2112年 ドラえもん誕生

2112年 ドラえもん誕生』(にせんひゃくじゅうにねん ドラえもんたんじょう)は、1995年3月4日に公開された『ドラえもん』の映画[1][2]

2112年 ドラえもん誕生
監督 米谷良知
脚本 米谷良知
製作 シンエイ動画
小学館
テレビ朝日
出演者 横山智佐
大山のぶ代
太田淑子
よこざわけい子
皆口裕子
永井一郎
音楽 宮崎慎二
編集 岡安肇
配給 東宝
公開 1995年3月4日
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 ドラミちゃん 青いストローハット
次作 ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?
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概要編集

ドラえもんの誕生から20世紀への旅立ちまでのエピソードをまとめ、ドラえもんの秘密、未来での生活などを描いた物語[3][4]。漫画家・藤子・F・不二雄は新作のアイデアが出ないことに困窮しており、「タイムマシンさえあれば」とつぶやいたまま疲労で居眠りをしてしまう。その夢の中では、遥か未来で1体のポンコツロボットが生まれ、自身の不器用さに翻弄されつつもそれでも一生懸命の頑張りで周囲に認められるという不思議な話が展開されていた。

声の出演は、大山のぶ代・横山智佐・よこざわけい子・太田淑子・皆口裕子など。ナレーションを藤子・F・不二雄が務める[5]

本作によってドラえもんの設定などが改められており、過去の設定とは差異が多く見られる[6][7][8]

物語のあらすじ編集

1969年11月。漫画家・藤子・F・不二雄は学年誌での新連載漫画のアイデアが出ず困り果てていた。自宅の机で藤子は時間のなさを嘆き「タイムマシンがあれば未来の自分からアイデアを盗めるのに」とつぶやく。

2112年9月3日[5]。子守用ネコ型ロボットを生産していたマツシバ・ロボット工場の上空で、タイムパトロールが逃走犯を追跡していた。逃走犯はタイムワープを行い、その余波が電撃となり1体のロボット・ドラえもんに直撃。ドラえもんは衝撃で頭からネジが1本外れ、外に放り出され危うく焼却されそうになってしまう。その危機を救ったダンシングロボット・ノラミャー子に一目惚れするドラえもん。

ロボット養成学校へ戻ったドラえもんは、勉学に勤しむがすべて上手く行かず失敗の日々を送っていた。ある日、校長に呼び出されたドラえもんは、他とは違う個性を生かすためクラスの変更を命じられる。そのクラスには、個性豊かなロボットたちが在籍し、その中にノラミャー子の姿もあった。偶然の再会を喜ぶ2体だったが、それを快く思わないジャイベエスネキチにドラえもんは目を付けられてしまう。

養成学校卒業オーディションの前日。クラスメイトとは打ち解けたドラえもんだったが、成績の悪さだけは克服できなかった。不安をもらすドラえもんにノラミャー子は「一生懸命さが長所」と励ましポケットからドラ焼きを出しプレゼントする。そして、オーディション当日。個性の強いロボットが次々とスカウトされていき、ジャイベエとスネキチ、ノラミャー子も無事スカウトを受ける。ドラえもんも必死にひみつ道具を披露するがすべて失敗。しかし、時間切れとなる寸前、1人の赤ちゃんがボタンを押しスカウトする。その後、その赤ちゃん、セワシの家庭に行くと、すぐにそれは押し間違いによるものだと判明した。しかし、セワシの懐き具合に両親はスカウトを取り消さず、ドラえもんを子守として迎え入れ、家族としての生活が始まるのだった。

数年後、粘土でドラえもん人形を作っていたセワシは「人形の耳をドラえもんに似せたい」と仕上げをネズミロボットに頼む。するとロボットは「ドラえもん本体の耳を人形に似せる」と勘違いしドラえもんの耳をかじり、さらに修理に向かった病院でアクシデントにより医療ミスが発生し、ドラえもんの耳は完全になくなり、見舞いに来たノラミャー子にその頭を爆笑されてしまう。その上、ドラえもんは「元気の素」のつもりで間違って「悲劇の素」を飲み3日3晩泣き続けた結果、全身の黄色いメッキが剥がれ、声も変貌してしまっていた。そこへ妹ロボットのドラミが現れ、ドラえもんを探しに出たセワシが迷子になったことを告げる。ドラえもんは今度こそ元気を出そうとするが、またも間違って「デンコーセッカ」を飲んでしまい暴走し、その間にセワシは逃走犯に人質として拉致される。しかし、偶然突撃してきたドラえもんが逃走犯の飛行機を破壊したことで、逃走犯は逮捕されセワシも救出される。以前とはまるで変わった姿や声にも関わらずドラえもんだと気付き「前より格好良くなった」と話すセワシ。涙を流し喜ぶドラえもんだが、騒動で四次元ポケットをどこかに落としたことに気付く。そこへドラミとノラミャー子が合流。ノラミャー子はドラえもんを笑ったことを謝り、改めて惚れ直したことを明かす。

