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ゴールデンカムイ

日本の漫画作品

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ゴールデンカムイ』は、野田サトルによる日本漫画明治末期の北海道樺太を舞台にした、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2014年38号(2014年8月21日発売)から連載中[3]。累計発行部数はコミックス第18巻の発売時点で1000万部を突破している[4]

ゴールデンカムイ
ジャンル 冒険バトル)、歴史ロマン)、
狩猟グルメ[註 1]アイヌ文化
ストーリー漫画青年漫画
漫画
作者 野田サトル
出版社 集英社
掲載誌 週刊ヤングジャンプ
レーベル ヤングジャンプ・コミックス
発表号 2014年38号 -
発表期間 2014年8月21日 -
巻数 既刊19巻(2019年9月現在)
その他 アイヌ語監修[1]中川裕
ロシア語監修:
Eugenio Uzhinin、熊野谷葉子
ウイルタ語監修:山田祥子[2]
アニメ
原作 野田サトル
監督 難波日登志
シリーズ構成 高木登
キャラクターデザイン 大貫健一
音楽 末廣健一郎
アニメーション制作 ジェノスタジオ
製作 ゴールデンカムイ製作委員会
放送局 TOKYO MXほか
放送期間 第1期:2018年4月 - 6月
第2期:2018年10月 - 12月
話数 全24話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

あらすじ

日露戦争終結後のとある冬、元陸軍兵の杉元佐一は、幼馴染の梅子の眼病の治療費を得るため北海道で砂金を採っていたところ、アイヌが秘蔵していた金塊のことを知る。直後に杉元は冬眠明けのヒグマに襲われ、窮地をアイヌの少女・アシㇼパに救われる[5]

作中より5年前、アシㇼパの父・ウイルクを含むアイヌを殺害し[註 2]金塊を奪った男・のっぺら坊[註 3]は、網走監獄の獄中から仲間に金塊の在処を伝えるべく、同房の囚人たちの体に金塊の隠し場所を示す入れ墨を彫り、脱獄させた。その「刺青人皮」は獣の皮のように剥がし、全てを集めて暗号を解く必要がある。杉元は治療費分を得ること、残りの金塊をアイヌの手に戻しウイルクの仇を討つことを条件に、アシㇼパと行動を共にすることになる。

同じく金塊を狙う陸軍第七師団歩兵第27聯隊[註 4]に所属する情報将校鶴見篤四郎中尉は、日露戦争で活躍しながら報われなかった師団員のため北海道征服を目論んでおり、その軍資金を必要としていた。しかしその理想にはついていけない造反組がおり、その中で生き残った尾形百之助は第七師団を離脱、二階堂浩平は鶴見との取引に応じ原隊復帰する。

脱獄囚の中には戊辰戦争で死んだはずの土方歳三がおり、彼もまた、かつての盟友・永倉新八と合流し、入れ墨の囚人のうち何人かを仲間に加え、尾形を用心棒とし、蝦夷共和国を再興するために金塊を追い求めていた。

杉元とアシㇼパは捕らえた入れ墨の囚人で脱獄王と呼ばれる白石由竹を仲間に加え、各地に散らばった囚人を追いながら鶴見ら第七師団や土方一味[註 5]と交戦したりアイヌと交流を行ううちに、互いの絆は深まってゆく。

さらに杉元一味は、ウイルクの友人で「一緒に日本に来た」というアイヌ・キロランケを同行者に加える。彼は「のっぺら坊こそがウイルクである」と語り、一味は真偽と金塊の在処を確かめるべく、網走監獄へ向かうこととなる。その頃、土方はのっぺら坊とその仲間は極東ロシアパルチザンと見当を付けていた。

第七師団の兵士で元マタギ谷垣源次郎は、杉元一味との交戦のあと、アシㇼパのコタン(アイヌの村)で治療を受けていた。そこに、女占い師・インカㇻマッが現れ、「アシㇼパの連れ3人のうちの1人が裏切る」と予言する。その心労でアシㇼパの祖母が寝込んでしまったことから、谷垣はアシㇼパを無事連れ帰るべく、インカㇻマッ、コタンの孤児チカパシとともに杉元一味の後を追う。

第七師団は剥製師に偽物の刺青人皮を作らせ、杉元一味と土方一味はそのことを突き止める。第七師団にまとめて襲われた杉元一味と土方一味は結託し、さらに谷垣らも合流。お互いさまざまな思惑と猜疑心で探り合いをしながらも、のっぺら坊から全ての答えを得るため、一同は協力して網走監獄への潜入を行う。その網走監獄の犬童四郎助典獄は囚人を秘密裏に硫黄山使役することで得た資金で武装していた。

土方一味の協力で網走監獄でのっぺら坊と対面する杉元・アシㇼパ・白石だが、独房に居たのっぺら坊は影武者であり、父・ウイルクではなかった。土方の目的は杉元からアシㇼパを引き離して確保することと、杉元らを囮として本物ののっぺら坊を見つけ出すことであった。そこへインカㇻマッから情報を得ていた第七師団が駆逐艦に乗って現れ、のっぺら坊とアシㇼパを確保することを目的として網走監獄を襲撃する。犬童は本当ののっぺら坊の元へ向かい、尾行してきた土方と戦い敗れる。杉元はのっぺら坊がウイルクだと確認したが、アシㇼパと対面を果たす前に狙撃され、杉元もまた狙撃される。のっぺら坊(ウイルク)の死により金塊の謎を解けるのはアシㇼパだけになった。

傷心のアシㇼパはキロランケ、白石、尾形と樺太[註 6]へと向かった。それを知った杉元と谷垣は樺太行きを決意し第七師団と結託、第七師団からは先遣隊として月島基鯉登音之進が同行する。

また、杉元は荷物に紛れてこっそり谷垣の後を着いてきていたチカパシ、アイヌ犬のリュウとも樺太で同行することになった。

アシㇼパ一行はウイルクの足跡を求めて樺太を北上する。杉元達はヤマダ曲馬団と知り合い、山田座長が元陸軍将校で、曲馬団の巡業で得たロシア各地の情報を日本陸軍の特務機関に流しているスパイで、そのためにロシア政府から命を狙われていることを知った。山田座長から「パルチザン(キロランケ)の目的は、かつての仲間が収監されている北樺太(ロシア領)最大のアレクサンドロフスカヤ監獄(亜港監獄)ではないか」と告げられ、そこを目指す。

キロランケはウイルクと自分の若い頃を知るソフィアと会えば、アシㇼパが金塊の鍵を思い出すだろうと考えてアシㇼパを樺太まで連れてきた。亜港監獄にはソフィアが収監されており、彼女を脱獄させることもキロランケの目的だった。タタール海峡が凍ると流氷の上を渡り、ロシアまで徒歩で行き来が出来るようになる。海が凍るのを待ってキロランケら4人は燈台に残されていたロシア軍の爆薬を使い、亜港監獄の塀を爆破した。

アシㇼパはキロランケの通訳でソフィアと話したことにより、ウイルクに言われていたことを思い出す。それに気付いた尾形に鍵を教えてくれと言われるが拒否。毒矢で尾形を誤射してしまうが追いついた杉元が尾形を救う。キロランケが谷垣・月島・鯉登と戦闘になり、三人により倒される。それをソフィアは流氷の影から見ていた。

制作背景

作者の野田は、10年近いアシスタント生活を経て初連載となる前作『スピナマラダ!』を開始したが、読者からの反応がないため編集長から「時間を無駄にして欲しくない」と連載終了を告げられ全6巻で完結。反省点を意識しつつもヒット作で見返してやるという意気込みを原動力に本作の制作が開始された[6]

野田の曽祖父が日露戦争に出兵した屯田兵であったことから、かねてより関連する作品を描きたいという希望を抱いていたところ、担当編集者から「北海道を舞台にした猟師の作品」を持ちかけられ、当初は日露戦争帰りの若者を主人公にした「狩猟マンガ」として構想された[7]。しかし狩猟だけではネタ切れが早いと思われたため、道史の中から野田が興味を惹かれた「熊害ゆうがい」、「土方歳三」、「脱獄王」、「埋蔵金伝説」、「アイヌ」といった様々な題材を拾い上げて組み入れていき、本作が練り上げられていくことになった[7]。特にアイヌに関しては、これまでのマンガで取り上げられることが少なかったため、読者にとって新鮮であろうと考え、また取材に協力してくれたアイヌの人々から「可哀想なアイヌではなく、強いアイヌ」を描くことを期待されたこともあり、迫害や差別といった暗い背景ではなく、「明るく、おもしろいアイヌ」を描いていけば、読者に受け入れられていくと確信していたという[7]。料理に関する要素が強いことに関しては、作品構想の始めのテーマが狩猟であったこともあり、獲物を生活に活かしていく中で、料理描写は必然と考えられたためとしている[7]

本作の背景資料として北海道在住の写真家や野田の兄妹が撮影した写真を利用している[8]

作風

明治末期、日露戦争1904年(明治37年)2月8日 - 1905年(明治38年)9月5日)終結直後[註 4][註 7]の北海道周辺を舞台とした、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。また戊辰戦争・日露戦争・ロシア革命などの歴史ロマン要素のほか、狩猟グルメ要素、アイヌなどの民俗文化の紹介要素も併せ持つ。

タイトルの「ゴールデンカムイ」とは、英語Golden)とアイヌ語Kamuy)を組み合わせた造語である。ラテン文字では「GOLDEN KAMUY(英語版スペイン語版)」「GOLDEN KAMUI(仏版イタリア版など)」、漢字では「黄金神威」(中国語(繁体字)版)、ハングルでは「골든 카무이」と表記される。

作中では当時のアイヌの文化が豊富に描写・紹介されており、アイヌ語の表記に関しては、アイヌ語仮名小書きも使用されているが、公式ツイッターやアニメのテロップなどでは「アシ(リ)パ」・「カムイモシ(リ)」のように括弧書きで表示されることもある。

評価

アイヌ文化を丁寧に描いているとして平取町アイヌ文化情報センターでも人気になっており、アイヌ民族博物館の職員は「文献や資料をよく調べている。文様も細かく描写されており、見応えがある」「全国の若い世代にアイヌ文化に興味を持たせるきっかけをつくったという点で貢献度は非常に大きい」と評価している[9][10]。アイヌの料理や狩猟など風習・文化がリアルに表現されており、北海道アイヌ協会の理事長は「よく描かれている」と評価している[11]

2015年からは漫画関連のランキングや漫画賞に名前が挙がるようになっている。

主な受賞・ノミネート歴
年度 セレモニー 順位 備考 出典
2015年 コミックナタリー大賞 2位 [12]
2016年 このマンガがすごい!2016オトコ編 2位 [13]
マンガ大賞2016 大賞 [14]
2017年 北海道ゆかりの本大賞コミック部門 大賞 [15]
2018年 小西財団漫画翻訳賞 グランプリ ※仏版[16] [17][18]
Japan Expo Awards 2018 マンガ部門 Daruma 脚本賞 ※仏版 [19]
手塚治虫文化賞 マンガ大賞 [20]

ストーリー

単行本全巻に「カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ」(アイヌ語)とあり、【天から役目なしに降ろされた物はひとつもない】と訳が付いている。

巻数話数終了時点でアシㇼパと行動を共にしている人物終了時点で杉元と行動を共にしている人物
1第1話 - 第7話杉元、アシㇼパ
日露戦争に従軍した元陸軍兵・杉元佐一は、戦死した親友・寅次の「妻の梅子の眼病を治してやりたい」という願いを叶えるため、一攫千金を夢見て北海道の地を踏み砂金を採っていた。ある日杉元は、アイヌが秘蔵していた八万円(現代の価値にして約8億円)相当の金塊の噂を耳にする。アイヌから金塊を奪った男・のっぺら坊は、仲間に金塊の在処を伝えるべく、収監された網走監獄の獄中で同房の囚人たちの体に金塊の隠し場所を示す入れ墨を彫り、脱獄させた。入れ墨は全員合わせてひとつとなる暗号であり、1人だけ抜け駆けして金塊を手に入れることは出来ず、脱獄囚たちは未だ誰も捕まっていないと言う。半信半疑の杉元だったが、話を聞かせた男こそ当の入れ墨の持ち主であったことから、話が真実であることを確信した杉元は金塊探しを決意する。

直後に杉元はヒグマに襲われ、窮地をアイヌの少女・アシㇼパに救われる[5]。アシㇼパの狩人としての技量と知識に感服し、さらに金塊を奪われて殺されたアイヌの一人がアシㇼパの父・ウイルクと知った杉元は、自身は親友の願いを叶えるだけの金を手に入れる代わりに、残りの金塊をアイヌの手に戻しウイルクの仇を討つことを条件に、アシㇼパに金塊探しへの協力を求め、暗号の入れ墨である「刺青人皮」の持ち主たちを探すための行動を共にすることになる。

手がかりを求めて向かった小樽で、杉元たちは入れ墨の囚人の一人を捕らえるが、同じく金塊を狙う陸軍第七師団尾形百之助によって囚人を射殺され、尾形と戦う。さらに次に捕らえた入れ墨の囚人・白石由竹から、死んだはずの土方歳三と噂される老人が脱獄囚の中にいたと聞かされる。
2第8話 - 第17話杉元、アシㇼパ、白石、(レタㇻ)
杉元は第七師団の谷垣源次郎らの追跡を受けるが、アシㇼパの友である白いエゾオオカミレタㇻの加勢で振り切り、アシㇼパのコタン(村)に逗留する。

