がんばれ!!タブチくん!!

がんばれ!! タブチくん!!』は、プロ野球選手タブチコーイチ(モデルは阪神タイガース西武ライオンズで活躍し、後に福岡ダイエーホークス監督、阪神と東北楽天ゴールデンイーグルスのヘッドコーチを歴任した田淵幸一)を主人公とした、いしいひさいち作の4コマ漫画である。

目次

概要編集

漫画アクション』に連載され、1979年双葉社より単行本全3巻が刊行された。実在の有名人をモデルとしたキャラクターによるギャグ漫画、というジャンルを確立させた記念すべき作品であり、1979年から1980年にかけてはアニメ映画が3作品制作されている。連載終了後も、いしいの手によりプロ野球を題材とした4コマ漫画は多数制作されており、それらの一部を収録した単行本『タブチくん』が1985年から1989年にかけて全5巻で刊行されている。登場人物の姓はほとんどが片仮名だが、一部は漢字で表される。

下記の劇場版アニメでは「西武ライオンズ在籍時」が目立つが、漫画は阪神タイガース在籍末期から開始される。

登場人物編集

タブチくんの周辺編集

タブチくん
主人公。プロ野球選手で、肥満体で巨漢のキャッチャーで西武ライオンズでは看板スターとして重宝されている。守備ではパスボール、送球すれば暴投(時には、マウンド上の投手を直撃する事も[1])といった凡ミスの常習犯。打撃では当たれば大きい[2]が、三振の方が圧倒的に多い上、ヒットを打っても足があまりに遅く一塁でアウトになることがしばしばで酷い場合は時間をかけてからアウトにされたり、まだアウトになってもいないのに味方にすらアウトと言われる[3]。そのため、「滅多にないことの例え」として「タブラン」(タブチのランニングホームランの略)という言葉まで作られてしまった。彼が出ていない試合ではチームが圧勝するという回も存在している[4]。もっとも本人もそれは自覚しているようで、原作では指名打者として試合に出た際、ヤジ係をしたが、打席に立ったアリトーのことを他の選手に聞き、自分と比較し感心して応援するシーンがある[5]。アニメでも痩せようとしたり、トレーニングをするなど本人なりに真面目にやっており、回によっては野球選手らしからぬ方法で勝利に貢献したこともある。
私生活でもだらしなく、妻の気苦労が絶えず、監督やチームメイトからの信頼も薄く、観客や審判、さらには実況者からも散々な扱れ、酷い言われるなど周囲には恵まれず、一見すれば誰からも嫌われているように見えるが基本的には穏やかで人が良く憎めない性格で、所属球団の中では目立つ存在であり、逆に彼が出ないと野次が飛んだこともある[6]。元は大阪在住でたこ焼きが好物[7]だったが[8]、阪神タイガースから西武ライオンズにトレードに出され、埼玉県小手指西武線沿線)に移住する。このことがきっかけでトレードについて非常にナイーブになってしまい、兆候があると時と場合を考えずあちこちに電話するほどになる[9]。アニメではトレードがきっかけでノイローゼになり、「トレード」という言葉の一部分でも聞くと踊りだすこともあった。
もっとも、阪神時代末期からスポーツ新聞で書きたてられていたことから(金銭トレード キロ当たり250円か?等)トレードに対してはかなり敏感になっていた。他にも当時の大相撲横綱輪島とタブチをトレードするというネタが描かれている[10]
モデルは上記にもあるとおり、田淵幸一。負傷による聴力の低下や病気治療のための投薬による肥満により、成績が極端に落ち始めた頃の田淵をネタにして、いしいの初期作品4コマに登場したのがその始まりである(当初は独立した連載作品ではなかった)。このため、初期作品を見た本人は激怒したが、後には掲載誌を買って読んでは爆笑していたという。[要出典]
その他のキャラもそうであるが、あくまでモデルであって本人とは異なる(特にアニメ)。監督のサインに従わない、ささやき戦術を行使し失敗する、相手チームのキャッチャーを脅すなど、ギャグとして描かれている。
ミヨコ夫人
タブチくんの妻。夫とは対照的にスマートでスタイルもよく、美人。タブチくんのホームラン自慢につき合わされたり、シーズンオフに自宅で自堕落しているタブチくんの尻を蹴飛ばしたり、経済観念が無い割りに細かいところでセコいタブチくんに悩まされたりと、気苦労が絶えない。一方で、巨漢の夫に暴力行動を示唆して逆に諌められたり(つまらない映画を見てしまい「あなたスクリーン破いてきなさいよ」と言ったことがある)もするなど時に過激な人で周囲のように旦那を馬鹿にしたりすることもしばしばだが、なんのかんのといって夫婦仲は良い。なお、タブチくんは彼女に対して基本的に敬語で話す。
モデルは田淵の前妻[11]で、連載中はいしいや映画スタッフに対して家庭内のネタを提供していたという。前述のようにタブチくんとミヨコ夫人は夫婦仲がいいという設定であるため、後に田淵が離婚・再婚した後もタブチくんの妻はミヨコのままである(ただし、実際の前妻の名前はミヨコではない)。
フルサワくん
タブチくんとバッテリーを組むことが多いピッチャー。タブチくんのせいで余計な苦労を背負い込むことが多く、どちらが“女房役”(普通はキャッチャーのことを指す)かわからない。作品の中でほぼ全期間、タブチくんと同じチームに所属している(阪神タイガース→タブチくんと一緒に西武ライオンズ)腐れ縁であり、タブチくんの人柄も知っているためか仲は良い。
ユニフォーム時は帽子を深くかぶっているため目をほとんど見せない。
原作では西武へのトレードが納得できず、阪神電車の線路に置石をしに行ったこともある(結局エナツさんの縄張りのため未遂で終わる。なお、タブチくんもこのとき置石しようとしていた)[12]。アニメではこうした過激な面は抑えられていたが、それでも留守宅(と思ったがタブチくんがいた)に上がり込んでタンスを物色したりなどしている。
モデルは田淵と同時にライオンズにトレードで移籍し、後に広島東洋カープでも活躍した古沢憲司。田淵自身の著作によると、最初に本作を田淵にすすめたのは古沢だという。

