2022 FIFAワールドカップ

2022年にカタールで開催された第22回FIFAワールドカップ

2022 FIFAワールドカップ: 2022 FIFA World Cup)は、2022年11月20日から12月18日にかけてカタールで開催された22回目のFIFAワールドカップ。大会スローガンは、“Now is All“(今こそがすべて)[2]。日本の報道では「カタールW杯」などと呼ばれる[3]アルゼンチンが36年ぶり3回目の優勝を果たした。次回大会から出場枠が48チームに拡大するため、32チーム制の大会としては今回が最後となった。

2022 FIFAワールドカップ
FIFA World Cup Qatar 2022
2022 كأس العالم لكرة القدم
大会概要
開催国 カタールの旗 カタール
日程 2022年11月20日 - 12月18日
チーム数 32 (5連盟)
開催地数(5都市)
大会結果
優勝 アルゼンチンの旗 アルゼンチン (3回目)
準優勝 フランスの旗 フランス
3位 クロアチアの旗 クロアチア
4位 モロッコの旗 モロッコ
大会統計
試合数 64試合
ゴール数 172点
(1試合平均 2.69点)
総入場者数 3,404,252人
(1試合平均 53,191人)
得点王 フランス キリアン・エムバペ(8点)
最優秀選手 アルゼンチン リオネル・メッシ[1]
最優秀若手選手 アルゼンチン エンソ・フェルナンデス[1]
最優秀
ゴールキーパー
アルゼンチン エミリアーノ・マルティネス[1]
フェアプレー賞  イングランド[1]
 < 20182026

開催国選定の経緯 編集

2022年大会は当初、2018年大会と合わせてロシアスペインポルトガル(共同開催案)、ベルギーオランダ(共同開催案)、イングランド日本韓国アメリカオーストラリア、カタールの9グループが立候補を表明していた。後に2018年大会は2006年以来の欧州での開催が有力と見られることからアジア、アメリカ勢以外全てが撤退した[4]

2018年大会がロシアで開催されることが決定的となったため、同時に決定される2022年大会は欧州から選出されることが事実上無くなり、こうして本大会はアジアかアメリカでの開催が確実となった[4]

投票 編集

最終プレゼンテーションは2010年12月1日にFIFA本部で行われた。12月2日にFIFA理事会(現FIFA評議会)で投票が行われ、投票の結果、開催地がカタールに決定した[5][6]。これに伴い、カタールは予選免除となった(カタールは、これまでワールドカップ出場経験無しで開催国決定の段階で本大会出場を果たしていないのは日本[注釈 1]以来であるが、自国初開催まで出場経験がなかったのは史上初の事例にもなった)。なお中東での開催は初で、アジアでの開催は2002年日韓大会以来2度目[4]

開催国の決定方法は、国際オリンピック委員会の五輪開催地決定投票と同じ方式で、イギリス紙のおとり取材による買収疑惑発覚で職務停止処分を受けた2理事を除く、国際サッカー連盟理事22人によってFIFA理事会(現FIFA評議会)で投票。各回ごとに過半数の国・地域が出るまで投票を繰り返し、過半数がない場合はその回の得票最下位の国・地域を次の投票から除外する方式で行われた。同数になった場合のみ、ブラッターFIFA会長の1票で決まるという方式だった[7]

5候補の内、最初にオーストラリアが落選しその後2回目で日本、3回目で韓国が落選となった。アメリカとカタールによる決選投票となった4回目でカタールが過半数(14票)を集め、カタールの開催が決定した。

2022年FIFAワールドカップ開催国投票
立候補国 1回目 2回目 3回目 4回目
  カタール 11 10 11 14
  アメリカ合衆国 3 5 6 8
  韓国 4 5 5
  日本 3 2
  オーストラリア 1

予選大会 編集

出場国 編集

出場は下記の全32カ国。当初は2022年3月までに全出場国が確定する予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響で大陸間プレーオフが延期になったほか、2022年ロシアのウクライナ侵攻を受けてウクライナの出場した欧州プレーオフが延期になり、最終的に全出場国が決定したのは6月14日のことであった。前述の通り前回大会の開催国であったロシアは2022年ロシアのウクライナ侵攻の影響で出場禁止となり、3大会連続出場はならなかった。またウクライナ、エジプトスウェーデンノルウェーコロンビアチリアルジェリアナイジェリアニュージーランドなども予選で敗退した。さらにイタリアも2大会連続で予選敗退となった。その一方でオランダアメリカウェールズカナダなどが返り咲きを果たした。

