伊勢丹(いせたん、: Isetan)は、三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越伊勢丹が運営する、呉服店を起源とする日本老舗百貨店である。

株式会社伊勢丹
Isetan Co., Ltd.
伊勢丹新宿店
種類 株式会社
市場情報
略称 伊勢丹
本社所在地 日本の旗 日本
160-8011
東京都新宿区新宿三丁目14番1号MAP
設立 1930年昭和5年)9月30日
(創業:1886年明治19年))
業種 小売業
事業内容 国内外の百貨店業
クレジット・金融業
小売・専門店業
その他
代表者 橋本幹雄(代表取締役会長)
大西洋(代表取締役社長)
資本金 367億63百万円(2008年3月31日現在)
売上高 連結:7,858億39百万円
国内百貨店連結:6,528億41百万円
単独:4,620億59百万円
(2008年3月期)
総資産 連結:4,665億42百万円
単独:3,283億53百万円
(2008年3月31日現在)
従業員数 連結:9,394人 単独:3,481人
(2008年3月31日現在)
決算期 3月31日
主要株主 三越伊勢丹ホールディングス 100%
主要子会社 静岡伊勢丹 100%
新潟伊勢丹 100%
関係する人物 武藤信一(元代表取締役社長→三越伊勢丹ホールディングス会長。2010年1月逝去)
外部リンク https://isetan.mistore.jp/store/
特記事項:2011年3月31日時点の情報。翌4月1日に三越と合併し、株式会社三越伊勢丹となり解散。
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また、株式会社伊勢丹(英: Isetan Co., Ltd.)は、2011年3月31日までこれを運営していた会社である(法人としては解散)。

概要 編集

1886年創業。関東地方などの日本国内、および中国東南アジアの一部の都市に百貨店を展開する。東京新宿に本店を構え、日本全国に関連会社を含め12店舗を展開する(直営店は新宿店・立川店浦和店の3店舗のみ)。本店である新宿伊勢丹はファッション・ビューティー分野で若年層からも高い人気を誇り、百貨店の店舗別売上高において日本一である(小売業全体でも日本一位)。百貨店不況でありながら、2022年度の新宿伊勢丹の売上は3276億円(三越・伊勢丹の外商営業を含む)とバブル期を上回り、過去最高を記録した[1]

ロゴマークは、創業時から丸に「伊」の筆文字が入ったマーク(初代小菅丹治の筆と伝えられている)を使用してきたが、1975年1986年と二度マークを変更している。なお、創業時からのマークは現在も正式な社章として使用が継続[2]されている。現行ロゴの黄色の丸は「時代を捉える目」、各文字の突起は「時代の風」を表現[注釈 1]している。

元社長の小柴和正のもとで「ファッションの伊勢丹」「ファッションミュージアム」を標榜してきた[3]

合併前の運営会社である株式会社伊勢丹のグループ会社は、百貨店事業(直営6店舗、国内関連会社5社・7店舗、海外15社・13店舗)を中核に、クレジット・金融業、小売・専門店業、その他事業の4セグメントに分れ、37社で構成されていた。

2008年(平成20年)4月1日三越を救済する形で、三越伊勢丹ホールディングスを設立して経営統合した。その後、2011年(平成23年)4月1日に三越と合併して「株式会社三越伊勢丹」が発足した。これに伴い法人としての伊勢丹は解散している。

沿革 編集

 
「伊勢丹発祥の地」の碑を神田明神下交差点より望む。石碑は2011年に撤去。
 
伊勢丹タータン(旧柄[4]

歴代社長 編集

直営店舗 編集

伊勢丹では各店の名称を本支店と称している。関東地区3店舗のみ直営店。

2011年より新たな戦略として展開を開始した小型店(サテライト店舗)については三越伊勢丹を参照。

新宿店 編集

伊勢丹新宿店[7]
Isetan Shinjuku[8]
 
