ゴジラvsビオランテ

日本の映画(ゴジラシリーズ)
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ゴジラvsビオランテ』(ゴジラたいビオランテ、または、ゴジラ ブイエス ビオランテ)は1989年12月16日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第17作である。カラー、ビスタビジョン、ドルビーステレオ[2][1]。観客動員数は200万人[2]

ゴジラvsビオランテ
Godzilla vs. Biollante[1]
監督
脚本 大森一樹
原案 小林晋一郎
製作 田中友幸
出演者
音楽
撮影
編集 池田美千子
製作会社 東宝映画
配給 東宝
公開 日本の旗 1989年12月16日
上映時間 105分[出典 1]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 7億円[4]
配給収入 10億4000万円[5][2]
前作 ゴジラ
次作 ゴジラvsキングギドラ
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キャッチコピーは「超ゴジラ それはゴジラ細胞から生まれた![6]」「'90年正月映画日本代表[6]」「勝った方が人類最大の敵になる」など[注釈 1]

入場者プレゼントはゴジラスタンプ(全4種)[8]

概要編集

平成ゴジラシリーズの原点となる前作『ゴジラ』(1984年)の直接の続編[出典 2]。平成ゴジラシリーズ(VSシリーズ)の第1弾でもある[出典 3]

本作品では原案が一般公募されたほか、特技監督川北紘一、脚本と監督には『ヒポクラテスたち』などの大森一樹、音楽に「ドラゴンクエストシリーズ」などのすぎやまこういちを起用するという、それまでの怪獣映画にない新たな息吹を取り入れようとした意欲作でもある[出典 4][注釈 2]。また、劇中で伊福部昭の楽曲が『メカゴジラの逆襲』以来15年ぶりに使用されている[13](アルバム『OSTINATO』[注釈 3]より「ゴジラ・タイトル」、「ゴジラ対特車隊」、「怪獣大戦争マーチ」の3曲を流用[14])。

ゴジラやビオランテに襲撃される主な舞台として前述の芦ノ湖のほか、伊豆大島大阪若狭湾が登場する[13]。大阪にゴジラが出現するのは、『ゴジラの逆襲』以来34年ぶりであった[13]

本作は、以降のVSシリーズでメインキャラクターとなる超能力者・三枝未希の初登場作品でもある。演じる小高恵美は東宝シンデレラ第2回グランプリであり、第1回グランプリの沢口靖子が演じる英理加が冒頭に死亡して彼女の場面に移るという展開は、第1回から第2回への女優のバトンタッチを意識した演出となっている[15]。また、本作はミニチュアセットですべての市街地を再現した最後のシリーズ作品でもあり、次作『ゴジラvsキングギドラ』以降はCGによる描画が増えていくこととなる[16]。クランクインについては、脚本の完成が遅れていたことから1989年9月までずれ込み、タイトなスケジュールでの撮影となった[17]

物語の展開はいわゆる子供向け怪獣映画とは一線を画しており[注釈 4]、ゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対自衛隊」のそれに軸足を置いている[3]。ゴジラ(略して「G」と呼称)は「特殊災害」と規定され、4段階の警戒態勢が設けられている。放射熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」や、ゴジラのエネルギー源である核物質を食べるバクテリアから作られた「抗核エネルギーバクテリア」 (ANEB) など、先端技術を投入して開発された対G用の超兵器に加え、未希の超能力も自衛隊の戦力として運用されている。劇中に登場する自衛官は役者(エキストラ)だが、登場する自衛隊車両(ジープ・73式大型トラック・自走砲・戦車など)はすべて現役の自衛官が操縦していた[注釈 5]

作品内容については完成度の高さが評価されたが、興行収入は前作を下回った[出典 5]。制作費は十分に回収できたことからシリーズは続行することとなったが[4]、この結果を受けて次作以降は新怪獣ではなく人気怪獣を再登場させ、内容もエンターテイメント性を重視したファミリー向け娯楽路線に方針変更されることとなった[出典 6][注釈 6]

1994年公開の『ゴジラvsスペースゴジラ』は、敵怪獣・スペースゴジラの誕生の理由にビオランテが可能性の1つとして挙げられるうえ、権藤一佐の妹や親友が登場するなど、本作との関連が高い。また、ゴジラの細胞またはそれの持つ性質から新怪獣が誕生するという要素は『VSスペースゴジラ』だけで終わらず、後年の『ゴジラ2000 ミレニアム』や『シン・ゴジラ』などの作品にも、細かな設定の違いを見せながら継承される形となっている[注釈 7]

ストーリー編集

1985年ゴジラ襲撃から一夜明けた新宿では、自衛隊が廃墟内の残留放射能検査やスーパーXの回収をすすめる一方、ゴジラの体の破片を回収する作業が行なわれていた。その最中、米国のバイオメジャーG細胞の採取に成功、自衛隊に発見され銃撃戦となる。辛くも逃げ切った彼らだが、サラジア共和国のサラジア・シークレット・サービス工作員のSSS9によって全員射殺されG細胞も彼の手に渡る。サラジア共和国に運ばれたG細胞は、白神博士の研究室で小麦などの作物と融合させ、砂漠でも育つ植物を生む実験に使用されていた。しかし、G細胞争奪戦に敗れたバイオメジャーの策略で研究室は爆破され、白神博士はG細胞と共に最愛の娘・英理加を失う。

それから5年後、三原山内において再び活動を開始したゴジラに備え、国土庁はG細胞に含まれる核物質を食べる遺伝子を利用した抗核エネルギーバクテリア (ANEB) の必要性を強く認識したが、科学者の桐島は、それが核兵器を無力化する兵器にもなり、世界の軍事バランスを崩す引き金になるのではという危惧を抱いていた。しかし、日に日に活動を活発化させるゴジラに対抗し得るものとして、自衛隊の黒木特佐はその開発のために白神博士の協力を仰ぐ。一度は断った白神だが、G細胞を1週間借り受けることを条件にANEB開発への協力を承諾する。