土方は、かつての盟友・永倉新八と合流し、入れ墨の囚人にして不敗の柔道家・牛山辰馬を仲間に加える。

コタンでアシㇼパの平穏な境遇を知った杉元は、これ以上危険に巻き込めないと思い彼女を残してコタンを去る[5]が、アシㇼパは既に危険を覚悟しており協力し合う約束を破った杉元を追う。一方の杉元は小樽の街で一人聞き込みをしていたところ第七師団の鶴見らに捕縛され尋問を受ける。第七師団は、日露戦争で活躍しながら報われなかった師団員のため北海道征服を目論んでおり、その軍資金を必要としていた。
3第18話 - 第27話杉元、アシㇼパ、白石、(レタㇻ)
絶体絶命の杉元だったが駆けつけたアシㇼパとレタㇻ、白石の協力で辛くも危地から脱出し、改めてアシㇼパと白石と共に金塊の手がかりである入れ墨の囚人たちを探すことになる。

土方もまた、蝦夷共和国を再興するために金塊と仲間を追い求めていた。

元マタギの谷垣は第七師団に戻らず、北海道でも有名な熊撃ちで入れ墨の囚人・二瓶鉄造と共に“最後のエゾオオカミ”レタㇻを追っていた。マタギの谷垣か、兵隊の谷垣か。自分はどちらになりたいのか谷垣は迷いながらもレタㇻに執着する。
4第28話 - 第38話杉元、アシㇼパ、白石
杉元たちはレタㇻを守るため、そして金塊の手がかりを得るため谷垣たちと対決し、二瓶は死亡、谷垣は仕掛け矢(アマッポ)にかかり重傷を負う。無益な死を望まないアシㇼパは谷垣の命を救うため、彼をコタンへ連れて行く。コタンでの手当てにより谷垣は回復へ向かうが、その合間にアシㇼパのフチ(祖母)が語った言い伝えから杉元たちは、「アイヌが奪われた金塊を災いの源と考え禁忌としていたこと」、「その量は囚人たちが聞かされた量の1000倍にも上る」と知る。谷垣から鶴見らの目的を聞かされる。

白石は紆余曲折を経て牛山の居場所を突き止めたものの土方に見つかり、土方と密かに手を結ばされる。

その頃、積丹で鰊漁[註 8]に集まった出稼ぎ漁師が相次いで殺されていた。その殺し方は入れ墨の囚人・辺見和雄の特徴だった。金塊の手がかりを求め海岸へ来た杉元たちは、成り行きから漁師に紛れていた辺見と知り合う一方、鰊漁の親方に資金援助を申し入れに来ていた第七師団・鶴見と鉢合わせる。
5第39話 - 第48話杉元、アシㇼパ、白石、キロランケ
杉元は第七師団から逃走する最中に辺見の正体を知り死闘を繰り広げ、辺見の刺青人皮を手に入れた。

一方、ようやく立ち上がれるまでに回復した谷垣は、コタンを訪れた第七師団の尾形と二階堂浩平と再会する。尾形たちは鶴見からの造反を目論んでおり、その計画を知った谷垣が鶴見に報告すると誤解、谷垣の口を封じようとしていた。しかし尾形たちの造反計画は以前から鶴見の知るところであり、尾形たちは泳がされていただけであった。鶴見の部下を殺した尾形は逃亡し、尾形の手を逃れた谷垣は恩返しのためコタンへ、金塊への興味を失っていた二階堂は双子の兄弟を殺した杉元への執念から鶴見の下へ戻る。

春も間近な日、杉元たちはウイルクの友人であるキロランケと出会う。キロランケは、老和人が「小樽の小蝶辺明日子」を探していることをアシㇼパに知らせようとしていた。アシㇼパの和名「小蝶辺明日子」を知っているのは、死んだアシㇼパの両親だけのはずで、その名を知るのっぺら坊の正体はウイルクだとキロランケは言う。
6第49話 - 第59話杉元、アシㇼパ、白石、キロランケ
その真偽と金塊の在処を確かめるべく、杉元たちはのっぺら坊が収監されている網走監獄へ向かうことにし、キロランケも同行することになる。その頃「小樽の小蝶辺明日子」を探していた土方は、のっぺら坊が金塊を国外へ持ち出そうとしていたことを見抜き、のっぺら坊の正体がロシアのパルチザンで、監獄の外にいる彼の仲間もパルチザンと見当を付けていた。

杉元たちは旅の準備のため札幌へ立ち寄るが、宿泊先のホテルは入れ墨の囚人・家永カノが経営する殺人ホテルだった。白石と連絡を取るべく札幌を訪れた牛山が、奇しくも同じ日に同じホテルへ宿泊するが、牛山も白石も家永の正体には気づかず、面倒を恐れた家永は邪魔な白石を始末しようと捕まえる。そうとも知らず顔を合わせた牛山と杉元たちは意気投合するが、拘束された白石が見つかったことでホテルは大混乱となり、杉元たちが準備した爆薬に火が付き爆発崩壊する。杉元たちは命からがら脱出、家永もまた牛山に助け出されていた。

牛山と別行動だった土方・永倉は茨戸で賭場の縄張り争いに首を突っ込んだ末、賭場に隠されていた「刺青人皮」を手に入れた尾形の「用心棒はいらないか」という提案を受け入れる。
7第60話 - 第69話杉元、アシㇼパ、白石、キロランケ
杉元たちは入れ墨の囚人の手がかりを得て日高へ向かうが、立ち寄った勇払のコタンで、よく当たると評判の謎の女占い師・インカㇻマッと出会う。インカㇻマッはウイルクを知っているような口振りを見せ姿を消す。[註 9] その後、日高に到着した杉元たちは、思わぬ偶然からヤクザの親分で入れ墨の囚人・若山輝一郎、その情人の仲沢と結託してヒグマ退治をすることになる。若山と仲沢はヒグマに襲われ死亡、若山の「刺青人皮」は杉元の手に渡る。
8第70話 - 第80話杉元、アシㇼパ、白石、キロランケ、牛山、尾形
第七師団は夕張炭鉱で死んだ入れ墨の囚人の墓を暴いた人物を探していた。剥製師で墓荒らしの犯人・江渡貝弥作の家を突き止めた鶴見は、彼の高い技術から偽人皮を作ることを思いつき、自身の持つ人皮と巧みな言葉で江渡貝を魅了する。江渡貝は二つ返事で偽人皮作りを引き受ける。

小樽のアシㇼパのコタンをインカㇻマッが訪れる。インカㇻマッはアシㇼパの連れの1人がアシㇼパを裏切ると予言し、その心労からアシㇼパの祖母は寝込んでしまう。回復後も恩返しのためコタンに留まっていた谷垣は、アシㇼパを無事連れ帰るべく杉元たちの後を追って出立し、密かに鶴見と接触していたインカㇻマッと谷垣を慕うコタンの孤児チカパシも同行する。

江渡貝が6枚の偽人皮を完成させた頃、囚人の噂を聞いた杉元一味と土方一味が夕張を訪れていた。本物の人皮を狙う敵に気づいた江渡貝は本物と偽物の人皮合わせて7枚を持って逃亡するも炭鉱の爆発事故に巻き込まれ死亡。江渡貝の人皮は月島基軍曹によって真贋を判別する方法と共に鶴見の手に渡る。
9第81話 - 第90話杉元、アシㇼパ、牛山、尾形
杉元一味と土方一味は江渡貝が偽人皮を作っていたことを突き止めるが、江渡貝の家に残された1枚の真贋を判別する方法が分からない。まとめて第七師団に襲われた杉元一味・土方一味は結託し、月形の樺戸監獄に収監されている贋作師・熊岸長庵に人皮の真贋を判別させることにする。

杉元一味と土方一味は二手に分かれて樺戸監獄を目指すが、杉元・アシㇼパ・牛山・尾形は偶然にも、樺戸監獄から脱獄し偽札を作らさせられていた熊岸、脱獄と偽札作りを主導した詐欺師で入れ墨の囚人・鈴川聖弘と遭遇する。偽アイヌとして潜伏していた樺戸の脱獄囚たちと杉元たちの戦いの最中に熊岸は流れ毒矢にて死亡、捕らえた鈴川を杉元たちは樺戸へ連行する。

一足早く樺戸に到着した土方・永倉・家永・白石・キロランケだったが、白石は土方との内通を杉元に知られる恐怖心から逃走を図る。
10第91話 - 第100話杉元、アシㇼパ、白石、尾形
白石は通りかかった第七師団に捕縛され、旭川の師団本部へ連行される。土方たちと再合流し[註 10]事情を知った杉元たちは、白石を救出すべく詐欺師の鈴川を利用する。鈴川の変装と演技は、小樽で連絡を受けた鶴見とその命を受けた鯉登音之進少尉に見破られ、白石の救出には成功するものの、鈴川は射殺。

杉元、白石、尾形は気球[註 11]の試作機を奪い、旭川から空路で逃亡。尾形は気球に乗り込んできた鯉登に外套のフードを取って顔を見せたため、杉元らと組んでいることが鶴見に露見した。白石とアシㇼパの加勢により、杉元は鯉登を気球から落として難を逃れた。

杉元と再会した白石は、土方に内通した白石を杉元が信じ許していたことを知り、改めて杉元たちと同行することになる。
11第101話 - 第110話杉元、アシㇼパ、白石、尾形、インカㇻマッ、チカパシ、谷垣、(リュウ)
鈴川の「刺青人皮」は鯉登の手により鶴見の元へ。鯉登は「第七師団への尾形の造反は、彼の父である花沢中将の自刃に泥を塗る行為だ」と憤るが、実は花沢の自刃は鶴見と結託した尾形が手を下したものであった。鶴見の思惑は「中央は第七師団に師団長自刃の責任をかぶせるだろう。外敵を作った第七師団はより結束が強くなる」と語られている。

茨戸での賭場争い以来、土方に従う夏太郎らは、小樽で隠れ家の留守を預かっていた。近くの賭場に刺青人皮が持ち込まれた噂を聞きつけた夏太郎らは顔見知りの女強盗・蝮のお銀とその夫・坂本慶一郎と鉢合わせ、一緒に賭場荒らしを行うこととなる。坂本は入れ墨の囚人の一人で、同じく刺青人皮を狙っていた。しかし賭場の刺青人皮は第七師団が仕掛けた囮の偽人皮であり、交戦の末に坂本とお銀は死亡。坂本の「刺青人皮」は鶴見の手に、賭場の偽人皮は夏太郎を通じて土方の手に渡る。

旭川から脱出した杉元・アシㇼパ・白石・尾形は、土方たちと再合流し囚人の噂を確かめるべく釧路に向かい、釧路湿原でインカㇻマッ・チカパシと合流する。しかしインカㇻマッたちと一緒にいた谷垣は、付近に住むアイヌのキラウㇱたちから一帯の動物を無闇に惨殺する「カムイを穢す犯人」と誤解され捕まってしまう。真犯人で入れ墨の囚人・姉畑支遁が、谷垣の持つ二瓶の村田銃を盗み一帯の動物たちに自分勝手な行いを繰り返していたのだ[註 12][21]。杉元らはアイヌたちの誤解を解き谷垣を助けるため、金塊の手がかりでもある姉畑を探すこととなる。
12第111話 - 第120話杉元、アシㇼパ、白石、尾形、インカㇻマッ、チカパシ、谷垣、(リュウ)、キロランケ
姉畑支遁の一件は無事解決し、姉畑の「刺青人皮」は杉元の手に。杉元一味はキラウㇱのコタンを後にする。そのコタンを含む北海道東部飛蝗[註 13]に襲われる中、アシㇼパはインカㇻマッと二人きりになり、父・ウイルクを何故知っているのか問い詰める。インカㇻマッは幼い頃ウイルクの世話になった身であり、「ウイルクは金塊強奪の際に殺され、その犯人はキロランケだと考えている」と告げる。それを聞いたアシㇼパは合流したキロランケを問い質し、インカㇻマッも証拠を見せるが、証拠を彼女に渡したのは鶴見だった。『インカㇻマッが鶴見のスパイなのか』『キロランケが金塊強奪犯の一味なのか』『ウイルクは生きているのか死んだのか』『のっぺら坊は何者なのか』。のっぺら坊に会えば全て解決する、と杉元たちは猜疑心を抱えたまま、改めて網走へ向かうことを決意する。

第七師団の宇佐美上等兵は鶴見の命により、網走監獄に看守として潜入調査していたが、看守部長の門倉らに正体がばれ脱出する。網走監獄はのっぺら坊奪取を防ぐため、毎晩のっぺら坊を別の房へ移動させ、更に監獄としては過剰な重装備を揃えていた。重装備の資金は、犬童四郎助典獄が囚人を犠牲にした裏金から捻出されていた。

土方・永倉は網走を目前に、良い記事を書ける遊軍新聞記者・石川啄木を探し出していた。一方、別行動の杉元一味は塘路湖付近で、入れ墨の囚人・都丹庵士率いる犬童の犠牲となった盲目の盗賊団の噂を聞き付け、彼らの根城である屈斜路湖の温泉街跡へ向かうが、杉元たちを犬童の手先と勘違いした都丹ら一団に襲撃される。
13第121話 - 第130話杉元、アシㇼパ、白石、尾形、インカㇻマッ、チカパシ、谷垣、(リュウ)、キロランケ、土方、永倉、牛山、家永、夏太郎、都丹、門倉
杉元一味と都丹ら一団との戦いは、危ういところに駆け付けた土方が仲裁に入る。土方・永倉は旧知の写真家・田本研造を呼び寄せ、写真付き新聞記事で世論を動かそうと目論んでいた。杉元からキロランケとインカㇻマッの疑惑を知らされた土方は、表向きはアシㇼパの祖母へ送るため、裏では二人の正体を調査するため一味の写真を撮影する[註 14]

