劇場版シティーハンター 天使の涙
『劇場版シティーハンター 天使の涙』(げきじょうばんシティーハンター エンジェルダスト)は、2023年9月8日に公開された日本のアニメ映画。北条司原作のアニメ『シティーハンター』の劇場映画としては通算5作目となる[1]。
劇場版シティーハンター | |
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監督 |
こだま兼嗣(総監督) 竹内一義 |
脚本 | むとうやすゆき |
原作 | 北条司 |
製作 | 「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会 |
出演者 |
神谷明 伊倉一恵 沢城みゆき 関智一 木村昴ほか |
音楽 | 岩﨑琢 |
主題歌 | ※主題歌節を参照 |
制作会社 |
サンライズ アンサー・スタジオ |
配給 | アニプレックス |
公開 |
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上映時間 | 94分 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
前作 | 劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ |
本項では本作ならびに関連作品について、状況に応じて括弧内の略号を用いる。
- テレビアニメ
- シティーハンター (1)
- 劇場版アニメ
- 劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉 (SPE)
- 劇場版シティーハンター
天使の涙 (AD)(本作)
概要 編集
本作は、原作に登場する重要なキーアイテム「エンジェルダスト」を副題としており、アニメ版に「エンジェルダスト」が登場するのは初めてとなる。公式サイト「INTRODUCTION」や公式パンフレットP.3、裏表紙などに「『シティーハンター』は遂に
本作アニメ版を当初から長年手掛けていたアニメ制作会社・サンライズが2022年にバンダイナムコフィルムワークスの映像制作ブランドとなってから初めて制作されるアニメ版『シティーハンター』であり、アニメ制作会社であるアンサー・スタジオとの共同制作となっている。
本作のためにTM NETWORKがオープニング曲「Whatever Comes」、挿入曲「DEVOTION」「Angie」など複数の曲を新規に書き下ろしている。
主要な配役 編集
獠、香、海坊主、美樹、冴子などの主要キャラクターは、アニメ版『1』から参画するオリジナルの声優陣が続投している。
アニメ版『1』の第5話において非業の死を遂げた獠の元相棒にして親友、そして香の義兄である槇村秀幸が本作で初めて劇場映画版に登場することが決定し[2]、担当声優も田中秀幸が続投する。
フランス制作の実写映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』の日本語吹き替え版で香(演 - エロディ・フォンタン)[注釈 1][注釈 2]の吹き替えを担当した沢城みゆきが、本作のゲストヒロインのアンジー役で出演している。
本作で獠たちと敵対する犯罪組織「ユニオン・テオーペ」の暗殺者チーム「ウェットワークス」の暗殺者「ピラルクー」「エスパーダ」役にそれぞれ関智一と木村昴が起用され、本作にて初めてアニメ版『シティーハンター』に登場する「海原神」役には堀内賢雄が起用された。
「エンジェルダスト」がアニメ版に初登場するに至った経緯 編集
本作の上映前後にアニメ制作側から初めて公表された事実であるが、アニメ化当初から制作側がテレビアニメ版で麻薬の話題を出すことを自主規制していた。そのため、原作の中でストーリー上重要な「エンジェルダスト」の絡む話と、犯罪組織「ユニオン・テオーペ」ならびにその首領(メイヨール)の「海原神」(かいばら しん)は、アニメ版『シティーハンター』には一切登場しなかった[注釈 3]。しかし、本作は映画版アニメの「最終章」に向けた作品ということで作品を前に進めるため、思い切ってこれらの要素をストーリーに入れ込むことを決めたという[3]。
「海原神」を本作で登場させた経緯について、総監督のこだまは原作者の北条司と会話をするたびに、北条が海原の名前を出していたため、もし次回作があるなら海原を登場させることや、獠の過去にも触れざるを得ないと考えたと述べている[3]。
ただし、この点について原作者の北条は、本作鑑賞者に2023年9月30日~10月6日の期間に限定配布された「『劇場版シティーハンター 天使の涙』STAFF TRIBUTE BOOKLET」[4]において、アニメ制作側とは異なる見解を述べている。