このワールドカップでは、初出場がカタール(開催国)のみであり、予選を勝ち上がっての初出場は1つもなかった[8]

出場選手は2022 FIFAワールドカップ参加チームを参照。

大陸連盟 出場
枠数
予選大会
予選順位
出場国・地域 出場決定日 出場回数 W杯での最高成績 備考 FIFA
Rank
AFC 1+4.5 - 開催国   カタール 2010年12月2日[注釈 2] 1初出場 グループリーグ 50
最終予選 A組1位   イラン 2022年1月27日 0503大会連続06回目 グループリーグ 20
A組2位   韓国 2022年2月1日 0510大会連続11回目 4位 28
B組1位   サウジアラビア 2022年3月24日 02大会連続06回目 ベスト16 51
B組2位   日本 2022年3月24日 0507大会連続07回目 ベスト16 24
大陸間PO B組3位   オーストラリア 2022年6月13日 0505大会連続06回目 ベスト16 38
UEFA 13 欧州予選 A組1位   セルビア 2021年11月14日 1902大会連続13回目[† 1] 4位[† 1] 21
B組1位   スペイン 2021年11月14日 1912大会連続16回目 優勝(1) 7
C組1位   スイス 2021年11月15日 1905大会連続12回目 ベスト8 15
D組1位   フランス 2021年11月13日 1907大会連続16回目 優勝(2) 前回大会優勝 4
E組1位   ベルギー 2021年11月13日 1903大会連続14回目 3位 前回大会3位 2
F組1位   デンマーク 2021年10月12日 1902大会連続06回目 ベスト8 10
G組1位   オランダ 2021年11月16日 1902大会ぶり11回目 準優勝 8
H組1位   クロアチア 2021年11月14日 1903大会連続06回目 準優勝 前回大会準優勝 12
I組1位   イングランド 2021年11月15日 1907大会連続16回目 優勝(1) 5
J組1位   ドイツ 2021年10月11日 1918大会連続20回目[† 2] 優勝(4)[† 2] 11
UEFA
プレーオフ
パスA   ウェールズ 2022年6月5日 1916大会ぶり02回目 ベスト8 19
パスB   ポーランド 2022年3月29日 1902大会連続09回目 3位 26
パスC   ポルトガル 2022年3月29日 1906大会連続08回目 3位 9
CONMEBOL 4.5 南米予選 1位   ブラジル 2021年11月11日 2222大会連続22回目 優勝(5) 1
2位   アルゼンチン 2021年11月16日 2213大会連続18回目 優勝(2) 3
3位   ウルグアイ 2022年3月24日 2204大会連続14回目 優勝(2) 14
4位   エクアドル 2022年3月24日 2202大会ぶり04回目 ベスト16 44
CAF 5 最終予選 -   ガーナ 2022年3月29日 2202大会ぶり04回目 ベスト8 61
  セネガル 2022年3月29日 2202大会連続03回目 ベスト8 18
  チュニジア 2022年3月29日 2202大会連続06回目 グループリーグ 30
  モロッコ 2022年3月29日 2202大会連続06回目 4位 22
  カメルーン 2022年3月29日 2202大会ぶり08回目 ベスト8 43
CONCACAF 3.5 最終予選 1位   カナダ 2022年3月27日 2209大会ぶり02回目 グループリーグ 41
2位   メキシコ 2022年3月30日 2208大会連続17回目 ベスト8 13
3位   アメリカ合衆国 2022年3月30日 2202大会ぶり11回目 3位 16
大陸間PO 4位   コスタリカ 2022年6月14日 2203大会連続06回目 ベスト8 31
OFC 0.5 地区予選 - -出場国無し 2017年11月15日- - - - -
  1. ^ a b ユーゴスラビア王国、ユーゴスラビアセルビア・モンテネグロ時代を含む。
  2. ^ a b 西ドイツ時代を含む。

出場チーム数拡大の前倒しの動き 編集

ワールドカップ本大会には今大会までは32チームが出場するが、2026年大会からは出場チーム数が48チームに拡大することが決定されていた。しかし2018年にFIFAのインファンティーノ会長がその時期を早め、2022年大会から出場チーム数を48チームとすることを検討していることを明らかにした[9]。これは、アルゼンチンブエノスアイレスで開催された南米サッカー連盟の年次総会で、南米サッカー連盟側から出場国数の拡大をFIFAのインファンティーノ会長に対して要請したものを受けてのことである[9]。しかし、出場チーム数の増加に伴って試合数が増えるため、近隣の国の共催を検討することになる[9]