地図
 
店舗概要
所在地 160-0022
東京都新宿区新宿3-14-1
座標 北緯35度41分31.776秒 東経139度42分16.056秒 / 北緯35.69216000度 東経139.70446000度 / 35.69216000; 139.70446000 (伊勢丹)
開業日 1933年9月28日
正式名称 三越伊勢丹 伊勢丹新宿本店
施設所有者 三越伊勢丹
営業時間 10:30 - 20:00(レストラン街除く)
最寄駅 新宿三丁目駅
新宿駅
外部リンク 伊勢丹新宿店
 
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伊勢丹新宿店とパークシティ1の駐車場を結ぶ「伊勢丹シャトルコーチ」
(初代車両)

1933年9月28日開店。伊勢丹の旗艦店である。伊勢丹の本店にあたり、三越伊勢丹の本社および登記上の本店所在地でもある。新宿伊勢丹のほか、外部記事や社内でも「伊勢丹新宿本店」または「新宿本店」とも通称される[9][10]。しかし、三越日本橋本店と異なり、WEBサイトや広告などでは「伊勢丹新宿店[7][11]としており、「本店」を付けていない。

2021年時点での年間売上高は2,536億円で、日本の百貨店の店舗別売上高全国1位である[12]2022年度の売上高は3,256億円とバブル期の1991年を超えて過去最高を記録した[9]

新宿通り明治通りが交わる新宿三丁目交差点の北西に位置し、東京メトロ丸ノ内線副都心線都営地下鉄新宿線新宿三丁目駅に直結している本館とメンズ館、および伊勢丹会館、パークシティ1-5などの周辺施設から構成されている[13]。駅直結の小田急百貨店京王百貨店などのターミナルデパートとは異なり、新宿駅からはやや距離があるが、新宿駅東口と西口を結ぶ地下道「メトロプロムナード」経由で新宿三丁目駅と結ばれており、雨天時にも地下道経由で歩いて行くことができる。

本館(施工は清水組)の外装はアール・デコ様式で、東京都の歴史的建造物に選定されており、東京都の選定歴史的建造物の登録標章が本館1階、新宿三丁目交差点付近の外壁に設置されている。

本館とメンズ館の2館を合わせた売場面積は64,296m2である。本館のうち新宿三丁目交差点に面した部分は、隣接していた「ほてい屋」(1926年開業)の建物を1935年に買収したもので、その翌年、各階を接続して本館と一体化された。この際、伊勢丹建築時にほてい屋の吸収を見込んで床の高さを同じ仕様で建築したと言われる。1990年代までは段差が一部あったが、2000年代の改装時に修正されたため現在はその形跡はない。

1965年に閉店した新宿丸物を買収し、1968年、その跡地に「男の新館」(後のメンズ館)を開業した。

メンズ館(ISETAN MEN'S)は、従来の「男の新館」に大改装を施し2003年9月にリニューアルオープンしたものである。メンズ館の成功により「紳士服は売れない」という百貨店業界のジンクスを破った[14]。百貨店業界において購買層としては二の次とされていた男性客、とりわけ若年男性層を百貨店の新たなターゲットとして獲得することに成功し、これに触発された阪急百貨店(うめだ本店別館HEP NAVIO)や名鉄百貨店本店でもメンズ館をオープンし追随するなど、日本の百貨店業界に影響を与えた。札幌丸井今井のメンズコーナーは同じフォントで「marui men's」のアドサインと包装を使っている。

パークシティイセタン1・2・4・5(計4館)と伊勢丹会館、パークウェストなど、別館を数多く持つ。伊勢丹会館はメンズ館西側の靖国通り沿い、パークウェストは新宿マルイメンの東側に位置する。隣接するタクシー乗り場は国際自動車およびkmグループ専用。またケイエム観光バスが新宿店とパークシティ駐車場を結ぶ無料送迎バス「伊勢丹シャトルコーチ」を運行している。

2006年時点での年間来店客数は約3千万人に及び、国内6位から8位であった[15]2008年6月14日には東京メトロ副都心線が開業し、最寄り駅の新宿三丁目駅が東武東上線西武池袋線と直通(2013年3月16日には東急東横線とも直通)した。