原作者の北条からは、アニメ制作側が海原をアニメに出すことについてかなり迷っているように見えたと言う[4]。前作『SPE』では当初、アニメ制作側が作成したプロットは海原が死んだところからストーリーが始まるというものであったが、北条は「原作者からすると(海原がアニメに)出てもいないのにもう死んだのよかよって(笑)。初めて(SPEを)見る人も「海原って誰だよ」ってなりますし、それは映画としてどうよって。だから、それは変えてもらったんですけど、そのことが(アニメ制作側の)頭に残ってたのかもしれないですね。」[4]というアニメ制作側とのやり取りを経て、海原がSPEの次回作となる本作に登場することになった。
北条は今回のアニメ制作側の判断について、「原作で海原が登場することで物語が終盤へと向け動き出すし、TVシリーズでは海原やエンジェルダストの設定を省く形で制作されていたので、今このタイミングで原作の物語に寄せるのもありじゃないかなと思いました。」[5]「物語が終わるとしたらこれ(海原の登場)しかないですからね。『CH(シティーハンター)』って基本的には物語の起伏がないですし。」[4]と述べている。
「エンジェルダスト」関連設定の原作からの変更点 編集
原作では槇村が死に至った背景に「エンジェルダスト」が関与しているが、本作において直接の死に至った経緯はテレビアニメ版の設定に準拠している。原作では、槇村を死に至らしめたのはエンジェルダストの開発元である「ユニオン・テオーペ」であるが、アニメ版での槇村は犯罪組織「赤いペガサス」からの依頼を断ったため、組織が雇った殺し屋・ジェネラルに撃たれて致命傷を負い、獠の腕の中で息絶えるという設定に変更されている。「赤いペガサス」は「ユニオン・テオーペ」をアニメ向けにアレンジした組織であったが[6]、本作では「ユニオン・テオーペ」の下部組織という新設定が取り入れられている。
さらに、本作の「エンジェルダスト」は原作とは異なり、麻薬ではなく「ナノマシンテクノロジーを用いて人体の能力を極限まで引き上げる薬」に設定が変更されている[注釈 4]。また、本作の中で「麻薬」というセリフは一切使用されていない[注釈 5]。
本作では「従来型」のエンジェルダスト[注釈 6]と、「赤いペガサス」の依頼を受けて「ゾルティック社」というバイオ企業が改良した新型の「ADM(アダム)」[注釈 7]の2種類が登場する。ADMは本作のキーアイテムとなっており、針無しで注射ができる「ジェットインジェクター」になっている[注釈 8]。
本作の設定は若干複雑であり、「従来型」が第2世代、「ADM」が第3世代とされている。第2世代(本作では「従来型」)のエンジェルダストは第1世代よりも副作用が抑えられているものの、効果は落ちたことになっている[注釈 9]。本作の描写によると、第1世代のエンジェルダストは副作用が激しく、投与された者で生き延びることができたのは獠だけであった。
あらすじ 編集
冒頭、キャッツ・アイ三姉妹と獠、海坊主の5人は「ゾルティック社」というバイオ企業に潜入し、ある絵画を盗み出そうとする。その絵画には「ADM(アダム)」いう薬の試作品1セットが貼り付けられていた。しかし突然、獠と同じコルト・パイソンを持った、仮面を付けた謎の人物が現れ、ADMを奪い去る。
場面は変わって、いつもの新宿。獠にはこのところずっと仕事の依頼がなく、生活資金も尽きかけて香は困り果てていた。そんなときに舞い込んできた突然の依頼。それは、アンジーという海外の動画投稿者[注釈 10]で、自分が飼っていた「キャリコ」[注釈 11]という三毛猫を見つけてくれれば巨額の報酬を前払いで全額払うという、破格の依頼だった。
アンジーと一緒に、新宿中の三毛猫を探しまわる獠と香。しかし、彼らを付け狙う男たちが突然出現。彼らは犯罪組織「ユニオン・テオーペ」の暗殺者チーム「ウェットワークス」が送り込んだピラルクーとエスパーダの2名であった。
アンジーの正体は「ウェットワークス」の一員であり、彼女の真の目的は自らが崇拝する「メイヨール」海原神が傭兵として育て、「最高傑作」と評価する獠と直接対決することであった。猫探しの依頼は、アンジーが獠に接近するための口実だった。ただし、アンジーは「ウェットワークス」3名の中で唯一「エンジェルダスト」の使用を拒否しており、組織の判断に背き、危険なADMを自らの意思で葬り去ろうとしていた。
組織の裏切り者となったアンジーを執拗に追いかけ、壮絶なADM奪還戦を仕掛けるピラルクーとエスパーダ。アンジーは化学プラント[注釈 12]でエスパーダと一騎討ちを繰り広げるも、エスパーダの猛攻に押される。香のバズーカ砲による援護射撃によりプラントの煙突が倒壊し、エスパーダが身動きできなくなった隙に、アンジーが止めを刺す。