阪神タイガース編集

ゴトー監督
原作初期の阪神タイガースの監督。タブチくんをはじめ不甲斐ないチームにも一切怒るようなことはせず、すっかり寂しくなった頭を悩ませる。結局、球団創立以来初の最下位に終わった責任を取る形で解任され、さらに選手たちにもお別れパーティーを開いてもらえず、寂しくチームを去った(お別れパーティーがなかった理由は、会費をめぐりチーム内で揉めたため)。原作では、辞任直後に椅子に乗って部屋の電球を変えていたところを、謝罪のために自宅を訪れたタブチが、その光景を首吊り自殺を計っていると勘違いし押し倒されている[13]
アニメではタブチくんの地元のリトルリーグチームである小手指リトルライオンズの監督として登場する。本業は乾物屋。なお、原作でゴトー監督のネタとして描かれたもののいくつかは、アニメではネモト監督に代えて使われている。
モデルは田淵の大学の大先輩で同球団OBの後藤次男

他の主だった選手として

西武ライオンズ編集

ネモト監督 
西武ライオンズの監督。タブチくんの最大の被害者で、彼をはじめとする一軍チームのだらしなさに頭と胃を痛める日々を送っている[14]。それでも、人間的におおらかなタブチくんをそれなりに信頼している。
ミヨ子同様、原作・アニメともに、タブチくんに巨大ボールを使う等のやりすぎた特訓を行うシーンもある[15]
原作では前身のクラウンライターライオンズ時代にも、阪急以外の5球団の監督(他にニシモト、ヒロセカネダオオサワ)が自棄酒を飲み歩く場面で一度登場している。
モデルは田淵の西武移籍時の監督で大学の大先輩でもある根本陸夫。実際には田淵の獲得を画策した一人である。
ツツミオーナー 
西武球団の社長、オーナー。ネモト監督とともに問題の多いライオンズの面々に日々頭を悩ませ、事あるごとに救心を頼る日々が続いている。アニメの方が出番が多く、タブチくんが全ポジションをやる「タブチデー」や自分のチームが有利になる「科学的管理野球」などを思いついては、自らトラブルメーカーになってしまうこともあった。
モデルは西武鉄道グループ先代オーナーの堤義明。漫画、アニメともにかなりイジられていたが、堤本人や同グループおよびプリンスホテルを始めとする西武ホールディングスグループ各社が特に本作に抗議するなど言及したことはない。
ドイ選手 
4番・ファースト。西武ライオンズのスターティングメンバーのシーンなどに登場。
モデルは後に同球団で打撃コーチを務めた土井正博