その後、FIFAは2018年5月に2018年6月13日にロシアモスクワで行われるFIFA総会で出場国の拡大の前倒しについて議論することを発表した[10]。だが、2018年6月10日に行われたFIFA評議会(旧FIFA理事会)の後にFIFAのインファンティーノ会長が、南米サッカー連盟が要望を取り下げたのに加えてカタール側からは合意されていないため、FIFA総会の議題から除外されることになった[11][12]

これについては、2018年6月10日にFIFAのインファンティーノ会長が出場国の拡大について「議論を行うには時期尚早」と話していて、その上で「現時点では32カ国でのW杯を予定している。まずは開催国と話し合い、それから考える」とも述べている[13]。その上で、2019年の初旬から始まる見込みの『2022 FIFAワールドカップ・予選』までには決めるだろうとも話している[13]。2018年7月9日、カテル2022W杯組織委員会(開催国の組織委員会)副事務局長が、「48チームでの開催も可能」と発言した[14]。2018年7月14日、インファンティーノFIFA会長が改めて2022年大会は11月21日 - 12月18日の開催となることを発表した際に「カタール大会の出場枠については、ロシアW杯後終了後、各地のW杯予選が開始される前に、FIFA評議会(旧理事会)での議論を重ね決定する。それは数カ月後には決まる見通し」と述べた[15]

2019年3月6日、2022 FIFAワールドカップでの出場国が48か国に拡大した場合に、クウェート及びオマーンとの共同開催を検討しているとAP通信が報じた。48か国になった場合は試合数が増加し、カタール単独での開催は難しいためカタールとアラブ諸国との関係改善の仲介役であるクウェートと、中立の立場を取るオマーンが共催候補国となっている[16]

2019年3月15日、アメリカのフロリダ州マイアミで開催されたFIFA理事会で2022 FIFAワールドカップでの出場国を48か国に拡大する案を実現可能と認め、6月にフランス・パリで開催されるFIFA総会で正式決定する方針を示した[17]。しかしその後の検討の結果、2019年5月22日にFIFAは、当大会は48チームに拡大せず32チームのまま実施することを決定したと発表した[18]

エクアドルの出場権に関する騒動 編集

2022年5月11日、チリサッカー連盟 (FFC) がFIFA規律委員会に対し南米予選4位で本大会出場を決めたエクアドル代表として8試合に出場したDFバイロン・カスティージョ英語版が国籍を証明する文書を改竄しており、エクアドルサッカー連盟 (FEF) が本来出場資格がない選手を出場させた(仮にカスティージョが出場した8試合をエクアドルの敗戦扱いとした場合、南米予選7位だったチリが4位となって本大会出場権を獲得できたはず。)として南米予選結果に対する異議申し立てを行い[19]、FIFAがバイロン・カスティージョの出場適格性について調査することを明らかにした[20]。FIFAはFEFやFFCからの提出物により調査を行い、「FIFAがエクアドルの本大会出場権を取り消すことを決めた」とするテレビシオン・アステカの報道もあった[21] が、同年6月11日にFIFAは「本件に関する調査を終了する(=出場適格性について不問とする)」と発表し[22][23]、関係者に通知した。

この決定に対しFFC、および(南米予選5位で大陸間プレーオフに回って本大会出場権を逃した)ペルーサッカー連盟 (FPF) がFIFAの裁定を不服としてスポーツ仲裁裁判所 (CAS) に提訴[24]。CASは11月8日付で、バイロン・カスティージョが間違いなくエクアドル国籍を有し予選の出場資格があったと認定して、エクアドルの本大会出場を認めた上で、カスティージョのパスポートに記載された生年月日と出生地は虚偽であるとするFFC及びFPFの訴えを一部認め、エクアドルに対して2026年大会予選で勝ち点を3減じることと、10万スイス・フランの罰金を科す処分を決定した[25]

開催日程 編集

従来FIFAワールドカップは、欧州の主要なサッカーリーグがシーズンオフを迎える6月から7月に開催されてきたが、カタールを含む中東地域は夏の暑さが厳しく選手の体に与える負担が大きいこと、同地は冬季(1月)でも温暖な気候でありサッカーの試合の開催に支障がないこと(実際AFCアジアカップ2011は同地にて1月に行われた。)などから、カタールに開催国が決定した直後にFIFAのフランツ・ベッケンバウアー理事が「カタールの冬季の1月開催」を提案した。欧州サッカー連盟(UEFA)会長を務めるミシェル・プラティニもこの意見に同調するなど、一定の支持者を集めつつある[26]。しかし1月にワールドカップを開催するためには欧州主要リーグの開催日程を大幅に変更する必要があり実現は容易ではないほか、FIFAのゼップ・ブラッター会長が「現段階では6月から7月(夏季)開催が決定事項である」と語るなど[27]、1月開催に反対する意見も根強かった。

