グランドスラム・東京(グランドスラムとうきょう、英語: Grand Slam Tokyo)は、日本の国際柔道大会である。

来歴 編集

2009年よりIJFワールド柔道ツアーの一環として、国際柔道連盟(IJF)主催[要出典]または全日本柔道連盟(全柔連)主催[1]により開催されている国際柔道大会。2008年までは全柔連主催で嘉納治五郎杯東京国際柔道大会 (KANO CUP Judo World Grand Prix)、略して嘉納杯と呼ばれていた。

名称の変遷 編集

  • 嘉納治五郎杯東京国際柔道大会(KANO CUP Judo World Grand Prix、1978年 - 2008年)
  • グランドスラム・東京(Grand Slam Tokyo、2009年 - 2017年)
  • グランドスラム・大阪(Grand Slam Osaka、2018年 - 2019年)

概要 編集

柔道の礎を築き、講道館を興した嘉納治五郎の功績をたたえ、柔道の国際化を推進する目的で、1978年嘉納治五郎杯国際柔道選手権大会として男子のみの大会(11月開催)としてスタートした。初期の大会では柔道のオリンピックとも称されていた[2]。ただし、開催ペースは一定ではなく、2008年までに14回行われた。

2006年3月の全柔連の理事会と評議会で「連盟主催の大会を整理・統合する」という方針が打ち出されたことにより、同年まで福岡市で行われていた福岡国際女子柔道選手権大会を吸収し、2007年以降は男女両方が行われる大会となる。またこれに合わせ、大会名も「嘉納治五郎杯東京国際柔道大会○○○○ワールドグランプリ」(愛称:「嘉納杯柔道ワールドグランプリ○○○○」)(○○○○には開催年の西暦が入る)に改められ、会期も1ヶ月前倒しの12月開催となった[3]

2009年大会よりIJFワールド柔道ツアーにおける「グランドスラム大会」と位置づけられ、それに伴い名称もグランドスラム・東京と改められた[4]。主催が全柔連からIJFに変わったことにより両者、白柔道着から青と白の柔道着による試合になった。

なお、本大会とは別に「日本国際柔道大会」という名の国際大会が1981年11月に国立代々木競技場第一体育館、2002年1月には日本武道館でそれぞれ開催された。海外ではこの大会が嘉納杯とよく勘違いされる[2][5]

2018年11月のグランドスラム・東京は、開催予定会場だった東京体育館2020年東京オリンピックに向けた改修工事のため使用できないことから、大阪で開催されることになった。そのため、大会名称もグランドスラム・大阪となり、大阪市中央体育館(丸善インテックアリーナ大阪)で行われる[6][7]。2019年の大会も改修工事のため、引き続き大阪での開催となった[8]

2020年の大会は、新型コロナウイルスの影響による集団感染を懸念して当初は延期する予定だったが、結果的に中止となった[9][10]。2021年の大会も、前年と同様の理由で中止となった[11]。2022年には3年ぶりに東京で再開された[12]