その後、全員が川崎港貨物ターミナルへと移動。そこでは「赤いペガサス」が港湾の管理システムをハッキングし、組織が送り込んだ多数の工作員に占拠されており、さらに「ユニオン・テオーペ」首領の海原が乗るクルーズ船が密入港していた。ガントリークレーンの上でピラルクーと戦った獠はADMを奪い取り[7]、アンジーにADMのケースを投げ渡す。アンジーは「礼は言う。だが決着は付ける」と述べ、モーターボートで海へと去っていった。
アンジーが獠との決戦の場に選んだのは、千葉県木更津市の海ほたるであった。海ほたるまで追跡してきたピラルクーと対峙したアンジーはADMを破壊しようとするが、海原側の組織のヘリが乱入。ヘリの機関砲の銃撃により倒壊した海ほたるの巨大モニュメント「カッターフェイス」からアンジーを庇ったピラルクーは味方のヘリに撃たれ、絶命する。
「ユニオン・テオーペ」と首領の海原に強い忠誠心を持つアンジーは、獠にバトルを挑むが、獠に敗北。勝敗は決したかに思われたが、ADMを奪い返した海原はクルーズ船からボルトアクションライフルで、遠距離狙撃でアンジーの体内にADMを撃ち込む。海原にADMを投与されたアンジーは身体能力が驚異的に向上し、獠の反撃を全て見切り、獠はアンジーに重傷を負わされる。しかし、ADMの副作用によりアンジーは心身ともに異常をきたし、瀕死の状態になってしまう。アンジーは自死を望むが、ADMによって自らの意志を支配された上に、銃弾を跳ね返す能力まで持ってしまったため、どうやっても死ねない状態になっていた。
獠は、コルト・パイソンのマグナム弾を複数回同じ場所に撃ち込むピンホールショットによって、自死を願うアンジーの心臓を撃ち貫いた。倒れ込んだアンジーは、獠の胸の中で絶命する。それを見ていた海原のクルーズ船は東京湾を出港する。
川崎港では「赤いペガサス」の構成員たちが一斉検挙され、ADMも警視庁により回収されたが、冴子は今後、獠と海原神の戦いが始まることを予感していた。
アンジーの墓前に佇む獠と香。そこに花束を抱えた海原が現れる。海原は「“冴羽獠”という名前を気に入っているみたいだな?いずれまた逢おう」と意味深な発言をし、その場を立ち去る。エンドロール終了後、最後のシーンで獠は香に「俺は死なない」と決意を述べる[注釈 13]。
メインキャラクター 編集
「シティーハンター#主な登場人物」の項目を参照。
ゲストキャラクター 編集
- アンジー
- 声 - 沢城みゆき
- 本作のゲストヒロイン。フルネームは「アンジェリーナ=ドロティーア・オーシアノス」と名乗っているが、この名前は獠に「仕事」を依頼する際に、彼女自身がつけたものである[注釈 14]。「オーシアノス(オーケアノス)」(英語:Oceanus、ギリシャ語:Ωκεανός)は、ギリシャ神話の「海神」である。
- 海外で活躍する動画投稿者[注釈 10]と自称しているが、その正体は「ユニオン・テオーペ」の暗殺者チーム「ウェットワークス」の一員で[注釈 15]、コードネームはラテン系の言語で「名無し」を意味する「アノーニモ」[注釈 16]。
- 「ユニオン・テオーペ」の首領・海原神に忠誠を誓っているが、彼女の実父はその海原が率いていた傭兵部隊により殺害され[注釈 17]、この一件の後に海原に引き取られる[注釈 18]。子供の頃から傭兵として育てられたため、高い戦闘力を持つ一方で、食事の作法など日常生活の知識が欠落している。
- 来日した本当の目的は、海原が最高傑作と評した獠を倒し、自分こそが最高傑作だと認めさせること[注釈 19]、そして「エンジェルダスト」は不要であると海原に理解させることであった[注釈 20]。そのために仮面で顔を隠してゾルティック社に潜入し、「エンジェルダスト」の改良型である「ADM」を奪い、獠に接近するために架空の依頼をでっち上げる[注釈 21]。
- 前述の通り、獠が結果的に自らの手で殺めた「美女の依頼人」であるが、原作者の北条は制作サイドがこの展開についてだいぶ悩んでいたことを明かしたうえで、「僕は(獠が依頼人を手にかける展開は)『ありじゃないかな』と。それだけシビアな戦いなら獠だってやらざるを得ないときもあるでしょう。『キャッツ♥アイ』の三姉妹には殺しはさせないと決めているんですが、『シティーハンター』は少年誌のラインをちゃんと押さえるという程度で、その点は緩めに考えています。」と、本作の脚本に肯定的な見解を述べている[5]。また、北条はアンジーのデザイン原案について、「アンジーは髪が長いイメージはなかったので、短めに。獠とやり合うくらいなので、鍛え上げられた体型をしています。」と述べている[5]。