一方、師団に戻った宇佐美の報告やインカㇻマッの連絡から情報を得て、鶴見は第七師団を網走へ送り込む準備を整えていた。

遂に目的の網走監獄に到着した一味は、白石の立てた周到な計画と、土方の協力者となった都丹や土方との内通者であった看守部長・門倉の協力もあり、網走監獄への潜入に成功。杉元・アシㇼパ・白石は都丹の案内で遂にのっぺら坊と対面するが、彼は替え玉であり、一味の潜入はバレてしまう。混乱に乗じた都丹と門倉の裏切りによってアシㇼパは杉元・白石と引き離される。鶴見率いる第七師団はのっぺら坊とアシㇼパを確保すべく、大湊要港部司令官である鯉登の父・鯉登平二少将の協力を得て、雷型駆逐艦4隻で網走川を遡り、網走監獄を強襲する。
14第131話 - 第140話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ杉元、谷垣、鯉登、月島、チカパシ、(リュウ)
第七師団はのっぺら坊とアシㇼパを確保したうえ、襲撃の証拠隠滅に網走監獄関係者と杉元一味・土方一味の殲滅することを目的とし、総攻撃を開始する。網走監獄は第七師団の襲撃に応じるが、完全に裏をかかれたうえに過酷な日露戦争を生き延びた精鋭である師団兵たちに敵うはずもなく、看守たちや解放された囚人たちは次々と蹂躙される。

騒乱に焦った犬童は本物ののっぺら坊の元へ向かうが、それこそ土方の狙いであった。土方たちは替え玉のことを潜入前から知っており、本物の居場所を突き止めるため、邪魔な杉元を囮にしたのだ。辛くも看守や第七師団の手から逃れた杉元と白石は、土方たちに頼らず父娘を引き合わせるべく、二手に分かれる。

本物ののっぺら坊を犬童が解放したところへ土方が現れ、のっぺら坊はそのまま逃走、犬童は土方と対峙する。未だ旧幕府軍への忠義を貫く土方を犬童は箱館戦争の復讐のために屈服・転向させようしていた[註 7]。しかし土方は全く応じず、死闘の末に犬童は土方に斬首される。

白石はアシㇼパと、杉元はのっぺら坊と合流し、のっぺら坊がウイルクであることを確認するが、直後にウイルクと杉元が狙撃される。ウイルクは死に、今や金塊の謎を解ける者はアシㇼパだけ。第七師団と土方たちの手から逃れるべく、アシㇼパは白石・キロランケ・尾形と共に網走監獄を抜けだす。

土方・都丹・門倉・牛山・夏太郎は、本物ののっぺら坊が隠されていた教誨堂の地下で第七師団をやり過ごし、また犬童が遺した資料から新たな囚人の情報を手に入れる。

杉元は谷垣に救出され、インカㇻマッはキロランケと揉み合って重傷を負い、それぞれ第七師団に回収され治療を受けていた。またコタンに居残っていた家永も第七師団に捕らわれたが、同じくコタンに居残っていた永倉は刺青人皮を背負い一人逃れていた。

アシㇼパは尾形から「ウイルクと杉元は死んだ」と聞かされ落ち込むが、実は二人を狙撃したのはキロランケの指示を受けた尾形だった。キロランケの本当の目的は、パルチザンを裏切ったウイルクを始末し、金塊の鍵となるアシㇼパを連れてパルチザンと合流することだった。アシㇼパたちが樺太[註 6]へ向かったことを知った杉元は鶴見と結託し、谷垣・第七師団の鯉登・月島と共に後を追って樺太・大泊[註 15]まで軍艦で渡る。

アシㇼパの消息を追う杉元達は聞き込みの結果、「初めて見たアイヌの少女」という情報を掴み、追いかける。森の近くにアイヌの少女はいたものの、アシㇼパとは別人だった。小柄だが獰猛な生物と遭遇し、油断した鯉登が襲われる。
15第141話 - 第150話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ杉元、谷垣、鯉登、月島、チカパシ、(リュウ)、エノノカ、ヘンケ
樺太アイヌの少女・エノノカはヘンケ(樺太アイヌ語で祖父)と町に来ていたが、はぐれたのだと語る。獰猛なクズリを振り切ろうとしているところにエノノカとはぐれたことに気付いたヘンケが犬橇で迎えに来たため逃げ切れる。エノノカのコタンにアシㇼパ達が立ち寄った情報を得、キロランケが北へ向かったことを知る。鯉登は歩くのが嫌で、犬橇を借りることを交渉した。

立ち寄った村の酒場でスチェンカロシア語版に出る入れ墨の囚人・岩息舞治のことを知り、四人でスチェンカに参加。対立するもののロシア式蒸し風呂バーニャで岩息と和解、刺青を写す。ロシアでスチェンカすればいいと、月島は岩息に大陸の西へ向かうよう進言する。

トドの捕れる海岸近くにウイルクの育ったコタンがあった。キロランケはアシㇼパに「約30年前に結ばれた樺太・千島交換条約により樺太がロシア領になったため北海道への移住が行われ、コタンは消滅した。北海道のアイヌもいずれこうなる」と語り、アシㇼパの自覚を促す。
16第151話 - 第160話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ、ウイルタの親子杉元、谷垣、鯉登、月島、チカパシ、(リュウ)、エノノカ、ヘンケ
樺太では季節労働者のことをジャコジカと呼んでおり、若い頃のウイルクと自分もジャコジカと呼ばれ、樺太を放浪していたとキロランケは語る。

釧路で犬童の残した手がかりを探していた土方一味は、蝗害被害のため出稼ぎに来ていたキラウㇱと知り合う。手がかりを見たキラウㇱは「これはエトピリカの嘴の一部分で、エトピリカは根室の方にしか居ない鳥だ」と告げる。根室には入れ墨の囚人土井新蔵こと人斬り用一郎がおり、ヤン衆に身をやつしていた。土井は土方と相対し破れた。

杉元らは豊原[註 16]曲馬団ヤマダ一座と知り合い、公演に出ることに。杉元がハラキリ芸を披露中にロシア人が乱入し銃を向けたため応戦する。襲撃者らはロシア政府から「ハラキリ芸をしている男(座長)」の殺害を依頼されていた。実は座長の山田が元陸軍将校で、日露戦争前からロシア各地をまわって特務機関に情報を報告していたスパイであると知る。山田は杉元らに「数年前、ロシア領の北樺太・アレクサンドロフスク・サハリンスキー監獄に、解放運動で捕まった極東の少数民族たちが懲役囚として移送されており、パルチザン(キロランケ)の目的はそこではないか」と告げる。

アシㇼパらは敷香[註 17]から幌内川に沿って北上した。飼馴鹿を誤射をきっかけに遊牧民族(ウイルタ)の一家と知り合い、日露の国境越えを手伝って欲しいと依頼する。だがロシアは鶴見中尉から情報を流されており、馴鹿橇で国境[註 18]を越えロシア領に入ったところで、三八式歩兵銃を持ったアンマー(ウイルタ語で父親)が狙撃される。ロシアの狙いは「1881年の皇帝アレクサンドル2世、暗殺の実行犯[註 19]」で、それは若き日のキロランケのことだった。
17第161話 - 第170話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ杉元、谷垣、鯉登、月島、チカパシ、(リュウ)、エノノカ、ヘンケ
頭部を狙撃されたアンマーは大きな帽子のおかげで弾は横をかすめただけで一命を取り留めていた。キロランケの昔の名前はユルバルス。20年以上前の15歳の時、ウイルクとともにサンクトペテルブルクでロシアの反体制過激派組織と知り合い、皇帝を爆殺した。アシㇼパらがロシアの国境守備隊から狙撃されたのは、その皇帝暗殺犯としての指名手配がいまだに有効なためだった。ウイルクの顔の十字の傷は皇帝暗殺時の爆風によるもの。

尾形とロシアの狙撃手ヴァシリは狙撃心理戦でお互いに隠れて一晩を過ごし、尾形が勝つ。狙撃チャンスを待っている間、雪の中をほとんど動かなかった尾形は発熱し、自らが二○三高地で狙撃した異母弟花沢勇作の幻覚を見ていた。

杉元らはロシア領の北樺太・アレクサンドロフスク・サハリンスキー(通称・亜港)の監獄、亜港監獄[註 20]を目指すが猛吹雪でホワイトアウトが起こり、杉元と谷垣、チカパシを乗せた橇がはぐれてしまった。寒さの中、杉元は奉天会戦のことを思い出す。吹雪の中に光が見えたのは燈台の灯で、杉元らはその灯を頼りに燈台まで辿り着き、命拾いをする。杉元は燈台守夫妻へのお礼として、ロシアの脱走兵とともに行方不明になった娘のスヴェトラーナの捜索を申し出る[註 21]

亜港監獄には、皇帝暗殺の首謀者であるソフィア・ゴールデンハンドが収監されていた。キロランケの目的は彼女を脱獄させることで、亜港周辺のニヴフ民族と過ごしながら時を待つ。
18第171話 - 第180話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ杉元、谷垣、鯉登、月島、チカパシ、(リュウ)、エノノカ、ヘンケ
杉元はアシㇼパが漢字を一部しか知らないことを思い出したが月島や鯉登にはそれを教えない。

土方一味は阿寒湖の近くで毒使いの入れ墨の囚人関谷輪一郎と遭遇、関谷の策略で土方・牛山・門倉が毒を飲む。炭鉱会社のボンボンチヨタロウチョウセンアサガオの毒で前後不覚になった牛山をモモの乾物で手懐ける。毒で暴走しそうになった牛山を葬るためにチヨタロウが画策したりして関谷は敗れ、土方一味は関谷の刺青人皮を手に入れる。

キロランケはソフィアやウイルクとの思い出をアシㇼパに聞かせる。皇帝暗殺後10年以上の逃亡期を経て極東まで帰ってきたこと、ウラジオストクで写真館を経営する長谷川幸一から三人で日本語を学んだこと、実は日本軍のスパイだった長谷川(本名・鶴見篤四郎[註 22])の妻子はオフラーナとの戦闘中にソフィアの誤射に倒れたこと。それを気に病んだソフィアとの別れ、極東を北上し流氷を歩いてウイルクと二人で樺太まで渡ったこと。

待っていた流氷の時期となり、キロランケらはソフィアら囚人250人を脱獄させるため、燈台から盗み出した爆薬で早朝に亜港監獄の塀を爆破するが、そこからが監獄内に侵入してしまう。
19第181話 - 第190話アシㇼパ、白石、尾形、キロランケ、杉元、谷垣、鯉登、月島、(リュウ)
亜港監獄の囚人達は虎に襲われながらも混乱に乗じて脱獄を果たす。ソフィアは虎のことを「ユルバルス違い[註 23]」「ナーナイ族では神様で、殺せばその人間の人生は不幸になるという言い伝えがある」と語った。

ソフィアと合流したキロランケは、流氷の上を歩きながらアシㇼパにソフィアとウイルクの思い出を通訳し、アシㇼパはついに父から絶対忘れないように言われていたことを思い出す。それはウイルク[註 24]のアイヌ名で、アシㇼパの母が命名したホㇿケウオㇱコニ(狼を追うもの)だった。

流氷ではぐれた白石は追いかけてきた杉元と再会を果たす。一方、尾形は鍵を教えてくれるようアシㇼパを説得するが破談。杉元はアシㇼパが誤射した毒矢を右目に受けた尾形の目を抉り、尾形の命を救った。

吹雪ではぐれたアシㇼパと尾形を探していたキロランケは流氷上で谷垣と遭遇し、戦闘に。月島はスヴェトラーナを発見、両親に無事なことを伝えるよう彼女を説得した。負傷したキロランケは月島・鯉登とも戦い、深手を負う。銃声を頼りに辿り着いたアシㇼパが金塊の鍵を思い出したことをキロランケに伝えると、安心したかのように息を引き取った。

ソフィアはその戦闘の様子を隠れて双眼鏡越しに見ており、歯噛みしている。

登場人物

軍属や実在施設関係者や実在する異名を冠された人物については、該当人物ページへのリンクや実在との解説のない限りは作中のみの架空人物。

キャスト出典:[22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32][33][34][35]