2012年7月7日、ジム・ボイスFIFA副会長は「エアコンスタジアムについては聞いている。しかし観客、選手が快適に過ごせるために、あらゆることを検討すべきだ。(略)(遅い時間のキックオフは)世界中のテレビ視聴者との両立という面で利点になるかもしれない」と語り、開催時期はこれまで通り6月から7月(夏季)だが、夜遅くに試合を開催することを検討していることを明らかにした(なお、カタールの6月の明け方近くの平均最低気温は29度、同じく7月は30度である。)[28]。2013年1月14日、ブラッターFIFA会長は「(エアコンスタジアム計画では、選手はカバーできても、競技場外の観客はカバーできない恐れがあるので)競技場の外もワールドカップであり、カタールの夏開催は疑問」とこれまでカタールで夏季(6月か7月)開催を支持してきた自身の意見を事実上撤回した[29]。2013年3月2日、ジェローム・バルケFIFA事務局長は「医学上のレポートであれ何であれ、ワールドカップをカタールの夏(6月か7月)ではなく冬(1月)に行うべきだという根拠になるものがあれば、開催時期を検討する。既に固まっている2018年までの国際的な行事のスケジュール以外は全て変更の選択肢がある」と、FIFA役員としては初めてカタールの冬季(1月)開催の可能性を認めた[30]

2013年3月22日、カタールのワールドカップ組織委員会(カタール国内のワールドカップ組織委員会。これとは別にFIFAのワールドカップ組織委員会もある。)は夏季開催の懸念の声に対し、「夏でも冬でも開催する準備は出来ており、どちらの開催になっても、ワールドカップ準備計画には影響しない」と発表した[31]

2014年9月8日、FIFAは理事会(現FIFA評議会)の下に設けられた2018年から2024年までの国際試合日程を検討する作業部会で2022年のワールドカップの開催日程を、通常の6月開幕から1月か11月に開幕をずらすかについて協議を行った[32][33][34][35]

2015年3月19日、FIFA理事会(現FIFA評議会)で2022年大会は11月21日 - 12月18日の開催で、決勝戦は12月18日に行うことを発表した。また大会期間を28日に減らす方針も決めた[36]

2018年7月14日、インファンティーノFIFA会長が2015年3月19日のFIFA理事会(現FIFA評議会)の発表通り、2022年大会は11月21日 - 12月18日の開催となることを改めて発表した[15]。2022年8月11日、開幕日が21日から20日への変更を発表した[37]

本大会 編集

開催都市 編集

本大会はドーハルサイルアル・ホールアル・ワクラライヤーンの5都市・8会場で実施される予定である。8会場の新規建設及び改修は、2015年に開始され、2019年10月に第1期3路線完成予定のドーハメトロ(メトロとあるが、地下鉄だけでなく地上鉄道も含む)などの鉄道によって結ばれる[38]。決勝はルサイル・アイコニック・スタジアムで行われる。

ルサイルアッ=ザアーイン アル・ホール ドーハ ドーハ
ルサイル・アイコニック・スタジアム アル・バイト・スタジアム スタジアム974 アル・トゥマーマ・スタジアム
収容人数: 88,966
(新規建設)
収容人数: 68,895
(新規建設)
収容人数: 44,089
(仮設競技場)
収容人数: 44,400
(新規建設)
       
カタールでの開催都市 ドーハ周辺のスタジアム位置図
ライヤーン ライヤーン ライヤーン アル=ワクラ
エデュケーション・シティ・スタジアム アフメド・ビン=アリー・スタジアム ハリーファ国際スタジアム アル・ジャヌーブ・スタジアム
収容人数: 45,350
(新規建設)
収容人数: 44,740
(新規建設)
収容人数: 45,857
(大規模改修)
収容人数: 44,325
     

