木製である等、一部分が1994年以前の改築する前の家と対照的となるものが数か所見られた。
- 2階、1階の窓が木製だった
- テレビがリモコン式ではなくダイヤル式だった
- 台所のドアが、小さいガラス1つで改築する前の家のドアと近かった
- 台所がシステムキッチンでなかった
他話へのつながり編集
原作漫画ではこの話よりも後の回「パパもあまえんぼ」で、酒に酔って夜遅く帰宅して寝込んでしまったのび助を慰めてあげようと、のび太とドラえもんが今度はのび助をタイムマシンで過去に連れて行き引き合わせる(父方の祖母であり、のび助にとっては実の母にあたる)という話があり、その回でのおばあちゃんは「この前来た5年生ののびちゃん」とのび太のことを憶えていた。一方、実母との再会を果たしたのび助は、「久しぶりにおふくろの夢を見た」と翌朝の朝食時に話している。
声の出演編集
スタッフ編集
- 原作 - 藤子・F・不二雄
- 監督・作画監督 - 渡辺歩
- 脚本 - 藤本信行
- 美術監督 - 明石聖子
- 撮影監督 - 熊谷正弘
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 音楽 - 菊池俊輔
- 効果 - 横山正和
- 編集 - 岡安肇
- 動画チェック - 原佳寿美
- 動画チェック補佐 - 松田章子
- 色彩設計 - 吉岡美由紀
- 原画 - 尾鷲英俊、釘宮洋、矢澤範雄、鈴木大司、金子志津枝、小山知洋、鈴木満
- 動画 - 角田恵子、新井佐紀子、松浦仁美、麦沢篤、森田修輔、門田明代、森下智美、山岸昌也、江部賢、石川麻実、桂仁志、萩尾圭太、速水広一、大梶博之、川崎美穂、坂井寛幸
- 仕上 - 岩切当志子、森沢千代美、土屋裕美、谷島香、吉田美夜子、小川茂美、田島隆子、西脇好美、米井ふじの、中野かおる、小原よし子、堀奈緒、宇井俊恵、高木小百合
- 特殊効果 - 橋爪朋二
- リスマスク - マキ・プロ
- タイトル - 道川昭
- 背景 - 中村隆、柚山卓也、岡部眞由美、森尾麻紀、本多美紀、池田玲子、新井由華、越腰滝美
- 撮影 - 山田廣明、倉田佳美、木次美則、鈴木浩司、野村達哉
- 編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- 録音スタジオ - APUスタジオ
- ミキサー - 内山敬章
- アシスタントミキサー - 田口信孝
- 音響演出アシスタント - 井澤基
- 音響制作デスク - 加藤知美、山口さやか
- 音響制作 - オーディオプランニングユー
- 技術協力 - 森幹生
- 現像 - 東京現像所
- 制作担当 - 松土隆二
- 制作デスク - 別紙直樹、武井健
- プロデューサー - 増子相二郎、市川芳彦、木村純一、高橋由佳、山川秀樹
- 制作協力 - 藤子プロ、ASATSU-DK
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
DVD編集
- 映画 おばあちゃんの思い出/21エモン 宇宙いけ! 裸足のプリンセス/ザ・ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走!(2011年7月20日)
テレビ放映編集
書籍編集
この映画をカラーで忠実に書籍化したもので、原作のてんとう虫コミックと内容は異なる。
- てんとう虫コミックスアニメ版/映画ドラえもんおばあちゃんの思い出-109ページ(2000年8月発行、小学館、ISBN 978-4091490667)
- てんとう虫コミックスアニメ版/のび太の結婚前夜/おばあちゃんの思い出新装完全版-229ページ(2004年11月25日発行、小学館、ISBN 978-4091498717)
主題歌編集
挿入曲編集
- 「おばあちゃんの思い出(組曲)」
- ドラえもん Sound Track History~菊池俊輔音楽集~(2枚組) -1枚目の23曲目に収録
その他編集
劇中、公園で幼いのび太が、花火を買えなかったおばあちゃんをだだをこねて追いやり、おばあちゃんが腰かける、コンクリート製のバス型の遊具と同一の物が、大谷田南公園(東京都足立区中川4丁目42番1号)に存在する。
幼少期のスネ夫を演じた関智一は、のちに2005年度からの番組のリニューアルに伴い開催されたオーディションを見事に突破してスネ夫役に抜擢された。この際、役作りの一環でスネ夫についてさらに研究して新しい声を開発したとのこと。
同原作話のアニメ化編集
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第4巻「おばあちゃんのおもいで」を原作とする話は本作を含めると、7回アニメ化されている。『ドラえもん』で最も多くリメイクされたアニメが本作である。放送時間や時期によって、下記の通り若干のストーリーの違いがある。
- 1973年6月10日
- テレビアニメ第1作「のび太のおばあちゃんの巻」。第11回Bパート(第22話)で放送。
- 1979年7月15日
- テレビアニメ第2作第1期「おばあちゃんのおもいで」。3話構成のうち前後編で2話放送。タイトルは原作同様全て平仮名。てんとう虫コミックスの元作品となる小学三年生1970年11月号掲載の作品を原作にしているため、この作品だけ唯一おばあちゃんがメガネをかけている。DVD『TV版ドラえもん 5巻』『ドラえもん みんなが選んだ心に残るお話30「おばあちゃんのおもいで」編』に収録。
- 1986年1月3日
- テレビアニメ第2作第1期「おばあちゃん大好き」スペシャル番組「86 お正月だよ! ドラえもん」中の1話として放送。タイトルが「おばあちゃん大好き」と改題されているが、てんとう虫コミックス「おばあちゃんのおもいで」のあらすじ、絵柄を一番忠実に再現しているのが、この回である。DVD『ドラえもんコレクションスペシャル特大号 冬の5』『ドラえもん みんなが選んだ心に残るお話30「おばあちゃんのおもいで」編』に収録。
- 2006年6月30日
- テレビアニメ第2作第2期「あの名作をもう一度・・・ おばあちゃんの思い出」。スペシャル番組「ドラえもん!キャンディーなめてジーンと感動するおばあちゃんスペシャル」の中の1話として放送。タイトルが「おばあちゃんの思い出」と漢字表記に。3歳ののび太のわがままな依頼で、おばあちゃんが町中を奔走しさがしに行く物が、原作や他のテレビアニメ及び劇場版では全て「花火」だったが、「くまちゃんのぬいぐるみの取れた目のパーツ」に置き換えられる。DVD『ドラえもん みんなが選んだ心に残るお話30「おばあちゃんのおもいで」編』に収録。
- 2011年6月24日
- テレビアニメ第2作第2期「おばあちゃんのおもいで」。タイトルが原作同様、平仮名に戻される。劇場映画版と同様、くまのぬいぐるみを動物に奪われ、のび太が取り戻す話が、原作に加えられている。映画ではその動物が野犬であったが、この回ではカラスに。
- 2020年11月20日
- 3DCG劇場アニメ第2弾『STAND BY ME ドラえもん 2』。本作をベースにして再構築した作品となる[2]。
評価編集
俳優の溝端淳平やミュージシャンのha-jは、『ドラえもん』の泣ける作品として本エピソードを挙げている[3][4]。また、中国の映画評価サイト「豆瓣電影」では劇場版がアニメ映画『千と千尋の神隠し』を上回る評価を獲得しているという[5]。