番狂わせ(ばんくるわせ)とは、予期せぬ事態により物事が思わく通りに進まなくなること、またはスポーツの試合などにおいて戦力や過去の実績で上回る競技者や競技チームに対して格下と見なされる側が、事前の予想を覆して勝利することを指す言葉[1]。時には、「奇跡」とまで表現されることもある[2]

概要編集

「番狂わせ」という言葉は、江戸時代頃から存在する[3]。「」とは物事の順序を指す言葉で[4]、それが「狂う」ことから「予期せぬ事態によって支障が生じる[3]」「志と異なる[3]」「当てが外れる[3]」「異常[3]」「異変[3]」「尋常ではない様[3]」などの意味を持つようになった。

現代社会の日本では、スポーツなどの勝負事において「番狂わせ」という言葉が使用される機会が多いが、これは相撲番付の下位に位置する力士が上位力士に勝利することを指して「番狂わせ」と呼ぶようになったことの影響と言われている[4]。格下と見做されるチームや体格で劣る者が、創意工夫をめぐらせて戦力差を補い、「番狂わせ」を呼び寄せる様は真剣勝負の世界の醍醐味とも評される[5]。その一方で、ラグビーユニオンのように強者が順当に勝ち進む可能性が高い競技もあり[5]、身体能力に勝る側に有利に作用するルール改正により、弱者が強者に勝利する可能性がさらに失われている、との指摘もある[5]

類似表現として、「大物食い」がある[6]

英語における用法編集

 
カラヴァッジョ『ゴリアテの首を持つダビデ』(1609年 - 1610年) ボルゲーゼ美術館ローマ
『旧約聖書』によると当時若者に過ぎないダビデ王が巨人ゴリアテを投石器で斃し打ち取った。

英語において、日本語の「番狂わせ」に相当する、上位にランクされた他の競技者を打ち負かすことを意味する語として、upset と giant-killing がある。

Upset

Upsetという単語は「動揺」「不安」など様々な意味を持つが、スポーツや政治の分野では、「番狂わせ」の意味で用いられる[7]

本来の語源は定かではないが、通俗的には1919年サラトガ競馬場で行われたサンフォードメモリアルステークスにおいて、アメリカ競馬史上最強馬の一頭に数えられる競走馬マンノウォー(1917年生、21戦20勝)を唯一破った馬 Upset (1917年生)に由来すると考えられていた[7]。ところが2002年、『ニューヨーク・タイムズ』 紙のオンライン版[8]データベース全文検索能力を調査していた辞書調査員 George Thompson は、"upset" の動詞名詞の用例をさかのぼって調べたところ、名詞の用例が1877年には存在していたことを突き止めた[9][7]。ただし、1919年のサラトガ競馬場での事件が upset の用法を広めることになったのは事実である。また当然にUpset の馬名の由来になっていた可能性も否定出来ないが、現在でもしばしば大きなスポーツイベントにおける最初の upset の使用として紹介される。

Giant-killing

直訳すれば 「巨人殺し」 で、日本語の 「大物食い」 に当たる。『旧約聖書』「サムエル記」の「ダビデゴリアテ」 の説話や、『グリム童話』 の 「勇ましいちびの仕立て屋」 のバリエーションの一つで 『ジャックと豆の木』 と共通点の多い『ジャック・ザ・ジャイアント・キラー英語版』(巨人殺しのジャック)から来ている。イングランドで行われている世界最古のカップ戦であるFAカップにおいて4部や5部などの下位リーグのクラブが1部リーグのクラブを破った際などに用いられる[10][11]

主な事例編集

選挙編集

1936年アメリカ合衆国大統領選挙
現職大統領で、民主党フランクリン・ルーズベルト共和党候補のアルフレッド・ランドンに勝利した。世界恐慌や世界的な政情不安の中、保守的なルーズベルトにこれらの問題を解決する能力はないと評され、過去5回の大統領選の結果を的中させた『リテラリー・ダイジェスト』誌の調査でも再選の見込みはないとされていた[12]
1948年アメリカ合衆国大統領選挙
事前の世論調査により、落選確実と見做されていた現職大統領で民主党のハリー・S・トルーマンが、共和党候補のトマス・E・デューイに勝利した。当時の民主党は公民権問題を巡って3派に分裂していたため、共和党が20年ぶりに政権の座に復帰するものと考えられていた[13]
2016年アメリカ合衆国大統領選挙
不動産王として知られていた共和党のドナルド・トランプが、民主党候補で元国務長官ヒラリー・クリントンに接戦の末勝利した[14]。トランプは過激な言動や自身のスキャンダルなどで批判を浴びており[15]、政治家としての実務経験が欠如していたことからアウトサイダーと見做されていたが、変革を望む大衆からの支持を集めた[14][16]。一方のクリントンは事前の世論調査では優勢だったが[15]、「既存の政治家」「富裕層の代表」と見做され国務長官時代の私用メール問題が再熱したこともあり、支持を伸ばすには至らなかった[14]
2021年東京都議会議員選挙
前回、自由民主党と連立政権を組む公明党が自民党との選挙協力を解消し、小池百合子東京都知事(当時)が特別顧問を務める都民ファーストの会と選挙協力し、小池都知事への高い支持率も相まって、都民ファーストの会が追加公認と合わせて55議席と大勝したが、都議会運営をめぐって公明党と都民ファーストの会が対立して協力関係を解消し、公明党は今回、前回23議席と大敗した自民党と8年ぶりに選挙協力した。このため、序盤情勢では「自公、過半数獲得の勢い」[17]と自民、公明両党優位という情勢報道がなされたが、投開票の結果、公明党は23人全員当選を果たしたものの、自民党は40議席台ないし50議席以上という大方の予想を覆し、33議席と辛うじて都議会第一党を奪還するのにとどまり、自公合わせて過半数の64議席に届かず[18]菅義偉政権にとって大きな打撃となる結果となった。一方都民ファーストの会は、終盤、過労で入院していた小池都知事が退院して公認候補の激励に駆けつけたことも功を奏し、最大でも20議席台前半という予想を覆し、31議席と踏みとどまった(後に所属議員1名が選挙期間中に無免許運転をしたうえ、別の車に衝突する事故を起こし、運転手ら2人に軽い怪我を負わせたことが報道され、除名処分が下った。)。このように事前の議席予測と実際の選挙結果に大きな乖離が生じた原因として、政治学者の菅原琢が国政選挙において議席予測の際に、世論調査の数字が歪んでいることを考慮して予測するが、今回の場合、態度未定層等を無視して告示直後の態度決定層の投票予定のみを基にしたデータから予想したためと論じている[19]