他の主だった選手として

  • ノムラ選手(控えのキャッチャー。モデルは後にヤクルト、阪神、楽天で監督を歴任した野村克也。タブチくんにとってはチームメイトでの天敵でタブチくんのヘマをしてすぐ交代するのだとすぐに準備するなど卑しい性格だが一方でスズキ投手みたいになるのが嫌で試合を抜け出し、逃げるなど無責任で情けない一面を持っている)
  • マツヌマ兄弟(モデルは後に兄弟共に同球団で投手コーチを務めた松沼博久松沼雅之。なお、出番は兄のほうが多く、兄は原作ではシマダ選手に対する牽制球の際にボールをぶつけられた)
  • モリ投手(モデルは後に千葉ロッテ、日本ハム等で投手コーチを歴任し、2014年より中日ドラゴンズヘッドコーチ→2017年より監督を務める森繁和。マツヌマ兄同様、原作ではシマダ選手に対する牽制球の際にボールをぶつけられた[16]
  • ヒガシオ投手(モデルは後に同球団で監督を務めた東尾修。アニメでフクモト選手に対する牽制球の際にボールをぶつけられた。原作ではチームのだらしなさに「8人の敵(自分の登板時にまずいプレーをする味方守備陣)がいる」と奥さんに愚痴るシーンも[17])。
  • タイロン選手(モデルは後に南海ホークスでも活躍したジム・タイロン。史実では1979年後期から加入したがアニメでは同年前期開幕戦から登場)が登場している。