数日後、芦ノ湖に巨大なバラのような姿の怪獣が現れる。それは白神が娘の遺伝子を融合させたバラの命を救うために組み込んだG細胞の影響によって急激な異常進化を遂げた怪獣ビオランテであった。

同じ頃、バイオメジャーによる、ANEBの引渡しを求める脅迫文が首相官邸に届く。応じぬ場合は三原山を爆破させゴジラを復活させるというその内容に、桐島と自衛官の権藤は引渡しに応じるが、SSS9によりANEBは奪われ、さらに爆破された三原山からはゴジラが復活してしまう。

ゴジラは浦賀水道で護衛艦やスーパーX2と交戦し、これを撃退。続いて小田原へ上陸し、芦ノ湖でビオランテと対決する。ビオランテのさまざまな攻撃に苦しむゴジラだったが、放射能熱線によってビオランテを倒し、駿河湾へ消える。

対G作戦の指揮を任された黒木は、その後ゴジラがエネルギー補給のために若狭湾の原発群へ向かうと予想。最短経路の名古屋を通るとして伊勢湾に戦力を集結させるが、予想に反してゴジラは紀伊水道から大阪に向かっていた。裏をかかれた黒木はスーパーX2のみを大阪に、残りの戦力を若狭湾へ向かわせてゴジラを迎え撃つ作戦へ変更する。

一方、桐島と権藤はサラジアのアジトが大阪にあることを知り、ANEB奪回に向かう。刻一刻とゴジラの上陸が迫る中、奪回に成功した権藤はそのままANEBをゴジラに撃ち込む準備へと入った。そしてゴジラはついに大阪市に上陸する。

スーパーX2と権藤という大きな代償を払いながらも、ANEBの撃ち込みは成功するが、14時間近くを経過してもその効果は現れず、ゴジラは若狭湾を目指す。桐島の「ゴジラの体温が低いためにANEBの活性化が抑えられているのではないか」という仮説を受けて、黒木は若狭にサンダーコントロールシステムを設置し、人為的な落雷によってゴジラの体温を上げる作戦を立案する。

作戦のさなかでようやくANEBは効力を発揮し始めるが、ゴジラの進行は止まらない。高浜原発に緊急態勢が発令され緊張が高まる中、ゴジラの前に成長してさらなる進化を遂げたビオランテが出現した。

