東宝東和株式会社(とうほうとうわ)は、映画の輸入および配給を主事業とする日本の映画会社。本社所在地は、東京都千代田区一番町阪急阪神東宝グループに属する東宝株式会社の子会社。

東宝東和株式会社
TOHO-TOWA COMPANY, LIMITED.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
102-8537
東京都千代田区一番町18
川喜多メモリアルビル
北緯35度41分19.0秒 東経139度44分31.5秒 / 北緯35.688611度 東経139.742083度 / 35.688611; 139.742083座標: 北緯35度41分19.0秒 東経139度44分31.5秒 / 北緯35.688611度 東経139.742083度 / 35.688611; 139.742083
本店所在地 100-0006
東京都千代田区有楽町1丁目2番2号
北緯35度40分23.0秒 東経139度45分35.8秒 / 北緯35.673056度 東経139.759944度 / 35.673056; 139.759944
設立 1959年(昭和34年)4月28日
業種 情報・通信業
法人番号 2010001024350
事業内容 外国映画の輸入配給、ビデオ制作・発売、その他映像関連事業
代表者 松岡宏泰(代表取締役会長)
山﨑敏(代表取締役社長)
資本金 8,885万円
売上高 96億2300万円
営業利益 9億5800万円
従業員数 60人(2013年4月現在)
決算期 2月末日
主要株主 東宝株式会社 100%
(同社の連結子会社
主要子会社 東和ピクチャーズ
東和ミュージック
関係する人物 川喜多長政(創業者)
川喜多かしこ
白洲春正
松岡宏泰
外部リンク tohotowa.co.jp
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概要 編集

1928年川喜多長政により外国映画輸入配給業を事業とする「東和商事合資会社(: TOWA SHOJI G.K.)」として設立された。戦前においてはドイツをはじめとする欧州映画の輸入・配給の最大手であり、『自由を我等に』『巴里祭』『会議は踊る』『女だけの都』『望郷』『民族の祭典』などを輸入・配給した。また日本作品の海外輸出にも先駆的な役割を果たし、1937年には初の日独合作映画『新しき土』を製作した。

1951年に東和映画株式会社と改称、1960年に東和株式会社を経て、1975年に現社名に改称した。当時、テレビ配給部門であるニュージャパンフィルムに在籍していた諸橋健一によれば、川喜多が東宝に相談して株の半分を持ってもらい東宝の名を社名に入れる事で作品を日本劇場で上映できると言うイメージを売りにし、競合他社に対抗しようとしていたとされる[1]

歴代の社長は、創業者の川喜多と2代目の白洲春正(白洲次郎白洲正子の長男)の在任期間が長かったこともあり、90年以上の社歴でもわずか6人である。2008年4月に、3代目社長の平沼久典に代わり、4代目社長として松岡宏泰松岡功東宝名誉会長の長男で、元テニスプレーヤーの松岡修造の実兄)が就任したが、2015年5月に会長となった。5代目社長には星野智彦が就任したが、彼が国際放映の副社長に異動した為、2018年からは山﨑敏が務めている[2]

また、1970年代後半から1980年代前半にかけては、原題の意味を無視したインパクト重視の邦題や、明らかに嘘であったり誇大な宣伝手法を行ったりしていた。一例として『サランドラ』の作中に一切出てこない架空の凶器「ジョギリ」など本編と無関係な小道具や人物をメインに配置したり、ホラー映画『サンゲリア』では上映中に観客がショック死した場合、ハワイの墓地に埋葬されるという真偽不明の公約、『バーニング』でも真偽不明の「絶叫保険」なる制度を制定、『ランボー』では、本編には出てこない大量のパトカーや、田舎町が舞台であるのに無関係な都会の街並みを背景に描く、『メガフォース』で登場する車「タック・コム」を作中の実物よりはるかに巨大に見えるように描く、「SPAC[注釈 1]」、「バイオSFX方式上映」[3] など特殊な上映方法で公開している。(『映画秘宝 映画懐かし地獄70's』洋泉社、『映画宣伝ミラクルワールド 東和ヘラルド松竹富士独立系配給会社黄金時代』(斉藤守彦著)洋泉社を参照)。

2000年代に入ると年間配給作品の数が減少傾向にあったが、2007年後期からは、解散したUIP映画の日本法人に代わりユニバーサル・ピクチャーズ作品の配給を開始し、その後は年間配給作品が増加傾向となった[注釈 2]。ユニバーサル作品が中心となった現在でも、同社作品以外の映画を時折配給している。

2014年7月、日活と合同でゴールデン・アジアのレーベルを設立。チャウ・シンチー監督の『西遊記〜はじまりのはじまり〜』を始め、『チェイス!』『ミルカ』の3作をしている。

2015年10月8日、パラマウント・ピクチャーズと劇場配給契約を締結し、2016年2月1日から東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ株式会社」がパラマウント作品の劇場配給を行うことを発表した[9]

なお、同社における歴代興行収入1位の作品は、2023年4月28日公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(上映中、2023年8月現在[10])。

配給作品 編集

自社配給作品 編集

東和商事時代

東和時代

東宝東和時代

ユニバーサル・ピクチャーズ作品 編集

2007年11月10日公開『ボーン・アルティメイタム』から、UIP映画日本法人解散によりユニバーサル・ピクチャーズ作品の日本での配給を担当している。同作以降はジェネオン エンタテインメントが新作映画のソフト販売を担当していたが、後にユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンとの合併や商号変更を経て、現在のNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンに至っている。