記録 編集

優勝者 編集

男子(1978年-2008年嘉納杯、2009年-グランドスラム) 編集

歴代優勝者
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 95 kg超級 無差別
1 1978年  鈴木克美  秋本勝則  吉村和郎  藤猪省三  園田勇  ディートマー・ローレンツ  山下泰裕  山下泰裕
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 無差別 国別団体戦
2 1982年  細川伸二  柏崎克彦  中西英敏  日蔭暢年  ダビド・ボダベリ  諏訪剛  山下泰裕  
3 1986年  セルジオ・アントニオ・アウメイダ・ペッソア  山本洋祐  古賀稔彦  岡田弘隆  アレクサンドル・シフツェフ  須貝等  斉藤仁  
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 95 kg超級 無差別
4 1990年  板楠忠士  セルゲイ・コスミニン  古賀稔彦  吉田秀彦  ジャン=ルイ・ジェモン  ステファン・トレノー  小川直也  小川直也
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 無差別
5 1992年  板楠忠士  丸山顕志  秀島大介  持田達人  中橋政彦  パウエル・ナツラ  ハリー・ファンバルネベルト
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 95 kg超級 無差別
6 1994年  園田隆二  中村行成  マルティン・シュミット  中野陽一  吉田秀彦  岡泉茂  フランク・モラー  真喜志慶治
7 1996年  野村忠宏  中村行成  金大旭  窪田和則  バンサンゾ・カラベッタ  中村佳央  真喜志慶治  篠原信一
60 kg以下級 66 kg以下級 73 kg以下級 81 kg以下級 90 kg以下級 100 kg以下級 100 kg超級
8 1999年  内柴正人  ラルビ・ベンブダウ  アンドレイ・シュトゥルバビン  塘内将彦  マルク・ハイジンハ  井上智和  棟田康幸
無差別
9 2001年  下出善紀
60 kg以下級 66 kg以下級 73 kg以下級 81 kg以下級 90 kg以下級 100 kg以下級 100 kg超級
10 2003年  小川武志  鳥居智男  金丸雄介  中村兼三  矢嵜雄大  鈴木桂治  棟田康幸
無差別
11 2005年  井上康生
60 kg以下級 66 kg以下級 73 kg以下級 81 kg以下級 90 kg以下級 100 kg以下級 100 kg超級
12 2006年  ルートウィヒ・パイシャー  秋本啓之  フランチェスコ・ブルエレ  加藤博剛  黄禧太  穴井隆将  高井洋平
13 2007年  平岡拓晃  トマシ・コヴァルスキ  王己春  宋大南  イリアス・イリアディス  小林大輔  石井慧
14 2008年  秋元希星  江種辰明  王己春  塘内将彦  小野卓志  穴井隆将  高井洋平
15 2009年  福岡政章  海老沼匡  王己春  イアン・バートン  小野卓志  黄禧太  高橋和彦
16 2010年  山本浩史  福岡政章  中矢力  中井貴裕  西山将士  穴井隆将  金成民
17 2011年  山本浩史  高上智史  秋本啓之  川上智弘  西山将士  セルゲイ・サモイロビッチ  アレクサンドル・ミハイリン
18 2012年  高藤直寿  森下純平  大野将平  金宰範  李奎遠  小林大輔  金成民
19 2013年  高藤直寿  高上智史  中矢力  永瀬貴規  ベイカー茉秋  ルカシュ・クルパレク  金成民
20 2014年  金源鎮  阿部一二三  秋本啓之  永瀬貴規  郭同韓  チョ・グハム  レナート・サイドフ
21 2015年  高藤直寿  高上智史  秋本啓之  アブタンディル・チリキシビリ  ベイカー茉秋  羽賀龍之介  原沢久喜
22 2016年  永山竜樹  阿部一二三  橋本壮市  永瀬貴規  アレクサンダル・クコル  キリル・デニソフ  王子谷剛志
23 2017年  高藤直寿  阿部一二三  立川新  オトゴンバータル・ウーガンバータル  長澤憲大  チョ・グハム  小川雄勢
24 2018年  永山竜樹  丸山城志郎  大野将平  佐々木健志  向翔一郎  ウルフ・アロン  ヘンク・フロル
25 2019年  高藤直寿  阿部一二三  海老沼匡  永瀬貴規  ベカ・グビニアシビリ  羽賀龍之介  イナル・タソエフ
26 2022年   チョン・スンボム  丸山城士郎  橋本壮市  小原拳哉  増山香補   ジェンナーロ・ピレッリ  太田彪雅
27 2023年   永山竜樹  阿部一二三  ヒダヤト・ヘイダロフ  李俊奐  村尾三四郎 中立選手(AIN) マトベイ・カニコフスキー 中立選手(AIN) タメルラン・バシャエフ