登場怪獣編集

ゴジラ
ビオランテ

登場人物編集

桐島 一人きりしま かずと[23]
筑波生命工学研究所の若きエースである研究員[23]。35歳[23]
抗核エネルギーバクテリアの開発や大河内誠剛が進めようとしている世界中のVIPや有名人の細胞を冷凍保存するバイオバンクのプロジェクトを危惧している[23]マサチューセッツ工科大学からの招聘を受けており、受け入れようとしていたが、結局断る。慎重な性格だが、奪われた抗核エネルギーバクテリアを取り戻すために権藤と奔走したり、白神を射殺したSSS9を追って格闘戦を繰り広げるなど、行動的な部分も持つ。
ノベライズ版では英理加に好意を抱いていたが、英理加を誘うたびに英理加が明日香を連れてやって来て、いつしか明日香の方と仲良くなってしまったという設定。
  • 演じた三田村邦彦は、脚本では役の立ち位置がわかりづらく、最終的には監督の大森一樹の演出を信じて演じたと述べている[24]
  • バーのシーンでは、スタッフの遊び心により三田村が当時CMを担当していたビールを飲んでいる[24]
大河内 明日香おおこうち あすか[25]
精神開発センターの研究員で、桐島の恋人[25]。28歳[25]
政財界の重鎮・大河内誠剛を父にもつ[25]。白神英理加は親友だった[25]。父の財団のプロジェクトを巡って、桐島とは少々溝が開いてしまっていたが、次第に関係を取り戻していく。愛車は三菱・パジェロで、桐島と共用している。穏やかさと、ゴジラを足止めする危険な任務に挑む未希を見守るために、単身で関西国際空港建設基地に残留する勇敢な一面を併せ持つ女性である。
黒木 翔くろき しょう[26]
防衛庁特殊戦略作戦室室長[26]。三等特佐。26歳[26]
防衛大学を首席で卒業し、スーパーX2の運用ならびに陸・海・空・全自衛隊を指揮する。若さゆえの粗もあるが、上官に対しても物怖じしない胆力や、三枝未希の超能力をも作戦に活用するなど柔軟な頭脳を持ち、手段を選ばない大胆な戦術・戦略でゴジラを追い詰める。終盤ではSSS9をTCシステムで蒸発させるなどの機転も見せる。
vsデストロイア』では、スーパーXIIIの機長として再登場する。
ノベライズ版でも工作員が乗ったスパイ機をサンダービームで撃墜する。坂井孝行によるコミカライズ版では続く『vsキングギドラ』から『vsデストロイア』までの全ての作品に登場している。
  • 脚本第3稿では、三佐と設定されていた[27]
  • 脚本を担当した大森一樹は、執筆段階では配役に古尾谷雅人をイメージしていた[28]
三枝 未希さえぐさ みき[29]
大河内明日香の勤める精神開発センターに所属する少女[29]。三原山上空からゴジラの活動を感知したり、大阪湾でゴジラの動きを一時的に足止めするなど、強い超能力を持つ。しかし、大阪湾でゴジラを足止めする際にかなりのエネルギーを使い果たして失神してしまう。終盤ではビオランテの出現を予測しその事を桐島たちに伝えた。
本作の後も続く『vsキングギドラ』から『vsデストロイア』までのVSシリーズのほか、『怪獣プラネットゴジラ』にも登場している。
漫画版『ゴジラ1990』では、84年のゴジラ襲撃時に両親を失っていることが描かれている[30]
  • 演じる小高恵美は、監督の大森から参考資料として映画『キャリー』を観るよう指示されたという[31]。演技にあたっては、生活感を出さず神秘的に見えるよう心がけたと述べている[31]
  • 大森によれば、本作品の後に企画されていた『モスラVSバガン』にゴジラシリーズとの接点として未希の登場が予定されており、企画は没になったがその名残として以降のVSシリーズに未希が登場することになったという[28]
SSS9スリーエスナイン[32]
サラジア共和国の工作員[32]。コードネームは「サラジア・シークレット・サービスの9番目」という意味。G細胞と抗核エネルギーバクテリアをめぐり暗躍するが、白神を殺害後に桐島と格闘の末、黒木がサンダーコントロールシステムで発生させた人工の落雷により蒸発する。
山本やまもと[10][注釈 8]
スーパーX2の開発スタッフである、自衛隊技術部長[34]。完成したスーパーX2の性能を自信満々に黒木や権藤へ説明するが、初戦でゴジラに敗退してしまったことで肩を落とし、技術力の限界を痛感する。
大和田 圭子おおわだ けいこ[35]
内閣官房長官[35]。首相官邸に権藤と大河内を呼び、三原山からゴジラを復活させないためにバイオメジャーの取引に応じて抗核バクテリアを引き渡すように依頼する。
  • 脚本第3稿では、大和田圭介という男性であった[27]
山地やまち[36]
自衛隊統幕議長[36]。情報操作や大都市への被害も厭わない黒木の大胆な作戦展開に不満を漏らし、激昂するなど黒木と対立する場面もあったが、ラストシーンでは意外な表情を見せる。若狭でのサンダービーム作戦では自ら陸上幕僚長とともに対ゴジラの前線で指揮を執る。
小山 実こやま みのる[37]
防衛庁長官[37]。日本の原発の3分の1が集中する若狭へのゴジラ進攻を危惧する。
竹田たけだ[38]
科学技術研究部長[38]。若狭湾でのサンダービーム作戦では責任者を務める[38]
  • 脚本第3稿では、竹田義成というフルネームが設定されていた[27]
ジョン・リー[39]
アメリカのバイオメジャーの白人系工作員。コードNo.46762。日本語もかなり流暢に話す。ローと共に白神新植物研究所に侵入し、SSS9やビオランテの触手に襲われるが抗核エネルギーバクテリアに関する資料を盗み出すことに成功する。その後「エイリアン」と名乗り、抗核エネルギーバクテリアの受け渡しを日本政府に要求する。しかし受け渡しの際、SSS9の妨害により射殺される[39]
マイケル・ロー[40]
バイオメジャーの黒人系工作員[40]。コードNo.56594。白神博士の留守中にリーと共に白神新植物研究所に侵入し、抗核エネルギーバクテリアに関する資料を盗もうとしたが、突如出現したビオランテの触手に襲われ死亡[40]
サーハン[41]
サラジア・オイル・コーポレーションの大阪支社長[41]。抗核バクテリアを持ち出そうとしていたところにやってきた桐島と権藤に殴られ、抗核バクテリアを奪還されてしまう。
アブドール・ザルマン[42]
サラジア生物工学研究所所長[42]。白神に対しては、1985年時にスポンサーとして友好的に接していたが、彼がサラジアを離れて日本で抗核エネルギーバクテリアを開発したことを知り、SSS9に白神の暗殺を命じる。
デーモン小暮[43]
本人役。生放送のTV番組に出演していたが、ゴジラ出現の臨時ニュースを流すために番組が中断し、視聴者にニュースを聞くよう訴える。
白神 英理加しらがみ えりか[44]
白神博士の娘[44]。明日香の友人。享年23歳[44]
父の助手としてサラジア生物工学研究所に勤務していたが、バイオメジャーの爆破工作により死亡する[44]。後に細胞がビオランテに組み込まれることになる。本作のラストは彼女のモノローグで締めくくられた。
権藤 吾郎ごんどう ごろう[45]
陸上自衛隊一佐[45]。40歳[45]
自衛隊陸幕調査部から国土庁特殊災害研究会議に出向しているが、本人は「体のいい左遷」と語っており、鬱屈した日々を過ごしている。愛用の腕時計はセイコー ファイブスポーツ(seiko 5126-8090)。事態を他人事のようにとらえた不謹慎かつ呑気な発言が目立つが、冷静な判断力と高い行動力を持つベテラン自衛官。大阪でゴジラにANEB弾を3発(うち1発は口内へ)命中させるが、その直後ツイン21の倒壊に巻き込まれ死亡する。
ゴジラvsスペースゴジラ』には妹の千夏や親友の結城晃が登場している。
  • 脚本を担当した大森は、執筆段階では配役に原田芳雄をイメージしていた[28]
  • 権藤がツイン21の崩落によって死亡するシーンの撮影時、スタッフのミスによってカメラが回っていなかったため、崩落場面を撮り直している[46][47]
大河内 誠剛おおこうち せいごう[25]
明日香の父で、財団法人大河内総研当主[25]。60歳[25]
自らの会社にG細胞を保管している。世界中のVIPや偉人の細胞や精子を冷凍保存する「バイオバンク」プロジェクトを発表し、物議を醸している。ひょうひょうとした人柄だが、プロジェクトに対しては毅然とした態度で臨み、「原爆とゴジラの脅威にさらされた日本が、核兵器を超える抗核バクテリアを作り保有しても決して悪いと思わない」という思想を持つ[25]
白神 源壱郎しらがみ げんいちろう[44]
遺伝子工学の世界的権威[44]。1985年に、サラジアにて砂漠でも育つ植物を開発していたが、G細胞の争奪戦に巻き込まれ娘・英理加を失ったことで科学に失望。日本へ帰国後、芦ノ湖畔に建てた研究所でひっそりと暮らす。
自衛隊から抗核エネルギーバクテリアの開発を依頼され一度は断るが、英理加の細胞を組み込んだバラが瀕死となったことで承諾。その際に預ったG細胞をそのバラと融合させ、ビオランテを誕生させてしまう。物語の終盤、SSS9に撃たれ死亡。
  • 小林源一郎による原案では不知火博士という名称であった[4]