ヤクルトスワローズ編集

作者のいしいがスワローズファンのため、原作のほうが登場回数が多い。

ヤスダ投手 
ヤクルトスワローズの投手。大学リーグ時代からのタブチくんの悪友で、時々、何かと理由をつけて自宅を訪れ、冷やかしたりするものの将棋をするなど根っから仲が悪いわけではない。大学時代には何本か「ホームランを打たせてやった」らしい。その代わりに何球か死球をぶつけたこともあるという[18]
短駆のサイドスローの投手で球速はあまりなく、それを補うためかいくつもの魔球を編み出しているが、そのたびに捕手のオーヤくんやヒロオカ監督から呆れられたり殴られたりしている。また、海外キャンプ先でロードサイドで「JAPANIEZE」製品の路地販売をしたり、他チームのキャンプに行商に行ったりするなど問題行動が多い(禁酒禁煙の西武キャンプに行商し、ハイライトを1箱1,500円で販売していた)[19]
試合中ヤジを飛ばすことも多い(巨人ジョン・シピンが出てきたときに尿瓶呼ばわりする等)が、徹夜でおいちょかぶをやった次の日の試合時、間違えて相手チームのベンチに下がってしまい、自軍の選手にヤジを飛ばしてしまった(その時、自軍の選手を間抜け面ばかりとまで言っている)[20]
投げると同時にバッターにヤジを飛ばして憤激させることでタイミングをずらし、ハリモトら巨人軍の名だたるバッターを次々三振に討ち取ったこともあるが、ナカハタら特徴をよく知らない新人選手を代打に出されて打ち込まれて交代させられた[21]
原作、アニメともに馬が合わなかったヒロオカさんが監督を辞任する際、わざわざ自宅に嫌みの電話をかけている(電話の時点ではまだ正式に退団届を出しておらず、アニメでは置き土産に2軍行きを命じた)[22]。原作には娘が登場し「お父ちゃん、ひもじいよ」のセリフで同情を引こうと画策するためか、契約更改に同席させたり、父親同様ヒロオカに殴られる描写がある。他に、マウンドの横に娘を立たせ、性別は不明だがもう一人子供を背負って投げ、「また、カミサンに逃げられたのか?」とコーチが囁くシーンがある)[23]。副業なのかは不明だが、アニメでは「安田書店」という本屋を経営しており、タブチも立ち読みに近所の子供たちと訪れるシーンでは店番をする描写がある。他にも海外では日本の品を外国人に売っていた。
モデルは当時ヤクルトの投手で、後に投手コーチを務めた安田猛。魔球は投げないものの、球界屈指の技巧派投手として知られていた。安田本人はヤスダの出ている漫画を初めて見て爆笑したという。
いしいの他作品では、コーチ就任後も登場していたが、ドバシ監督のなだめ役的な存在にキャラに変更されている。
ヒロオカさん
原作中盤及びアニメ第1作でのヤクルトスワローズ監督。一見、クールでクレバーな人物だが、ヤスダとは馬が合わずカッとなることが多い。ヤスダがほとんど唯一、頭の上がらない人物。ストレス解消に無言電話をかけたり、大掃除で出てきた古い日記を見て過去の恨みを思い出し、カワカミ元監督の盆栽をだめにするなどのシーンが多数あり、陰険なところがある[24]
阪急との日本シリーズの最中、ウエダ監督にボロクソに言われ、阪急電鉄の線路に置石をしようとした(このときは行動を読まれて路線上に厳重な警備が敷かれていた[25]。また、史実で1978年の日本シリーズ中にヤクルトを甘く見て暴言を言ったのは足立光宏で、阪急が2勝1敗の時点で「日本シリーズは西宮(5戦目)で終わりますよ」と発言)。
また、1人になると感情をむき出しにすることがあり、1978年の球団初のリーグ優勝間近の際は監督室で高笑いをしていた(実は相手チームの監督室に間違えて入り、中にはナガシマ監督がいたので、すぐ何事もなかったように出ていっている)[26]。退団時、書き終えたばかりの辞表の上を虫が這ってだめにされたり、その後机の脚が折れたりしたために溜まっていた怒りが爆発。自宅でバットで大暴れするシーンもあった。
アニメ第2作ではスワローズ監督を辞任した為退団しており、テレビ中継の解説者として活躍していた。監督辞任間際に嫌みの電話をかけられた事を根に持っており、ヤスダに関しては毒舌が多い。また、タブチくんに対しては会話の中で「ツツミオーナーから話があってね…」もしくは「ツツミオーナーに偶然会ってね…」とたびたび脅す。
モデルはシリーズ開始当初のヤクルトの監督で後に西武監督、千葉ロッテマリーンズゼネラルマネージャーを歴任した広岡達朗。ただし、独特のしゃべり方は声優の羽佐間道夫によるところが大きい。後に田淵のいる西武の監督となり、リーグ連覇および日本一にもなる(原作、アニメとも本作品ではそこまでは描かれていないが、他作品では西武監督時代やその後の評論家時代も描かれた)。上記の「ツツミオーナーからの話」が図らずも実現する形になった。
アニメには精神修養のためにタブチくんが訪れた禅寺にヒロオカとよく似た容姿と性格の和尚やこの他彼に似たラーメン店店主、タクシー運転手が登場する。
スズキ投手
王貞治に通算756号のホームランを打たれたことから、常に「王選手に756号を打たれたスズキ」と言われたため、家の表札は「王選手に756号を打たせてやったスズキ」とわずかな抵抗を見せていた[27](しかし、宅配便の配送員には「人違いかな?」と言われてしまう。アニメではひったくるように配達の品を受け取っている)。
ヤスダ選手とともに、タブチ君に死球もぶつけている。
モデルは後に近鉄バファローズで抑えの切り札として活躍した鈴木康二朗
アニメでは、阪急のフクモトの盗塁記録達成の直前、その「現場の被害者」になることを恐れた西武の捕手陣(ノムラ、ヨシモトオオイシ)が「もしここで記録なんか作られたら俺たちはヤクルトのスズキさんみたいになっちゃうぞ」と言ったところで回想シーンとして登場(なお、史実では福本の世界記録は1983年6月3日の対西武戦で達成されたため、本当に西武の選手たちが立ち会うことになった。その時の捕手は大石友好である)。
オーヤ選手 
捕手。ヤスダが「新魔球」を編み出すたびに受けさせられる羽目になり、それに対し毎回ダメ出しをする。
モデルは当時のスワローズ正捕手で後の横浜ベイスターズ監督の大矢明彦。実際の大矢は温和な表情のソフトな人物であるが、いかつい顔つきの厳しい人物として描かれている。
マツゾノオーナー 
ヤクルトスワローズのオーナー。原作で前述のヤスダ投手が巨人のジョン・シピンが出てきたときに尿瓶呼ばわりし、巨人=年寄球団とヤジを飛ばした後、他の選手とともにハチミツやアリナミン等を差し入れてやるぞと皮肉を込めてヤジを飛ばしていたが、肝心の自社製品である「ヤクルト」が出てこないことに激怒し、ヒロオカ監督(アニメ映画第2作ではタケガミ監督)に抗議するシーンがある。
モデルは先代スワローズオーナーだった松園尚巳