クリスマスの夜、セワシ家はドラえもんのクラスメイトで賑わっていた。セワシは完成した人形をドラえもんにプレゼントし、みんなでケーキを食べようとすると空から沢山の小さいドラえもんが振ってくる。驚くドラえもんたちの前にサンタに扮した校長が現れ、逃走犯逮捕に貢献したドラえもんを模して生産された特別記念のロボット・ミニドラだと説明する。さらにお礼として新しい四次元ポケットを貰ったドラえもんは、校長のリクエストに答え「乾杯の種」を取り出しパーティを盛り上げる。そして、ドラえもんはセワシへのクリスマスプレゼントとして、出来の悪い先祖であるのび太を幸せにするためタイムマシンで彼に会いに行くのだった。

再び、1969年11月。机の引き出しから飛び出たドラえもんに驚く藤子。しかしそれは夢であり、朝まで寝てしまったことを悔やむ藤子だが、つまずいたおきあがりこぼしを見て、ぐうたらな少年を助けるため未来からネコ型ロボットがやってくるという話を思いつくのだった。

登場キャラクター編集

ドラえもん
- 大山のぶ代
本作の主人公。マツシバロボット工場にて大量生産型の子守用ネコ型ロボットとして誕生。しかし生産中のトラブルで部品が一つ外れてしまったために、他のロボットとは違う個性を持ってしまう。声と容姿が変わったことにも理由がある。
黄色いドラえもん
声 - 横山智佐
現在の青色になる前のドラえもん。体色が黄色で声が今より高く両耳があった。開発された時(ロボット養成学校にいた頃)は同じタイプのロボットが量産されている。
ドラミ
声 - よこざわけい子
子守用ロボットの補助役として開発されたドラえもんの妹ロボット。兄よりしっかり者。
セワシ
声 - 太田淑子
赤ん坊の頃に偶然の出来事でドラえもんと出会い、それ以来の親友。ある日ドラえもんへのプレゼントとして粘土人形を製作中、誤って工作用ネズミロボットにドラえもんの耳をかじらせてしまう。
ノラミャー子
声 - 皆口裕子
ドラえもんの同級生であり、ネコ型ダンシングロボット。焼却炉に落ちそうになったドラえもんを助けたのが運命の出会い。失敗続きで落ち込むドラえもんを、ドラ焼きをあげて励ます[注 1]。腹部のポケットは過去や未来のものを取り出せるタイムポケットになっている。また、原作のノラミャー子はドラえもんに近いデザインだったが、本作のノラミャー子はドラえもんよりも細身で長身、手足も長いため、原作とはデザインが大きく異なる。ダンスも一流でありオーディションでは多数のスカウトが来たほど。
今のドラえもんも好みのタイプらしいが、その後の2人の仲は不明。しかし、2007年9月7日放送のドラえもん誕生日スペシャル「ドラえもんが生まれ変わる日」に登場した。
寺尾台校長
声 - 永井一郎
ロボット養成学校の校長。鋭い洞察力の持ち主。特別クラスへの編入を進めるなど、ドラえもんに対して様々なアドバイスを送る。一度ドラえもんを特別クラスの教室と間違えてごみ焼却炉に送ってしまった。物語終盤では、クリスマスプレゼントとしてドラえもんに新しい四次元ポケットをプレゼントした。
王ドラ
声 - 西原久美子
特別クラスの同級生で、後にドラえもんズのメンバーとなる。カンフーが得意。
エル・マタドーラ
声 - 伊倉一寿
特別クラスの同級生で、後にドラえもんズのメンバーとなる。王ドラとはこの頃からライバル同士だった。
ドラリーニョ
声 - 鈴木みえ
特別クラスの同級生で、後にドラえもんズのメンバーとなる。サッカーなら右に出るものはいない。
学生時代のドラえもんズの中で、セリフがなかったドラメッドを除き唯一、声が変わっていない。
ドラ・ザ・キッド
声 - 横山智佐