2008年9月3日には、10代女性を取り込んだ「Isetan Girl」を地下2階にオープン。その後、2013年3月6日のリモデルにより2階へ移転した。

立川店 編集

 
立川店

浦和店 編集

 
浦和店
  • 埼玉県さいたま市浦和区高砂1-15-1(JR浦和駅西口)
  • 1981年4月22日開店。浦和駅西口に浦和コルソと一体で建設され、全2棟のうち1棟全てと、もう1棟のうち2フロアを当店が使用する。売場面積30,138m2
  • 浦和レッズの本拠地として、2006年(平成18年)Jリーグ優勝の際に優勝セールを行った。また応援感謝祭なども定期的に行っている。
  • 周囲に高級住宅街がある文教地域で、伊勢丹ブランドの店では本店やジェイアール京都伊勢丹に次ぐ売上高(2022年度:374億円)となっている。市内最大の繁華街大宮エリアにある、高島屋(2022年度:テナントを除いて75億円)やそごう、(2022年度:282億円)、大宮マルイ(2022年度:64億円)といった百貨店を抑えて、さいたま市・埼玉県で最も売上高が大きい[16]

グループ企業店舗 編集

国内百貨店 編集

 
静岡伊勢丹
  • 株式会社静岡伊勢丹
    静岡県静岡市葵区呉服町1-7(JR静岡駅北口徒歩15分)
    田中屋百貨店。1971年11月28日に提携により「田中屋伊勢丹」へ店名変更し、1981年3月に「静岡伊勢丹」へ社名変更。
 
新潟伊勢丹
 
ジェイアール京都伊勢丹
 
JR大阪三越伊勢丹

海外店舗 編集

  • 上海梅龍鎮伊勢丹中国、上海梅龙镇伊势丹百货有限公司) 
    地下鉄2号線南京西路」下車3分 梅龍鎮広場内。
    開業1997年6月。地上7階建、15,000m2
    2010年3月、富裕層女性にターゲットを絞り込み、中国初のライフスタイル提案型店舗にリニューアル実施[17]
  • 天津伊勢丹 (中国、天津伊势丹有限公司)
    • 南京路店 - 地下鉄1号線3号線営口道」下車、現代城内 吉利大廈。開業1993年。2006年移転。地下1-地上7階。32,000m2。しかし2024年2月閉店予定。
    • 浜海店 - 天津経済技術開発区。開店2013年1月18日。地下1-地上4階。22,000m2。しかし2024年2月閉店予定。

過去に存在した店舗 編集

国内百貨店 編集

 
吉祥寺店(F&FビルB棟。2010年3月14日閉店)
  • 八王子店
    東京都八王子市横山町甲州街道沿い。地下1階-地上7階、延床面積6,645m2.
    売場面積 4,814㎡[19]
    1969年(昭和44年)9月13日開店。
    1979年(昭和54年)2月13日閉店[20]店舗の建物はのちに解体された。[要出典]
    1986年(昭和61年)4月25日に外商拠点「伊勢丹八王子ギフトショップ」売場面積300m2を八王子市東町に開設。[要出典]
    1999年(平成11年)「伊勢丹八王子ギフトショップ」を閉店。跡地はすかいらーく系の外食店舗となった。[要出典]
    2013年1月26日、セレオ八王子北館2階に「イセタンミラー」(ラグジュアリー・コスメ・ショップ)3号店を出店。売場面積約310m2の小型サテライト店舗ではあるが、1979年の伊勢丹八王子店閉店以来、34年ぶりに八王子への事実上の再進出となった。[要出典]
 
松戸店(松戸ビルヂング店舗棟(写真右側)。2018年3月21日閉店)
  • 松戸店
    千葉県松戸市松戸1307-1 松戸ビルヂング(JR・新京成線松戸駅西口徒歩5分)
    1974年(昭和49年)4月19日開店。本館は12階建て(12階は屋上)・新館は9階建てで売場面積は33,109m2。新館は旧長崎屋松戸店の建物を取り壊した跡地に建設され、1995年(平成7年)オープンした。松戸駅西口からやや離れた場所にある。松戸駅から伊勢丹まで続く道路は2002年(平成14年)に「伊勢丹通り」と名づけられ、通りにある店舗で「伊勢丹通り商店会」を構成していた。
    2016年9月、今後2 - 3年のうちに営業赤字が改善しない場合の閉店を検討していることが明らかになり[21]、松戸市が支援策を検討したものの同市議会で否決され見送りとなった事情もあり、2018年3月21日閉店。44年間の歴史に幕を閉じた[22]
    跡地については新たに商業施設が入居する予定とされ[23]、松戸ビルヂングが2018年11月28日、地域密着型の新たな商業施設「キテミテマツド」を2019年4月に開業する予定を発表し[24]2019年4月13日開業した。合わせて「伊勢丹通り」は「きてみてまつど通り」、商店会も「きてみてまつど通り商店会」へ改称した。[要出典]
 