交通及び宿泊施設 編集

 
各会場を結ぶドーハメトロ計画路線図

ドーハの人口の急激な増加に伴い、自動車も増加しており交通渋滞が深刻になっているため、今大会に合わせて交通問題を解決しようと公共交通機関の整備に力を入れている。ドーハメトロは100駅以上、総合長211.9kmに及ぶ全線を2026年には開通する予定で、建設費用は350億ドル超と見積もられている。このカタール鉄道プロジェクトはドーハメトロやGCCネットワークなど約19の工事パッケージ(10億ドル)からなっており、15年に及ぶGCC鉄道プロジェクトに対する総投資額は1000億ドルに達するとみられ[39]、都市交通システムとしては世界最大規模のプロジェクトとなる[38]。その中で現在建設中で2019年10月に完成予定の第1期3路線によって、国際空港やワールドカップ全12会場、市街地などを結ぶ。3路線の名前は、ハマド国際空港などを結ぶレッドラインゴールドライングリーンラインである。3路線の全長は86kmで、32駅を設置する。各路線は無人運転システムを搭載し、時速100kmで走行、1時間あたり8,000人以上の乗客輸送を予定している[38]。カタールレールによると、ドーハメトロ鉄道システム導入で、自家用車などが約17万台以上減少し、交通渋滞が解消され、年間の二酸化炭素排出量を約258万トン削減可能という[38]。日本企業がデザインした車両の外装と内装は、カタールの伝統や環境を反映したものである。高水準の豪華さと快適さを求める乗客向けのカタール風のゴールドクラス応接室である「マジリス」、子ども連れの乗客向けでファミリーシート配置の車両「ファミリークラス」、ロングシート配置で車内が広く使える車両「スタンダードクラス」の3種類の乗客層に分けた車両がある。なお、全車両には路線案内情報やエンターテイメントを表示する大型画面が付いている[38]

今大会期間中に最大100万人のファンがカタールを訪れると予想されている。現在施設などの建設を進めているものの、カタールで使用できるホテルは16,000部屋であるため宿泊設備の不足が予想されている[40]。その為、2015年4月19日、カタール政府観光庁は今大会期間中にドーハ・エリア・ターミナルに5つのクルーズ船を停泊させ、その中の6,000部屋をホテルとして使用すると発表した[40]。また、2016年9月27日、カタールW杯組織委員会(開催国の組織委員会)は、カタール南部に2000人収容の「ファン」テント村を5か所設置すると発表した。まずは試験計画として、30万m2の用地に650のテントを配置する。そこから最も近いスタジアムは、車で1時間半の距離にあるアル・ジャヌーブ・スタジアム(準々決勝まで使用)である[41]

エアコンスタジアム計画 編集

カタールのワールドカップ招致委員会は、太陽光発電による空調設備を備えて温度を27度以下に保つスタジアムを整備すると開催国決定前に発表し[42]、ドーハ国際空港から南西へ車で10分余りの場所に、「ザ・ショー・ケース」と名付けられたワールドカップ招致用見本のドーム型ミニスタジアムをわずか3カ月で完成させた。開閉式の屋根で収容人数は約530人、隣接した太陽光パネルによる発電を利用して室温を18度まで下げることができる。2010年9月にFIFA視察団が同競技場を訪れた際、屋外の気温は47度だったが、冷却装置を稼働させた内部は23度に保ったという[43]。また、AFCアジアカップ2011の会場であるジャシム・ビン・ハマド・スタジアムは太陽発電ではなく、通常電源によるエアコンを完備。2011年11月8日に日本代表がブラジルワールドカップアジア3次予選合宿で、同スタジアムを使用した。その際、スタジアムの外の気温は23度だったが、冷房が効いたピッチ上は約16度だった[44]

このように、エアコンスタジアムでのカタールワールドカップ夏場開催は可能であるとされる。但し冷却のための費用は莫大な額が見込まれている他、試合会場や練習場など選手の活動範囲には冷却装置を導入できても一般客が動く全ての場所まではカバーできない可能性がある等の問題がある。そのため、2015年3月にはFIFAより当初予定されていた6月 - 7月の夏開催から11月から12月にかけての晩秋 - 冬開催への変更が発表されるに至った。

気候 編集

ケッペンの気候区分では砂漠気候(BWh)となっている。開催時期の11月の平均気温は24.2度、平均最高気温は29.5度、平均最低気温は19.5度、12月の平均気温は19.2度、平均最高気温は24.1度、平均最低気温は15.0度となっている。降水量は11月が3.3mmと乾燥している一方、12月は12.1mmと年中乾燥しているカタールの中では降水量が増える。

時差 編集

時差は協定世界時より3時間進んだUTC+3に属する。

公式球 編集

アディダスによる公式試合球の名称は「アル・リフラ (Al Rihla)」に決定した。アラビア語で「」を意味し、イブン・バットゥータ旅行記から題を取っている。内部には慣性計測装置(IMU)センサーがあり、オフサイドゴールラインテクノロジーでもその効果を発揮する。ノックアウトステージ(ベスト16に進出した各国で争われる決勝トーナメント)からは、アラビア語で「」を意味する「アル・ヒルム(Al Hilm)」を使用。