他の主だった選手として

  • オオスギ選手(モデルは大杉勝男。1978年の日本シリーズ第7戦、足立光宏から打った疑惑のホームランをネタにした話もある)
  • マツオカ投手(モデルは後に同球団の二軍投手コーチを務めた松岡弘
  • ワカマツ選手(モデルは後に同球団の監督を務めた若松勉)が登場している。

また、応援団長としてオカダさんも登場した(モデルは私設応援団ツバメ軍団の団長だった岡田正泰)。

阪急ブレーブス編集

ヤマダ投手 
タブチくんをはじめ、アニメ1作品目で西武ライオンズの選手たちの相手チームである阪急ブレーブスの投手[28]
アニメでは、タブチくんを特徴あるアンダースローの投球でピッチャーフライに打ち取ったはずが、巨大扇風機でホームランにされたり、空振りの際にホームベースをぶつけられる等されている(原作で巨大扇風機でホームランにするネタは阪神時代[29])。
指名打者制度があるパ・リーグであるが、アニメでは打者としても登場した(ただし、パ・リーグの指名打者制度は義務でなく任意なので、状況としてはありえる話である[30]
モデルは現役時代、阪急黄金時代のエースで後に中日ドラゴンズの監督を務めた山田久志。実際に指名打者制導入後も山田は4度、公式戦で打席に立っており、特に1975年9月2日の対日本ハム戦9回には代打で出場し安打を放っている(この山田の安打がパ・リーグの指名打者制導入後に投手が打った初めての安打となった)。ただし、西武戦で打席に立ったことはない[31]
フクモト選手 
タブチくんの天敵で、出塁すれば盗塁を決められている。タブチくんは送球すれば暴投で、フクモト選手が盗塁すると自軍の投手にぶつけたり審判を投げ飛ばすため、いつも悠々盗塁を決められている。
原作でもネモト監督が対策として、タブチくんの太っ腹を利用して一塁手に転向を検討するネタもある(もっとも、史実では1980年に一塁手及び指名打者での出場が主体となった。また、阪神時代にも時折一塁や外野での出場があり、本作でも描かれている)。
モデルは「世界の盗塁王」こと福本豊。史実では福本が捕手・田淵の場面で盗塁を試みたケースは西武移籍初年度の1979年に2度あるだけで成功1、失敗1である、後にオリックスブレーブス二軍監督、阪神タイガース一軍打撃コーチ、守備走塁コーチを歴任した[32]
ウエダ監督 
原作開始時の阪急ブレーブスの監督。
前述のようにヤクルトとの日本シリーズの際、圧勝した後のヒーローインタビューでヤクルトを甘く見た発言をし、それを聞いたヒロオカ監督が阪急電鉄の線路に置石をしようとした。また1978年のペナント中、他の球団のファンより「パ・リーグの人気がないのは王者 阪急に人気がないから」「パ・リーグの火を消すな、阪急」と言われたことに腹を立て、パ・リーグの火を消すべくユニフォームを消防服に変更したことも[33]
モデルは後に日本ハムファイターズでも監督を務めた上田利治
ヤマグチ投手 
アニメ3作品目でヤマダ投手に代わり登場した阪急ブレーブスの投手。
ピッチャーゴロに打ち取ったはずのタブチくんをツツミオーナーが考案した科学的管理野球の名のもと、コンピューター制御された球場の力を借りて2塁まで悠々と進塁されてしまう。その後、さらに3塁まで進塁されそうになり他の選手とともに必死に阻止するはめになる。
モデルは引退後ブルーウェーブ時代まで投手コーチを務め、後に阪神投手コーチを歴任した山口高志
マルカーノ選手 
アニメ3作品目で登場した阪急ブレーブスの助っ人外国人選手。
ツツミオーナーが考案した科学的管理野球の名のもと、コンピューター制御された球場の力のおかげでホームランを潰されてしまう。
モデルはボビー・マルカーノ[34]