オリンピック編集

氷上の奇跡
1980年2月22日に行われたレークプラシッドオリンピックアイスホッケー競技決勝ラウンドのアメリカソビエト連邦英語版戦で、アメリカがソ連を4-3で破った。ソ連はステート・アマと呼ばれる実質的なプロ集団であり、大会5連覇を目指す強豪であるのに対しアメリカはミネソタ大学の学生を中心としたアマチュアチームであり、出場12チーム中の世界ランキングも7位と評価が低かった[20]。アメリカは2月24日に行われた最終戦の結果、金メダルを獲得した。
サラエボオリンピックスピードスケート競技男子500m
1984年2月10日、前年の世界選手権金メダリストで優勝候補と目されていた日本の黒岩彰が、不調により記録が伸びず38秒70の記録で10位に終わった[21]。これに対し同じ日本の北沢欣浩が38秒30の記録を残し、2位で銀メダルを獲得した。なお、北沢はそれまで黒岩に勝利した経験がなく[22]、伏兵的な存在だった。
シドニーオリンピックレスリング競技グレコローマンスタイル130kg級決勝
2000年9月27日、オリンピック3連覇とレスリング世界選手権9連覇の記録を保持し「人類最強」と呼ばれていたロシアアレクサンドル・カレリンが決勝でアメリカのルーロン・ガードナーと対戦して敗れ、大会4連覇を逃した。この敗戦により、カレリンの1988年から2000年にかけて維持していた13年間無敗記録が途絶えた[23]
ソルトレイクシティオリンピックショートトラックスピードスケート競技男子1000m
オーストラリアスティーブン・ブラッドバリーが準々決勝、準決勝を上位選手の失格や転倒で勝ち上がり、決勝でも先頭集団から遅れをとりながら最終コーナーでの先頭集団の全員転倒を後方にいて難を逃れたブラッドバリーが1着でフィニッシュし、オーストラリアのみならず南半球に冬季オリンピック初の金メダルをもたらした[24]
ロンドンオリンピックバレーボール競技女子 ブラジル韓国
2012年8月1日、前回覇者のブラジルに対し世界ランク15位の韓国が3-0のストレートで勝利した[25]。韓国は3位決定戦まで勝ち進んだが、3位決定戦で日本に敗れ、4位に終わった。
リオデジャネイロオリンピックレスリング競技女子53kg級決勝
2016年8月18日、オリンピック3連覇とレスリング世界選手権を合わせて16連覇中だった日本の吉田沙保里が、決勝でアメリカのヘレン・マルーリスと対戦して敗れ大会4連覇を逃した[26]。なお、マルーリスはこの勝利で吉田の個人戦連勝記録を206で止めるとともに、アメリカに初の女子レスリングでのオリンピック金メダルをもたらした。
平昌オリンピックアルペンスキー競技女子スーパー大回転
メダル獲得の可能性が高い20番滑走が終わった段階でトップに立っていたオーストリアアンナ・ファイトの連覇が確実と見られていたが、26番スタートのチェコエステル・レデツカがファイトのタイムを0.01秒上回る快走を見せ、チェコスロバキア時代も含めてチェコにアルペンスキー競技における初の金メダルをもたらした[27]。レデツカの本職は当時、2017年の世界選手権で優勝するなどの活躍をしていたスノーボードパラレル大回転であり、アルペンスキー競技においてはワールドカップでは7位、世界選手権では20位が最高と実力者と言えるには程遠い存在だった。この種目では、借り物のスキー板で滑っていた。この快挙で、19番スタートのオーストリアのコーネリア・ヒュッターが滑り終わった段階でファイトが連覇を果たしたと報道していたアメリカのNBCが報道を訂正する事態になった[28]。レデツカは、2月24日に行われたスノーボード女子パラレル大回転でも金メダルを獲得し、冬季オリンピック史上初めて1大会で異なる2つの競技(狭義上。アルペンスキーとスノーボードの統括団体は同じ国際スキー連盟であるため、広義の上では同一競技となる。)で金メダルを獲得した女子選手となった[29]
また、レデツカは後に2020-2021シーズンのワールドカップで2020年12月12日、スノーボード女子パラレル大回転を[30]、12月20日にアルペンスキー女子スーパー大回転を制し[31]、8日間でアルペンスキースノーボードの2つのワールドカップで勝利を収めた。

2020年東京オリンピック編集

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2021年に延期して開催された当大会では1年延期したことに加え、開幕直前の無観客開催(宮城スタジアムなど一部は有観客)の決定、東京の夏の高温多湿の気候なども影響し、下記のように番狂わせが続出した。