杉元一味

杉元佐一(すぎもと さいち)
声 - 小林親弘[註 25]
キャッチフレーズ - 不死身と呼ばれた男[36]
本作の主人公。元大日本帝国陸軍一等卒、元第一師団特別支援隊隊員(白襷隊)。軍帽にマフラー、顔を縦横断する裂傷痕[註 26]が特徴の20代前半の青年。猫舌。好物は干し柿、塩をかけた脳、苦手なものはイナゴの佃煮
鬼神のような戦闘力と強運、生への凄まじい執念、医師が見放す重篤な負傷でも翌日には治癒し戦場を駆ける驚異的な回復力から「不死身の杉元」の異名で一目置かれ、第七師団にもその名を知られている。また戦場で負った夥しい傷跡が顔を含め全身に今も残る。なお出征前の髪質はストレートだが、出征後は髪質が変わり少し癖毛となっている[37]
除隊後も当時の陸軍の制式装備である三十年式歩兵銃二十六年式拳銃三十年式銃剣で武装している他、軍帽弾薬盒肥後守等、軍役時の官給品を使用している。特に軍帽はほぼ常時被っており、入浴中も外すことはない。射撃の腕はあまり良くなく本人も自覚している。そのため持ち前の度胸を生かした銃剣による突撃や敵の刃物を奪って使うなどの接近戦を得意とする。戦闘力は高いが、不意打ちを食らったり圧倒的な戦闘力を持つ羆などと戦ったりする状況も多いため、頻繁に負傷する。仲間からは度々心配されているが、本人は全く気にしていない。
普段は気さくで茶目っ気もあり礼儀正しい。敵でない相手には穏やかで優しく情にも厚い。その一方、敵対者には躊躇なく前兆なく殺戮を行なう残忍さの二面性を併せ持つ。「殺人狂ではないが殺されるくらいなら殺す」と語り、生命の危機に際しては「俺は不死身の杉元だ!」と自らを鼓舞する。一方で狩りで殺し損ねた鹿の必死に生き抜こうとする姿と自分を重ね狼狽したり、度々戦場での記憶がフラッシュバックし本当の自分に戻れていないと語ったりする等トラウマを抱えている。辺見和雄に何人殺したか覚えているかと聞かれた際に「顔が見えるほど近くで殺した奴は顔だって忘れない」「忘れないでいるのが自らの償いである」と語る。アシㇼパに対しては常に「アシㇼパさん」と呼び敬意を払い、相棒として互いに認め合う関係である。
関東の農村出身で、自分以外の家族は結核に罹患し死亡。感染拡大防止のために無人となった実家を放火、予てから密かに想い合っていた梅子に暫しの別れを告げ逐電、天涯孤独となる。その後、陸軍に入隊。旅順攻囲戦では白襷隊として夜間奇襲に参加、続く二〇三高地でも奮戦し死地から生還。旅順の野戦病院に居るところを野間に目撃されている。激戦で戦死者も多かった日露戦争で多大な戦功を上げ生還した英雄だが、気に入らない上官に瀕死の重症を負わせたため、軍人恩給[註 27]の資格を剥奪された。眼病を患った梅子の夫で、奉天会戦において戦死した寅次の遺言を受け、治療費用を手早く得るために満期除隊[註 28][註 29]後、独り北海道へ渡り砂金採りをしていたある日[5]、アイヌの金塊の噂話を男から聞き、当初は与太話と疑うも成り行きで証拠の一部を見たことで事実と確信。羆に襲われたところを突如現れたアイヌの少女・アシㇼパの機転と手助けで命拾いする。アシㇼパから金塊に携わった父に降りかかった惨事を聞き、目的は異なれど過程は同じとして共に力を合わせ北海道各地を巡る探索行が始まった。梅子に思いを馳せつつ、追尾を振り切り命を狙う者共を捻じ伏せ斃し、旅の道中にて珍味・美味の馳走に与り堪能する。
網走監獄襲撃時、本物ののっぺら坊と接触しウイルクであることを確認するが、金塊に関する情報を得る前に両者とも狙撃される。咄嗟にウイルクの体を盾にしたことで即死は免れたが、左のこめかみ付近に被弾、家永の外科手術で命を取り留める(その際、脳の一部が欠ける。手術時に家永に脳をつまみ食いされた)。以降は左側頭部に額当てを装着し、その上から軍帽を被っている。また網走監獄襲撃時における戦闘で左脛に二階堂の仕込み散弾銃を受けて怪我をしており、ズボンの上からも補強具を付けている。
アシㇼパを追って谷垣・月島・鯉登と共に樺太へ渡り、豊原にて自身の生存をアシㇼパに向けて喧伝すべく曲馬団「ヤマダ一座」の公演でハラキリ芸に挑戦する。芸の練習中に鯉登とのいがみ合いが拗れ、鯉登の誤解により本番でハラキリ芸用の細工刀が真剣に摺り替えられたものの、公演中にロシア人の刺客に山田座長と間違えられて襲撃されたため、真剣で撃退し結果的に事なきを得た。
名前は日露戦争に出征した作者の曾祖父・杉本佐一に由来する[7]
アシㇼパ(アイヌ語: Asirpa
声 - 白石晴香[註 25]
キャッチフレーズ - アイヌの愛娘[36]
本作のヒロイン。10代前半の利発で天真爛漫なアイヌの少女。父親譲りの緑が散った濃紺色の瞳を持つ。ポーランド人[註 30]樺太アイヌ混血の父と北海道アイヌの母の血を引く美少女ながら、頻繁に変顔をする。作中では主に北海道の自然とアイヌ文化を紹介する案内役を担う。幼名はエカシオトンプイで「祖父の尻の穴」の意、戸籍上の和名小蝶辺 明日子(こちょうべ あすこ)。日本語とアイヌ語の二言語話者。父・ウイルクからは学校に通うことを進められていたものの通っておらず、「迂」など読めない漢字がある。作中ではアシㇼパのリはアイヌ語の小書きリで表記されている。好物は塩をかけた脳。
外見と年齢に反して、理知的で賢く豪胆な性格。「新しい(アシㇼ)年(パ)」を意味するアイヌ名を「未来」と解釈し、信仰や慣例を重んじた上で古い因習に捕われず現実的かつ合理的で柔軟な思考も持ち併せた「新しい時代のアイヌの女」を自負する。もうすぐ顔に入れ墨を入れる年齢だが、本人はアイヌの古い因習として入れ墨を嫌がっている。
弓矢の名手にして狩猟の腕も高く北海道の気候や動植物、アイヌの文化・風習・料理に精通し、その都度、同行者に教授している。羆や大人に対して物怖じしないが、唯一ヘビが苦手である。年長の和人らに野生動物の脳髄生食を気前良く振る舞い世話を焼いているが、無礼・背任・失態を働いた者に容赦無い制裁を加える。反面、歳相応の幼さも見せる。杉元が携帯していた味噌カレーなど粘性がある茶色い物体は全て「オソマ(大便)」と見做して嫌悪していたが、味噌の入った桜鍋を食べてからは好物となり、事あるごとに杉元にねだっている。アシㇼパが脳みそを食べさせた描写のある相手は、杉元・白石・牛山・尾形。
出生直後に母が病死、父の狩猟に共として連れられ幼少期を過ごし、一人で羆を毒弓で仕留めたこともある。父を失った後も、本来ならアイヌの娘が担うべき仕事や嗜みをせずに野山を駆けていた。山中で羆に狙われていた杉元を持ち前の知識と技術で救い、アイヌの隠し金塊の話を聞かされた際に父が犠牲者の一人と打ち明けたところ、杉元に協力を要請され行動を共にすることになる。金塊探しのための脱獄囚探索中に、殺害されたはずの父が金塊強奪犯の「のっぺら坊」であると聞き、真実を知るために網走監獄へ向かうことを決意する。危険と窮地を潜り抜け、黄金を巡って取り巻く奸謀に翻弄されつつ助け合い、旅の牽引者として狩猟に勤しみ仲間たちの馳走を拵える。
入れ墨の暗号を解読できる唯一の人物とされるが、彼女自身は入れ墨を見ても心当たりがなく、彼女自身が金塊に興味ないことも相まって、のっぺら坊に金塊を託された理由を図りかねていた。網走監獄襲撃でのっぺら坊=ウイルクが死亡した後は、自身の知らない父の過去やのっぺら坊となった経緯、父が金塊を託した意図を知るべく、キロランケに伴って樺太へと渡る。樺太を北上する最中、様々な出会いやキロランケ、父の旧知であるソフィアが語る父の過去などから、忘れていた父との思い出を断片的に思い出しつつある。父のアイヌ名を忘れていたことについては、アイヌ惨殺事件とレタㇻとの別れが重なったことによる、狼関連記憶の封印による。
野田のブログによると、小樽近辺にあったとされる村で生まれ育ったという設定とされる。
携帯している小刀(メノコマキリ)のモデルはアイヌ文化奨励賞を受賞した貝澤貢男[38]の手による物で、のぼりべつクマ牧場が運営するアイヌ資料館「ユーカラの里」で本人から購入したとしている[8]。足に履いているのはタイツ[39]
白石由竹(しらいし よしたけ)
声 - 伊藤健太郎
キャッチフレーズ - 愛され脱獄王[36]
強盗と度重なる脱獄で収監されていた入れ墨の囚人の1人。坊主頭に長いもみあげが特徴。好物は酒、飴、白米、苦手なものは鹿の脳ミソ。
通称「脱獄王」の名の通り、関節を自在に脱臼させて狭い隙間を出入りできる人間離れした身体能力、脱獄のための周到な小細工を作り体の中に隠し持つ器用さ、入獄した施設の特徴や死角をいち早く見抜く優れた観察力を持ち、また口先ひとつで必要な情報を引き出したり、言いくるめたりするなどコミュニケーション能力も高いため、いざという時の潜入技と脱出術に加え間諜役としての能力を発揮し暗躍する。入れ墨を彫られた他の囚人たちの多くと顔見知りのため、首実検役や新たに登場する囚人の解説役を担うことも多い。
反面、脱獄中でありながら下心がもとで官憲の前に自ら姿を晒し、捕縛されるなど思慮が浅い面もあり、言動も場当たり的で博打や酒に目がない軽薄な性格である。戦闘力が皆無なこともあり、しばしばアシㇼパらに役立たず扱いされる。作中では主にギャグパートにおけるコミックリリーフの扱いで、欲をかいて頻繁に粗相を起こす典型的な助平の与太郎として描かれる。また、作中に登場する動物に頻繁に頭を噛みつかれる。包茎で、そのために尿が二股に割れたり、性行為のあとに痛みがあることがある。
少年時から素行不良で幼年監獄に収容されては脱走を繰り返し、成年になって樺戸集治監に収監されてからも前歴から看守達の間から札付きと警戒されていた。同房の画家で偽札犯・熊岸長庵の描いた絵の女性・シスター宮沢(声 - 島本須美)に恋をし、彼女を求めて全国各地の監獄(前橋監獄、金沢監獄、秋田監獄、京都府監獄など)に服役しては脱獄を繰り返していたため「脱獄王」の渾名が付いたことに加えて服役期間も延び、人生の大半を獄中で過ごし、最終的には脱獄不可能と言われた網走監獄に収監されることとなった。
小樽の森で杉元達に捕まり逃亡を図るも、追っ手の杉元共々真冬の川に落下、凍死間際の状況で火を熾す手段が無い中、隠し持っていた実包を提供することと引き換えに解放される。その後、小樽の師団兵舎に杉元が監禁された際に、彼を探していたアシㇼパと再会。生存していた杉元に感心し、金塊の分け前を貰うことを条件に救出に協力した。以降、杉元らと行動を共にするようになる。また、土方陣営に対しても、街で偶然鉢合わせた牛山と紆余曲折を経て接触し、強引に協力体制を結ばされる。第七師団から逃げるために大雪山を越えた際、低体温症で錯乱状態に陥ったため、アシㇼパからパウチカムイに取り憑かれたと思われた。杉元も当初は完全に信用しているわけではなかったが、網走監獄襲撃時には自分に代わってアシㇼパの側につくよう依頼するほどの信頼を得ることになる。網走監獄襲撃後はアシㇼパと共にキロランケ、尾形と樺太へ渡る。杉元の遺体を近くで直接確認したという尾形の言葉に驚愕するも、アシㇼパには杉元が死んでいる気がしないという心情を吐露した。
脱獄する時は一人で逃げるという信条があったが、ロシア領内で指名手配犯であるキロランケと一緒にいる危険さに気付いた際にはアシㇼパも逃亡に誘うなど、変化も見られる。
モデルは「昭和の脱獄王」の名で知られた白鳥由栄[13]
キロランケ
アイヌの項のキロランケを参照。
尾形百之助
第七師団の項の尾形百之助を参照。
谷垣源次郎
第七師団の項の谷垣源次郎を参照。
インカㇻマッ
アイヌの項のインカㇻマッを参照。
チカパシ
アイヌの項のチカパシを参照。