登場兵器編集

架空編集

スーパーX2
92式メーサー戦車
24連装ロケット砲車
83式600mm地対地ミサイル車
92式ペトリオット<改>対Gシステム特車
抗核エネルギーバクテリアこうかくエネルギーバクテリア
略して抗核バクテリア、または抗核菌、英名であるAnti Nuclear Energy Bacteriaの頭文字をとってANEBとも呼ばれる[注釈 9]
G細胞に含まれる、核を食べる遺伝子から作り出された核物質をエネルギー源にするバクテリア。作中ではこれをゴジラの体内に撃ち込んで核反応を抑え込み、エネルギーを奪うことを目的として大河内財団の協力の下で白神源壱郎博士らが開発し、自衛隊が大阪に上陸したゴジラに対し使用した[注釈 10]。その効果はバクテリア弾1発で原発1基分の核反応を抑制できるほどのものだが、当初はゴジラの低い体温のために活性化せず、すぐには作用しなかった。そこでゴジラの体温を上昇させるために「サンダービーム作戦」が実施される。この結果、その後のビオランテとの交戦中にいったんゴジラを昏倒させる。しかし昏倒したゴジラがたまたま海に倒れ込んだことにより体温が下がり効果が一時的に低下。その間に消滅し宇宙へ飛んでいったビオランテを後に、回復したゴジラは海へ帰る。
開発した白神博士が同作内にて殺害されたため[注釈 11]本作以降のシリーズには登場しない。
マイクロウェーブ6000サンダーコントロールシステム
略称はM6000TCシステム[48][27]
実験エリア上空にヨウ化銀を散布して人工的に雷雲を発生させ、稲妻によって発生する高周波により対象物の分子を振動させて加熱する実験システムで、一定の空間を使った超巨大電子レンジと言われる[48][27]。TCシステムは、ソニックビーム車[49][50]と呼ばれる磁場を発生させる巨大なアンテナ車輌と、避雷針のような突起のついた地雷型の電位差発生装置で構成され、ソニックビーム車8輌と電位差発生装置140基で実験フィールドを1つ形成する。電位差発生装置に負の電荷をかけると、上空で帯電しているに対して稲妻が放電され、発生した高周波により対象物が加熱される[51]。その熱エネルギーは、電位差発生装置1基で戦車一台を容易に溶かすほど[49]であり、あくまで科学実験設備でありながら対地兵器と表現する資料もある[49]。このTCシステムの運用には大電力を必要とするため、原子力発電所による電力供給が可能な若狭湾付近に実験場が設けられていた[49]
劇中では、ゴジラの体内に撃ち込んだ抗核エネルギーバクテリアを活性化させるべく、予想以上に低温だったゴジラの体温を上昇させるサンダービーム作戦に使用された。TCシステム自体には武装がないため、作戦エリアまではメーサー戦車による攻撃でゴジラを誘引し、その後もメーサー戦車や戦車・ミサイルなどの攻撃によりゴジラを作戦エリア内に封じ込めた。抗核エネルギーバクテリアの効果が現れるまで時間がかかったため、ゴジラの反撃や、突如として出現したビオランテとの戦闘に巻き込まれて大きな被害を出しながらも、最終的には作戦は成功している。また、白神博士を射殺したエージェントのSSS9に対しても黒木が電位差発生装置を作動させており、人工雷が発生した瞬間にSSS9は消滅した。
撮影用のプロップは、実験エリアの遠近感を強調するためにソニックビーム車・電位差発生装置の両方とも大中小3サイズが作られており、前者のアンテナ部電極板はプリズムテープで表現された[51]。また、電位差発生装置は、本編撮影用の実物大大道具が先行して製作されたため、特撮用ミニチュアモデルが後から合わせて作られた[51]
その他、『月刊コロコロコミック』に掲載されたコミカライズ作品では、『ゴジラvsモスラ』でモスラ幼虫を焼き払うために黒木が使おうとしたり、『ゴジラvsデストロイア』でゴジラを冷却するために、このシステムを応用したPE(ペルチェエフェクト)6000サンダーコントロールシステムが登場している。
ソニックビーム車[49][50]
装軌式の台車の上に巨大な電位相増幅装置を搭載したソニックビーム車(雷電位相増幅機M6000-TCS)と91式特殊牽引索敵レーダー車で構成され、これに電位差発生装置(通称「地雷」)で一つのシステムを構成している。形式記号はPDSS91。所属は陸上自衛隊
  • 全高:30メートル
スーパーサーチライト車(TSL-91)[52]
若狭湾近辺で行われたサンダービーム作戦の支援車両として展開した移動照明車
  • ミニチュアは『モスラ』で使用されたはしご消防車を改造し、はしごのターレットにサーチライト1基を載せたもの[53][54]。その後、ミニチュアは2009年の時点で東宝の倉庫に保管されているのが確認されている[55]