相模原店(写真は本館。A館とB館は2016年2月1日閉店、本館は2019年9月30日閉店)
 
府中店フォレストサイドビルのキーテナント。2019年9月30日閉店)
  • 株式会社高崎伊勢丹
    群馬県高崎市
    旧「藤五百貨店」。1969年より業務提携。1973年6月1日より「藤五伊勢丹」に店名変更し、1982年3月3日より「高崎伊勢丹」に社名変更。1985年8月4日閉店。
 
小倉伊勢丹(2008年3月25日閉店。同年4月1日より「コレット井筒屋」として営業)
  • 岩田屋伊勢丹
    熊本県熊本市中央区桜町3-22 (熊本交通センター隣)
    1973年(昭和48年)10月岩田屋との提携。熊本交通センターとの合弁により「岩田屋伊勢丹ショッピングセンター」開業。1974年7月百貨店化。1993年(平成5年)3月、伊勢丹が資本を引き上げ「熊本岩田屋」に社名変更。2003年2月11日閉店後、阪神百貨店との提携で、「くまもと阪神」を経て、県民百貨店になるも、2015年(平成27年)2月28日閉店。

海外店舗 編集

  • 上海華亭伊勢丹
    中華人民共和国上海市淮海中路527号
    中国本土1号店として1993年6月に開店。売場面積7,500m2。2008年12月16日閉店。
  • 瀋陽伊勢丹 (中国 沈阳伊势丹百货有限公司)
    中華人民共和国遼寧省瀋陽市和平区。瀋陽駅前。開業2008年2月、2013年3月閉店。
  • 済南伊勢丹 (中国 济南伊势丹百货有限公司)
    中華人民共和国山東省済南市歴下区泉城路268将軍広場
    2005年7月4日設立。伊勢丹とイセタン(シンガポール)合弁。2005年9月24日開店。地下1階事務所、地上1-6階店舗で賃貸入居[41]。2007年9月23日閉店。売上予算を達成できず、5億円の赤字だった[42]
  • 香港伊勢丹
    • 尖沙嘴(チムサーチョイ)店:香港九龍尖沙咀彌敦道20 喜来登酒店(シェラトン・ホテル)内。2,400m2。1973年5月開店。
    • 香港仔店 : 2,300m2。1987年1月開店。[43]
    香港返還前後の地価高騰により家賃負担が経営圧迫。1996年閉店。跡地にはアニエス・ベーが出店。
 
台湾高雄伊勢丹(2008年3月閉店。現在は「大立百貨」として営業)
  • 大立伊勢丹百貨公司(台湾
    台湾高雄市前金區五福三路59號 売り場面積16,500m2
    1991年4月設立。大統百貨企業との合弁。1992年11月開店[44]。2008年3月31日閉店。契約期間満了に伴い合弁関係を解消。店舗は大立百貨公司(ターリー・パイホワ・コンスー)として存続。
 
タイバンコク伊勢丹(セントラルワールド棟。2020年8月31日閉店)
  • バンコク伊勢丹タイ
    1992年4月8日開店。2020年8月31日閉店。
  • シンガポール伊勢丹
    ハブロック店 - 1993年5月、シンガポール伊勢丹スコッツ店オープンに伴い閉店。
    • オーチャード店 - 2021年3月閉店
    • カトン店 - 2021年3月閉店
  • ロンドン伊勢丹イギリス
    1989年8月開店。2000年12月閉店。日本人観光客向けギフトショップ。500m2
  • ウイーン伊勢丹オーストリア
    Maysedergasse4 1010 Wien Austria
    1990年4月開店。2003年8月閉店。日本人観光客向けギフトショップ。300m2
    1993年以降黒字だったが、2001年アメリカ同時多発テロ事件以降、観光客が減ったため撤退[45]