土方一味

土方歳三(ひじかた としぞう)
声 - 中田譲治中村悠一(若年期)
キャッチフレーズ - 新撰組鬼の副長[36]
実在した人物。元新撰組副長の旧幕府軍志士。通称「鬼の副長」。
銀白色の長髪に顎髭をたくわえ、既に齢は70を越しているが、眼光鋭く血気劣らぬ若々しい様子から人魚の肉を喰らい不老不死になったと噂されるほどである。一方で気配を隠し、一介の老人を装って行動することもある。好物は細かく刻んだ漬物を乗せたお茶漬け
史実では明治2年1869年)の箱館戦争にて戦死しているが、本作では戦況の悪化した箱館から秘密裏に落ち延び、素性を隠し政治犯の模範囚として長らく月形樺戸集治監に幽閉されていたという設定になっている。作内では土方を幽閉した典獄・犬童によって後に網走監獄へ移送された。
入れ墨の囚人たちの脱獄を主導した主犯格で、金塊の噂を聞いた一部の若い屯田兵達が囚人24名の身柄を強引に移送した際、軍刀を奪取して屯田兵らを殺害、脱獄を成功させてその正体を明かす。かつて志半ばで潰えた蝦夷共和国の構想を踏襲するが如く、「のっぺら坊」と一致する何らかの目的に向けて周到な計画を企て、銀行を襲撃し活動資金を得ると共に手始めに第七師団撃砕を目論み、密かに杉元一味の動向を追いつつ行く先々で刺青人皮の情報と同志を募る。その真の目的は、ロシアの南下に伴う日本侵略を防ぐため、ロシアに程近い北海道を「緩衝国」として独立させ、移民を募って多民族国家を築き北方の護りを委ねることにある。
銀行強盗で愛刀・和泉守兼定[40]を奪還した他、ウィンチェスター・モデル 1892を装備している。
「のっぺら坊」と深くかかわっている囚人であったことから、杉元・土方一味の全員から怪しまれている。また、永倉からは死地を求めているのではと考えられている。
永倉新八(ながくら しんぱち)
声 - 菅生隆之中井和哉(若年期)
キャッチフレーズ - 新撰組最強剣士[36]
実在した人物。新撰組元隊士で、渾名はガムシン(我武者羅な新八)。普段は落ち着いた好々爺だが、新撰組時代の血の気の多さと隊内最強と謳われた撃剣の技量、奥義「龍飛剣」[41]は健在で、老境になって尚、抜刀するや昔の血が滾り、複数人に囲まれようと一切の反撃を許さず、瞬時に斬り捨てる一流の剣豪。好物はウナギの蒲焼
史実では慶応4年(1868年)の鳥羽・伏見の戦いの後に新撰組と袂を分かち松前藩へ帰参、明治期に北海道小樽へ移り住み、警察官僚・月形潔の招きで樺戸集治監の剣術師範を1882年(明治15年)から4年間務めた。
作中では看守への剣術指導の関係で年末に樺戸集治監を訪問した際[註 31]、かつて袂を分かった土方と鉢合わせ、彼がずっと虜囚で収監されていたと知る。この時の樺戸集治監・典獄が犬童四郎助であり、犬童の移動とともに土方が網走監獄に移送させられることを知る。
土方の網走監獄脱獄後は、家主の亡くなった親戚の家屋や資金、ロシア商人から試供品として入手した銃火器を土方へ提供し、同志として共に行動している。
実際の永倉は明治維新後、妻の実家に婿養子に入り改名しているため、作中の時代に名乗ったのは「杉村義衛」である。
牛山辰馬(うしやま たつうま)
声 - 乃村健次
キャッチフレーズ - 不敗の柔道王[36]
入れ墨の囚人の一人。額のはんぺんを貼り付けたような四角い五寸釘も通さぬ硬さのタコと柔道耳が特徴の巨漢。かつて10年間無敗の柔道家として最強の座に君臨していた、通称「不敗の牛山」。好物はモモビール
建物の壁を難なくぶち破り、馬や羆ですら足払いで投げ飛ばすなど、常人離れした怪力と強靭な肉体を持つ。現役時代は毎日10時間を超える鍛錬を欠かさず行い、死人が出るほど過酷と言われた網走監獄の刑務作業に対しても稽古に及ばないと退屈していた。普段は温厚で紳士的で仲間想いだが、裏切り者には容赦ない。また定期的に性交しないと理性を失い、人の姿をしている者なら見境無く力に任せて犯そうとする獣のような性欲の持ち主でもある。女好きではあるが普段は分別を弁えており、相手のいる女性にまで手を出すことはなく、見境を無くすのは性欲を抑えられなくなった状況に限られる。
柔道師範の妻に欲情し姦通したことが原因で受けた一門の制裁を返り討ちにし、師を殺害し上門下生10人に重傷を負わせた咎で服役していた。脱獄後に潜伏先を掴んだ土方と一戦交えて金塊の分け前目当てに手を組み、周辺を探っていた同房仲間の白石を取り押さえ、土方と密約させることに成功する。その後に、互いの素性を知らず札幌にて杉元一味と遭遇、柔道耳を切掛に組み合った彼の強さを気に入り会食に誘い、酒席でアシㇼパに紳士の陰茎の見定め方を講義したことから彼女に「チンポ先生」と呼ばれ慕われる。樺戸集治監近くのコタンでは偽アイヌを圧倒し、その膂力も持って羆さえ撃退、その強さを見たアイヌの女たちから秋波を送られ本人も乗り気だったが、杉元に止められた。
モデルは「不敗の牛島」の名で知られた牛島辰熊[13]
家永カノ
「のっぺら坊」と入れ墨の脱獄囚の項の家永カノを参照。
尾形百之助
第七師団の項の尾形百之助を参照。
夏太郎/亀蔵
その他の登場人物の項の夏太郎/亀蔵を参照。
都丹庵士
「のっぺら坊」と入れ墨の脱獄囚の項の都丹庵士を参照。
門倉
網走監獄の項の門倉を参照。
キラウㇱ
アイヌの項のキラウㇱを参照。

第七師団

北海道を本拠とし旭川に本部を置く大日本帝国陸軍の師団。通称「北鎮部隊」。かつて屯田兵と呼ばれた組織を前身とした部隊で、戦争帰りの将兵が多く、瀕死の重傷であっても反撃を試みたり、不意な襲撃にもすぐに対応するなど、個々の能力は高い。日露戦争時、第七師団は4個の歩兵聯隊[註 32]のほか、騎兵聯隊砲兵聯隊など約2万人の兵で構成されていた。聯隊中佐)は3個の大隊、大隊(少佐)は3個の中隊、中隊(大尉)は4個の小隊中尉)を持つ。作中では「第七師団」といった場合、師団全体よりも鶴見ら歩兵第27聯隊を指すことが多い。