正義感が強く、早撃ちが得意な喰いしん坊。タイムパトロールにスカウトされる。
ドラニコフ
声 - 鈴木みえ
普段は喋らないが、丸いものを見ると狼に変身する。映画監督に俳優としてスカウトされる。
ドラメッド三世
声 - セリフ無し
この映画ではまともな台詞はなく、デザインはこの時からは変わらない。
ジャイベエ[注 2]
声 - たてかべ和也
特別クラスの同級生で、姿も性格もジャイアンにそっくりな犬型ロボット。最初はドラえもんをよく思っていなかったが、いつの間にか仲良くなり、ドラえもんのオーディション合格では素直に祝福する姿を見せた。ジャイアン同様歌うことが好きだが下手。オーディションではジャイアン同様下手な歌を披露してしまうが、ドラえもんの助けでなんとか合格した。
スネキチ[注 3]
声 - 肝付兼太
特別クラスの同級生で、姿も性格もスネ夫にそっくりな鶏型ロボット。ジャイベエと同様、最初はドラえもんをよく思っていなかったが、いつの間にか仲良くなっており、オーディションでもステージへ向かうドラえもんを励ましていた。オーディションでは緊張してしまうが、ジャイベエ同様ドラえもんの助けでなんとか合格した。
きびしいロボット先生[注 4]
声 - 田中亮一
特別クラスの担任で、のび太の学校の先生にそっくり。かなり厳しい。
ドクター
声 - 松尾銀三
ドラえもんが耳を工作用ネズミロボットにかじられた時に治療に当たった医療ロボット。しかし不慮の事故で治療に失敗しドラえもんは耳を失う羽目になり、その様を笑い飛ばして片付けるという無責任な医者である。
セワシの父
のび太の子孫(のび太の曾孫であり、ノビスケの孫)。髭を生やしている。ドラえもん入札に関する手違いに困惑するも、ドラえもんに懐いたセワシを見て、彼を引き取ることにする。
セワシの母
声 - 佐久間レイ
夫同様、ドラえもん入札に関する手違いに困惑するも、ドラえもんに懐いたセワシを見て、彼を引き取ることにする。
司会者
声 - 関智一
ロボット養成学校の卒業オーディションで司会を務めたマイクのようなロボット。
司会者
声 - 西原久美子
ロボット養成学校の卒業オーディションで司会を務めた女性のロボット。
ドルマンスタイン
声 - 大塚周夫
タイム・パトロールから逃げ回る時間犯罪者。ドラえもん生産中のトラブルは、彼が飛行艇でタイム・スリップした時の時空間の衝撃によるものだった。元は『のび太の恐竜』の登場キャラクター。
黒男
声 - 広瀬正志
ドルマンスタインの相方。元は『のび太の恐竜』の登場キャラクター。
ミニドラ
声 - 佐久間レイ
ドラえもんがドルマンスタインらの逮捕に貢献したという手柄を称え、記念に大量生産された、ドラえもんと同じように耳がないタイプの小型ロボット。
工作用ねずみロボット
声 - 西原久美子
ネズミ型のロボット。セワシが、粘土のドラえもんの耳を修正するよう頼んだのに、誤って本物のドラえもんの耳をかじってしまった。
藤子・F・不二雄
声 - 矢田稔、藤子・F・不二雄(ナレーション)
本名は藤本弘で、後の「ドラえもん」の原作者。新しい連載漫画のアイデアが全く浮かばず、困り果てている。原作にあたる短編『ドラえもん誕生』では当時のパートナーである安孫子素雄(後の藤子不二雄Ⓐ)と相談するシーンやスタジオで並行して作業する様子が描かれていたが、アニメ化に当たり安孫子に関するシーンはカットされている。
藤本正子
声 - 佐々木るん
藤子・F・不二雄の妻。帰宅した夫を出迎える。台詞はないが、2人の子供も登場。
のび太しずかスネ夫ジャイアン
エンディング映像に登場。現代にやってきたばかりのドラえもんのミスにより、ひみつ道具で散々目に遭いながらもタケコプターで機嫌を直す。