- ピラルクー
- 声 - 関智一
- 「ウェットワークス」の一員で、接近戦を得意とする。思慮深く落ち着いた性格であり、仲間を大切にする。それは、ADMを巡って敵となった以前の仲間、アンジーに対しても全く同様であった。組織の命令には忠実である一方、海原とアンジーが獠に対する妄執を捨てられずにいることに気付いている。「ADM」を奪還後、獠と川崎港のガントリークレーン上で再び対峙した際、本意ではないながらも獠を殺すことですべてを断ち切ろうと直接対決を挑むが、獠によって「ADM」を奪い返され、「ADM」はアンジーに渡されることとなる。その後、「海ほたる」におけるアンジーとの戦いの最中に味方のヘリに撃たれて致命傷を負い、獠のもとへ行くよう告げて絶命する。
- 名前は世界最大の淡水魚で南米に生息するピラルクーから。
- 総監督のこだま兼嗣によると、本作では当初、ピラルクーが獠のライバルとなる予定であった[8]。獠は中南米で飛行機事故に遭い、ゲリラ組織の海原に傭兵として育てられたという設定があるので、アマゾンと縁のある「ピラルクー」という獠のライバルキャラクターを以前から温めていた。ただし、本作では脚本を作り込むうちに「強いゲストヒロインをライバルにする」という方向に変わったため、ピラルクーは脚本のむとうやすゆきによって、アンジーに対する嫉妬心や仲間意識という人間性を持つ別の役割を与えられた[9]。
- 原作者の北条はピラルクーのデザイン原案について、「難しかったのはピラルクー。エスパーダとは違う方向で、彼はしっかりした顔つきに。僕のイメージではもっとブサイクなんですけど…ちょっといい男にしすぎちゃったかな(笑)」と述べている[5]。
- ピラルクーの声を演じる関は、神谷と大地丙太郎作品での共演[注釈 22]が縁で親交があり、新作への出演を熱望していた。
- エスパーダ
- 声 - 木村昴
- ピラルクー同様「ウェットワークス」の一員。「エンジェルダスト」の常用者で、注射器で頻繁にエンジェルダストを使用する。完全に中毒状態であり、組織から奪還を命じられた「ADM」にまで手を出そうとして、ピラルクーに止められる。口癖は「ヒャッハー!」。同じ「ウェットワークス」の仲間であるアンジーのことを嫌っており、「ずっと小賢しくて仕方がなかった」と言っているが、それはアンジーの家族を殺した張本人である海原に彼女が心酔していることへの違和感からくるものであった[注釈 23]。川崎市のコンビナートにおけるアンジーとの一騎打ちで、自らのナイフでアンジーに刺され、絶命する。
- 名前はメカジキ(英語名「ソードフィッシュ」)のスペイン語から。
- 原作者の北条はエスパーダのデザイン原案について、「エスパーダは脚本を一読しただけでサラサラと出来上がったキャラで、「たぶん死ぬときはこんな顔だろうな」と思いながら死に際の絵も描きました」と述べている[5]。
来生瞳 ()、来生泪 ()、来生愛 ()- 声 - 戸田恵子(瞳)、深見梨加(泪)、坂本千夏(愛)
- 北条の過去作品『キャッツ♥アイ』のヒロインを務める怪盗三姉妹で、『新宿PE』に引き続き登場。現在はアメリカ・ロサンゼルスに在住している。とある情報を入手し、日本に一時帰国して冒頭のゾルティック社への侵入へとつながったことがノベライズ版P.30で明らかにされている。
海原神 ()- 声 - 堀内賢雄
- 本作における事件の黒幕。別名「首領(メイヨール)」。孤児となっていた獠を戦士として育て上げた男。これまで原作にしか登場しておらず、アニメ作品では本作が初登場となる。
下山田誠 ()- 声 - 桐本拓哉
- 前作『新宿PE』に引き続き登場する警視庁公安部外事三課所属の公安捜査官。ヒステリックかつ威圧的で、また主要キャラたちと比較するとかなり軽率な言動を取る警官として描かれているが、これは今作の重くシリアスな本筋に対してガス抜き役であるためとされており、こだま監督曰く「唯一失うものが無いキャラ」であるからこそ出来たと話している。
- 今作では獠から「あんた、誰?」とあえてとぼけられ「下山田だよ!」と感情的に描かれる場面がある。[注釈 24]、前作限りの登場予定だったが、予想外の人気を受けたことで本作にも再登場させたという異色のゲストキャラクター[10]。
海小坊主 ()- 声 - 北川里奈
- ドミナテックにより開発された喫茶キャッツアイの接客用ロボットで、前作『新宿PE』に引き続き登場。本作では新たな機能が追加されている。
- ナンパ好きの男
- 声 - 山里亮太(南海キャンディーズ)
- 言葉の通りナンパ好きな男で、東京モノレールの車内でアンジーに声を掛ける。山里は「ナンパばかりしている先輩たちを思い浮かべながら、役作りをして挑みました」[11]と述べている。