出店中止 編集

横浜店
バブル景気のさなか、そごう横浜店(横浜そごう)の隣接する駐車場に出店する計画があった。その後、伊勢丹に代わり三菱倉庫横浜ベイクォーターとして開発し、2006年(平成18年)8月24日に開店した。
2000年(平成12年)7月のそごう破綻の際に前述の店舗を取得して出店する計画があったが、そごうが西武百貨店包括業務提携したことにより計画は消滅した。
その後、相鉄ジョイナス(ライバル企業の髙島屋も出店)に関連会社のクイーンズ伊勢丹が出店。
千葉店
古くは地場百貨店の田畑百貨店との業務提携があったが、同社が火災にあって以降、西武百貨店と提携して、後に千葉パルコへ業態転換したので提携は解消された。他にも千葉中央ツインビル千葉駅西口再開発ビルの核テナントとしての出店計画などで千葉進出を何度も目論んでいたが[46]、後者に関しては千葉駅西口再開発計画が頓挫したことにより、いったん白紙化。
その後、前述の横浜同様にそごう破綻の際にそごう千葉店(千葉そごう)を取得して出店する計画があったが、横浜店と同様の理由で出店計画が消滅した。
お台場店(東京都港区
住友商事が中心となって建設する商業施設の核テナントとして出店計画が進められていたが、バブル崩壊による業績低迷により1993年(平成5年)に正式に断念。メインバンクより、当時お台場店と併行して計画を進めていたジェイアール京都伊勢丹とどちらか一方に絞るように圧力があったことも理由の一つと言われている。予定地には、1996年(平成8年)7月12日デックス東京ビーチが開店した[47]
北千住店(東京都足立区
北千住駅前の再開発にあたって、三越そごう、北千住発祥の東武鉄道傘下の東武百貨店イトーヨーカドー系列のロビンソン百貨店などが出店を争ったが、伊勢丹も出店を検討していた[48]。結果、区の判断で「千住ミルディス」には丸井2004年(平成16年)2月27日に開業した。
このほか、首都圏での知名度や存在感が課題だった大丸も出店を検討した。しかし、札幌店開設を優先し、入札に参加しなかった。
岡山店(岡山駅前)
ザ ハヤシバラシティの百貨店棟への出店計画があったが、地価の下落や林原グループの経営破たんにより、計画は自然消滅し、2014年(平成26年)11月イオンモール岡山が出店した。[要出典]

三越との提携 編集

2008年(平成20年)4月1日に、三越とともに、株式移転により純粋持株会社「株式会社三越伊勢丹ホールディングス」を設立し、両社はこの持株会社の傘下となって経営統合した[49]

株式交換比率は伊勢丹株1株に対し三越株0.34株である。三越と伊勢丹の経営統合は、三越の長期低迷に危機感を持っていた三井住友銀行が三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)を通じて伊勢丹側に持ちかけたとされる。[要出典]統合にあたっては、伊勢丹が統合持株会社の交換比率で優位であり、統合会社の初代執行役員は伊勢丹になることが内定した。

伊勢丹側が主導権を握ることが確実になったことにより、伊勢丹が代表総合幹事店の全日本デパートメントストアーズ開発機構 (ADO) 加盟店との競合などを含め、混乱が予想されていた。これに関し、地方では以前からADOと三越系との重複加盟もあったため、三越が伊勢丹と合同の三越伊勢丹や新潟三越伊勢丹、丸井今井や岩田屋と合同の札幌丸井今井三越岩田屋三越についてはそれぞれADOに加盟した。その後、ADOは2020年3月をもって解散したため、加盟していた各社との関係よりも三越との関係を優先する形となっている。

伊勢丹は旧三菱銀行時代以来、メインバンクである三菱UFJ銀行出身者を役員に複数登用するなど同行との関係が歴史的に深く、旧・三井財閥系の三井グループである三越との経営統合とどう影響し合うか注目されたが、結局は三井グループの二木会に加盟した。