スタッフ編集

作品編集

原作は藤子・F・不二雄の短篇「ドラえもん誕生」を元に、これまで曖昧だった[10]ドラえもんの設定がこの作品で明確にされた。

設定などについては、過去に発表された『ドラえもん百科』などに記載されてある情報と、本作で描かれるものは違いが多くあり、無かったことにされたものまである[6][8][11][7]テレビアニメ『ドラえもん』(第2作第1期)でこの作品を公式設定としており、藤子F本人も「本作が決定版です」と太鼓判を押している[6]。ただし2005年4月のリニューアル以降の『ドラえもん』(第2作第2期)では本作で描かれたデザイン及び整えられた設定はおおよそ引き継がれていない[注 5]

また、この作品の一部は作者が過去に描いた「ドラえもん誕生」から取り入れたシーン(冒頭部と最後)がある。その時藤子不二雄Ⓐと企画会議を行っていたが本作には出てこない。

のび太の創世日記』と同時上映された。配給収入・観客動員数・配給は同時上映作品に準じる。

藤子Fの葬儀、告別式が行われた1996年9月29日に『ザ・スーパーサンデー』で追悼放送された『のび太の日本誕生』では、本放送が始まる前に上記の彼の過去のシーンが一部編集され放送された。

2020年、短篇「ドラえもん誕生」が藤子・F・不二雄ミュージアム内施設「Fシアター」の上映作品として原作にほぼ沿う形でアニメ化された。

主題歌編集

エンディングテーマ「ぼくドラえもん2112
作詞 - 藤子・F・不二雄 / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 大山のぶ代、こおろぎ'73
劇中歌「愛しのニャーオ」
作詞 - 吉元由美 / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 横山智佐
劇中歌「ハロー!ドラミちゃん」
作詞 - 吉元由美 / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 山野さと子コロムビアレコード

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ これがきっかけでドラえもんは、ドラ焼きが大好物になる[8][9]
  2. ^ クレジットでは「ジャイロボ」と表記。
  3. ^ クレジットでは「スネロボ」と表記。
  4. ^ クレジットでは「しごきロボット」と表記。
  5. ^ 2020年3月7日放送「ドラえもんが受験生!?」ではロボット養成学校や学生時代のドラえもんの授業風景が本作を元にした描写となっている。

出典編集

  1. ^ 2112年 ドラえもん誕生 - コトバンク
  2. ^ 2112年 ドラえもん誕生 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ 植草信和(編)「グラビア New Releases(新作紹介)」『キネマ旬報 No.1115(1995年3月上旬号)』第1969巻、株式会社キネマ旬報社、1995年3月1日、 105頁、 doi:10.11501/7906232ISSN 1342-5412
  4. ^ ドラえもんが青くなった理由が昔は違った。16時間一挙放送「大みそかだよドラえもんスペシャル」 - エキサイトニュース(2/3)”. エキサイト株式会社 (2015年12月31日). 2020年3月31日閲覧。
  5. ^ a b 植草信和(編)「日本映画紹介」『キネマ旬報 No.1160(1995年5月上旬号)』第1974巻、株式会社キネマ旬報社、1995年5月1日、 182頁、 doi:10.11501/7906237ISSN 1342-5412
  6. ^ a b c 「ドラえもん」の「えもん」はなぜ平仮名なのか。生誕100年前記念イベントに行ってきた - エキサイトニュース(3/7)”. エキサイト株式会社 (2012年9月4日). 2020年3月31日閲覧。
  7. ^ a b ドラえもんが青くなった理由が昔は違った。16時間一挙放送「大みそかだよドラえもんスペシャル」 - エキサイトニュース(3/3)”. エキサイト株式会社 (2015年12月31日). 2020年3月31日閲覧。
  8. ^ a b c 「ドラえもん」の「えもん」はなぜ平仮名なのか。生誕100年前記念イベントに行ってきた - エキサイトニュース(6/7)”. エキサイト株式会社 (2012年9月4日). 2020年3月31日閲覧。
  9. ^ 9月3日はドラえもんの誕生日!ドラえもんが青くなった理由とは? - OKMusic”. ジャパンミュージックネットワーク株式会社 (2015年9月3日). 2020年3月31日閲覧。
  10. ^ 「ドラえもん」の「えもん」はなぜ平仮名なのか。生誕100年前記念イベントに行ってきた - エキサイトニュース(2/7)”. エキサイト株式会社 (2012年9月4日). 2020年3月31日閲覧。
  11. ^ ドラえもんが青くなった理由が昔と違うという驚愕の事実 ショックで青くなったんじゃないの? - ガジェット通信 GetNews”. 東京産業新聞社 (2013年11月25日). 2020年3月31日閲覧。