女子(2007年-2008年嘉納杯、2009年-グランドスラム) 編集

歴代優勝者
48 kg以下級 52 kg以下級 57 kg以下級 63 kg以下級 70 kg以下級 78 kg以下級 78 kg超級
1 2007年  ヤネト・ベルモイ  中村美里  佐藤愛子  上野順恵  上野雅恵  セリーヌ・ルブラン  立山真衣
2 2008年  福見友子  西田優香  松本薫  ウルシカ・ジョルニル  リュシ・デコス  楊秀麗  エレナ・イワシェンコ
3 2009年  福見友子  中村美里  徳久瞳  上野順恵  渡邉美奈  緒方亜香里  塚田真希
4 2010年  福見友子  西田優香  松本薫  クラリス・アグベニュー  田知本遥  オドレー・チュメオ  田知本愛
5 2011年  浅見八瑠奈  宮川拓美  松本薫  ウルシカ・ジョルニル  上野巴恵  緒方亜香里  杉本美香
6 2012年  浅見八瑠奈  橋本優貴  山本杏  津金恵  リンダ・ボルダー  佐藤瑠香  田知本愛
7 2013年  近藤亜美  橋本優貴  宇高菜絵  阿部香菜  新井千鶴  マリンド・フェルケルク  田知本愛
8 2014年  近藤亜美  橋本優貴  松本薫  ティナ・トルステニャク  ジブリズ・エマヌ  ケイラ・ハリソン  稲森奈見
9 2015年  近藤亜美  中村美里  芳田司  マルティナ・トライドス  新井千鶴  ケイラ・ハリソン  稲森奈見
10 2016年  ムンフバット・ウランツェツェグ  角田夏実  芳田司  カトリン・ウンターヴルツァッハー  新添左季  佐藤瑠香  朝比奈沙羅
11 2017年  近藤亜美  阿部詩  芳田司  田代未来  大野陽子  濵田尚里  朝比奈沙羅
12 2018年  渡名喜風南  阿部詩  ジェシカ・クリムカイト  土井雅子  新井千鶴  佐藤瑠香  イダリス・オルティス
13 2019年  渡名喜風南  アマンディーヌ・ブシャール  玉置桃  土井雅子  大野陽子  梅木真美  素根輝
14 2022年  宮木果乃  阿部詩  舟久保遥香  高市未来  新添左季  高山莉加  素根輝
15 2023年  角田夏実  阿部詩  出口クリスタ  高市未来  サンネ・ファンデイケ  マイラ・アギアル  新井万央

優勝者(日本国際柔道大会) 編集

男子 編集

歴代優勝者
60 kg以下級 65 kg以下級 71 kg以下級 78 kg以下級 86 kg以下級 95 kg以下級 95 kg超級 無差別
1 1981年  原口謙一  斎藤俊郎  中西英敏  日蔭暢年  野瀬清喜  アレクサンドル・シューロフ  山下泰裕  斉藤仁
60 kg以下級 66 kg以下級 73 kg以下級 81 kg以下級 90 kg以下級 100 kg以下級 100 kg超級
2 2002年  内柴正人  小見川道浩  高松正裕  秋山成勲  矢嵜雄大  鈴木桂治  村元辰寛

各国メダル数(2009年のグランドスラム東京以降) 編集

国・地域
1   日本 135 94 150 369
2   韓国 13 15 30 58
3   ロシア 5 6 15 26
4   フランス 4 10 19 33
5   オランダ 4 7 10 21
6   モンゴル 2 5 16 23
7   カナダ 2 3 6 11
8   スロベニア 2 2 8 12
9   アメリカ合衆国 2 2 0 4
10   ジョージア 2 2 9 13
- 中立選手(AIN) 2 0 4 6
11   ブラジル 1 7 19 27
12   キューバ 1 7 5 13
13   ドイツ 1 2 8 11
14   チェコ 1 2 2 5
15   アゼルバイジャン 1 1 4 6
16   イタリア 1 1 2 4
17   イギリス 1 0 2 3
18   オーストリア 1 0 0 1
  セルビア 1 0 0 1
20   スペイン 0 3 4 7
21   イスラエル 0 3 3 6
22   ベルギー 0 2 5 7
23   ウズベキスタン 0 1 7 8
24   チャイニーズタイペイ 0 1 4 5
25   ハンガリー 0 1 3 4
26   ポルトガル 0 1 2 3
27   ギリシャ 0 1 1 2
  スウェーデン 0 1 1 2
29   オーストラリア 0 1 0 1
  アラブ首長国連邦 0 1 0 1
31   カザフスタン 0 0 5 5
32   中国 0 0 3 3
  ウクライナ 0 0 3 3
34   ポーランド 0 0 2 2
  ルーマニア 0 0 2 2
36   アルゼンチン 0 0 1 1
  ブルガリア 0 0 1 1
  コロンビア 0 0 1 1
  モルドバ 0 0 1 1
  エストニア 0 0 1 1
  プエルトリコ 0 0 1 1
  タジキスタン 0 0 1 1
  トルクメニスタン 0 0 1 1
  トルコ 0 0 1 1
  ベネズエラ 0 0 1 1