自転車女子ロードレース
2021年7月25日に行われた自転車女子ロードレースで、オーストリアアナ・キーゼンホファーが優勝した。
キーゼンホファーは当時、世界ランク94位のアマチュアでスイス連邦工科大学の数学者でもあった。キーゼンホファーはスタート直後から単騎の大逃げを打ち、他4選手がキーゼンホファーに追随するも徐々に脱落し、残り約40kmで独走状態になる。そしてキーゼンホファーを追うグループが作戦を誤った結果、キーゼンホファーとの差を縮められず2位に1分15秒の差をつけて優勝した[32]
バドミントン
2021年7月28日に行われた男子シングルスで、世界ランク1位の桃田賢斗が韓国の世界ランク38位の許侊熙英語版に敗れ、予選リーグで敗退した[33]。また、女子ダブルスでも世界ランキング1位2位を独占し、直近2大会の世界選手権でも優勝準優勝を独占していた日本の松本麻佑永原和可那組、福島由紀廣田彩花組の2ペアが、7月29日に行われた準々決勝でそれぞれ韓国、中国のペアに敗れメダルを逃した[34]。なお、当競技において日本代表はメダルラッシュを期待されたが、男女混合の銅のみに留まるなど低迷した。
陸上競技
男子100mでは、当時2021年のシーズンベスト1位だったアメリカのトレイボン・ブロメルが準決勝で敗退する波乱があった。決勝では、大会前まで9秒95が自己ベストだったイタリアのマルセル・ジェイコブスフレッド・カーリーロニー・ベイカーといったアメリカ勢やカナダのアンドレ・ドグラス、南アフリカのアカニ・シンビネといった金メダル候補を抑えて、9秒80のヨーロッパ新記録で金メダルを獲得した[35]
男子4×100mリレーでは、予選で強豪のアメリカがまさかの敗退を喫した。1組で登場した日本が38秒16のタイムで3着に入り決勝に進んだが、2組で登場したアメリカは日本より早い38秒10のタイムを記録したものの6着に終わり、4着以下の上位2か国にすら入ることができなかった。この敗退によりカール・ルイスマイケル・ジョンソンが酷評する事態となった[36]。決勝では、メダル候補と言われていた日本は第1走者の多田修平から第2走者の山縣亮太へのパスが渡らず、テイクオーバーゾーンを超えたため失格となり、3連覇を目指していたジャマイカがバトンパスで失速して5位に終わり、金メダルを獲得したのはイタリアであった。イタリアはリレー種目では初の金メダルを獲得し、2走で走ったジェイコブスは100mと併せて2冠を達成した。イタリアは今五輪において計10枚の金メダルを獲得、うち5枚をこの陸上競技で挙げた。イタリアが一大会における金メダルの獲得数を二桁に乗せたのは、2004年アテネ大会以来である。
競泳
男子400m個人メドレーでは、2019年の世界選手権を制し金メダル候補だった日本の瀬戸大也が予選9位で敗退した。なお、男子水泳は日本代表のメダルラッシュを期待されたが、200mバタフライの本多灯の銀のみに留まるなど低迷した。
男子400m自由形では、男女あわせて競泳競技の参加が1人のチュニジアの18歳、アハメド・ハフナウーイ英語版が大会前の自己ベストを5秒以上更新して優勝。
テニス
男子シングルスでは、全豪全仏ウィンブルドン4大大会を3連勝し、年間ゴールデン・スラム達成を狙っていたセルビアノバク・ジョコビッチが準決勝、3位決定戦と連敗してメダルを逃した。
女子シングルスでは、世界ランキング1位のオーストラリアアシュリー・バーティが1回戦で同48位のスペインサラ・ソリベス・トルモに敗れ、初戦で敗退した。世界ランキング2位の日本の大坂なおみも、3回戦で同42位のチェコマルケタ・ボンドロウソバに敗れた。ボンドロウソバは決勝まで勝ち進み、銀メダルを獲得している。
スケートボード
オリンピック出場者を決める世界ランキングにて、1位だった選手(男子ストリート:ナイジャ・ヒューストン、男子パーク:ヘイマナ・レイノルズ英語版、女子ストリート:パメラ・ローザ英語版、女子パーク:岡本碧優)がいずれもメダルを逃し、男子パークのレイノルズと女子ストリートのローザに関しては予選敗退を喫した。特に絶対王者とも評されるヒューストンにはメダルの期待がかかっていたものの、決勝で4連続トリックミスを犯し、その理由について「ファンがいない中で五輪金メダルを懸けて争うのは難しかった」と話している[37]。なお、行われた4種目のうち3種目で日本代表選手が金メダルを獲得した。

相撲編集

天明2年2月場所7日目 小野川谷風
1778年に行われた63連勝中の大関・谷風と二段目の小野川の取組は、小野川が小股掬いで谷風を下し勝利。この番狂わせにより小野川の名前は世間に知られるようになった[38]
昭和14年1月場所4日目、双葉山安藝ノ海
1939年1月15日に行われた双葉山70連勝ならずの「世紀の一番」。安藝ノ海が双葉山を左外掛けによる奇襲で破る。この取り組みまで双葉山は無敵の69連勝を記録、誰もが70連勝の達成を信じて疑わなかった。安藝ノ海は双葉山攻略法を研究しており、それが実った形となった。その模様のラジオ中継では和田信賢の「70古来やはり稀なり」の名言が生まれた。日本のスポーツ史上で最初の号外で伝えられたといわれている。双葉山が敗れた瞬間、国技館では座布団だけでなくビール瓶、果ては火鉢までが宙を舞ったと伝えられる[39][40][41]。安藝ノ海は後に横綱に昇進しているが、双葉山からの白星はこの1勝のみである。
令和2年1月場所、西前頭17枚目 德勝龍の幕尻優勝
2020年1月場所、幕尻(幕内の最下位)の西前頭17枚目、33歳の德勝龍が幕内最高優勝
德勝龍はこれまで三役経験はおろか三賞の受賞歴も無く、直近13場所中12場所十両に在位し(直近で返り入幕を果たした2019年7月場所も4勝11敗と大敗し1場所で十両陥落している)、幕内での勝ち越しは2年半無いなど、ここ数年は「十両が主戦場で、たまに幕内に顔出すをと大負けする力士」に甘んじていた。事実、この優勝の直前場所に当たる2019年11月場所も西十両筆頭で8勝7敗のギリギリ勝ち越しによる再入幕であり、徳勝龍の父母や妻でさえも「勝ち越してくれたらそれでいい」「大負けしなければいいと思っていた」と言うほどで[42][43]、德勝龍の優勝を予想する者はいない状況であった。
同場所は開始早々、白鵬鶴竜の両横綱が休場、上位も崩れ混戦となる中、德勝龍は2日目に魁聖に敗れたのみで順調に勝ち進んだ。9日目終了時点で德勝龍と西前頭4枚目正代の2人の平幕力士でが1敗のトップで並走し、その後を2敗で大関の貴景勝が追う展開となったがこの時点でも、「優勝は大関の貴景勝か、元関脇の実力者である正代だろう」、「德勝龍はそのうち脱落するだろう」の見方が大勢であった(審判部ですら、優勝争いトップである德勝龍と上位力士との割をなかなか組まなかったほど。[44])。しかしその後も德勝龍は神がかり的な逆転で勝ち進み(10~14日目には、5日連続で突き落としで勝利している。)、14日目には1敗同士の直接対決で正代を下し単独トップに躍り出ると、遂には幕尻でありながら史上初の千秋楽結びの一番に大抜擢され(幕尻力士がこれより三役に登場するのも史上初。)、この「幕内の出場力士中、最上位VS最下位の対決」において大関の貴景勝を力強く寄り切り、幕尻での幕内最高優勝を成し遂げた。
なお、幕尻力士の優勝は德勝龍の例を含めて過去に3例のみ、他に2000年3月場所での貴闘力、2020年7月場所(2019新型コロナウイルスの影響で両国国技館で開催)での照ノ富士の例もあるが貴闘力と照ノ富士の場合、番付は貴闘力が東前頭14枚目、照ノ富士が東前頭17枚目であり(大相撲の番付では東方が西方より上位と見做される、当時は貴闘力の場合、西前頭14枚目に若の里が、照ノ富士の場合、西前頭17枚目に琴勇輝がいたが、若の里は全休、琴勇輝は途中休場している。)、真の意味での幕尻優勝は西前頭17枚目の德勝龍が史上初であった。
令和4年9月場所11日目 朝乃山対勇磨
2022年に行われた幕下の取り組み。朝乃山は出場停止明け2場所目で幕下に戻った。元大関の朝乃山は勇磨を捕まえられず、突き放して前に出るが、うまく土俵伝いに回られ、勝負に出ていったところを突き落とされた。勝てば11月の九州場所での十両復帰となる7戦全勝に王手だったが、それが消滅した[45]