- モヒカンの容疑者
- 声 - 世界(FANTASTICS from EXILE TRIBE、EXILE)
- 冴子の回想シーンに登場する、取り調べを受ける男。声を担当した世界は、「この作品に出演したい」と直談判したことを明かしている[12]。
- 船着き場の男
- 声 - 伊藤遼(日本テレビアナウンサー)
- アンジーにモーターボートを奪われた男。伊藤は本作の出演について「日本テレビの「遼」が、シティーハンターの「獠」と同じ世界に入れることを誇りに思います」と述べている[11]。
カメオ出演 編集
- ルパン三世、次元大介
- 声 - 栗田貫一(ルパン)、大塚明夫(次元)
- いずれも『ルパン三世』から登場[13]。愛車のフィアット・NUOVA 500[注釈 25]で走行中、ルパンはピラルクーやエスパーダとのカーチェイス中の獠や香を目撃し、彼らとすれ違う際には香のことをよく知っている様子を見せる[13]。
- 本作に先駆けて発表された『ルパン三世』と『キャッツ・アイ』のクロスオーバー作品『ルパン三世VSキャッツ・アイ』に獠が隠れキャラクターとしてカメオ出演した件(詳細は作品記事を参照)を受け、本作にもルパンと次元が登場することとなったという[13]。
- タマ
- 『タマ&フレンズ 〜うちのタマ知りませんか?〜』から登場[13]。飼い猫の捜索の最中に香がチェックしていた猫たちの1匹として、タブレットの画面に一瞬だけ登場する[13]。
スタッフ 編集
※ 各スタッフ出典 → [14]
主題歌 編集
- オープニングテーマ「Whatever Comes」
- 歌 - TM NETWORK
- ※TM NETWORKが『シティーハンター』のオープニング曲を担当するのは本作が初めてである[注釈 27]。小室哲哉は2023年6月13日に開催されたプレスイベントで、「OPとEDの両方とも(担当)できるのは最高」と述べる一方で、「(伝説の名曲となった)Get Wildに負けないオープニングを作らなければならない」という強い思いがあったことを語っている[15]。
- エンディングテーマ「Get Wild」
- 歌 - TM NETWORK
- ※これまではアニメ用にカットされたバージョンがエンディングに使用されてきたが、本作のエンディングではフルコーラスで流れる。また、他の曲はエンディングで一切流れない。
主な舞台 編集
公式パンフレットP.24 - 25に掲載された地図から、本作の舞台を以下の表に示す。公式パンフレットには地図の位置だけ示してあり、あえて固有名詞は記載されていない。一方、公式ノベライズ版には地名が記載されている[注釈 28]。下表の番号は公式パンフレット記載の数字に準じる。
番号 | 場所 | 内容 |
---|---|---|
新宿 | ||
(1) | 新宿西口商店街(通称「思い出横丁」) | 香と獠が、アンジーの愛猫「キャリコ」探しで奔走したエリア |
(2) | TOHOシネマズ新宿付近(通称「トー横」) | 香が猫探しのビラを配ったエリア |
(3) | 新宿ルミネ | 獠がアンジーのためにセクシー下着を買いに行こうとした場所 |
(4) | JR新宿駅東口前広場 | エスパーダがアンジーにナイフを投げつけた場所[注釈 29] |
(5) | 花園神社 | エスパーダとピラルクーがアンジーを襲撃した神社 |
(6) | 新宿区立四谷第五小学校跡地 | エスパーダとピラルクーがアンジーを襲撃した廃校[注釈 30] |
お台場 | ||
(7) | お台場海浜公園の展望デッキ付近 | 獠がボディーガードとしてアンジーを連れ出した場所 |
(8) | アクアシティお台場の「LOVE」モニュメント | 獠とアンジーが記念撮影した人気スポット |
(9) | パレットタウンの観覧車[注釈 31] | 獠とアンジーが乗った観覧車 |
(10) | 実物大のユニコーンガンダム像 | す巻きにされた獠が観覧車から飛ばされ、引っかかって吊るされた像 |
(11) | ダイバーシティ東京プラザ | アンジーが獠に贈るセクシー下着を購入したモール |
(12) | お台場海浜公園の水上バス乗り場 | 獠とアンジーが海に落ちた船着き場 |
川崎周辺 | ||
(13) | 首都高速1号羽田線 | ピラルクーが運転する装甲車が獠のミニクーパーを攻撃した場所 |
(14) | 東京貨物ターミナル駅 | ピラルクーが貨物列車を強奪した場所 |
(15) | 多摩川スカイブリッジ | エスパーダが渡った建設中の橋[注釈 32] |
(16) | 川崎貨物駅 | ピラルクーが強奪した貨物列車が通過する駅 |