セレモニー 編集

開会式 編集

当初、開会式の出場国の選手入場行進・前回優勝のフランスからFIFAワールドカップトロフィーの返還などの諸行事は、現地時間の2022年11月21日19時(日本時間同11月22日1時)からの第3試合として予定された「カタール対エクアドル戦」の前に行い、それに先だって同日の13時(同11月21日19時)から「セネガル対オランダ戦」を皮切りとして開会する予定にしており、前回優勝国のシードにより開幕戦が優先的に開催できた1974年ドイツ大会から2002年日本韓国共同開催大会を除き、開催国以外が開幕戦を行う初の事例とされる予定だった。

大会3か月前になって、急遽「カタール対エクアドル戦」を11月20日19時(同11月21日1時)の開始に変更されることになり、開催国を最初に行う伝統が結果的に守られ、開会式の諸行事もこれに先立って行われる形となった[45]

開会式はアルホルのアルバイト・スタジアムにて行われ、出場32か国の代表者による国旗と選手の入場行進、優勝トロフィー返還のほか、カタール国首長タミムによる「カタール、そしてアラブから皆さまを歓迎します」との開会宣言、またアメリカの俳優のモーガン・フリーマンの来賓挨拶、韓国の音楽グループ・BTSジョングクや地元市民らによる大会公式テーマソング「Dreamers」の合唱などが披露された[46]

組み合わせ抽選会 編集

国際サッカー連盟 (FIFA) は2022年3月23日、2022 FIFAワールドカップ本大会の組み合わせ抽選会を2022年3月31日に行われる第72回FIFA総会[47] の翌日である4月1日[48] 19時(現地時間)から、ドーハのドーハ・エキシビション・コンベンションセンター (DECC) で実施することを発表し、その抽選手順を公表した[49]

大会組織委員会が承認した手順によると、抽選時点でカタール以外の出場決定済みの28か国を、2022年3月31日発表のFIFAランキングに基づいて8か国ずつ4つのポットに振り分け(ホスト国のカタールは、無条件にポット1に割り当てる。但し、未決定の3枠についてはポット4に割り当てる。)、各ポットの国をA組からH組まで8つのグループに割り当て、同組をグループステージの組み合わせとする。下表の括弧内はFIFAランキング。

ポット振り分け[50]
ポット1 ポット2 ポット3 ポット4
  1. ^ 後日(2022年6月5日)の試合で  ウェールズ (18) に決定
  2. ^ 後日(2022年6月13日)の試合で  オーストラリア (42) に決定
  3. ^ 後日(2022年6月14日)の試合で  コスタリカ (31) に決定

抽選方法は、ポット1からポット4までの順に各ポット内の国をA組からH組までに割り当てた上で組内のポジションを決め、次のポットの抽選を行う方式を繰り返して組み合わせを決定する。ただし、以下のルールが存在する[49]

  • 原則として同じ大陸連盟加盟国は同組にならない(地理的分離の原則)。ただし、UEFA加盟国は13チームが出場するため、全ての組にUEFA加盟国が入り、かつ5つの組はUEFA加盟国が2チーム存在する(UEFA加盟国が3チーム入ることはない)。
    • 組み合わせ抽選の時点で出場チームが決まっていない枠(ヨーロッパ2次予選・パスA、大陸間プレーオフ)については、どの国が勝ち上がった場合にもこのルールが適用されるように抽選された。
  • 開催国カタールは開幕戦を行うため、A組1番に事前に割り当てられる。(従って、ポット1の残りの7か国はB組からH組までのいずれかに入る。)
組み合わせ抽選における実際のドローの順序
ポット1[draw 1]
チーム 組/番
  カタール A1[draw 2]
  イングランド B1
  アルゼンチン C1
  フランス D1
  スペイン E1
  ベルギー F1
  ブラジル G1
  ポルトガル H1
ポット2
チーム 組/番
  オランダ A4
  アメリカ合衆国 B3
  メキシコ C3
  デンマーク D3
  ドイツ E3
  クロアチア F4
  ウルグアイ H3[draw 3]
  スイス G3
ポット3
チーム 組/番
  イラン B2[draw 4]
  セネガル A3
  ポーランド C4
  セルビア G2[draw 5]
  チュニジア D3
  日本 E4
  モロッコ F3
  韓国 H4
ポット4
チーム 組/番
  AFC vs CONMEBOL D2[draw 6]
  エクアドル A2
  サウジアラビア C2[draw 7]
  CONCACAF vs OFC E2[draw 8]
  UEFA パスA B4
  カメルーン G4[draw 9]
  ガーナ H2[draw 10]
  カナダ F2
抽選に関する注釈
  1. ^ ポット1の各国は必ず各組のスロット1に割り当てることになっていた。
  2. ^ 開催国はA1に割り当てることが決まっていた。
  3. ^ 同じCONMEBOL代表のブラジルのいるグループGを避けてグループHへ。
  4. ^ 同じAFC代表のカタールのいるグループAを避けてグループBへ。
  5. ^ 同じUEFA代表が2か国割り当て済みのグループD/E/Fを避けてグループGへ。
  6. ^ AFC代表のカタール・イラン及びCONMEBOL代表のアルゼンチンと同組にしないためグループDへ。
  7. ^ 同じAFC代表のイランのいるグループBを避けてグループCへ。
  8. ^ CONCACAF代表のアメリカのいるグループBを避けてグループEへ。
  9. ^ 同じCAF代表のモロッコのいるグループFを避けてグループGへ。
  10. ^ 同じCAF代表のモロッコのいるグループFを避けてグループHへ。