サッカー編集

ベルリンの奇跡
1936年8月4日、ドイツで行われたベルリンオリンピックサッカー競技1回戦で、日本五輪代表スウェーデン五輪代表を3-2で下した[要出典]
1950 FIFAワールドカップ アメリカ合衆国イングランド
1950年6月29日、ブラジルベロオリゾンテで行われたグループリーグ第2戦でアメリカイングランドに1-0で勝利した。イングランドはトム・フィニービリー・ライトらを擁す今でいう銀河系軍団で知られ、第二次世界大戦後から23勝3引分け4敗の記録を残し[46]、地元のブラジルと共に優勝候補に挙げられていた[47]。これに対しアメリカはセミプロ数名を除けば全選手がアマチュア選手だった[47]。試合はイングランドが終始圧倒していたが、前半38分にジョー・ゲーチェンス英語版のヘディングシュートが決まりアメリカが1-0と先制すると、イングランドの猛反撃を抑え勝利した[48]。「FIFAワールドカップ史上最大の番狂わせ(The biggest upset in World Cup history)」と評され[49]、FIFAからも公認されている(FIFAの公式呼称は「The miracle of Belo Horizonte(ベロオリゾンテの奇跡)」)[50]
2018年6月10日、アメリカのデータ会社Gracenote社がワールドカップの各試合について、試合前の時点でデータに基づいて想定される両チームの勝利確率を算出した結果、アメリカがイングランドに勝利する確率は最も低い「9.5%」で、この試合の結果は「FIFAワールドカップ史上最大の番狂わせ(The biggest upset in World Cup history)」であることが計算でも確認された[51]。詳細は、マラカナンの悲劇を参照。
1966 FIFAワールドカップ イタリア北朝鮮
1966年7月19日、イングランドのミドルズブラで行われたグループリーグ第3戦で、北朝鮮がイタリアに1-0で勝利した。北朝鮮の大会前の評価は低かった[47]が、東側諸国と親善試合を行い強化されたチームだった。試合は34分、イタリアのジャコモ・ブルガレッリが負傷退場し、数的不利な状況になると42分に朴斗翼の得点で北朝鮮が先制、後半もイタリアの反撃を抑えて1-0で勝利した。敗退が決まったイタリアの選手達は帰国後、ジェノヴァの空港でファンから腐ったトマトを浴びせられた[47]
マイアミの奇跡
1996年7月22日、アメリカで行われたアトランタオリンピックサッカー競技・男子グループリーグD組第1戦で、日本五輪代表ブラジル五輪代表を1-0で下した[52]。ブラジルはオーバーエイジ枠のベベットリバウドアウダイールらに加え、ロベルト・カルロスロナウドらを擁する「ドリームチーム」ともいえる陣容だった[52]。これに対し日本は23歳以下の選手のみで構成されていたが、全選手がプロ契約を結んでおり事前の綿密な分析に基づく安定した試合運びで相手を抑えた[52]
2002 FIFAワールドカップ フランスセネガル
2002年5月31日、韓国ソウルで行われたワールドカップ開幕戦となったグループリーグ初戦で、FIFAランキング65位のセネガルが同1位のフランスを1-0で下した。フランスは前回大会の優勝国でさらにUEFA EURO 2000FIFAコンフェデレーションズカップ2001でも優勝し、今大会でも優勝候補筆頭に挙げられていた。直前の親善試合でチームの司令塔であるジネディーヌ・ジダンが負傷し、欠場が決まっていたもののティエリ・アンリ(イングランドプレミアリーグ)、ダヴィド・トレゼゲ(イタリアセリエA)、ジブリル・シセ(フランスリーグ・アン)といった各リーグ得点王を3人擁するなど攻撃陣を擁し、事前ではフランスの有利が予想されていた。一方、セネガルは初出場であったものの、主力選手の多くが旧宗主国であるフランスのリーグ・アンでプレーしており、組織的に強化されたチームだった。試合は30分にパパ・ブバ・ディオプの得点でセネガルが先制した。後半もフランスは反撃に出たものの、アンリのシュートがクロスバーを直撃する不運もあり、セネガルが逃げ切って1-0で勝利した[要出典]
2014 FIFAワールドカップ・グループD
グループDは、FIFAランキング7位のウルグアイ、同9位のイタリア、同10位のイングランドの3カ国が同グループに入り、いずれも優勝経験を持つ「死の組」となり、その中で同28位のコスタリカだけは大会前は蚊帳の外で、「3強1弱」と言われていた。しかし、初戦のウルグアイ戦で前半に与えたPKエディンソン・カバーニに決められ先制されながらも後半3得点を挙げ逆転勝利、続く2戦目のイタリア戦では前半終了間際にブライアン・ルイス・ゴンサレスが挙げた1点を守り切り、D組突破一番乗りを決めた[53]。第3戦のイングランド戦[54]、決勝トーナメント1回戦のギリシャ[55]、準々決勝のオランダ[56]で大会選定のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたGKのケイロル・ナバスを中心とした堅守速攻が光り、コスタリカは史上初のベスト8に進出した。
2015-16シーズンのプレミアリーグ
レスター・シティFCがクラブ創設132年目にして初のプレミアリーグ優勝を果たした[57]。レスターは前シーズン14位で、一時最下位になった他、選手補強などの人件費も18番目の低予算であり、シーズン前の優勝オッズは5000倍で全くのノーマークであったが、クラウディオ・ラニエリ監督のもとジェイミー・ヴァーディがプレミアリーグ記録となる11試合連続ゴールをあげるなど、快進撃を続けて初優勝を果たした[58][59]
UEFA EURO 2016 アイスランドイングランド
2016年6月27日、フランスのニースで行われた決勝トーナメント1回戦で、主要国際大会初出場のアイスランドがサッカーの母国イングランドに2-1で逆転勝利した[60][61]。アイスランドは人口約33万人の小国でサッカー協会登録選手はわずか100人前後しかおらず[62]、元イングランド代表選手のゲーリー・リネカーも「われわれの歴史上最悪の敗北。イングランドはプロサッカー選手より火山が多い国に負けた」とツイートした[63]。なお、6月23日の国民投票イギリスのEU離脱 (Brexit) が決まったこととEURO敗退を重ねて皮肉るというメディアもあった[63]。アイスランドではこの試合の視聴率が史上最高の99.8%を記録した[64]
天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会2回戦 サンフレッチェ広島おこしやす京都AC
5部リーグに相当する関西1部リーグのおこしやす京都ACがJ1リーグのサンフレッチェ広島を5対1で破った。
J1のクラブが5部相当のクラブに敗れ、しかも1対5の大敗を喫したことから天皇杯史上最大の番狂わせと言われている。