伊勢丹が日本で初導入したブランド 編集

「ファッションの伊勢丹」の名前通り、伊勢丹は世界各国のブランドを日本に初めて紹介し、独占販売したブランドが存在する。ここで紹介するブランドは、現在も販売されているものも存在する。

婦人服

関連会社 編集

かつての関連会社 編集

提供番組 編集

テレビ 編集

ラジオ 編集

伊勢丹を扱った作品 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1985年12月、静岡伊勢丹で確認。[要出典]

出典 編集

  1. ^ https://www.facebook.com/asahicom+(2023年5月9日).+“伊勢丹新宿本店、過去最高の売上高 ブランド品など高額消費が牽引:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2023年5月27日閲覧。
  2. ^ 各店舗に設置されている銘板や、新宿店本館屋上の看板、株券、社債で用いられている。
  3. ^ 伊勢丹元社長の小柴和正氏が死去 「ファッションの伊勢丹」を打ち出す”. WWD JAPAN.com (2019年6月25日). 2020年2月19日閲覧。
  4. ^ 伊勢丹の紙袋、半世紀ぶり一新 チェック柄大きく明るく 朝日新聞デジタル、2013年9月20日
  5. ^ a b c 橋口敏男『新宿の迷宮を歩く』平凡社平凡社新書〉、2019年。ISBN 9784582859126 
  6. ^ 伊勢丹、小倉撤退へ 井筒屋 完全子会社化し入店”. 西日本新聞 (2007年12月25日). 2008年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月25日閲覧。
  7. ^ a b 伊勢丹新宿店
  8. ^ Isetan Shinjuku Official website(三越伊勢丹)
  9. ^ a b https://www.facebook.com/asahicom+(2023年5月9日).+“伊勢丹新宿本店、過去最高の売上高 ブランド品など高額消費が牽引:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2023年5月28日閲覧。
  10. ^ 伊勢丹新宿本店-クイーンズ伊勢丹”. 2023年8月27日閲覧。
  11. ^ 全国のグルメが大集合!伊勢丹新宿店で11月10日(水)~「フードコレクションオールスターズ」開催 三越伊勢丹プレスリリース、2021年11月8日、PR TIMES
  12. ^ 日経MJ』第6884号、2022年8月24日、1面。
  13. ^ フロアガイド 伊勢丹新宿店
  14. ^ 三越伊勢丹とは|事業と仕事|株式会社三越伊勢丹 新卒採用情報”. www.imhds.co.jp. 2020年2月19日閲覧。
  15. ^ 伊勢丹 企業活動レポート2006「伊勢丹本店は、新宿駅から最も離れた場所に立地しているにもかかわらず、年間約3千万人ものお客さまにご来店いただいております。」[リンク切れ]
  16. ^ 日経MJ』第6884号、2023年8月23日、2面。
  17. ^ 日本貿易振興機構2010.3[リンク切れ]
  18. ^ (三越伊勢丹 ブランド力の神髄 2015, pp. 108)
  19. ^ a b c d e f 『伊勢丹百年史』. 株式会社伊勢丹. (1990年3月4日) 
  20. ^ “八王子店閉店 伊勢丹”. オール大衆 1979年3月15日号 (経済通信社) (1993年4月).pp69
  21. ^ 判明!これが三越伊勢丹の「閉店リスト」だ 三越千葉に伊勢丹松戸・相模原・府中店も視野”. 東洋経済新報社 (2016年9月7日). 2016年9月14日閲覧。
  22. ^ 千葉の伊勢丹松戸店、21日閉店 街づくり方向性見えず」 日本経済新聞電子版、2018年3月21日、2020年2月18日閲覧。
  23. ^ 再出発へ入店交渉 来年4月の開業目指す 伊勢丹跡地 松戸 千葉日報、2018年4月27日、2020年2月16日閲覧。
  24. ^ 「松戸・伊勢丹跡に新商業施設」 日本経済新聞、2018年11月29日(朝刊首都圏経済面)、2018年11月30日閲覧。
  25. ^ 相模大野駅周辺のまちづくり”. 相模原市. 2022年11月13日閲覧。