実在編集

自衛隊
バイオメジャー
サラジア・シークレット・サービス

設定編集

G細胞
筑波生命工学研究所
筑波にある桐島が勤めている研究所で、ここで白神と桐島が抗核バクテリアを完成させる。
白神新植物研究所
日本に帰国した白神が神奈川県の芦ノ湖畔に建てた、自宅兼研究所。白神は英理加の遺伝子を移植したバラと共に5年間ひっそりと暮らしていたが、サラジア・シークレット・サービスやバイオメジャーに長期に渡って監視され続けている。
ここで誕生したビオランテと、抗核バクテリアの資料を狙って侵入したSSS9、リー&ローの乱闘によって、所内は荒らされてしまい、最終的に白神の死に伴って閉鎖される。
精神科学開発センター
超能力の研究と訓練を行う機関で、素養を持つ少年少女を多数養成している。創設してから長い活動期間があるらしい。ここの子どもたち全員がゴジラ復活を予知する。
ゴジラvsメカゴジラ』にも登場する。
大河内総研[25]
大河内が総帥を務める財団法人[25]。筑波生命工学研究所に莫大な資金援助を行っている。
東京都内にある本社屋では、地下室に新宿で採取されたG細胞を保管している[25]
国土庁特殊災害研究会議Gルーム
国会で可決された「ゴジラ対策立法」を基に、ゴジラ災害を担当するセクションの中心的な部署。陸上幕僚監部調査部から人員が出向しており、精神科学開発センターをはじめとする各施設と連絡を取り合い、ゴジラに関する情報を集め、ゴジラ復活に備えている。
室長を務める権藤の殉職により解体される[77]
特殊戦略作戦室
対ゴジラ作戦のための特別教育・訓練を受けた自衛隊員で構成される防衛庁の特別部署で、若手隊員らは「噂のヤングエリート集団」と呼ばれている。
次回作『ゴジラvsキングギドラ』に登場する内閣安全保障室Gルームの司令室要員たちもこの部署のシンボルマークを付けている[78]
三友重工
防衛庁と共同でスーパーX2を開発した重工業社。同社の格納庫にスーパーX2が置かれている。
サラジア共和国
中近東の国家。自国の広大な砂漠地帯を緑の穀倉地帯に変えて、ポスト石油の世界戦力の展開を狙っている。諜報機関「サラジア・シークレット・サービス」を有し、裏で遺伝子工学に関するさまざまな工作活動を行っている。
サラジア生物工学研究所
サラジアの砂漠地帯にある世界一の設備を誇るといわれている研究所だが、サラジア・シークレット・サービスの拠点でもある。1985年にバイオメジャーによって白神が勤めていた研究棟が爆破されている。
大阪市街のビルにはサラジア・オイル・コーポレーション、サラジア航空、サラジア航空貨物、といった本国の関連会社の日本支社を持ち、神戸港から週1回日本とサラジアを往復する貨物船を出している。
バイオメジャー
アメリカ遺伝子工学産業大手4社の共同機構で、サラジアの計画を阻止し、遺伝子工学分野での市場独占(食料支配の覇権維持)を狙って、1985年時からサラジア・シークレット・サービス同様、日本にコマンドやエージェントを派遣し、活動させている。

キャスト編集

ノンクレジット編集

スタッフ編集

制作編集

当初の仮題は『ゴジラ2』。前作公開直後に原案を一般公募で募集した結果[注釈 18]、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』の第34話「許されざるいのち」の原案者・小林晋一郎の作品が採用された[出典 8]バイオテクノロジーをテーマにしている点や、同話に登場する合性怪獣・レオゴンと同様に植物と動物の融合怪獣・ビオランテがやはり芦ノ湖に出現するなど、本作には共通する要素も多い。なお、公募された候補のもう1つは、ゴジラが巨大コンピュータと戦い、それが戦車もどきのメカになるという案であったが、1989年公開の特撮ロボット映画『ガンヘッド』が興行的に不振だったことが影響し、却下されている[85]

監督・脚本の大森一樹は、ゴジラシリーズ初の東宝外部監督である[4]。東宝プロデューサーの田中友幸は、城戸賞を受賞した大森の脚本を高く評価していたことから直接面会して脚本を依頼し、第1稿に納得したことで監督も依頼したという[4][28][12]。脚本作りが難航したため、プロデューサーの富山省吾はその間に『恋する女たち』『トットチャンネル』などの監督に大森を起用している[4]

企画自体は前作の直後より動き出していたが、脚本やビオランテのデザインなどが難航し、準備期間は長期に渡った[22]。東宝プロデューサーの富山省吾は、シリーズの方向性を模索していたことと、制作費のかかる作品であるため東宝上層部が慎重であったことなどを理由に挙げている[22]

本作より防衛庁が協力としてクレジットされ、東宝特撮史上最大規模の協力体制が敷かれた[86][注釈 19]。黒木をはじめとする「特殊戦略作戦室」と階級の「特佐」は現実の自衛隊には存在しないものであり、自衛隊の広報より「特殊戦略作戦室なんて組織はありません。特佐なんて階級もありません」と言われ、これを大森が「映画ですから」となだめ、自衛隊側は「今回だけですよ。次回からは自衛隊にある組織と階級で作ってください」と言われたという[87][88]。ただし、これは結果的に成功した設定でもあり、作中で佐官の黒木が中心となってゴジラ攻撃の指揮を執ったり、自衛官の最上位である統幕議長の決定を独断で無視したりする[注釈 20]シーンを「実際の自衛隊では絶対にありえないが、東宝の方で架空の設定を作って頂いて幸いだった」と防衛庁(当時)の広報官が語っている[89]。浦賀水道の戦闘シーンでは、海上自衛隊のPR映画『海、翼、そして明日』から映像を流用している[90]

配役編集

1989年に『黒い雨』で各賞を総ナメした田中好子の出演交渉の際、監督の大森は「(ゴジラ映画も『黒い雨』も)どちらも原爆に関することですから」と語ったという[47]

三枝未希役の小高恵美は、前作の沢口靖子に続き東宝シンデレラから起用された[91]。沢口も別役で続投している[91]

山地統幕議長役の上田耕一は、本作以降『ゴジラ FINAL WARS』までの平成・ミレニアムゴジラシリーズ全作品に出演することになる[91][80]

大和田圭子官房長官役の久我美子は、劇場公開当時の現実世界における官房長官が初の女性である森山眞弓だったことや、久我の夫・平田昭彦(1984年死去)の実母から受けた「息子が好きな映画だったので、あなたも出演しておきなさい」という助言に従い出演した[92]