ボクシング編集

キンシャサの奇跡
1974年10月30日に行われたWBAWBC統一世界ヘビー級タイトルマッチ・モハメド・アリジョージ・フォアマン戦で、アリが8回KO勝ちを収めて7年6か月ぶりに王座を奪還した[65]。王者のフォアマンは強打の持ち主でプロデビュー以来、40戦40勝37KOという記録を残していたが[66]、元王者のアリは32歳という年齢を迎え全盛期を過ぎたものと見做されていた[65]。そのため戦前はフォアマンの優位が予想されていた[65]
WBA・WBC・IBF統一世界ヘビー級タイトルマッチ・ジェームス・ダグラスマイク・タイソン
1990年2月11日、日本東京ドームで行われた同タイトルマッチで、ダグラスがタイソンに10回KO勝ちを収めて王座を獲得した[67]。タイソンはプロデビュー以来、37戦37勝33KOという記録を残していたが、この試合が初の敗戦となった。
IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ・小國以載ジョナサン・グスマン
2016年12月31日、日本の島津アリーナ京都で行われた同タイトルマッチで、小國がグスマンを3-0判定で破り王座を獲得した[68]。これが世界初挑戦だった小國に対しグスマンはそれまで22勝22KO無敗(1無効試合)、KO率100%の戦績を残し下馬評でも優勢だったがこの試合で生涯初ダウンを奪われ初黒星を喫した[69]
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ・シーサケット・ソー・ルンヴィサイローマン・ゴンサレス
2017年3月18日、アメリカのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた同タイトルマッチで、シーサケットがゴンサレスを2-0の判定で破り王座を獲得した[70]。ゴンサレスは46戦46勝38KOの戦績を残しパウンド・フォー・パウンドで1位を付ける強さを持っていたが、この試合でプロ初黒星を喫した[71]
WBO世界フライ級タイトルマッチ・木村翔鄒市明
2017年7月28日、中国上海東方体育中心で行われた同タイトルマッチで、木村が鄒を11回TKOで破り王座を獲得した[72]。鄒はライトフライ級で五輪を連覇し、プロでも世界王座を手にしており敵地での対戦となった木村が不利との予想の中、逆転KO勝ちを収めた。
WBAスーパー・IBF・WBO統一世界ヘビー級タイトルマッチ・アンディ・ルイス・ジュニアアンソニー・ジョシュア
2019年6月1日、アメリカのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた同タイトルマッチで、22戦無敗21KOの戦績を残し、下馬評でも優勢が伝えられたイギリスのジョシュアが、薬物違反で資格停止となったアメリカのジャレル・ミラーの代役として挑戦者となったメキシコのルイスに7回1分27秒TKOで敗れ、プロ初黒星を喫した。この試合のオッズはジョシュア1倍に対し、ルイスには16倍がついていたが、ジョシュアは3回、7回に2度ずつダウンを奪われ、レフェリーストップされ、3つのベルトを失うことになった[73]。この出来事にフィリピンの英雄マニー・パッキャオはツイッターで「ボクシング史上最大の番狂わせの一つだ」と評した[74]。この勝利でルイスはメキシコ初のヘビー級王者となった。
WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ・寺地拳四朗矢吹正道
2021年9月23日、京都市体育館で行われた同タイトルマッチで、矢吹が寺地を10回TKOで破り王座を獲得した。下馬評でも優勢が伝えられた寺地だったが、寺地が新型コロナウィルスに感染した事で練習不足となったことで終始矢吹に押され、最後は10ラウンド目でTKO負けを喫した。これにより、18戦無敗だった寺地は初黒星を喫し王座から陥落。ザ・リングも「今年最大の番狂わせ」と評した。

ラグビーユニオン編集

日本代表キャップ認定試合 日本代表対オールブラックスジュニア
国同士の対戦ではないが、日本ラグビーフットボール協会がキャップ認定している、1968年6月3日、ニュージーランドウェリントン・アスレティックパークで行われた、日本代表が23-19でオールブラックスジュニアを破った一戦[75] は、ニュージーランド国中に強い衝撃を与え、現地報道機関はこぞって、「NZラグビー暗黒の日」という見出しをつけて報道[76]した。
国際親善試合 サントリーウェールズ代表
2001年6月3日、秩父宮ラグビー場で、社会人単独チームであるサントリー(後のサントリーサンゴリアス)対ウェールズ代表戦が行われ、サントリーが45-41でウェールズ代表を破った[77]。なお、ラグビー日本代表2013年6月15日に東京・秩父宮ラグビー場でのテストマッチに勝利するまで一度もウェールズ代表に勝利したことがなかった。
ブライトンの奇跡
2015年9月19日、イギリスブライトン・コミュニティースタジアムで行われたラグビーワールドカップ、グループリーグ・プールBの試合において、これまでW杯通算1勝、2引き分けを挟んでW杯16連敗中だったワールドラグビーランキング13位の日本代表が過去2回のW杯優勝経験を持つランキング3位の南アフリカ代表を34-32で破った。
イギリスの地元紙であるガーディアンは、「W杯史上、比類のない試合。世界に波紋を広げた」と報道した[78]。同じくデイリー・テレグラフは電子版のトップで、「史上最大の番狂わせ」と伝えた[79][80]。事前のブックメーカーのオッズは南アフリカ勝利1倍、日本勝利34倍であった[81]
なお、ワールドラグビーの公式YouTubeチャンネルでも「Top 5 Rugby World Cup Shocks」のタイトルで紹介されている[82]
日本代表は次の2019年母国開催のワールドカップでも当時世界ランキング2位のアイルランドを破り、英ガーディアン紙などが「日本はラグビーW杯でまたも番狂わせ」と報じた[83]。ラグビーは番狂わせが少ないスポーツと言われているが、この大会では釜石での開幕戦となったフィジーウルグアイ戦でも、世界ランク19位のウルグアイが格上で世界ランク10位のフィジーに勝利し、「番狂わせ」と評されている。[84]