日本ハムファイターズ編集

シマダ選手 
原作でのタブチくんの天敵。アニメ同様、送球すれば暴投で、自軍の投手及び相手チームのバッター(カシワバラ選手)にぶつけるため、簡単に盗塁を決められていた。2塁ベース上でタブチくんのひどい暴投を見て笑うほど余裕を見せていた。
モデルは島田誠で、実際に1979年の西武戦で2盗、3盗およびホームスチールのパーフェクトスチールを達成している(そのときの捕手は野村克也で、そのためかアニメでもノムラ選手はネモト監督にタブチくんより肩が弱いと見なされている)。なお、史実では現役晩年に福岡ダイエーホークスで、田淵とは監督と選手の間柄になっている。
キダ投手 
アニメ3作品目で登場した日本ハムの投手。キダ投手が登板した日のホームラン賞がテレビだったので、自宅のテレビが壊れたタブチ君は張り切るものの三振に打ち取られて、試合にも敗れる。なお、勝利投手賞もテレビだったが既にテレビを複数持っていたキダ投手はヒーローインタビューの際「お世話になったタブチさんにあげちゃって」と発言、しかしタブチはこれを屈辱として拒否した。[35]
モデルは後に横浜大洋ホエールズ中日ドラゴンズでも活躍した木田勇

近鉄バファローズ編集

マニエル選手 
セ・パ両リーグでのホームラン王を目指すタブチくんにとって、打撃面での天敵。原作、アニメともにタブチくんが1本ホームランを打つと4〜5本ホームランを打ってしまうため、どんどん突き放されてしまう。
アニメでは、タブチくんがマニエルの秘密を探ろうと、変装してバットを入手し調査するシーンがある。
モデルはチャーリー・マニエルで、原作当初はヤクルトに在籍していたものの、ヤスダ投手の会話やホームランを打つ場面が出てくるだけで、本格的な登場は1979年の近鉄バファローズ移籍後。また同年、顎に死球を受けたことにより、復帰後は顎への防御用のフェイスマスクを付けた特殊なヘルメットを使用したが、アニメでも特殊ヘルメットを表現していた。
ニシモト監督 
アニメ第2作『激闘ペナントレース』に登場する。オールスター監督推薦を狙うタブチくんがニシモト監督の前で目立とうとするが、タブチくんは近鉄の選手を怪我させてしまい、ニシモト監督に「おどかしとるんや、ワシの事」と誤解される。最後はタブチくんが打った打球がニシモト監督に直撃、その夜のプロ野球ニュースで包帯だらけの姿で現れ、タブチくんを監督推薦するが、そのコメントが「ワシかて命は大切や」。
原作ではV2間近の際、記者から「(優勝)マジックが減っていくのが楽しみですね」と聞かれたが「最後まで必死にやらなあかんのや」と返答。しかし肝心の選手達が浮かれてしまい、球団事務所のマジックがなくなるほどサインを書きまくる様子をみて激怒するシーンがある[36]
モデルは西本幸雄
ヤマグチ投手 
『激闘ペナントレース』に登場。タブチくんに80数球連続ファウルを打たれてへとへとになったり、低めのボール球をゴルフスイングで打たれた球がフェンスに空いた穴に入ってホームラン(しかも逆転サヨナラ)になるなど、損な役回りが多い。
モデルは当時近鉄に所属していた山口哲治

読売ジャイアンツ編集

ナカハタ選手
原作の登場当時はヤスダ選手の項目で紹介した通り特徴がない新人選手であったが、その後のいしい作品およびアニメでは豹変[37]。打席では「ゼッコーチョーッ!」と叫びながらバットを振り、送りバントを処理しようと打者の目の前まで迫ったり、勢いあまって打者に突撃したりする。満月の夜は興奮し、バックスクリーンの天辺まで登って「ゼッコーチョーッ!」と雄叫びを上げる。
モデルは後に巨人打撃コーチ、アテネ五輪日本代表コーチ、横浜DeNaベイスターズの監督を歴任した中畑清。いしいによると、中畑が現役時代、自宅に集まった記者の面前に下着を着けずに現れたというエピソードから、野性的なキャラクターの設定ができたという[38]