  26. ^ 伊勢丹相模原店が閉店 あのドラマの舞台が...”. Jタウンネット. 2023年4月23日閲覧。
  27. ^ 伊勢丹相模原店公式ブログサイト at the Wayback Machine (archived 2016-08-27)
  28. ^ 『るるぶ情報版 相模原市』(2010)
  29. ^ 大規模小売店舗立地法に基づく廃止の届出”. 相模原市. 2022年11月13日閲覧。
  30. ^ 伊勢丹相模原店A館跡地に「高層マンション」19年完成へ。旧B館は雑居ビルに転用”. 東京都町田市の地域情報サイト 変わりゆく町田の街並み (2016年7月1日). 2021年8月19日閲覧。
  31. ^ a b 「三越伊勢丹、傘下の3店舗を閉鎖 新潟三越も」日本経済新聞、2018年9月26日、2020年2月16日閲覧。
  32. ^ 跡地の有効利用課題に 伊勢丹相模原店30日閉店 日本経済新聞、2019年9月26日、2022年10月30日閲覧。
  33. ^ 伊勢丹相模原店 29年の歴史 9月30日に幕 「閉店後」にも関心高まる タウンニュース さがみはら南区版、2019年9月26日号、2022年10月30日閲覧。
  34. ^ 29年の歴史に幕、惜しむ客 伊勢丹相模原店が閉店 カナロコ、神奈川新聞社、2019年9月30日、2022年10月30日閲覧。
  35. ^ 【営業最終日】相模大野駅の「伊勢丹 相模原店」9/30(月)閉店。29年の歴史に幕 東京都町田市の地域情報サイト 変わりゆく町田の街並み、2019年9月30日、2022年10月30日閲覧。
  36. ^ 相模原市の伊勢丹跡地、野村不動産に売却 日本経済新聞、2020年2月3日、2020年2月16日閲覧。
  37. ^ 「旧百貨店を1万5000m2も再利用してCO2削減、野村不の超高層マンション」 日経クロステック、日経BP、2021年12月6日、2022年10月30日閲覧。
  38. ^ 伊勢丹跡地「超高層マンション」41階建てで建設へ 外壁デザインで「圧迫感」低減 相模原町田経済新聞、2022年2月25日、2022年10月30日閲覧。
  39. ^ プラウドタワー相模大野クロス”. 2023年6月25日閲覧。
  40. ^ 旧伊勢丹府中店跡地にノジマの商業施設開業 日本経済新聞、2021年5月20日、2021年5月30日閲覧。
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  42. ^ レコードチャイナ2007.8.15[リンク切れ]
  43. ^ 日興リサーチセンター『香港―経済・産業・主贅企業の概要』1993年12月
  44. ^ 福岡国際大学『台湾における小売業の進展と課題』
  45. ^ 伊勢丹・報道関係資料2003.3.14[リンク切れ]
  46. ^ (三越伊勢丹 ブランド力の神髄 2015, pp. 110)
  47. ^ 武藤吉夫『お台場物語』日本評論社、2003年。ISBN 9784535583627[要ページ番号]
  48. ^ (三越伊勢丹 ブランド力の神髄 2015, pp. 110)
  49. ^ 株式会社伊勢丹と株式会社三越との共同持株会社設立による経営統合に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)株式会社伊勢丹、株式会社三越、2007年8月23日。 オリジナルの2007年9月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20070928060021/http://www.isetan.co.jp/icm2/jsp/isetan/financial/news_pdf/070823_news_japanese.pdf2015年4月19日閲覧 
  50. ^ 1975年5月2日付(掲載新聞不明)の伊勢丹の広告。左端に「きょう夜7時より 伊勢丹提供TV番組・ラ・セーヌの星 毎週金曜日 8 フジテレビ」と書かれていた。

参考文献 編集

  • 創業100周年記念事業社史編纂実行委員会『新世紀への翔き 伊勢丹100年のあゆみ』伊勢丹、1986年。 
  • 大西 洋『三越伊勢丹 ブランド力の神髄』PHP研究所、2015年5月1日。 

関連項目 編集

外部リンク 編集