高校ラグビー編集

第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会
2022年1月5日に行われた第101回全国高校ラグビー大会の準決勝において、栃木県国学院栃木(Bシード)が神奈川県桐蔭学園(Aシード)を21-10で破り、栃木県勢としては史上初の決勝進出を果たした[85]
桐蔭学園はここまで大会2連覇中であり、高校日本代表候補を8人を擁する優勝候補で史上6校目の大会3連覇を狙っていた。
一方で国学院栃木は昨年の関東大会こそ優勝しておりBシードに属していたものの、花園では8強が1回のみで8強に進出したチームで唯一、高校日本代表候補がいなかった。
勝利した国学院栃木は決勝で東海大大阪仰星高等学校と対戦して36-5で敗れたものの、準優勝となった[86]

野球編集

2009 ワールド・ベースボール・クラシック ドミニカ共和国オランダ
2009年3月10日、プエルトリコで行われた第1ラウンドD組で現役メジャーリーガー不在だったオランダが、全員メジャーリーガーで固め優勝候補の大本命だったドミニカ共和国に2度勝利して2次ラウンドに進出した[87]
2013 ワールド・ベースボール・クラシック予選 パナマブラジル
2012年11月15日、パナマで行われた予選3組1回戦でブラジルがパナマを3-2で降した。過去2大会いずれも出場しメジャーリーガーも多数擁しており予選突破本命視されていたパナマにWBC初出場のブラジルが勝利したこの試合は、「予選最大の驚き」とされた[88]。ブラジルは決勝戦でもパナマに1-0で勝利し、WBC本大会進出を決めた。
2017 ワールド・ベースボール・クラシック 韓国イスラエル
2017年3月6日、韓国で行われた第1ラウンドA組で初出場のイスラエルが延長戦の末、2-1で韓国を破った[89]。2009年WBC準優勝や2015年のプレミア12優勝などを誇る韓国と比べるとイスラエルは国際大会の実績は乏しかったが、選手の大半がマイナーリーグの3Aに在籍するユダヤ系アメリカ人で構成されており、メジャー経験を有する選手も少なくなかった。イスラエルはその後、チャイニーズタイペイにも15-7で、オランダに4-2で勝利し、第1ラウンドを1位で通過した。第2ラウンド初戦でもキューバに4-1で勝利するもオランダと日本に敗れ、第2ラウンド敗退となった。
第103回全国高校野球選手権福島大会準々決勝 聖光学院光南
2021年7月20日、ヨーク開成山スタジアムで行われた準々決勝で光南が5-1で聖光学院を破った。聖光学院は2020年の独自大会を含めて県大会14連覇中で、光南はこの勝利で2007年から続いていた聖光学院の福島大会連勝記録を87で止めた[90]。その後、光南は決勝まで勝ち進んだが日大東北に敗れ、甲子園出場はならなかった。
第93回選抜高等学校野球大会第103回全国高校野球選手権大阪桐蔭
2021年3月23日に行われた春の大会1回戦で大阪桐蔭が智弁学園に6-8で、8月23日に行われた夏の大会近江に4-6で敗れた。大阪桐蔭は甲子園で驚異的な強さを誇っており、史上唯一の春夏連覇を複数回行った高校であった。下馬評でも当然優勝候補筆頭であり、世代最強ともいわれていた[91]が、春夏合計で1勝しかできなかったという衝撃的な結果となり、これを以て「高校野球史上最大の番狂わせ」と言われるようになった。ただ、翌年のセンバツでは圧倒的な実力を見せつけて優勝し、神宮との2冠を達成している。
2021年の日本プロ野球
前年で最下位だった東京ヤクルトスワローズオリックス・バファローズがそれぞれリーグ優勝を成し遂げた。シーズン開始前の評論家による順位予想では、ヤクルトとオリックスが優勝すると予想した人は皆無だった。
セ・リーグ優勝のヤクルトは、課題だった投手陣の立て直しを成功したことが大きかった。巨人から田口麗斗をトレードで獲得し、高卒2年目の奥川恭伸がチームトップタイの9勝を挙げ、今野龍太清水昇スコット・マクガフらを擁する中継ぎ陣が安定し、特に清水はプロ野球記録となる50ホールドを達成した。5月にはホセ・オスナドミンゴ・サンタナが合流、山田哲人村上宗隆が30本塁打を超えたこともあり、最終的には10月26日にヤクルトが勝って阪神が負けたことにより、2015年以来6年ぶりとなるリーグ優勝を達成した。
一方の巨人は菅野智之がキャリアで初めて負け越し(6勝7敗)と規定投球回未達(115.2回)を喫し、戸郷翔征が規定投球回に到達するも防御率が4.27と規定投球回到達者ではワースト1だった。特に抑え投手を固定できなかったことも、優勝を逃した原因だとされている。新外国人のジャスティン・スモークが家庭内の事情で、エリック・テームズが初出場した試合でアキレス腱を断裂し帰国したことにより退団してしまった。それでも、3位は何とか確保したものの、2018年以来となるシーズン負け越しを喫した[92]
パ・リーグ優勝のオリックスは、エースの山本由伸が援護に恵まれて自身15連勝を含む18勝、防御率1.39、206奪三振を挙げMVPとなり、続いて3年目の宮城大弥が13勝を挙げる大活躍で新人王に輝き、NPBに復帰した平野佳寿が29セーブを挙げた。前述した宮城のほか、福田周平紅林弘太郎富山凌雅宗佑磨ら若手が台頭し、吉田正尚が打率.339で2位に3分の差をつけて2年連続首位打者、『ラオウ』こと杉本裕太郎が打率.301、32本塁打の大活躍で本塁打王のタイトルを獲得し、ここぞという時にT-岡田が決勝打を決めた。最終的には10月27日に対象チームのロッテが負けたことにより、1996年以来25年ぶりとなるリーグ優勝を達成した。
一方、優勝候補だったソフトバンクは開幕直後にエースの千賀滉大が怪我で離脱するも、上位をキープで来ていた。しかし交流戦では11位と大失速すると、さらに周東佑京牧原大成森唯斗アルフレド・デスパイネなど主力選手に怪我人が多発した。結局、最後まで立て直すことができず最終的にBクラスとなる4位に終わり、シーズン終了を以て工藤公康監督が退任した。
西武に至っては投手陣が尽く崩壊、チーム防御率が3.94とリーグ最下位になり、シーズン最終戦となった日本ハムと西武との直接対決に敗れ、西武が創設した1979年以来42年ぶりとなるリーグ最下位の屈辱を味わった。
その後、リーグ優勝を果たした2チームはクライマックスシリーズも勝ち上がり日本シリーズで激突、4勝2敗でヤクルトがオリックスを下して日本一に輝いた。これは、セ・リーグチームにとって9年ぶりの日本一であった。
第104回全国高等学校野球選手権大会準々決勝 大阪桐蔭下関国際
2022年8月18日に行われた第104回全国高等学校野球選手権大会準々決勝で下関国際が5-4で大阪桐蔭を破った。大阪桐蔭は先述の神宮選抜制覇に続く、史上2校目の高校3冠達成を目論んでいた。下馬評でも当然優勝候補筆頭であったが、7回裏、バント失敗からの三重殺で流れが下関国際へと一気に傾き、9回表に逆転。5-4で下関国際が勝利し、大阪桐蔭の3冠を阻んだ。その後も下関国際は準決勝にて選抜準優勝の近江を8-2で下し(県勢37年ぶりの決勝進出、同一年の選抜決勝の2校を連破したのは39年ぶり)、最終的に準優勝(仙台育英に1-8で敗戦、仙台育英は東北勢初優勝)した。