2018年3月21日公開『ボス・ベイビー』から、全世界に先駆けドリームワークス・アニメーション製作作品をユニバーサル・ピクチャーズ配給作品として公開した[注釈 3]

公開作品 編集

日付は日本全国公開日。上映フォーマットに特記のない場合は2D字幕版のみの公開。「3D・2D」は4D版の3D上映を含む。

2007年 編集
2008年 編集
2009年 編集
2010年 編集
2011年 編集
2012年 編集
2013年 編集
2014年 編集
2015年 編集
2016年 編集
2017年 編集
2018年 編集
2019年 編集
2020年 編集
2021年 編集
2022年 編集
2023年 編集
2024年 編集

パラマウント・ピクチャーズ、その他作品 編集

東和ピクチャーズ
TOWA PICTURES
種類 株式会社
本社所在地   日本
102-8537
東京都千代田区一番町18
川喜多メモリアルビル
北緯35度41分19.0秒 東経139度44分31.5秒 / 北緯35.688611度 東経139.742083度 / 35.688611; 139.742083
設立 2015年10月13日 (8年前) (2015-10-13)
業種 情報・通信業
法人番号 9010001171236
事業内容 外国映画の輸入配給
代表者 山﨑 敏
資本金 3000万円
純利益 700万円
(2023年2月期)[11]
総資産 9100万円
(2023年2月期)[11]
主要株主 東宝東和株式会社 100%
(同社の連結子会社
外部リンク towapictures.co.jp
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パラマウント・ピクチャーズ作品は、UIP映画日本法人の解散以降、パラマウントの日本法人であるパラマウント・ピクチャーズ・ジャパンが独自配給を行っていたが、2016年2月1日に東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ」が設立され、同年3月4日公開の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』から同社でパラマウント作品の劇場配給を行うことが発表された。

なお、親会社が配給するユニバーサル作品と比べると年間配給作品は少なく、『ベン・ハー』や『マザー!』のように当初は日本での劇場公開が内定していた作品や、アカデミー賞を受賞した『フェンス』といった作品の公開が見送られた例もあるが、2019年5月24日からは『ベン・イズ・バック』を皮切りにパラマウント作品以外の劇場配給も行っている。

公開作品 編集

日付は日本全国公開日。※印はパラマウント・ピクチャーズ以外の作品。

2016年 編集
2017年 編集
2018年 編集
2019年 編集
2020年 編集
2021年 編集
2022年 編集
2023年 編集
2024年 編集

関連団体 編集

関連項目 編集

かつて日本においてユニバーサルとパラマウントの映画を日本国内で配給していた企業。2016年以降、当社はUIPの後継となっている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ Science Panic Adventure Cinemaの頭文字を取ったもの
  2. ^ なお、ユニバーサルが製作した作品全てを独占的に配給しているわけではなく、ビターズ・エンドが配給した『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)[4][5]や『オッペンハイマー』(2024年日本公開予定)[6][7]パルコが配給した『コカイン・ベア』(2023年日本公開)[8]のように東宝東和以外の映画配給会社が日本国内でのユニバーサル作品の配給を担当した事例もある。
  3. ^ ヒックとドラゴン 聖地への冒険』以降は、ギャガと共同配給している。

出典 編集

  1. ^ 西正「20年間のサラリーマン生活を経て」『コンテンツホルダー優位の時代―ムービーテレビジョンの挑戦』中央経済社、2002年、38 - 43頁。ISBN 978-4502581007 
  2. ^ “インタビュー:東宝東和・山﨑敏社長 率直な語りから見えてくる“らしさ””. 文化通信ジャーナル. 文化通信社. (2018年11月30日). https://www.bunkatsushin.com/m/journal/article/49.html 2018年12月4日閲覧。 
  3. ^ バタリアンの公開時のキャッチコピー
  4. ^ 石川智也 (2015年3月17日). “反日映画?捕虜虐待描いたアンジー作品 上映阻止の運動”. 朝日新聞. 2015年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月7日閲覧。
  5. ^ 伊藤徳裕 (2016年2月8日). “「不屈の男 アンブロークン」は反日映画なのか? 気になった問題のシーン”. 産経新聞. pp. 1,3. 2023年12月7日閲覧。
  6. ^ 舞大樹 (2023年8月1日). “原爆連想の画像へ好反応で批判高まる、米映画めぐり配給元は遺憾表明”. Bloomberg.com. 2023年12月7日閲覧。
  7. ^ 原爆開発者映画、24年日本公開 米国「オッペンハイマー」”. 共同通信 (2023年12月7日). 2023年12月7日閲覧。
  8. ^ コカインを食べて狂暴化したクマの実話を映画化 アカデミー賞授賞式にも登場した“コーキー”日本上陸”. ORICON NEWS (2023年6月22日). 2023年12月7日閲覧。
  9. ^ 東宝東和とパラマウントが劇場配給契約を締結東宝東和はパラマウント作品配給の新会社を設立 | 東宝東和株式会社 オフィシャルサイト”. 東宝東和 (2015年10月8日). 2021年6月12日閲覧。
  10. ^ 国内興行成績 2023年公開作品で1位に!!ユニバーサル作品史上、 歴代No.1新記録も樹立!!”. EIGA-FAN (2023年8月8日). 2022年8月28日閲覧。
  11. ^ a b 東和ピクチャーズ株式会社 第8期決算公告

外部リンク 編集

公式サイト