(17) | 川崎コンビナートの千鳥町ヤード | アンジーがエスパーダと死闘を繰り広げた場所 |
(18) | 川崎港貨物ターミナル | 獠とピラルクーが交戦した場所 |
東京湾アクアライン | ||
(19) | 海ほたる | アンジーが獠に最終決戦を挑んだ場所 |
主要な登場車両 編集
公式パンフレットでは商標などの関係で車名が一切記載されていないが、車種が明確に判別できるレベルで描画されているため、本項にて説明する。なお、本作から作中の自動車の描画に3Dレンダリングが用いられている。
- モーリス・ミニクーパー1275S Mk.I
- 冴羽獠の愛車である赤いミニクーパー。原作以来、この設定は常に踏襲されている。MT車である。
- 「SPE」に引き続き、本作のミニクーパーのナンバーは「新宿300 あ 19-19」[注釈 33][注釈 34][注釈 35]。ミニは本来、車体サイズ・排気量のいずれも日本の5ナンバー登録であり、改造などを行わない限り3ナンバー登録にはならない[注釈 36]。
- トヨタ・ランドクルーザー(200系)
- 海坊主と美樹が乗る車で「SPE」に引き続いての登場。ナンバーは「新宿330 う 07-24」[注釈 33][注釈 37][注釈 38]。車体色は黒。前後は大きく改造されており、一見しただけではランドクルーザーとはわからない[注釈 39]。サンルーフを装備しており、車内から身を乗り出して重火器で外部を攻撃することが可能となっている。
- ポルシェ911ターボ(930型)
- 冴子の愛車の赤いポルシェ。ナンバープレートは「新宿33 の 60-03」[注釈 33][注釈 40]。フロントにクレマー・レーシングのスポイラーが装着されている[18]。
- トヨタ・パッソ(2代目)
- ピラルクーとエスパーダがアンジーを尾行するため、隠密行動用に使用していた薄黄色の車。大柄な2名にはかなり窮屈なようだが、(彼らにとって)狭い車内の中でインスタントラーメンをすすっていた[注釈 41](後述の「タイアップ」の項目も参照)。
- クーガー装甲車
- ピラルクーとエスパーダが攻撃用に、自動車整備工場「小山自動車」の中に隠し持っていた巨大な6輪装甲車。車体色は黒。
- フィアット・NUOVA 500
- カメオ出演するルパン三世と次元大介が乗っている車。車体色は薄黄色。
- その他の車両
- 背景に映り込む車両として、トヨタ・プリウスPHV(2代目)、スズキ・キャリイ(11代目)、三菱ふそう・スーパーグレート(初代後期型)、ホンダ・フィット(初代)などが登場している。また、ピラルクーとエスパーダが使用していたものと色違いのトヨタ・パッソ(2代目)も背景車両として出てくる。
タイアップ 編集
アニメ版『シティーハンター』は、当初から作中にスポンサー企業のロゴや製品を登場させる「プロダクトプレイスメント」の取り組みが行われていた(「シティーハンター_(アニメ)#概要」を参照)。近年のアニメ映画では、制作資金を調達する上で重要なプロダクトプレイスメントは半ば常識となっている。本作では、映画内のスポンサーとともに、映画外のタイアップも多数実施されている。以下に、タイアップの例を示す。
- エースコックの「鴨だし中華そば」を、ピラルクーとエスパーダがトヨタ・パッソの車内ですするシーンがある。
- サッポロビールの「サッポロ生ビール黒ラベル」を、香が飲むシーンがある。
- 2023年8月7日には、ラーメンチェーン店「天下一品」とのコラボレーションキャンペーン「あっさり!こってり!!もっこり!!!」が翌8月8日から9月18日まで実施されることが発表された[19]。
その他のタイアップの詳細は、公式サイトのリンク[20]に記載されている。
注釈 編集
- ^ フランスでの香の名前はローラ・マルコーニである。
- ^ エロディ・フォンタンは、フランス版実写映画の監督で冴羽獠役を務めたフィリップ・ラショーの妻である。
- ^ ユニオン・テオ―ペがアニメ版に登場しない理由については、ファンの間で長年にわたり様々な憶測がなされてきたが、制作側が公言したのは今回が初めてである。
- ^ 作中、冴子が「ナノマシンによって身体能力を強化し、人間の痛覚や恐怖心を麻痺させて、超人兵士へと変える闇のテクノロジー」と発言している。
- ^ 獠は本作で、エンジェルダストのことを「あれは人間を人間でなくしてしまう“モノ”だ」と述べている。
- ^ 本作でエスパーダが頻繁に打っている注射が従来型エンジェルダストであるが、あえて視聴者にわかりにくくしてあり、本作の公式パンフレットでもP.31に「従来型エンジェルダスト」としてひっそりと注射器の設定画が掲載されるのみとなっている。