バスケットボール編集

2006年バスケットボール世界選手権 アメリカギリシャ
2006年9月1日、さいたまスーパーアリーナで行われた準決勝で、NBAのスター選手を集結させたアメリカに対して全員が当時ヨーロッパのクラブチーム所属だったギリシャが101-95でこの試合に勝利した[93]
2015年バスケットボール男子アメリカ選手権 カナダベネズエラ
2015年9月10日、リオデジャネイロオリンピックアメリカ大陸予選を兼ねメキシコで行われたアメリカ選手権の準決勝で、グレイビス・バスケスら主力3人を欠きNBA所属が不在だったベネズエラが1次リーグを62-82で敗れ、この試合も先発全員をNBA所属で固めたカナダに対して79-78で勝利するとともに6大会ぶりとなるオリンピック出場権を手にした[94]

テニス編集

2009年全仏オープン男子シングルス4回戦 ラファエル・ナダルロビン・セーデリング
全仏オープンで無敗4連覇中のスペインのナダルを、世界ランク25位のスウェーデンのセーデリングが6-2, 6-7, 6-4, 7-6で破った[95]。ナダルもクレーコートのローラン・ギャロスでの試合を得意としており、4大大会の歴史上において最大のアップセットと報じられた[95]。セーデリングは決勝に進むもスイスロジャー・フェデラーに敗れ、フェデラーがキャリア・グランドスラムを達成した。なお、ナダルは2021年時点まで全仏オープンではこのセーデリング戦と2015年2021年ノバク・ジョコビッチ戦の3敗しかしていない。
2017年全豪オープン男子シングルス2回戦 デニス・イストミンノバク・ジョコビッチ
全豪オープンで過去6度の優勝があり、3連覇が懸っていたセルビアのジョコビッチを、世界ランク117位のウズベキスタンのイストミンが7-6, 5-7, 2-6, 7-6, 6-4で破った[96]。なお、ジョコビッチはこの試合前までイストミンに対して5戦無敗で1セットしか落としていなかったが思わぬ形で2008年以来となる四大大会2回戦敗退を喫してしまい、「テニス史上における世紀のアップセット」と呼ぶ声もあった[97]
2017年全米オープン女子シングルス1回戦 アンゲリク・ケルバー大坂なおみ
全米オープンの前回覇者であるドイツのケルバーを、世界ランク45位の日本の大坂なおみが6-3, 6-1で破った[98]。全米前回覇者が1回戦で敗退するのは全137回のうち女子では2度目、男子を含めても3度目という歴史的な波乱となった。大坂はこの大会では3回戦で敗退したが、翌2018年大会では初優勝を果たした。