マンジョット・ベディは、バイオメジャー役を担当した外国人俳優の通訳として収録現場に来ていたところを工作員役として採用された。採用した大森は、オーディオコメンタリーで「外国人キャストはもう少しキチンとキャスティングすればよかった」と語っている[93]

無名時代の鈴木京香が出演したことでも知られる[91]。鈴木は当時大学生で、プロデューサーの富山省吾が鈴木の所属事務所と繋がりがあったことからの出演であった[91]。当時、撮影現場では鈴木の美貌がスタッフの間で噂になっていたといい[91]、主演の三田村邦彦やスタッフとして参加していた白石雅彦は鈴木は当時からオーラを放っていたと証言している[91][24]

特撮編集

特技監督の川北紘一を筆頭に、特撮スタッフの多くは同年公開の『ガンヘッド』から引き継いでいる[94]。スケジュールが短かったことから、撮影途中からチーフ助監督の松本清孝を中心としたB班が組まれ、スーパーX2の発進シーンなどを担当した[95]

川北は、本作品での演出的な挑戦として怪獣の主観映像や実景との合成などを取り入れている[7]。また、ゴジラが戦う場面で風や雨などを演出したのは、黒澤映画の模倣であると述べている[7]

合成作業には複数企業が参加し、日本エフェクトセンターは光線作画、マリンポストはモニター画面など、各社の得意分野で分担する体制となった[96]。川北から合成の相談を受けた東京現像所小川利弘は、合成量が増加し、作業も複雑化していたことから一社ではまかなえないと判断し、各社に依頼し小川が管理を行った[96]

CGも導入されているが、当時はCGのデータをフィルムに起こすことができるソフトがなかったため、プロッターを用いて紙に印刷したCGを撮影してオプチカル合成で着色する方法など、合成自体はアナログ作業で行われた[97]。モニター画面も、ビデオテープに収録したものを再生している[97]

特撮班は1989年8月10日にクランクイン[94]。同日から12日まで御殿場の陸上自衛隊東富士演習場にて、ゴジラが三原山から出現するシーンの撮影が行われた[94]。前作でも同地で撮影が行われたが、前作は富士裾野側、本作品では富士山側にカメラが向けられている[94]。火口部分は、ブルドーザーで盛った土で作られた[94]

8月15日から30日には、東宝スタジオ大プールにてゴジラと自衛隊の戦闘シーンが撮影された[98]。同プールは、本来ホリゾント側が順光になるよう設計されていたが、川北は逆光による演出を狙いホリゾント上にレフ板を並べ水面をきらめかせて撮影を行った[98]。撮影にはクレーンやいかだを用いられたが、いかだが転覆してカメラが使用不能となる事故もあった[98]

8月31日から9月12日には、東宝第8ステージにて芦ノ湖セットの撮影が行われた[99]。従来は第9ステージで特撮の撮影が行われていたが、当時はスペースワールドのイベント映像撮影が行われていたため、第8ステージが使用された[99]。ホリゾントの低さをカバーするためにセット自体が小さく作られ、アオリ気味の演出で巨大感を表現しつつ、スモークで機材が水面に映り込むことを防いでいる[99]

9月17日から10月6には、東宝第2ステージにて大阪ビジネスパークのセット撮影が行われた[100]。美術の大澤哲三は大阪出身であることから、セット制作にはその土地勘が反映されている[99]。舞台が狭いエリア内であることや高層ビルをフレーム内に収められないことなどから、芦ノ湖と同様コンパクトなセットとしつつ、俯瞰撮影を前提としたものとして作られた[100][注釈 21]。河幅は実物よりも広く作られており、ビルの照明を水面に反射させて照明効果を高めている[100]。アオリのシーンは、手前側のミニチュアのみを用いたオープンセットで撮影された[100]

10月12日から18日は、東宝第8ステージでサンダービーム作戦の撮影が行われた[95]。セットは奥行きを持たせるため、バースのついた設計となっている[95]。雨の描写は、消火栓の放水管を潰して水を細かくしており、メーサータンクのアップでは霧吹きを用いている[95]

クライマックスのゴジラとビオランテの対決シーンも第8ステージで撮影された[102]。ビオランテは当初動く予定ではなく、川北の発案によって行われた[102]

若狭の戦闘時間の方が芦ノ湖での戦闘シーンより短く東宝から疑問の声が出た。これは川北紘一が芦ノ湖側の撮影に時間を使い、若狭側の撮影予定を消化しきれずに時間切れとなったためである[103]

大阪のシーンでは、川北が特撮を手掛けたテレビドラマ『東京大地震マグニチュード8.1』のビル破壊シーンを流用している[90]

未使用シーン編集

  • 芦ノ湖でのビオランテ戦は、コマ撮りによる未使用カットも存在する。全高1メートルのミニチュアで撮影された映像そのものの出来は良かったが、実写とコマ撮りのカットのバランスが悪く、結果的に不採用となった。同様に、若狭湾での戦いで倒れたゴジラを飲み込もうとするビオランテの描写も、大胆にもセルアニメによる処理を行ったカットがラッシュに持ち込まれたが、これも不採用となった。監督の大森は「一応は聞いていた」と語っているが、ラッシュを観て大森を含む関係者は唖然とさせられたという。特技監督の川北曰く「柔らかさを表現したかった」という狙いだったらしい。川北本人は会心の出来だったようで、スタッフの反応には非常に落胆していたという。[要出典]
  • この他、芦ノ湖での戦いの後、山にバラが咲き乱れるシーンもあったが[104][11]、バラのスケールが合わないため未使用となった[11]。これらの未使用シーンは、DVDに映像特典として収録されている。
  • 後述のオールナイトニッポンの特番では[出典無効]、採用されたものと異なるシチュエーションで数パターン撮影されていたデーモン小暮の登場する未使用シーンも音声のみ流されたが、こちらはDVDなどの特典にはなっていない。