鶴見篤四郎(つるみ とくしろう)
声 - 大塚芳忠
キャッチフレーズ - 反逆の情報将校[36]
中尉歩兵第27聯隊所属の小隊長で情報将校。両目の周囲の皮膚が剥け、常にホーロー製の額当装着した異様な姿の男。装備はボーチャードピストル。アイヌ埋蔵金を付け狙う第七師団における主導者であり、師団内の反乱分子の主犯格。好物は和菓子、苦手なものは酒類。
頭蓋骨前面の欠損と前頭葉の一部の損傷のため、感情が亢ぶると何らかの体液が額から漏れ出る体質に加え、奇矯で突飛、残忍な言動が目立ち、頭に血が上りやすい。自身の怪我については極めて前向きで男前が上がったと称し、笑いのネタにすることもある。その反面、巧みな話術で他者の身の上話を聞き出したり相手の心情に寄り添って魅了したりする人心掌握術に優れ、そのカリスマ性に部下たちの中には彼に心酔する者も多い。手下は物語開始時点で100人ほどで、小隊の定員数より多い。網走監獄強襲には63人の部下を引き連れていた。また歩兵第27聯隊長である淀川輝前中佐(声 - 木下浩之)の弱みに付け込み、不完全ながら歩兵第27聯隊の事実上の指揮権を握る。
新潟本土の生まれ。元は裕福な育ちで洋琴の演奏も習得している。日清戦争後、第二師団新潟)から、特務機関のある第七師団[註 33]・札幌の月寒へ転属、情報将校としてロシアに行く。転属前の階級は少尉。
日露戦争の旅順攻囲戦において、二〇三高地攻略に反対し、献策したが全て揉み消され、やむなく自らを先頭に吶喊攻略。小隊長として二〇三高地山頂に国旗を突き立てた。続く奉天会戦で頭部に砲弾の破片の直撃を受け大怪我を負い、野戦病院に搬送。以後、額当を付けるようになる。日露戦争には勝利したものの、多くの戦死者を出したことで参謀長でもあった花沢中将は自害、勲章や報奨金はおろか陸軍のなかで第七師団は冷遇されるようになる。こうした背景から鶴見は戦友や戦死者遺族の窮状を救うため自らが指導者となり北海道に軍事政権を実現させるべく軍資金として刺青人皮及びアイヌ埋蔵金を追う。しかし日露戦争終結前からアイヌの金塊を狙う「計画」を持っていた描写がある。
よく背景に描かれる花は芥子アヘンの原料)。北海道の寒冷地に適した芥子の栽培を進めており、農地を広げるべく金策に走っている。
アイヌ殺害事件の遺品を回収、所持している。軍服の下には「33人を殺害した津山」という殺人犯の刺青人皮製の自作肌着を身に纏い、常に情報を収集して師団内の造反者を炙り出し、江渡貝に製作させた贋物刺青人皮を用いて金塊を追う他の存在に揺さぶりをかける。
ロシアとのパイプがあり、キロランケ・尾形に関して「皇帝暗殺の実行犯が日露の国境を越える」「密入国犯は遊牧民族(ウイルタ)に紛れるだろう」とロシア側に伝える。
尾形百之助(おがた ひゃくのすけ)
声 - 津田健次郎
キャッチフレーズ - 孤高の山猫スナイパー[36]、孤高の凄腕スナイパー[42]
上等兵。歩兵第27聯隊。300メートル以内であれば確実に頭部を撃ち抜くほどの凄腕の狙撃手で、2000メートル先までの射撃も可能[註 34]かのような発言もしており、とても目が良い[43]。また隙を突いて敵対者の小銃の遊底を瞬時に抜き取り無力化させるなど白兵戦にも長けている。時折不敵な笑みを浮かべるが基本的に無表情で飄々とし腹の中が探りにくく、鶴見をして「敵に回すと非常に厄介」とまで評され、またその時々の状況に応じ独断で先んじて陣営を変わることも辞さないため「コウモリ野郎」とも呼ばれる。瞳孔が縦長風になるなど作中でたびたび[註 35]扱いされる。温泉入浴中など、どんな状況でも用心深く銃を傍に置き、目を離して銃を盗まれた谷垣や、銃を雑に扱って壊した杉元に嫌味を言うなど、銃に関しては一家言ある様子。装備は三十年式歩兵銃→三八式歩兵銃[註 36]ベルダン M1870英語版[註 37]など。脱走兵(扱い)ではあるが軍服は脱がず、その上にフードの付いたポンチョ風の外套を羽織り、脚絆を着用している。好物はあんこう鍋、苦手な食べ物はしいたけ
元第七師団長・花沢幸次郎中将とそのの間の息子。母は浅草芸者で、父と本妻との間に男子ができたため、赤ん坊の時に母子ともに捨てられ茨城[44]で母方の祖父母に育てられた、自称・バアチャン子。少年期に、母にあんこう鍋以外のものを作って欲しいと思い、祖父の古い銃で鳥を穫るようになるが、母はあんこう鍋を作るのをやめず、彼に目を向けることはなかった。
陸軍に入隊後、同じ第七師団に配属された異母弟・花沢勇作少尉と出会い、交流を持つようになる。軍律上は上官である勇作から「兄様」と呼ばれていたが、尾形自身は「両親から祝福され愛されて育った子供の行く末」と見ていたようである。なお元第七師団ではあるが所属小隊の違うキロランケ[註 38]も、尾形が「師団長の妾の子」であるということを知っており、師団内では公然の事実であった[註 39]。尾形は第七師団の一部の人間から「山猫の子供は山猫」と言われていた。「山猫」[註 40]とは「芸者」を指す隠語である。
日露戦争終結後、鶴見中尉の指示の元、第七師団長の父を自刃に見せかけ殺害。その際に「父に捨てられ頭がおかしくなっていた母を殺鼠剤入りのあんこう鍋で殺害したこと」「日露戦争・二〇三高地にて腹違いの弟・勇作を密かに狙撃したこと」を告白、いずれも自分たち母子に対する父の愛情からの反応を期待しての行動であったと語っていたが、当の父からは「出来損ないの倅」と言われる。だが、皮肉にも彼の容姿は父親似である。鶴見は「失った軍神の代わり」として第七師団内で尾形を祭り上げようとしていたが、尾形自身にその気はなく内心では鶴見の口車に乗っていなかった。
鶴見からの造反を目論み、師団に無断で単独行動していた矢先に杉元・アシㇼパと遭遇。杉元と戦い右腕を折られ退却する途中、杉元の攻撃により昏倒し、川へ転落。滑落中に岩にぶつかり顎骨が割れる。極寒の川から自力で這い上がり低体温症で死ぬ寸前の所を鶴見の隊に救助され、手酷い負傷を被り衰弱甚だしい中、入院先で意識朦朧ながらも刺青人皮を追う存在を第七師団へ伝える。この時の負傷が元で、以降は左右下頬に縫合痕が残る。また入院中に髪が伸びツーブロックのオールバックになったため、初登場時とはやや印象が変わっている。
入院中に尾形襲撃犯(杉元)を捜索していた造反組の班(玉井伍長(声 - 手塚ヒロミチ)・野間(声 - 田所陽向)・岡田(声 - 笠間淳)・谷垣)が行方不明になった。尾形は密かに病院から抜け出し、二階堂浩平と共に杉元を捜索中、襲撃現場に一番近いアイヌのコタンにて谷垣を発見する。玉井が谷垣の造反組への引き込みに失敗し、造反計画を知った谷垣が玉井・野間・岡田の三人を殺したと判断した尾形は、谷垣の口封じを試みるも失敗する。また鶴見配下の三島らに尾行されていたこともあり鶴見への造反が露呈。直後に現れた鶴見の部隊を排除し逃亡したため、脱走兵として扱われている。
逃走後、刺青人皮の噂を聞きつけて茨戸の宿場町に現れ土方らと対峙、その抗争に乗じて刺青人皮を入手し土方と取引し、彼との共闘を承諾させる。夕張において鶴見の部下を奇襲、その目的を把握しつつ追跡するも一歩及ばず、土方・杉元一味の旅の同行者となる。また、アシㇼパがのっぺら坊の娘と知って以降、アシㇼパに関心を寄せている様子。
土方の用心棒である一方、出自が複雑であり目的も不明瞭であるため、土方からは怪しまれている。なお月島は「陸軍の反乱分子である仲間を売り、自らの出世を目論む、本部の飼い猫」と推測しているが、これについて尾形本人は肯定も否定もしていない。また網走監獄襲撃直前、土方に問われた際には軍に関わる気がないような発言をしている。
網走監獄ではキロランケと手を組み、ウイルクと杉元を狙撃した。ウイルクはキロランケの指示による狙撃だったが、杉元を撃ったのはウイルクから情報を聞いた可能性を考慮した、尾形自身の判断によるもの。
樺太に渡島後、キロランケに伴って北上する途中、エゾシカと間違えて現地のウイルタ民族の飼馴鹿を撃ち、ウイルタ民族との接触の機会を作った。キロランケの計画通り、ウイルタ民族に偽装して日露国境を超えた直後、国境守備隊のロシアの狙撃兵・ヴァシリから「三八式歩兵銃の持ち主」が狙撃されるものの、案内のウイルタ民族と前日から銃を交換してベルダンM1870を所持していたため命拾いした。狙撃戦には勝利するが疲労で熱を出した際には、頭部から血を流す勇作の幻覚を間近に見ている。
谷垣源次郎(たにがき げんじろう)
声 - 細谷佳正
キャッチフレーズ - 阿仁マタギ[36]
一等卒。歩兵第27聯隊。生真面目で誠実な青年。筋肉隆々で胸毛が濃く、たびたびシャツのボタンが千切れ飛ぶ。右頬にはレタㇻ狩りの際、杉元に付けられた裂傷痕がある。元マタギと言うこともあり射撃の腕は確かで、馴染みのない北海道の山中でもその知恵と技術、経験を活かす。装備は三十年式歩兵銃→村田銃(二瓶の形見)。好物はきりたんぽ、苦手なものはしいたけ。かに座、A型。
秋田県阿仁出身で陸軍入隊[註 41]前は故郷でマタギをしていた。ある日、マタギ仲間でもある義弟・青山賢吉の住まいが全焼し、焼け跡からは胸に刺し傷のある谷垣の実妹・フミ(声 - 浅野真澄)の焼死体が発見される。谷垣は賢吉の犯行と断定し、復讐のため行方を追う最中、賢吉が第七師団に入隊[註 33]したとの噂を耳にし、故郷を捨て自らも第七師団へ入隊。屯田兵村を捜すも北海道では見つからず終いであったが、日露戦争・二〇三高地にて瀕死の重傷を負った賢吉と再会。彼の口から真実を知り[註 42]、復讐心だけで家族と村を捨て兵士となった今までの行動が全くの無意味で利己的だったことに懊悩、自身の役目を見失う。ちなみに、賢吉を発見するきっかけとなった人物は杉元だが、互いに気づいた描写はない[45]
玉井伍長の班にて野間・岡田ら4人で尾形加害犯捜査の任に就き、不審なアイヌ少女(アシㇼパ)を単独で追跡・保護しようとした時、突如現れた白銀の雄狼(レタㇻ)による牙の一振りで右足を砕かれ失神。行き倒れていた所を二瓶に手当され、行動を共にする内に己の身の処し方の選択に迫られ、軍から抜けマタギとしてやり直すことを選び、二瓶の白狼狩りに同行する。二瓶は「感情とは"匂い"となり発せられるもの」で「殺気が強いと獲物(狼)に気付かれるのかもしれない」と語る。それを聞いた谷垣は「マタギには獲物を狙う際に自分の気配を消し木になりきる"木化け"という言葉がある。今の話に木化けの本質を見つけた気がする」と答えた。
二瓶と杉元の交戦にてアシㇼパの身柄を抱えての移動中、不注意から狩猟罠による矢毒を受けるも、アシㇼパの応急処置により一命を取り留める。二瓶の死亡後、アシㇼパの意向でコタンへ運ばれ療養していたが、杉元を追ってコタンを訪れた尾形らに玉井らを排除した嫌疑をかけられ対峙、二瓶の猟銃を手にマタギ出の知恵と経験を活かし撃退、直後に現れた師団兵の三島(声 - 石谷春貴)から鶴見が尾形らを泳がせていたことを知る。しかしその三島もすぐ尾形に射殺されたため、軍に戻ることは無かった。なお鶴見は彼の行動を黙認しているため、尾形と異なり脱走兵扱いではない。
尾形を撃退後はアイヌの普段着を羽織りアシㇼパのフチ(祖母)の世話を受け静養生活を送る。谷垣の傷が癒えたころ、コタンにインカㇻマッが訪れ、「アシㇼパの連れの男の中にアシㇼパを裏切る男がいる」と占った。大事な孫娘に振りかかるであろう禍事を案じ寝込んでしまったフチを安心させるため、自分の命の使い道を悟り、世話になった恩返しに孫娘を無事送り届けると約束してインカㇻマッ、チカパシと共に出立する。二人からは「谷垣ニㇱパ(旦那)」と呼ばれる。尾形からは玉井らを殺害し鶴見の手先として自身を追っていると誤解されていたが、後に姉畑の件で尾形と合流した際、玉井らの死を目撃した杉元の証言によって、尾形の誤解は解かれた様子。また姉畑の件で子熊の檻に監禁されて以降、時折「子熊ちゃん」と呼ばれる場面もある[註 43]
ラッコ鍋を食べて前後不覚になった際、インカㇻマッと情交する。利用されているのかと疑いつつも彼女に惹かれており、網走監獄突入前には、時がきたらアイヌのプロポーズをしたいと告げた。
網走監獄襲撃時は、地元アイヌに扮して見回りを欺き、監獄出入口で待機していたが、杉元とウイルクが狙撃され重傷を負ったと知るとアシㇼパに脱出を促しつつ2人を救出に向かう。2人を救出後、監獄出入口でインカㇻマッが腹部を刺され倒れているのを発見し動揺する間に、鶴見率いる第七師団に身柄を確保された[註 44]
鶴見がアシㇼパ追跡の先遣隊を派遣する際、自ら志願し、杉元・鯉登・月島と共に樺太へ渡ることになる。その目的は「アシㇼパをフチの元まで送り届けること」で、自分と杉元だけがアシㇼパに信頼されていると語っている。
月島基(つきしま はじめ)
声 - 竹本英史
キャッチフレーズ - 第七師団の良心[46]、死神の右腕[47]
軍曹。歩兵第27聯隊。鶴見の側近。目元のしわと低い鼻が特徴。任務にストイックな男で団員の中では比較的温厚で常識人。ロシア語を習得している。背は高くない[註 45]が、喧嘩や白兵戦は強い。好物はいごねり
新潟・佐渡出身。父親が悪い噂の多い島中の嫌われ者だったため「人殺しの息子」「悪童」などと呼ばれ島に居場所がなく、新発田第二師団[註 46]に入隊した。しかし唯一、いご草のようなクセっ毛の女性・いご草ちゃん(本名不明)とは心を通わせており、日清戦争へ出征前にいご草ちゃんと駆け落ちを約束する。しかし帰郷後、彼女は行方不明で島では月島戦死のデマが広まっていた。いご草ちゃんがデマを信じ自殺したと考え、激情に任せデマの出処である実父を殺害し死刑囚となる。死刑を受け入れ陸軍監獄に服役していたが、第二師団で上官だった鶴見から「実はいご草ちゃんは生きており、縁談がまとまり両親と共に関東に居る」と聞かされ、生きる気力を取り戻す。また近く起きるであろうロシアとの戦争に備え第七師団・札幌月寒に転属が決まった鶴見は、月島をロシア語の堪能な信頼できる部下と称して連れて行きたいと考え、その鶴見の方便のため全く喋れなかったロシア語を死んだ気になって習得した。
9年後の日露戦争・奉天会戦の戦場で偶然会った同郷の兵士から「いご草ちゃんの遺体が月島の実家から発見された」と知らされ、激情に駆られ鶴見に詰め寄っていた最中、共にロシア軍の砲撃を食らう。咄嗟に鶴見を庇い両者とも重傷を負ったが、野戦病院に運ばれる際に工兵の作った橇を譲られたため[註 47]、両者とも無事治療を受けられた。鶴見の弁によれば「いご草ちゃんの遺体が月島の実家で発見されたのは、月島の刑を軽くするための偽装工作」であり「いご草ちゃんが関東で生きているのは本当だ」とのことだが、月島にいご草ちゃんのことを告げた同郷の兵士は鶴見と通じているような描写もある。この一件で、鶴見は月島の忠義心が揺らがぬものと確信した一方、月島自身は激情に駆られ行動したことを後悔している節がある。
上官である和田大尉(声 - 稲田徹)に鶴見の射殺を命じられるが、逆に和田を射殺。前山一等卒(声 - 石狩勇気)と共に贋物刺青人皮制作を委託した剥製所に詰める任務に就くが、場を離れた隙に尾形から襲撃され前山は射殺される。襲撃の最中に持ちだされた贋物刺青人皮を死守・確保すべく、追跡の手から逃れるために炭鉱内へ逃げ込み炭鉱爆発に巻き込まれる混乱の中、辛うじて確保し炭鉱から脱出、鶴見に極秘の伝言を伝える。
小樽での囚人(坂本・お銀夫婦)狩りに際し、新任少尉を補佐するベテラン軍曹として鯉登の補佐を担うことになるも、鶴見を前にすると対話不能状態になってしまう彼に、一々会話の通訳をさせられ心中辟易している。
網走監獄襲撃後、杉元、谷垣、鯉登と共に、鶴見の命で樺太先遣隊としてアシㇼパ捜索に向かう。鶴見から現地における一行の判断を任されており、変わり者ばかりのメンバーに手を焼きながらも、持ち前の技能で一行をサポートしている。
二階堂兄弟(にかいどう)
声 - 杉田智和
一等卒の双子。歩兵第27聯隊。静岡出身[註 48]。浩平が先に、洋平が後に生まれた[48]。兄弟仲が良く、兄弟共に嗜虐欲や殺人衝動が強い。鶴見中尉に対する忠義心は薄い。浩平が巻きゲートル、洋平が短ゲートルを使用しているため足元を見れば区別できるが、コマごとにゲートルの種類が変わってることもある(第33話「呪的逃走」では浩平が短ゲートルを使用しているが第34話では巻ゲートルに変わっている)。
洋平(ようへい)
浩平と共に娼館街で入れ墨の情報を探っていた杉元を攻撃して連行し、兵舎内に拘禁した杉元を殺さないよう厳命されていたにも関わらず、杉元の挑発に怒り独断で拷問の上で殺害しようとする。しかし杉元と二人切りになったとき、白石により既に枷を解かれていた杉元に声を挙げる間も無く返り討ちにされ死亡、さらに臓物を抜き取られ、彼の兵舎脱柵の偽装に利用されてしまう。
浩平(こうへい)
キャッチフレーズ - 復讐の双子片割れ[36]
杉元に洋平を殺されてからは杉元に復讐心を抱き執着している。好物はみかん。
常日頃から兄弟共に行動していたが洋平の死後、造反組の仲間である尾形の谷垣追跡に同行。谷垣が仕掛けた囮に気を取られ、襲撃してきた羆に爪で叩きつけられ、頭皮をめくられ左耳を削り取られる。尾形の援護射撃で何とか生還するも、直後に反乱分子の動向を追っていた鶴見の隊に捕縛され、造反の疑いで右耳を削がれる拷問を受けるが、「杉元を殺させてやる」という取り引きに応じて小宮(声 - 綿貫竜之介)が仲間であると告げ、鶴見の下に戻る。削がれた耳は常に携帯し、それを洋平に見立てて会話するという奇癖が生じており、たびたび鶴見の癇に障っていたが、江渡貝によってしつらえ直された耳付きの革製ヘッドギアを装着するようになる。鶴見の左耳が洋平(実は自分の耳)に似ていると言い、片方では可哀相なので欲しがる。鶴見が死亡した時は左耳をくれてやると約束を取り付けている。
夕張での贋物刺青人皮の証拠隠滅時、杉元への執着が仇となり土方の一撃で右足を失う。その後は鎮痛剤として投与されたモルヒネの過剰服用により情緒不安定で幼児のような発言が目立つ。有坂中将により、右足には散弾を仕込んだ義足を装着するようになった。網走監獄襲撃時に杉元を追跡し、一対一で戦うが、今度は耳と会話する奇癖が仇となり、義足の散弾を杉元に利用され右手を失い入院。見舞いに訪れた鶴見から「杉元は網走で死んだ」と聞かされ、生きる意味を見失い傷心となる。有坂中将から箸入りの義手をもらう。
鯉登音之進(こいと おとのしん)
声 - 小西克幸[註 49]
少尉。歩兵第27聯隊。父親は大日本帝国海軍大湊要港部司令官・鯉登平二少将士官学校卒の新任[註 50]で、上級指揮官への道が約束されたエリート。鶴見お気に入りの薩摩隼人自顕流の使い手[註 51]。父親譲りの褐色肌で整った顔立ちで、将校でも坊主頭が基本の帝国陸軍において、髪を伸ばしている。鶴見に心酔しており、彼のブロマイドを胸ポケットに忍ばせている。興奮すると猿叫を上げる、早口の薩摩弁になってしまう等、鶴見との会話に支障が出るため、月島に仲介させている。良くも悪くも坊ちゃん育ちで少々子供っぽく自分勝手な性格で、杉元に負けず劣らず血の気が多い。鶴見から詰めの甘さを度々指摘される。船酔いする体質だが、バランス感覚や体幹、体力に優れ身体能力は高い。
父親が親友同士の尾形について、その性格を大嫌いだと言い切る。
白石と熊岸の交換のために旭川に来たという犬童を偽物と気づき銃撃、気球隊[註 11]の試作機を強奪し逃走を図る杉元や白石を追跡し同機に飛び乗る。自顕流による猛襲で杉元を追い込むが、アシㇼパの矢や白石の飛び蹴りを受け森に落下し彼らの逃走を許す。その後、鶴見に小樽での囚人狩りへの随行を命じられ、稲妻強盗の刺青人皮の入手に多大な貢献を果たした。
網走監獄襲撃後、鶴見の命令で杉元たちと共に樺太へ渡りアシㇼパを追跡することになるが、自分勝手な行動を杉元に咎められた逆恨みから、杉元といがみ合うようになる。豊原で曲馬団「ヤマダ一座」の公演に軽業芸で出演、貴公子然とした容姿と軽業の神様とまで評された才能で観客を魅了し、山田座長から曲馬団への残留を請われたが、鶴見への忠義心からそれを断った。
宇佐美(うさみ)
声 - 松岡禎丞
上等兵。歩兵第27聯隊。鶴見に心酔する青年で両頬に対称的に大きなホクロがある。網走監獄に新人看守として潜入していたが、門倉にばれて脱出。報告の際に鶴見にホクロを頭に見立てた棒人間を描かれたが、それを喜び消えぬよう入れ墨にしている。
尾形より年上だが[49]、190話時点では日露戦争への従軍シーンは無い。

網走監獄

周囲三方が山に一方が網走川に囲まれた日本一厳重な監獄。北海道網走という土地柄、冬場は多くの囚人が死亡するほど過酷な環境である。「のっぺら坊」を狙った第七師団の攻撃に備え、犬童が密かに集めた資金により、看守全員がモシン・ナガン小銃で武装し、マキシム機関銃を常備する。作中独自の設定として後年に建てられた五翼放射状平家舎房や教誨堂が既にある[註 52]。五翼放射状平家舎房には囚徒700人以上が収監可能で、全体を見渡せる位置に六角形の中央見張り所がある。