主審 編集

2022年5月19日、FIFAは本大会に出場する36名の主審と69名の副審、24名のビデオマッチオフィシャル(VMO)から成る審判団を発表した[51][52]。本大会ではFIFAワールドカップ史上初めて女性のレフェリー6名(主審3名・副審3名)が選出され、日本から山下良美が選出された一方で、副審、VMO、男性の主審は1名も選出されなかった[53]。下記において「†」は女性。

結果 編集

グループステージ 編集

日時はすべて現地時間 (UTC+3)

順位決定方法 編集

各グループ上位2チームが、決勝トーナメントに進出する。順位は、以下の順に従い決定される[54]

  1. 全試合での勝ち点
  2. 全試合での得失点差
  3. 全試合での得点
  4. 以上で勝ち点が並んだチーム同士の対戦における
    1. 勝ち点
    2. 得失点差
    3. 得点
  5. 反則ポイント:以下のポイントを累算して少ない順
    • イエローカード:1ポイント
    • イエローカード2枚での退場:3ポイント
    • レッドカード:4ポイント
    • イエローカード+レッドカード:5ポイント
  6. 抽選

グループ A 編集

チーム 出場権
1   オランダ 3 2 1 0 5 1 +4 7 ノックアウトステージ進出
2   セネガル 3 2 0 1 5 4 +1 6
3   エクアドル 3 1 1 1 4 3 +1 4
4   カタール (H) 3 0 0 3 1 7 −6 0
出典: FIFA
(H) 開催地.
カタール  0 - 2  エクアドル
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セネガル  0 - 2  オランダ
レポート


エクアドル  1 - 2  セネガル
レポート
オランダ  2 - 0  カタール
レポート

グループ B 編集

チーム 出場権
1   イングランド 3 2 1 0 9 2 +7 7 ノックアウトステージ進出
2   アメリカ合衆国 3 1 2 0 2 1 +1 5
3   イラン 3 1 0 2 4 7 −3 3
4   ウェールズ 3 0 1 2 1 6 −5 1
出典: FIFA
イングランド  6 - 2  イラン
レポート


グループ C 編集

チーム 出場権
1   アルゼンチン 3 2 0 1 5 2 +3 6 ノックアウトステージ進出
2   ポーランド 3 1 1 1 2 2 0 4
3   メキシコ 3 1 1 1 2 3 −1 4
4   サウジアラビア 3 1 0 2 3 5 −2 3
出典: FIFA
メキシコ  0 - 0  ポーランド
レポート


ポーランド  0 - 2  アルゼンチン
レポート

グループ D 編集

チーム 出場権
1   フランス 3 2 0 1 6 3 +3 6 ノックアウトステージ進出
2   オーストラリア 3 2 0 1 3 4 −1 6
3   チュニジア 3 1 1 1 1 1 0 4
4   デンマーク 3 0 1 2 1 3 −2 1
出典: FIFA
フランス  4 - 1  オーストラリア
レポート

フランス  2 - 1  デンマーク
レポート

グループ E 編集

チーム 出場権
1   日本 3 2 0 1 4 3 +1 6 ノックアウトステージ進出
2   スペイン 3 1 1 1 9 3 +6 4
3   ドイツ 3 1 1 1 6 5 +1 4
4   コスタリカ 3 1 0 2 3 11 −8 3
出典: FIFA
ドイツ  1 - 2  日本
レポート
スペイン  7 - 0  コスタリカ
レポート