その他編集

魔球号 
ヤスダの愛車。ボロボロにくたびれた2ドアセダン。ボディにも接ぎ跡が残っているにもかかわらず、ドライバーもなく周囲を自由意志で駆け回る。そのため、普段は犬小屋のような車庫に鎖でつながれている。しかし、なぜかヤスダが乗るとスピードが出ず、耕耘機や自転車にまで抜かれてしまうためチームメイトからは「走る棺桶」とまで言われている。実際、娘を同乗させて運転中、ブレーキが効かず電柱に衝突しそうになったが、ぶつかる直前でエンストを起こしたために助かった[39]

アニメ映画編集

がんばれ!! タブチくん!!
監督 芝山努
脚本 辻真先
製作 藤岡豊
出演者 西田敏行二木てるみ
音楽 乾裕樹
撮影 高橋宏固
編集 鶴渕允寿
配給   東宝東和
公開   1979年11月10日
上映時間 95分
製作国   日本
言語 日本語
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がんばれ!! タブチくん!!
第2弾 激闘ペナントレース
監督 芝山努
脚本 辻真先
製作 藤岡豊
出演者 西田敏行二木てるみ
音楽 京建輔乾裕樹
撮影 高橋宏固
編集 鶴渕允寿
配給   東宝東和
公開   1980年5月3日
上映時間 94分
製作国   日本
言語 日本語
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がんばれ!! タブチくん!!
初笑い第3弾 あゝツッパリ人生
監督 芝山努
脚本 大久保昌一良
製作 藤岡豊
出演者 西田敏行二木てるみ
音楽 京建輔小林泉美
撮影 高橋宏固
編集 鶴渕允寿
配給   東宝東和
公開   1980年12月13日
上映時間 96分
製作国   日本
言語 日本語
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全作品東宝東和の配給。西武在籍時代のタブチを主人公に、どの作品も「1回裏」「2回表」といったサブタイトル(奇数回は「○回裏」、偶数回は「×回表」)を冠したオムニバス形式。第2作『激闘ペナントレース』と第3作『あゝツッパリ人生』には「9回表」の後に「延長戦」がある。

なお、第2作と第3作では、当時『プロ野球ニュース』のキャスターを務めていた佐々木信也がスペシャル・アドバイザーとして参加し、佐々木自身も本人の役で出演している。また、当時放送されていたテレビCM(宮崎美子が出演していたミノルタ(現:コニカミノルタホールディングス)や樹木希林岸本加世子出演のフジカラー(富士フイルム)のCM[40])までパロディ化されていた。

当初、タブチ役の声優には監督の芝山の提案で渥美清の起用が考えられていたが、ギャラやスケジュールの都合から実現せず、西田敏行が起用された[41]

映画の好評からテレビアニメ化も企画されたが、タブチ役の西田敏行が多忙のためスケジュールが取れず、実現しなかった。

多くの選手が実名で登場することから肖像権等の権利問題で映像ソフト化が難しい作品の一つだったが、田淵幸一の背番号22に合わせ2008年2月22日に東宝からDVD(「トリプルヘッダーBOX」と称したBOXと単品)が発売された。CS局のアニマックスにて2006年11月及び2007年1月に放映されている。

また、2009年ライオンズ・クラシックにおいて一部の試合でゲーム後に、西武ドーム(現:メットライフドーム)のバックスクリーンの電光掲示板「Lビジョン」にて上映された。

全作概要編集

主題歌
  • オープニング『がんばれ!! タブチくん!!』
  • 第1弾エンディング『WAOH!』
    • 唄:クレージー・パーティー、作詞・作曲:根本要、編曲:乾裕樹
  • 第2弾・第3弾エンディング『がんばれば愛』
スタッフ
声の出演

がんばれ!! タブチくん!!編集

1979年11月10日公開)

がんばれ!! タブチくん!! 第2弾 激闘ペナントレース編集

1980年5月3日公開)

  • 脚本:辻真先、金子裕、金春智子、川島三郎、水谷龍二、高橋英樹
  • 絵コンテ:芝山努、小林治、河内日出夫、永丘昭典

がんばれ!! タブチくん!! 初笑い第3弾 あゝツッパリ人生編集

(1980年12月13日公開)