犬童四郎助(いぬどう しろすけ)
声 - 土師孝也
網走監獄典獄。土方からは、厳格で潔癖な規律の鬼でありながら土方を私情で幽閉する矛盾を持ち合わせていると称される。また武器購入の資金確保のため違法に囚人を硫黄山で働かせたり、偽ののっぺら坊を作るなど目的のためなら非人道的なことも厭わない。下戸。樺戸集治監典獄(監獄長)時代に薩摩弁を修得している。実兄を箱館戦争で亡くしたため土方に恨みを持っており、樺戸に収監された土方を秘密裏に幽閉していた。全てを奪った彼の瞳から光が失われた時に処刑しようと企み、自分が網走監獄に転属する際も土方を網走に移送した。
鶴見の網走監獄の襲撃では、教誨党にて土方と交戦し敗北、土方の手によって断頭される。
人斬り用一郎の探索に元看守らを派遣。明治政府にツテがあり、用一郎が幕末に暗殺した要人の遺族らに声をかけ、複数の刺客が用一郎を狙っていた。
門倉 (かどくら)
声 - 安原義人
看守部長。集団脱獄以前から看守を勤める一番の古株で常任7年。父親は土方と共に戦った旧幕府軍の一員であり、彼自身も土方と繋がる内通者である。仕事に不真面目なタヌキを演じることで看守からはずされぬよう努めてきたと話すが、実際にも不真面目で雑な面が見られる。しかし土方に対する忠義心は高い。土方の後ろから杉元に睨みを効かせていたり宇佐美のことを恐れたりする小者。極端に運が悪い凶運の持ち主。
鶴見の網走監獄の襲撃では、土方の指示に従い杉元らを五翼放射状平家舎房に先導するも裏切り、およそ700人の囚人を解放し鶴見らと交戦させる。犬童が遺した資料から実は土方の内通者と知られていた様子。
宇佐美
第七師団の項の宇佐美を参照。

「のっぺら坊」と入れ墨の脱獄囚

「のっぺら坊」と呼ばれる男により、身体にアイヌの金塊の隠し場所に関する暗号が記された入れ墨を彫られた囚人たち。中には金塊に興味なく、脱獄を目的として入れ墨を入れた者もいる。小樽へ向かうよう指示され、暗号を解くため脱獄当初は全員が一緒に行動していたようだが、殺し合いが始まったことで逃亡者が出て散り散りとなった。

脱獄囚は総勢24人いるとされ、そのうち第190話(単行本第19巻)の時点で下記の16人の他に、第七師団に捕縛殺害され、鶴見が刺青人皮として身につけている「33人を殺害した津山という囚人」、「茨戸で刺青人皮のみ取引きされていた囚人」、「夕張炭鉱事故で死亡した囚人」の存在のみ確認されている3人を含めた、計19人が登場している。

のっぺら坊(のっぺらぼう)
声 - 東地宏樹相馬康一(偽のっぺら坊)
網走監獄の「第弐拾四房」に収監されている死刑囚。本名は不明で、頭部全体を含む皮膚と顔面の耳や鼻が剥脱・欠損した異様な風貌のためこの名で呼ばれる。アイヌが秘密裏に蓄えていた金塊を、和人に抵抗する軍資金として持ち出した際にアイヌ7名を殺害・強奪したとされ、金塊を隠した後に、支笏湖で警察に捕まり網走監獄に収監。金塊の隠し場所を知ろうとした看守から片足のを切られ、行動の自由を奪われたため、監獄の外にいる仲間に金塊の隠し場所を伝えるべく、同房になった囚人らの身体に入れ墨を彫り「脱獄に成功した者には金塊の半分をやる」と脱獄を促した。しかし、彫られた入れ墨は分割された暗号になっており、皮を剥いで全て繋ぎ合わせなければ解読できないため、脱獄囚達は「刺青人皮」として最後には殺害される役回りである。目的が一致している土方に対してのみ、実際の埋蔵金は他囚人に語った量の千倍である2万(約75トン、2015年時換算で約8千億円)と告げた。
彼が金塊を託した相手が「小樽の小蝶辺明日子」、すなわちアシㇼパだったこともあり、キロランケが彼の正体はアシㇼパの実の父・ウイルクであると杉元一味に語り、それを確認するために一味は網走へ向かうこととなった。一方で、インカㇻマッの占いではウイルクではないと出ていたが、網走に近づくにつれ占いの結果は変わってゆき、最終的に五分五分となっていく。土方は金塊強奪後の移動経路から、彼とその仲間は極東ロシアのパルチザンと推察している。
網走監獄典獄・犬童は、彼の身柄を確保し邪魔者を排除するため囮の偽物まで用意していた。本物の正体はウイルクであったが、網走監獄襲撃時に頭部などを狙撃され死亡した。遺体は、重傷を負った杉元とインカㇻマッと共に第七師団に回収された様子。
後藤(ごとう)
声 - 青山穣
殺人犯。泥酔して妻子を刺殺した罪で服役していた。酒代稼ぎに少量の砂金を採っていた飲兵衛の男で、砂金が採れずに不貞腐れていた杉元へ、酔いに任せてアイヌの金塊に纏わる噂を語った翌日、話した内容に怖気づき杉元の口封じを試みるも失敗し、山へ逃亡するが羆に首の骨を折られて捕食され、羆を倒した後の杉元によって刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った[註 53]
射殺された脱獄囚[註 54]
声 - 山本兼平
姓名は不詳。小樽にて入れ墨の囚人を探して売春宿の呼び込みである妓夫太郎(声 - 山本格)などに聞き込みを行っていた杉元らを見つけ後を追うが、逆に彼らが仕掛けた罠に捕らえられた。囚人が脱走中に殺し合いとなり散り散りになったことと、入れ墨を掘った人物が「のっぺら坊」であることを杉元に伝えたところで尾形に射殺され、杉元によって刺青人皮となる。白石は刺青人皮を見ても彼の存在を知らず、「ただの雑魚だろう」と言った。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った[註 53]
白石由竹
杉元一味の項の白石由竹を参照。
土方歳三
土方一味の項の土方歳三を参照。
牛山辰馬
土方一味の項の牛山辰馬を参照。
二瓶鉄造(にへい てつぞう)
声 - 大塚明夫
多弁にして豪放磊落、単独で過去200頭超の羆を屠り、入山先の羆を全て仕留めると謳われ、同業者界隈から「冬眠中の羆も魘される悪夢の熊撃ち」と名が通り恐れられている初老の猟師。猟の伴としてアイヌ犬のリュウを連れ、日清戦争で戦死した一人息子の形見で銃床に7つの傷の入った旧式の十八年式単発銃を愛用する。口癖は「勃起!!」。
知力と体力を駆使して動物・人間問わず獲物を狩る興奮に執着する。自身を山で生きる獣同様に考えており、「殺すか殺されるか」の覚悟を決めた一発勝負を羆に挑むべく、単発銃ながら予備弾を用いない信念を持つ。10年以上前に道東アイヌのキラウㇱと共に羆を狩ったことがあり、彼から「この山の熊がすべていなくなるかと思った」と言われるほど、その腕前を賞賛されていた。恐れ知らずのように見えてたびたび「女は怖い」と語る。妻と15人の子供がいるが絶縁状態である。なお戦死した一人息子以外の14人は娘である。
数年前[註 55]、猟師を銃殺し獲物を横取りしては金を稼いでいた輩3名に物陰から狙われ、憤慨して殺害したため網走監獄に収監された。金塊の在処には頓着無く、狩りの果てに山で命尽き、その身が獣に喰われ排泄物と化す終の生き方を率先すべく、入れ墨を入れて脱獄に加わる。山中、行き倒れていた谷垣を救助した際、既に絶滅したと思われていたエゾオオカミの存在を知って猟師魂が猛り、最後の血脈に留めを刺し途絶えさせた猟師としての偉勲を立てるべく全てを賭して獲物を追うが、勝利を確信した直後、背後から現れた雌のエゾオオカミに首を噛み切られ致命傷を負い、狩りが未遂に終わるも、充実した己の有様に満足しつつ息絶えた。その後、杉元の手により刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。
辺見和雄(へんみ かずお)
声 - 関俊彦
連続殺人犯。一見温厚な性格の漁師の中年男性だが、その本性は100人以上を殺害してきた快楽殺人者。子供のころに弟が巨大なに襲われて喰い殺される様を目撃して以降、必死の抵抗に命の煌めきを感じ、また同時に虚しく死にゆく人の虚ろな目と姿に欲情と憧憬を抱いている。
弟のような死に様を求めて殺人衝動に駆られ、また自身を殺してくれる圧倒的な強者を見つけるべく犯行を重ねながら各地を放浪。脱獄後は鰊番屋で寝起きし[註 8]に従事する季節労働者である「ヤン衆」として潜伏しつつ、治安組織から追跡されるよう刺殺体にわざと痕跡を残していた。鰊漁出航時にクジラの激突で船から転落、溺死寸前のところを杉元に救助されたが、同房だった白石が別行動中のため入れ墨の脱獄囚とは気づかれなかった。出征経験のある杉元の優しさと強さに触れて杉元の殺害と反撃で杉元によって殺されることを決意。第七師団から杉元を匿おうと手引し師団兵を殺害するが、反撃を受け負傷する。正体を知らず辺見を案じる杉元を背後から狙うも、合流した白石に正体を暴露され、杉元の反撃により致命傷を受ける。最期は突如現れたシャチに攫われ、想像を超えた本懐を遂げる煌きの中で嬲られながらも歓喜して死亡した。その遺体は杉元に回収され刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。
家永カノ(いえなが かの)
声 - 大原さやか
キャッチフレーズ - 殺人ホテルの支配人[50]
口元のホクロが特徴の妖艶な若い美女に見えるが正体は女装した天才外科医の老人男性。「カノ」は偽名であり、本名は「親宣(チカノブ)」[51]
身体の不調部と同じ部位の食材を食べることにより回復が得られるという「同物同治」に確たる信念を持ち、「最高の自分」に固執している。同物同治は中国医学の概念のひとつで、通常は食用家畜の該当部位を食するが、家永は人間の該当部位を食することに固執する。普段は礼儀正しい温厚な人物だが、食人に関してはやや見境ない面もある。老齢もあって身体能力は低く、拠点で留守を預かる場面や長距離移動で乗馬する場面が多い。なお獲物を捕らえる際には、主に隙を突いてガスや薬品等で眠らせ拘束する。
患者を殺害しては遺体を利用していた罪で収監されていた。脱獄後は「札幌世界ホテル」の所有者を消し、若く妖艶な外見の女将に身をやつし、ホテルに施した隠し通路や仕掛けを使い、欲する部位を持った宿泊客に目星を付けてはガスで眠らせ地下室に監禁して拷問の末殺害、バラバラに解体して「同物同治」の餌食としていた。
ある日、牛山がホテルを訪れ、間を置かずに白石らが来客し、牛山の強靭さとアシㇼパの瞳を狙うことにする。入れ墨を巡って騒動になるのを懸念して白石を監禁するも、結局身元が割れ、脱出した白石から手投げ弾で反撃され、眠るアシㇼパの瞳に手を出そうとしたことに激高した杉元と、酔いと性欲で我を失った牛山の大乱闘に巻き込まれる。収拾つかず観念した家永がホテルを焼失させる装置を作動させたことに加え、白石が誤って地下室に落としたキロランケの爆薬と合わさり大爆発してしまい、寸でのところで牛山に救出される。同じ入れ墨脱獄一味の中年男性(若山輝一郎)が男娼を伴い宿泊していた情報を明かし[註 9]、その後は牛山と共に土方の一団に合流する。
網走監獄襲撃時、永倉新八と一緒にコタンで待機していたところを第七師団に捕縛され[註 56]、杉元救命の脳外科手術を行った。その際に杉元の脳をつまみ食いした影響からか「アシㇼパさぁん」と叫ぶことも。
若山輝一郎(わかやま きいちろう)[註 57]
声 - 銀河万丈
ヤクザの親分で博徒で、逆手に握った仕込み刀の一閃で両断し並居る商売敵を斬り伏せ伸し上がったほどの剣客でもある。上半身には倶利伽羅紋々があるため、他の脱獄囚と違い、暗号の入れ墨は下半身に彫られている。
脱獄後は茨戸の賭場争いの支援に子分を送り込みつつ、子分の仲沢と共に札幌に滞在後、日高の牧場で馬を買い、苫小牧競馬場八百長を命じていた[註 9][註 58]。しかし代役騎手のキロランケが八百長の指示を無視したため大損、仲沢を連れてキロランケを追い日高の空き家で一服していたところ、赤毛羆に追われるキロランケたちと遭遇、即興で家主に成りすますも若山の男娼買いに気分を害していた仲沢の当て付けにより企てが破綻する。3頭の赤毛羆に包囲され撃退可能な装備を失った窮地の中、杉元らとの丁半博打で負けた若山が屋外に落ちている銃弾を回収したが、土饅頭となり餌にされかかるも逃れて機関銃を携え再登場、最期は羆に襲われた仲沢を助けるため深手を負いながらも羆を討ち斃した末、仲沢と手を握り合いながら死亡した。見届けた杉元の手で刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った[註 53]
鈴川聖弘(すずかわ きよひろ)
声 - 楠大典
老齢の詐欺師で、変装の達人。身体能力が低いため当初は雑魚と思われていたが、事前の周到な下準備と相手の心理を突いた巧みな話術で、相手を信用させる能力は杉元を感心させた。アメリカ軍大佐になりすまし、富裕層の女性に対する幾つもの結婚詐欺の咎で服役していた。
脱獄後、政府の高官に扮して樺戸集治監を訪れ、内部から多くの囚人の脱獄の手引きをした。その後、樺戸近くのアイヌのコタンを襲い男を全員殺害、女は脅して妻役としてコタンを乗っ取り、熊岸に偽札作りを命じていた。自身は「村長・レタンノ エカシ」を名乗り、他のアイヌに扮した囚人らと共に、訪れる旅人の寝込みを襲い殺害していたが、杉元らと偽アイヌとの乱戦で捕縛される[註 10][註 59]
その後、白石奪還の協力を命じられ、網走監獄の典獄である犬童に扮し杉元と共に旭川の司令部に向かう。熊岸長庵と白石の交換を持ち掛け、淀川を騙す寸前まで行くも、鶴見の命を受けた鯉登に見破られ射殺される。死後、彼の刺青人皮は第七師団の手に渡る。
坂本慶一郎(さかもと けいいちろう)
稲妻強盗」と呼ばれる連続強盗犯。象皮のような足裏を持ち、韋駄天のごとし健脚で、素足で一日に約200キロも走り続け逃げ切ったとされる。
一度は樺戸に収監されたが脱走、途中で同じく強盗の蝮のお銀と出会い夫婦になると、二人で銀行や郵便局を襲うことで夫婦は反権力の象徴として世間の注目を集める。網走からの脱走後にお銀と再会すると、小樽にて土方の部下を従え賭場を襲撃、刺青人皮を手に入れようとするが、第七師団に建物ごとを包囲される。自らを囮に夫婦で脱出を果たすが、鯉登の追跡を振り切ることができず、鶴見に機関銃で射殺される。刺青人皮は第七師団の手に渡る。
モデルは実在の強盗犯、坂本慶次郎[註 60][52]
姉畑支遁(あねはた しとん)[註 12]
学者。北海道の動植物を調査する傍ら野生動物と獣姦したり、穴が開いた樹木で自慰行為を行う特殊な性嗜好の持ち主。動物を愛していながらも、獣姦した後の動物は自身の行ないをうやむやにするため殺すなど身勝手な一面を持つ。
各地で家畜を殺し回り、見つけた牧場主に大怪我を負わせた罪で服役していた。脱獄後は、羆を誘き出すべく北海道東部のアイヌにとってカムイであるエゾシカを穢し惨殺したため追われる身となる。偶然出会った谷垣らが油断したところで彼の村田銃を奪い、カムイを穢す犯人に仕立て上げた。釧路の大湿原で3日彷徨いようやく羆を見つけ、獣姦を成し遂げるも過度な興奮により腹上死、杉元の手で刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。
都丹庵士(とに あんじ)
声 - 水島裕
盲目の老人。耳に左右で向きが違う集音用の覆いを付けており、舌を鳴らして反響した音を拾うことで周囲の状況を把握し盲目ながら常人と大差なく行動できる。その舌を鳴らす音は下駄の音に似ており、近隣の住民からは「天狗の下駄音」と恐れられる。聴覚が異常に発達しているため、常人以上に爆発音等の騒音に弱い。装備はモーゼルC96。白石、土方と面識があり、後者には敬語で接する。
網走に収監された経緯は不明だが、1896年(明治29年)まで囚人の手で行われた硫黄山での硫黄採掘によって失明し、その後に暗号の入れ墨を彫られた。脱獄後は、犬童が秘密裏に再開した硫黄採掘によって失明し脱走した囚人たちを率いる盲目の盗賊団の親玉として、屈斜路湖周辺で強盗を繰り返しており、杉元らを犬童や硫黄山の鉱山会社からの刺客と勘違いして襲撃する。その最中に土方の仲裁が入り、犬童への報復のため土方に従い網走監獄の侵入に協力する。犬童の攻撃により重傷を負うが生存している。
岩息舞治(がんそく まいはる)
格闘家。坊主頭で大きな瞳、メガネをかけ、日本人離れした屈強な肉体をもつ巨漢。殴ることを自己表現と考えており、よって人生の大半を監獄で過ごす。網走監獄でまともに戦える相手は牛山ぐらいで殴り合いだけなら勝ったこともあると語る。また殴られても「良い良い良いッ」「全員同時に(殴って)来て欲しい」「もっとォ」と叫ぶなど、殴られることを苦にしていない節もある。
網走に収監された経緯は不明。アイヌの金塊には興味がなく、脱獄後は海を渡り南樺太に逃亡し、現地で賭けスチェンカロシア語版を始めた。アシㇼパを追って樺太へ渡った杉元・鯉登らとスチェンカで闘うが和解。刺青人皮を写させた後、金塊を狙う者の手の届かない大陸の西方面へ向かう。
土井新蔵(どい しんぞう)
かつて幕末の京都などで活躍していた人斬り。名前は偽名で、幕末の頃は人斬り用一郎(よういちろう)として恐れられていた。そのため、暗殺した人物の親族などから仇として常に命を狙われている。詳細は不明だが、勤皇派の「先生」が唱える身分差別のない理想の国を作るため汚れ仕事を請け負っていたが、その「先生」から切り捨てられたらしき描写がある。
30年ほど前にコタンに流れ着きアイヌの女性と出会って結婚し、人としての生活を取り戻したが、8年前、妻が仇討ちに人質として囚われたため、仇討ちを斬り殺し、網走監獄に入った。その妻の先が長くないことを知って脱獄。妻の最期を看取った後はすっかり老いさらばえ、ヤン衆の中などでひっそりと暮らしていた。失禁や幻覚など、認知症のような行動が見られるものの、剣客としての腕前は今なお健在。
エトピリカを手掛かりに釧路へ追いかけてきた土方と相対し敗北。大傷を負った用一郎は、だが「楽にする」という土方からの斬首の申し出を断り、絶命。妻の死を看取れたことに満足している。
関谷輪一郎(せきや わいちろう)
阿寒湖近くに潜伏している元家畜獣医。戦闘力はないが狡猾であり、網走監獄収監までにストリキニーネ青酸カリヒ素フグ毒などを使って30人の殺人を犯したと話す。刑期中も囚人を毒殺し若山と同房だったこともある。
日曜日に教会に通う道中、幼い娘を落雷事故で亡くし自分は生き残ったことから、の存在を試すようになった。
土方・牛山・門倉に毒を飲ませることに成功するが、土方は若い頃に薬売りしていた時の知識を活かしトリカブトとフグ毒の拮抗作用を利用して生還。それを見た関谷は「神はいた」と満足して死んでいった。