陸上競技編集

第89回日本陸上競技選手権大会男子100m
日本体育大学1年の佐分慎弥が初出場ながら決勝まで進出し、元日本記録保持者で優勝候補筆頭だった朝原宣治らを抑え優勝、タイムも10秒40の自己ベストを記録した[99]
第82回箱根駅伝 優勝・亜細亜大学
亜細亜大学が4連覇中だった駒澤大学や、強豪校の順天堂大学らを抑えて初優勝を飾った。駒澤大学は前回の優勝メンバーのうち、卒業生を除いた6人全員を配置するなど圧倒的な選手層で史上3校目の大会5連覇が期待されており、順天堂大学も後に山の神と称される今井正人らを擁していた。往路では距離が改正された4・5区で区間賞を出した順天堂大学が往路優勝するも駒澤も30秒差の2位に喰らい付き、亜細亜大学もトップから2分51秒差の6位だった。復路で順天堂はリードを広げるが、8区で選手が脱水症状で大ブレーキを起こし首位から陥落した。さらに9区では首位になっていた駒澤大学も亜細亜大学に抜かれると、そのまま逃げ切られてしまった。亜細亜大学は箱根駅伝の前哨戦ともいえる出雲駅伝では8位、全日本大学駅伝では11位と共に下位に甘んじており、時の監督であった岡田正裕監督(後に拓殖大学陸上競技部監督)が優勝を狙うと発言しても、部員の多くの反応は鈍かったという[100]
東京マラソン2011
埼玉県庁に勤務する市民ランナーとして出場した川内優輝が2時間8分37秒を記録、日本人トップかつ全体でも3位でゴールし世界選手権出場を内定させた[101]。川内は学習院大学在学中に関東学連選抜で箱根駅伝を走った経験を持つが、卒業後は実業団ではなく埼玉県庁に進み、フルタイム勤務の合間に練習をしていた。なお、川内は前回大会では4位だったがタイムは2時間12分36秒であり、上位5人を川内が含む日本人で占めていた。
第36回クイーンズ駅伝 優勝・JP日本郵政グループ
創部3年目・クイーンズ駅伝出場2回目の新興チーム、JP日本郵政グループが初優勝をした。JP日本郵政グループはリオオリンピックで日本代表にもなった鈴木亜由子関根花観を擁していたものの、予選会であるプリンセス駅伝では鈴木の怪我による欠場の影響もあり8位と低迷、本番でも鈴木は2番目に距離が短い2区・3.9kmに配置せざるを得ない状況であり、チーム内でも目標はシード権獲得(8位以内)としていた。[102]しかし、1区で中川京香がトップとわずか11秒差の4位で襷を繋げると以降、一度も順位を下げず3位で襷を受けた5区の鍋島莉奈が区間賞の走りで第一生命グループ田中智美らとの競り合いを制し首位に立つとアンカーの寺内希がしっかりと逃げ切った。一方で前回3位のユニバーサルエンターテインメントはシード権ギリギリの8位、3連覇中だったデンソーはエースだった高島由香が抜けた穴が大きく11位[注釈 1]、前回2位の豊田自動織機に至っては第1中継所での襷渡しのミスにより失格となり、優勝候補と目されていた前回大会のトップ3が揃って不振に喘いだ大会でもあった。
その後、JP日本郵政グループは2019年・2020年と連覇を成し遂げ、歴史が浅いにも関わらず強豪チームの仲間入りを果たした。
第31回出雲駅伝 優勝・國學院大學
出雲駅伝に7年ぶり3度目の出場を果たした國學院大學が連覇を狙っていた青山学院大学や箱根王者の東海大学、それに東洋大学、駒澤大学といった優勝候補を抑えて初優勝を飾った[103]
第97回箱根駅伝 往路優勝、総合準優勝・創価大学
初出場(第91回大会)から6年、出場4回目の創価大学が往路優勝・総合2位となった。創価大学は中央大学で4年連続区間賞の経験のある榎木和貴監督の下、3年ぶり3回目の出場となった前回(第96回)大会で総合9位に入り初のシード権を獲得。初の連続出場となったが、エントリーされた16人の10000mの平均持ちタイムが出場大学中16位と下馬評は高くなかった[104]。しかし、1区の福田悠一が区間3位と好発進すると2区・3区では2位で襷を繋ぎ、4区では前回大会10区で区間新記録(1時間8分40秒)を樹立した嶋津雄大が首位に立つ。山登りの5区では『仮想5区』ともいえる激坂最速王決定戦で優勝した三上雄太が区間2位の好走で逃げ切り、史上19校目の往路優勝を果たした。復路の最終10区で駒澤大学に逆転を許したものの、大学史上最高順位となる総合2位の座を守り切った。ちなみに連覇を狙った青山学院大学は往路12位と躓き、復路優勝はしたものの4位に終わり、前回2位の東海大学は5位、同じく3位だった國學院大學は9位と振るわず、箱根の前哨戦である第52回全日本大学駅伝で3位に入った明治大学も11位とシード落ちを喫するなど、有力校の多くが伸び悩んだ大会でもあった。
第105回日本陸上競技選手権大会男子100m・200m
東海大学4年のデーデー・ブルーノが初出場ながら決勝まで進出し、100mでは9秒台の記録を持ち、優勝候補筆頭だった山縣亮太桐生祥秀サニブラウン・アブデル・ハキームらを抑え、多田修平に次いで2位に入り、200mでは小池祐貴に次いで2位に入った。この活躍により、デーデーは2020年東京オリンピック4×100mリレーのメンバーに選出された[105][106]が、オリンピック本番で走ることはできなかった。

体操編集

第72回全日本体操競技選手権大会男子個人総合
順天堂大学2年(当時)の谷川翔が、この種目の11連覇が懸かっていた内村航平や2017年世界体操競技選手権でこの種目の銅メダリスト、種目別において2種目で優勝した白井健三らを破り、大会史上最年少(19歳2ヶ月)で優勝を果たした[107]。谷川は、2016年の全日本ジュニア体操競技選手権大会のこの種目で優勝を果たしていたが、この大会の最高順位は2016年の10位であり、全くの無名に近い選手だった。内村は予選のあん馬での落下が最後まで響き、決勝のみの成績では1位だったが総合3位に終わった。連覇が10でストップする形となり、国内では2008年全日本学生選手権以来10年ぶりの敗戦となった。

柔道編集

1990年全日本柔道選手権大会
当時75kg前後の古賀稔彦が重量級の選手を次々と撃破し、準優勝となった[108]

競馬編集

第92回天皇賞・秋
条件クラスの身で出走した13番人気のギャロップダイナが、圧倒的1番人気だったシンボリルドルフを差し切って優勝した。後にも先にも、シンボリルドルフが他の馬に差されて敗れたのはこの競走のみである。
第14回エリザベス女王杯
20頭中20番人気のサンドピアリスが優勝し、GI史上単勝最高配当の43,060円を記録した。
第36回有馬記念
15頭中14番人気のダイユウサクが1番人気のメジロマックイーンを当時のコースレコードである2分30秒6で下す大金星を挙げた。
第34回エリザベス女王杯
下馬評ではブエナビスタが単勝1.6倍の圧倒的な1番人気で、ブエナビスタが勝つだろうと言われていたが、クィーンスプマンテテイエムプリキュアが大逃げを打った際、3番手以下が牽制し合ったことでクィーンスプマンテとテイエムプリキュアの逃げ切りを許してしまい、ブエナビスタは3着に終わった。
第46回エリザベス女王杯
上位人気馬が総崩れし、10番人気アカイイトが優勝、さらに掲示板に入った馬は全て7番人気以下かつ重賞未勝利馬となり、3連単339万3960円という大波乱となった[109]。また、香港で発売された4連単は配当1095524.1倍の日本で言う「億馬券」となった[110]
第148回ケンタッキーダービー
出走を予定した馬が回避したことによる繰り上げで出走したリッチストライクが1番人気のエピセンターを差し切って優勝した。NBCの実況が、「Oh, my goodness!!」「Unbelievable upset」と叫ぶほどでもあった。

eスポーツ編集

2022 VALORANT Champions Tour
下馬評では最下位になる予想が多数を占めていたZETA DIVISIONが、第1戦であるレイキャビクラウンドで初勝利どころか初のプレーオフ進出を成し遂げ、最終的に3位入賞を果たした。

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 高島が移籍した資生堂は7位に入り6年ぶりの入賞と初のシード権(クイーンズ8入り)を獲得した。

出典編集

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関連項目編集