  • 脚本:大久保昌一良、金春智子、桜井正明、城山昇、千葉一誠、チャンネルゼロ(みねぜっと、村上知彦、徳田俊之)
  • 絵コンテ:小林治、河内日出夫、山田みちしろ、岡崎稔、永丘昭典

ジュニア版編集

  • 双葉社のマンガ雑誌『100てんコミック』で、監修・いしいひさいち、シナリオ・みねぜっと、作画・尾崎みつお、斉藤輝彦でタブチくんが少年野球チーム「小手指ちびっこライオンズ」の監督として活躍するシリーズが連載された。また、この設定を引き継いだオリジナル漫画『それいけ!!ちびっこライオンズ』(双葉社100てんランドコミックス・全1巻)という作品もあった。

プラモデル編集

  • 映画公開時にバンダイから「がんばれタブチくん」と「それいけヤスダくん」というゼンマイ動力で動くプラモデルが発売されていた。

パチンコ編集

脚注編集

  1. ^ 双葉社3巻8頁-
  2. ^ しかも当たるのは大抵相手チームと大きな差が開き、大した点にならない
  3. ^ 双葉社1巻69頁
  4. ^ しかし、実際に他の選手にも問題はある節があり、必ずしも彼だけの責任ではない
  5. ^ 双葉社3巻34頁
  6. ^ ジュニア版1巻78頁
  7. ^ アニメでは海外キャンプでたこ焼きが恋しくなり、ホームシックになったことも
  8. ^ 双葉社2巻31頁
  9. ^ 双葉社3巻75頁、他
  10. ^ 双葉社1巻80頁
  11. ^ しかし、DVD(トリプルヘッダーBOX)に封入されている解説書には「前夫人がモデルとされているが、まったく架空の人物である」と記されている。
  12. ^ 双葉社2巻36頁
  13. ^ 双葉社1巻58頁-
  14. ^ 双葉社3巻21頁、他
  15. ^ 双葉社2巻126頁、他
  16. ^ 双葉社3巻8頁
  17. ^ 双葉社3巻107頁
  18. ^ 双葉社3巻15頁、他
  19. ^ 双葉社2巻18頁-、他
  20. ^ 双葉社3巻55頁
  21. ^ 双葉社2巻74頁-、他
  22. ^ 双葉社3巻69頁
  23. ^ 双葉社2巻58頁-、65頁
  24. ^ 双葉社1巻34頁、双葉社2巻73頁-、66頁
  25. ^ 双葉社1巻35頁
  26. ^ 双葉社1巻26頁
  27. ^ 双葉社1巻65頁
  28. ^ なお、7回裏の中盤、タブチくんが逆立ちしてバッターボックスに入る1シーンのみ背番号19の大石直弘。史実ではこの年1軍登板はなかった。
  29. ^ 双葉社1巻21頁
  30. ^ 史実では試合終盤に指名打者を外して投手を打順に組み込む場合もある。なお、セ・リーグ主催のセ・パ交流戦や日本シリーズにおいてはパ・リーグの投手も試合当初から打順に組まれる(ただし、2014年の交流戦ではパ・リーグの主催試合で投手が打順に組まれていた)。
  31. ^ 「プロ野球 記録の手帖」(千葉功著、ベースボールマガジン社刊、2001年)、P468-469。
  32. ^ 「プロ野球 記録の手帖」P94-95。
  33. ^ 双葉社1巻27頁
  34. ^ 史実では1983年にヤクルトに移籍している。
  35. ^ 原作では双葉社3巻に同様のエピソードがあるが内容はテレビではなくクーラー。発言した選手も背番号18の高橋一三であるがなぜか眼鏡をかけている。
  36. ^ 双葉社3巻108頁
  37. ^ ヤスダ投手に「君も出世したねぇ~」と言われている。
  38. ^ 『文藝別冊 [総特集]いしいひさいち』河出書房新社、2012年、p.119
  39. ^ 双葉社2巻61頁、双葉社3巻54頁
  40. ^ 劇中ではミノルタは「ミノブタ・カメラ」、富士フイルムは「デブカラーフィルム」というように企業名もパロディ化されている。
  41. ^ http://intro.ne.jp/contents/2010/02/02_2026.html

関連項目編集

外部リンク編集