(出典[13]、JudoInside.com)

各国メダル数(2008年の嘉納杯まで) 編集

国・地域
1   日本 75 67 96 238
2   フランス 6 3 16 25
3   韓国 5 9 17 31
4   ソビエト連邦 4 5 6 15
5   ポーランド 2 5 4 11
6   ドイツ 2 1 7 10
7   イタリア 1 2 1 4
8   ロシア 1 1 5 7
9   オーストリア 1 1 4 6
  ベルギー 1 1 4 6
  中国 1 1 4 6
  オランダ 1 1 4 6
13   ブラジル 1 0 8 9
14   キューバ 1 0 5 6
15   ウズベキスタン 1 0 3 4
16   東ドイツ 1 0 2 3
17   ギリシャ 1 0 0 1
  スロベニア 1 0 0 1
19   カナダ 0 3 2 5
20   モンゴル 0 2 2 4
21   アメリカ合衆国 0 1 5 6
22   アゼルバイジャン 0 1 1 2
  ベラルーシ 0 1 1 2
24   スペイン 0 1 0 1
25   イギリス 0 0 3 3
26   独立国家共同体 0 0 2 2
  スペイン 0 0 2 2
  ハンガリー 0 0 2 2
29   アルジェリア 0 0 1 1
  エストニア 0 0 1 1
  西ドイツ 0 0 1 1
  ジョージア 0 0 1 1
  ウクライナ 0 0 1 1

(出典JudoInside.com)

各国メダル数(日本国際柔道大会) 編集

国・地域
1   日本 14 11 17 42
2   ソビエト連邦 1 2 2 5
3   フランス 0 2 4 6
4   韓国 0 0 3 3
5   東ドイツ 0 0 1 1
  カザフスタン 0 0 1 1
  ロシア 0 0 1 1
  ウズベキスタン 0 0 1 1

(出典JudoInside.com)

テレビ中継 編集

  • 1980年代の一時期、日本テレビで生中継されたが、その後2006年の大会までNHK BS1から録画中継。
  • 2007年の男女混合大会になってからはテレビ東京BSジャパン(現・BSテレ東)の同時生放送(初日だけ撮って出し)になった。2007年の司会は俳優の山本耕史
  • 2008年大会(12月12日 - 14日)のテレビ中継は、テレビ東京開局45周年記念番組として放送され、MCは井上康生大橋未歩(当時テレビ東京アナウンサー)が担当した。
  • 2009年大会では、テレビ東京アナウンサー5名が「柔道IPPON組」を結成し告知を行った。このほか、当初事前発表では、スペシャルサポーターに清原和博を招く予定であったが、本人の体調不良により出演を取りやめた。
  • 2010年大会からはメインキャスターとして小泉孝太郎を起用し、大橋アナと共にMCを担当。
  • 2010年大会は地上波、BSジャパンともに録画放送となった。
  • 2011年大会は、地上波では3日間(12月9日 - 11日)、BSジャパンでは最終日のみ(当日の深夜にて録画中継)放送。これに先駆け、BSジャパンでは12月5日 - 9日の23:00〜24:00に「柔道グランドスラム まもなく開幕!」と題して今大会のみどころが放送された。
  • 2014年大会は、12月5日の中継は独立放送局奈良テレビは当日TXN系列で生中継(18:00~20:00)された分を21:00〜22:54に録画放送した。12月6日、12月7日の中継はTXN系列と同じく生中継だった。
  • 2023年大会は、12月2日は16:00〜18:00(途中『ニュース』を挿入)、3日は18:30〜20:30にそれぞれTXN系列で生中継。また、独立放送局であるびわ湖放送(2・3日)、奈良テレビ・テレビ和歌山(3日のみ)にもネットされた。スタジオMCとして松本薫竹崎由佳(テレビ東京アナウンサー)が出演。

関連項目 編集

脚注 編集

外部リンク 編集