- ^ Angel Dust Mod.=「エンジェルダスト改良型」の略称
- ^ ADMはジェットインジェクターのため、海原のライフルによる遠距離狙撃でアンジーにADMを投与することが可能であった。
- ^ 原作でも、エンジェルダストは改良型など複数のバージョンが存在する。
- ^ a b 商標などの関係で「動画投稿者」という設定になっているが、要するにYouTuberのことである。
- ^ 三毛猫は英語で「キャリコ(Calico)」と呼ばれる。詳しくは三毛猫の項目を参照。
- ^ 公式パンフレットP.24の地図によると、場所は川崎コンビナートの千鳥町ヤード。
- ^ なお、このセリフは原作者の北条司の要望によって追加されたものであり、前半の香の「獠は死なないわ」というセリフとバランスを取ることが目的であった[5]。
- ^ ノベライズ版P.143とP.179
- ^ 冴子によるとこれまでに世界各地の要人数十人を殺害している。
- ^ ノベライズ版P.101では、アンジーは「メイヨール」海原本人以外の命名を拒んだため、コードネームが「アノーニモ」になってしまったことが明らかにされている。公式ノベライズによると、海原は原則として傭兵に名前をつけることはなく、唯一の例外が獠であった。「ピラルクー」「エスパーダ」は「ユニオン・テオーペ」の、海原以外の誰かが命名した名前である。
- ^ アンジーの父親はとある国の国軍幹部であったが、海原が率いていた傭兵部隊によって殺害されたことがノベライズ版で詳しく明かされた。
- ^ 海原はこの当時まだ「ユニオン・テオーペ」を結成していなかった。
- ^ 背景には獠への嫉妬もあった。アンジーが出会った頃の海原は「エンジェルダスト」に魅了された冷徹な野心家であったが、ある時写真で、少年兵だった獠と一緒に写っていた「エンジェルダスト」を手に入れる前の海原が、自分に向けたことのない優しい笑顔を獠に向けていたことを知る。また、海原が獠を最高傑作と評したことで、直接の面識はないながらも獠に嫉妬を抱くようになったと小説版では語られている。
- ^ 海原を尊敬している一方で、アンジーは「エンジェルダスト」が危険な存在であることを認識していた。また、「エンジェルダスト」が海原の人間的な感情を奪ったことを悟っていた(小説版より)。
- ^ 獠はゾルティック社でアンジーの身体を掴んだことや、自宅アパートで彼女の尻に触れたことから正体を見破り、猫探しの依頼が嘘であることもすべて見抜いた。
- ^ 『花のずんだ丸』(2013年)と『DD北斗の拳』(2013年、2015年)の2作品。
- ^ 小説版P.134より。
- ^ なお、前作『SPE』で獠と初めて会った際、公安から獠に情報を提供したことを公言できないため、自ら「下山田なんて男は存在しない」と言っていた。
- ^ テレビアニメ第1シリーズの後期より、ルパンの愛車として登場した車。
- ^ 小説版ではこの場面はオミットされている。小説版では、獠がアンジーを観覧車に連れ込もうとする前に、香が獠を張り倒し、香がアンジーと観覧車に同乗するという形に変更されている。
- ^ 本作でも挿入歌として使用されている「RUNNING TO HORIZON」(『シティーハンター3』オープニング曲)は小室哲哉のデビューシングルであり、TM NETWORKの作品ではない。
- ^ 固有名詞が未記載のところも存在する(新宿ルミネなど)。
- ^ エスパーダのナイフで切り裂かれた風船を配っていた着ぐるみのキャラクターは、やなせたかしがデザインした新宿区の防犯マスコット「新宿シンちゃん」である[16][17]。
- ^ 実世界では吉本興業東京本社や新宿区役所第二分庁舎などが入居している。
- ^ 実世界のパレットタウンは2022年8月31日に閉館
- ^ 実世界では2022年3月12日開通
- ^ a b c 「新宿」ナンバーは実在しない。
- ^ 自家用車登録の場合、普通乗用車で「あ」は使用されない。
- ^ 以前の作品では「歌舞伎町69 あっ 19-19」というナンバーを付けていたこともあった。
- ^ エンジン換装を行ったという設定が続編で新たに出てくる可能性も考えられる。
- ^ 自家用車登録の場合、普通乗用車で「う」は使用されない。
- ^ 日本のナンバープレートでは、1962年の様式変更以後は「0」が最初に来ることはなく、「・」となる。また、3桁以下の数字にはハイフンが入らないため、現実の世界では、このナンバーは「07-24」ではなく「・7 24」と表示される。
- ^ ノベライズ版では「ランドクルーザー」と明記されている。
- ^ 日本のナンバープレートの分類番号は1998年に3桁化されたため、冴子のポルシェは1998年以前の登録ということになる。