小説版編集

原案小説編集

出版芸術社から刊行されている『怪獣大戦争(怪獣小説全集 2)』に原案者である小林晋一郎の「ゴジラ対ビオランテ」が収録されている。

ビオランテやそれを生み出してしまう博士のストーリーが異なる他、スーパーX2、三枝未希、抗核バクテリアなどの映画中で重要な要素は登場しない。

また、ビオランテの他に「デューテリオス」という怪獣が登場する。ビオランテを作成する過程で生み出された実験動物で、作中では出来損ないと言われている。魚と獣の合成生物であり、水陸両生、魚の体にネズミのような四肢と尻尾を持つ。研究所から逃げ出したのちに巨大化し、付近の海で船舶を襲っていた。自衛隊との交戦中にゴジラが出現し逃走するが、追撃してきたゴジラとともに横浜港に上陸する。水陸両生だが長い間陸上にはいられず、次第に弱っていき最後にはゴジラに捕食される。

デューテリオスという名称は、「重ねる」という意味で重水素(デューテリウム)から取られている[105]。映画には未登場だが小林自身によるラフスケッチも存在し、魚類と爬虫類の中間生命としてデザインされている。

「ゴジラ対ビオランテ」の佳作選出が決まった後、プロデューサーの田中友幸は、小林に応募作をもとにした長めのプロットの執筆を依頼した[106]。第2稿ではデューテリオスの登場がなくなり、替わりにアメリカと中東の産油国の間で繰り広げられるゴジラ細胞の争奪戦、ゴジラ細胞によるビオランテ誕生の経緯とその声を聞く女性、ゴジラの熱線を反射する自衛隊の新兵器「ZEUS (Zooming Electron Universal Shooter)」といった完成作に近い要素が盛り込まれている[107]

ノベライズ版編集

角川文庫から刊行されている有馬治郎の小説版は映画に沿った展開になっているものの、オリジナル要素を多く含むストーリーとなる。スーパーX2は「アングラー」のコードネームで呼ばれており、ファイヤーミラーの代わりに大広角レーザー砲を装備する、権藤や白神は劇中で落命せず、ビオランテも四肢があり熱線を吐く[30]等の差異がある。

コミカライズ編集

小林たつよし版(タイトルは映画版と同じ、ISBN 4091415814)がてんとう虫コミックス(小学館、初出『別冊コロコロコミックスペシャル』12月号)から、平野俊弘版(タイトルは『ゴジラ1990』、ISBN 4048522434)がニュータイプ100%コミックス(角川書店)から刊行されている[注釈 22]。平野版はビオランテとの第2戦の舞台が大阪であるなどストーリーが一部変更されており、スーパーX2のデザインもかなり異なる。

その他編集

  • ゴジラ造形に関して大森・川北両監督は、『ゴジラ』の際に「白い目の視点の定まらないゴジラではなく、動物としてのゴジラ」を造形スタイルとして考えついたという。
  • デーモン小暮のオールナイトニッポン』にてスペシャル番組が組まれた。当初小暮独自にやっていた一コーナーであったが、東宝が最終的にタイアップをアピールして来たため、以前自分のMVにゴジラの出演のオファーを断られたデーモンは「今度は(ゴジラを)貸してくれるよな」とコメント。リスナーの投稿も「ゴジラ対ジラース、同時上映キンゴジ対モスゴジ」といったマニアックな投稿と、そのネタが解らないのに爆笑する小高恵美などの場面もあった。
  • 舞台が大阪ということもあり、劇場公開の前後には読売テレビが『CINEMAだいすき!』の放送スタイルに近い形の「ゴジラ特集」を組み、公開までの数か月間、毎土曜深夜に過去のゴジラ作品ほぼすべてが放送された。番組内では、映画放送後に監督や脚本家へのインタビューのほか、スーツアクターへのインタビューなども放送された。
  • ゴジラが大阪の市街地を破壊するシーンの一部には、前作『ゴジラ』の映像が流用されている。また、ゴジラが大阪湾に出現した際には大阪城ホールにおける斉藤由貴の「夢の中へ」のイントロが流され、それに続く大阪の人々が避難するシーンで権藤が「夢の中へ」の歌い出しを口ずさんでいる。
  • 劇中で前作のゴジラの東京襲撃は1985年、本作の時代はそこから5年後とされており、ゴジラ痕跡記念物のプレートや手紙の消印など小道具にも1990年と記されている[109]。しかし、作中の時代が1992年の夏とされている次作『ゴジラvsキングギドラ』では、ゴジラがビオランテと戦った後に日本海へ消えて1000日超の時間が経過しているとの表現があるうえ、1996年とされている『ゴジラvsデストロイア』でも三枝未希がゴジラと関わり初めて7年であることを明かすなど、本作の時代は1989年とされている[109]
  • 前作が『Godzilla 1985』の名で公開されたアメリカでは、ザルマンがアメリカを「(遺伝子改造された小麦が普及すれば)世界一の小麦輸出国が悔しがるだろう」とからかうセリフがあるうえ、バイオメジャーがアメリカのテロ組織として描かれていることや、ラストシーンで桐島がマサチューセッツ工科大学行きを断念する描写などから「反米映画」と見なされて一般公開されず、日本公開から3年を経てようやくケーブルテレビで放送された。また、本作には登場人物が英語で話すシーンがあるが、アメリカ放送版では英語のセリフも吹きかえられている[110]。本作品以降、アメリカではVSシリーズは劇場公開されずビデオリリースとなった[111]
  • 2014年7月19日に日本映画専門チャンネルで放映された「ゴジラ総選挙」では、本作が「ゴジラ映画No.1」に選出された[112]
  • 1991年12月4日には、『ゴジラvsキングギドラ』の公開に合わせて『水曜ロードショー』でテレビ初放送された。一部シーンがカットされたほか、キングギドラの静止画と「協力 防衛庁」のテロップがエンドロールの代わりに表示され、終了後に告知が行われた。
  • とんねるずが『仮面ノリダー』で本作のパロディをし、巨大化したノリダーと巨大化した怪人が戦うという内容を披露した。