スペイン  1 - 1  ドイツ
レポート

日本  2 - 1  スペイン
レポート
コスタリカ  2 - 4  ドイツ
レポート

グループ F 編集

チーム 出場権
1   モロッコ 3 2 1 0 4 1 +3 7 ノックアウトステージ進出
2   クロアチア 3 1 2 0 4 1 +3 5
3   ベルギー 3 1 1 1 1 2 −1 4
4   カナダ 3 0 0 3 2 7 −5 0
出典: FIFA

クロアチア  4 - 1  カナダ
レポート

カナダ  1 - 2  モロッコ
レポート

グループ G 編集

チーム 出場権
1   ブラジル 3 2 0 1 3 1 +2 6 ノックアウトステージ進出
2   スイス 3 2 0 1 4 3 +1 6
3   カメルーン 3 1 1 1 4 4 0 4
4   セルビア 3 0 1 2 5 8 −3 1
出典: FIFA

ブラジル  1 - 0  スイス
レポート

セルビア  2 - 3  スイス
レポート

グループ H 編集

チーム 出場権
1   ポルトガル 3 2 0 1 6 4 +2 6 ノックアウトステージ進出
2   韓国 3 1 1 1 4 4 0 4
3   ウルグアイ 3 1 1 1 2 2 0 4
4   ガーナ 3 1 0 2 5 7 −2 3
出典: FIFA
ポルトガル  3 - 2  ガーナ
レポート

韓国  2 - 3  ガーナ
レポート

韓国  2 - 1  ポルトガル
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ノックアウトステージ 編集

ノックアウトステージ では、45分ハーフの試合で決着が付かない場合は15分ハーフの延長戦が行われる。この延長戦でも決着がつかない場合は引き分けとなり、PK戦で勝ち進むチームを決める。

 
ラウンド16準々決勝準決勝決勝
 
              
 
12月3日 – ライヤーン(ハリーファ)
 
 
  オランダ3
 
12月9日 – ルサイル
 
  アメリカ合衆国1
 
  オランダ2 (3)
 
12月3日 – ライヤーン(アフメド・ビン=アリー)
 
  アルゼンチン (p)2 (4)
 
  アルゼンチン2
 
12月13日 – ルサイル
 
  オーストラリア1
 
  アルゼンチン3
 
12月5日 – アル=ワクラ
 
  クロアチア0
 
  日本1 (1)
 
12月9日 – エデュケーション・シティ
 
  クロアチア (p)1 (3)
 
  クロアチア (p)1 (4)
 
12月5日 – ドーハ (974)
 
  ブラジル1 (2)
 
  ブラジル4
 
12月18日 – ルサイル
 
  韓国1
 
  アルゼンチン (p)3 (4)
 
12月4日 – アル=ホール
 
  フランス3 (2)
 
  イングランド3
 
12月10日 – アル=ホール
 
  セネガル0
 
  イングランド1
 
12月4日 – ドーハ(アル・トゥマーマ)
 
  フランス2
 
  フランス3
 
12月14日 – アル=ホール
 
  ポーランド1
 
  フランス2
 
12月6日 – エデュケーション・シティ
 
  モロッコ0 3位決定戦
 
  モロッコ (p)0 (3)
 
12月10日 – ドーハ(アル・トゥマーマ)12月17日 – ライヤーン(ハリーファ)
 
  スペイン0 (0)
 
  モロッコ1  クロアチア2
 
12月6日 – ルサイル
 
  ポルトガル0   モロッコ1
 
  ポルトガル6
 
 
  スイス1
 

ラウンド16 編集

オランダ  3 - 1  アメリカ合衆国
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フランス  3 - 1  ポーランド
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イングランド  3 - 0  セネガル
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ブラジル  4 - 1  韓国
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ポルトガル  6 - 1  スイス
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準々決勝 編集




イングランド  1 - 2  フランス
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準決勝 編集


3位決定戦 編集

決勝 編集

優勝国 編集

 2022 FIFAワールドカップ優勝国 
 
アルゼンチン
9大会ぶり3回目

得点ランキング 編集

順位 選手 ゴール
1   キリアン・エムバペ 8
2   リオネル・メッシ 7
3   オリヴィエ・ジルー 4
  フリアン・アルバレス
5   アルバロ・モラタ 3
  マーカス・ラッシュフォード
  ブカヨ・サカ
  コーディ・ガクポ
  エネル・バレンシア
  リシャルリソン
  ゴンサロ・ラモス

表彰 編集

FIFAフェアプレー賞 編集

  イングランド[1]

個人各賞 編集

選手名[1][55] 国籍 備考
ゴールデンボール(大会MVP) リオネル・メッシ   アルゼンチン
シルバーボール キリアン・エムバペ