- ^ 制作側から公式には公表されていないが、映画『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)でルパンと次元がフィアット500の狭い車内でインスタントラーメンを食べていたシーンをオマージュした可能性が考えられる。
出典 編集
- ^ “『劇場版シティーハンター』公開日は9・8に決定 沢城みゆき・堀内賢雄ら新キャストも発表【コメントあり】”. ORICON NEWS (2023年6月13日). 2023年6月13日閲覧。
- ^ 榑林史章 (2023年9月8日). “重要人物、海原神もついに参戦!改めてチェックしておきたい「劇場版シティーハンター」の登場キャラクターたち”. ムービーウォーカー. 2023年9月30日閲覧。
- ^ a b ぴあ (2023-08-21), シティーハンターアニメ全史ぴあ, ぴあ, pp. 14-15, ISBN 978-4835644486
- ^ a b c d アニプレックス (2023-09-30), 『劇場版シティーハンター 天使の涙』STAFF TRIBUTE BOOKLET(2023年9月30日~10月6日の『劇場版シティーハンター 天使の涙』劇場鑑賞者のみに配布)
- ^ a b c d e f アニプレックス (2023年9月8日), 劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)公式パンフレット, アニプレックス, pp. 17
- ^ 公式パンフレットP.26
- ^ 公式ノベライズP.138
- ^ 公式パンフレットP.26
- ^ 公式パンフレットP.26
- ^ “『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』神谷明さん、桐本拓哉さんらが登壇! スペシャルトークイベント&応援上映舞台挨拶の公式レポート到着”. アニメイトタイムズ (2023年10月2日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ a b アニプレックス (2023年9月8日), 劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)公式パンフレット, アニプレックス, pp. 16
- ^ コミックナタリー (2023年8月4日). “「劇場版シティーハンター」FANTASTICS世界が直談判して出演「まさか本当に叶うとは”. コミックナタリー. ナターシャ. 2023年9月30日閲覧。
- ^ a b c d e “『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』と『ルパン三世』『タマ&フレンズ ~うちのタマ知りませんか?~』がコラボ! 本編にルパン三世、次元大介、タマが登場”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2023年8月30日) 2023年9月1日閲覧。
- ^ “「劇場版シティーハンター」新作は"エンジェルダスト"、香が2023tハンマー振り回す特報も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年2月22日) 2023年6月13日閲覧。
- ^ オリコン (2023年6月13日). “TM NETWORK『シティーハンター』OPテーマ担当で小室哲哉がまさかの自虐「Get Wildが最大のライバル」 『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』プレス発表イベント”. YouTube. オリコン. 2023年9月18日閲覧。
- ^ 公式ノベライズ P.53
- ^ 新宿区公式サイト “「新宿シンちゃん」について やなせたかしさんの言葉”
- ^ 遠藤イヅル (2020年2月20日). “【図説で愛でる劇中車 第10回】実写映画化で人気も再燃!? 「シティーハンター」に登場する車たち”. カーセンサー. リクルート. 2023年9月13日閲覧。
- ^ “「劇場版シティーハンター」×「天下一品」コラボ特製どんぶりが抽選で100名に当たるキャンペーンが8月8日より開催”. GAME Watch (インプレス). (2023年8月7日) 2023年8月7日閲覧。
- ^ TIEUP |「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」公式サイト