映像ソフト化編集

  • DVDは2002年5月21日発売[113]。オーディオコメンタリーは監督の大森一樹と特技監督の川北紘一[113]
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2008年4月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIV」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念版」として期間限定の廉価版が発売。
    • 2016年6月15日、東宝DVD名作セレクション版発売。
  • Blu-rayディスクは2009年9月18日に発売。ゴジラシリーズBD化第一弾として、シリーズ第1作最終作(および、ゴジラシリーズではない『空の大怪獣ラドン』『モスラ』〈1961年版〉)と同時リリース。

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 特技監督の川北紘一は、後年のインタビューで「超ゴジラ」というキャッチコピーはリアリティよりもファンタジー性を重視した新しいゴジラ像のイメージが集約されていると評している[7]
  2. ^ 全体を通して絵コンテは川北が最初に書き上げ、それに沿って作られたという。
  3. ^ 伊福部が作曲した特撮映画音楽をオリジナル・スコアを使用し、ステレオ録音したもの。1986年に『東宝特撮未使用フィルム大全集』のサウンドトラックとして初版された。
  4. ^ プロデューサーの田中は原爆や核に続き、遺伝子工学や科学が人類の脅威になると考えており、1作目の核のように時代性を盛り込むことで作品の娯楽性につなげる狙いから、大人向きの映画を志向した。大森によれば、田中からはアクション映画としても堪能できるよう要望されたという[18]。一方、大森はポリティカル・フィクションを好んでいたうえ、自分たちの世代が軍人になったらどうなるかという想いを抱いていたことから、ゴジラは現代における戦争映画という想定で、政治的・軍事的要素を取り入れている[18]
  5. ^ 民間の敷地を利用して撮影したシーンも含まれており、燃料などの必要経費は現物支給とはいえ、自衛隊側も訓練環境の変化に伴ってこの規模の車両運用は現在では不可能であり、自走砲や戦車などは富士総合火力演習・駐屯地創立記念祭や航空祭などの映像も流用しているとはいえ、撮影当時はともかくとして現在ではこの規模の協力は得られないだろうと、監督らによるオーディオコメンタリーで言及されている[19]
  6. ^ 川北は、この要因としてビオランテが難解なキャラクターであったことを挙げており、子供たちが絵に描きづらいものであったことや宣伝期間の短さから周知しきれなかったことなどが問題であったと評している[7]。富山は、新怪獣を生み出すことは並大抵ではない難しさであると述べている[4]
  7. ^ 『2000 ミレニアム』に登場するオルガは、元々宇宙人のミレニアンが長年の宇宙漂流の末、量子流体化した自身の肉体を取り戻そうと、ゴジラの持つ自己再生能力を司るオルガナイザーG1を吸収し、一旦は肉体を取り戻せたものの、ゴジラ側の細胞の性質があまりに強すぎて制御が敵わず怪獣化したものである。また、『シン・ゴジラ』は直接的にその個体が登場して動き回るシーンこそないものの、ラストシーンではゴジラの背びれを有した人型生物が尻尾の先端に形成されつつある様子が描かれている。
  8. ^ パンフレットの裏表紙には永島敏行の役名として「Seiichi Yamamoto」の表記があり、資料によっては、フルネームを山本精一と記述している[33][34]
  9. ^ 月刊コロコロコミック』に掲載された『ゴジラvsデストロイア』の漫画化版では、Gフォース隊員の青木などはANBと呼称している。
  10. ^ 権藤以下、陸上自衛隊隊員4名が84ミリ無反動砲(権藤のみ装備)及び89ミリロケットランチャー(M20「スーパー・バズーカ」)を用い大阪ビジネスパークのビルより坑核バクテリア弾を発射。5発中3発が命中し内1発は口内に命中。
  11. ^ ただし、白神自身は新たな抗核バクテリアを作るつもりは無いと明言している。
  12. ^ 小道具のネームプレートには雨沢 修と記載[80]
  13. ^ 小道具のネームプレートには河井 弘美と記載[80]
  14. ^ 小道具のネームプレートには志村 武雄と記載[81]
  15. ^ 声のみ[41]
  16. ^ 実質的な作業は小林知己が行った[84]
  17. ^ 富士学校及び富士教導団、東部方面航空隊の他、第1師団の各部隊全面協力であることが劇中の登場車両等の部隊名注記及びオーディオコメンタリーにて監督らの発言にて確認ができるうえ、サンダーコントロールシステムの設置シーンは富士駐屯地の訓練場で行われたことも大森のコメントで言及されている。
  18. ^ 選考には手塚治虫松岡功田中友幸夢枕獏石上三登志が参加[4]
  19. ^ 基本的に映画の撮影などでの協力では「広報活動」の一環として、それぞれ陸・海・空の幕僚監部広報を経由して方面総監部・師団などの各部隊へ協力要請や支援計画が練られているが、人件費は発生しないうえに小銃などの実物火器は劇中では使用せずに玩具類を活用するほか、車両を運用する場合における燃料費などは使用車両への燃料補給などによる実物給付による対応となる。
  20. ^ その運用レベルが方面隊相当である大規模部隊の運用において、一般には中隊長レベルの指揮官であるはずの3佐たる佐官が指揮することは、上級指揮官が現場で死亡するか指揮を執れない状態に陥った場合を除いて通常はあり得ないうえ、上級者である陸幕長たる将官の決定を無視することは服務規程に反しており、本来は処分対象となる。
  21. ^ 書籍『平成ゴジラパーフェクション』では、対戦怪獣がいないためコンパクトに収められたと記述している[101]
  22. ^ その後、絶版を経て2016年7月29日にはKADOKAWAから電子書籍化されている[108]

出典編集

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出典(リンク)編集

参考文献編集

外部リンク編集