アイヌ

アシㇼパ
杉元一味の項のアシㇼパを参照。
ウイルク(ポーランド語: Wilk、ロシア語: Вилк
声 - 東地宏樹
アシㇼパの父。アシㇼパからはアチャ(父さん)と呼ばれている。アシㇼパ曰く、杉元同様の洞穴に飛び込んだことがある。顔面に縦横数本の裂傷痕と口髭が特徴。アシㇼパ同様深い青色の目を持ち、ポーランド人[註 30]の父と樺太アイヌの母の子でキリスト教徒。ロシア語、日本語、アイヌ語を話す。南樺太出身で樺太・千島交換条約で樺太全島がロシア領になった際、彼のコタンの住人の多くが北海道に移住し、彼は出自(ポーランド人の父を持つこと)を理由に樺太に残らざるをえなかったが、故郷のコタンは解体された。若い頃はキロランケらの少数民族と共に帝政ロシアからの解放運動をしていた。15歳のキロランケと共に1881年アレクサンドル2世暗殺を実行。顔の裂傷痕はその時の爆風によるもので、ロシアから指名手配される。ソフィアから思いを寄せられている。その後、樺太経由で北海道へ渡り、小樽に辿り着いてインカㇻマッやアシㇼパの母に出会い生活を共にし、北海道アイヌの信仰や文化を学ぶ。アイヌの金塊強奪事件で死亡したとされる。
しかしキロランケは「金塊強奪事件でアイヌを殺戮したのっぺら坊がウイルクである」と語ったため、それを確かめるために杉元一味が網走へ向かうこととなる。一方で、インカㇻマッは占いにより「のっぺら坊はウイルクではなく、キロランケこそが金塊強奪事件の犯人であり、ウイルクを殺害した」と信じている。
独房に収監されていた「のっぺら坊」は替え玉で、網走監獄典獄・犬童により教誨堂地下に閉じ込められていた「本当ののっぺら坊」こそがウイルクであった。娘のために彫ったメノコマキリ(小刀)を持っていた杉元をアシㇼパの友人だと信用し、「アイヌ殺しは自分ではない」「金塊」と伝えている最中に尾形に頭部を狙撃され死亡した。その狙撃を合図したのはキロランケである。
ウイルクという名前はポーランド語で「狼」を意味する。これは幼少期に群れからはぐれた狼が、群れに不要という理由で仲間の狼に殺されるのを見て、そのように合理的で気高くなりたいと狼の毛皮をかぶって遊んでいたため、ポーランド人の父により名付けられたものである。後にこの話を聞いたアシㇼパの母から「ホㇿケウオㇱコニ」(アイヌ語: Horkew oskoni、アイヌ語で「狼に追いつく」の意)というアイヌ名をもらった。この名前はウイルク、アシㇼパの母、アシㇼパの3人しか知らない。
アシㇼパの祖母(アイヌ語: Huci
声 - 一城みゆ希
アシㇼパの母方の祖母でアイヌの老女。アシㇼパからはフチ(おばあちゃん)と呼ばれ、本名は不明。口の周囲に彫った入れ墨も大きく、コタン一番の実力者で、親族でない谷垣やチカパシからもフチと呼ばれ慕われる。アイヌ語話者で日本語は判らないため、孫たちの通訳を介して和人と会話する。孫娘のアシㇼパを自分の宝と思っている反面、アイヌの女としての嗜みを身につけようとせず、狩猟に精を出している様を嘆き将来を心配している。
孫娘が初めて客人を連れて来たことを喜び、快く和人を迎え入れ、矢毒で息も絶え絶えの谷垣を手厚く看病するなど人情に厚い性格。アイヌ人としての伝統と因習を重んじているため、大事な孫娘に凶事が振りかかるという占いを信じ込み、床に伏してしまうが、アシㇼパを無事に連れて帰ってくると約束を告げた谷垣に涙し、カムイの加護を捧げ見送る。その後に、鶴見によって捨て子の形で坂本とお銀の子を託され、大切に育てている。
北海道各地のコタンに多くの兄弟姉妹や親族がおり、杉元一味の旅の助けとなっている。
オソマ(アイヌ語: Osoma
声 - 朝井彩加
アシㇼパの従妹。父であるマカナックル似の少女。アイヌ独特の風習に沿い、病魔除けの幼名として「オソマ(糞)」という汚い言葉を命名されている。和人の耳に興味津々で日がな一日遊戯に明け暮れ、谷垣に懐き常に付き添い、幼い身ながら窮地に助力、谷垣出立時には未完成ながらも自作のテクンペ(手甲)を手渡し涙ぐんで見送った。
マカナックル(アイヌ語: Makanakkuru[註 61]
声 - 斧アツシ
アシㇼパの母方の叔父でオソマの父。アシㇼパからはアチャポ(叔父さん)と呼ばれている。和人相手に商売をしているため、日本語の読み書きができる。杉元のことは賢い姪のアシㇼパが懐いていることから一応の信頼を寄せている。先祖のアイヌらが集めた砂金の存在を知っており、川からの恵みを尊んで川を汚さないようにしてきたアイヌの生き方から外れていたものであることから「呪われたもの」と評している。
キロランケ(アイヌ語: Kiroranke
声 - てらそままさき
キャッチフレーズ - 謎の多き北の工兵[36]
アシㇼパの父・ウイルクの古い友人で、ロシア系少数民族出身のアイヌ。ロシア語アイヌ語、日本語、ウイルタ語ニヴフ語などを喋れる。日本語とロシア語は読み書きも可能。樺太アイヌ独特の髪型(額からつむじ、耳付近にかけて短髪で後頭部が長髪[53])と蓄えられた顎髭が特徴の色男。名前の意味は「力強い(キロ)下半身(ランケ)」[54]
元大日本帝国陸軍第七師団工兵部隊隊員[註 38]で、工兵として日露戦争に出征した[註 62]。アシㇼパ・杉元・白石と出会った時点では既に第七師団を除隊しており、村(コタン)で生活している。なお、出征に必要な和名は明らかでない。
若い時分にウイルクと共に北海道へ渡り、小樽近く、アシㇼパのコタンから少し離れた別のコタンに居住した。妻と2人の幼い子供がいる。
子供のころから馬に慣れ親しんでおり、その体調や感情に通じ、どんな馬でも無下に扱うのは忍びないと考えている。そのため日露戦争出征時には軍馬の管理を一任された。知らずに食べた肉が馬の腸と知って吹き出す場面もあった。工兵だったことから爆薬の扱いにも長け、手製の手投げ弾を所持している[註 63]
「のっぺら坊」の正体はウイルクである」「金塊は北海道アイヌへ返すべき」と言い、その行く末を見届けるため、網走監獄へ向かう杉元らと行動を共にする。アシㇼパとはアシㇼパが赤ん坊の時に会っており、ウイルクの葬式で再会。アシㇼパからは「キロランケニㇱパ」と呼ばれているが、杉元はあまりキロランケを信用していない。土方からはロシアのアムール川流域から来た極東ロシアのパルチザンで「のっぺら坊」の仲間の一人と考えられている。また、インカㇻマッからは金塊強奪事件の犯人であり、その際、ウイルクを殺した人物と推測されている。
ウイルクは網走監獄の中で生きていたが、アシㇼパによりウイルク本人である確認が取れるとキロランケは尾形にウイルク狙撃の合図を出した。だがキロランケは、合理的なウイルクのことを「心から信頼して愛していた」と語り、ウイルク殺害指示の理由については謎のままである。
昔の名前はユルバルス(ロシア語: Юлбарс, ラテン文字転写: Yulbars[註 23])。キロランケの出身民族かどうかは語られていないが、アムール川流域に住む少数民族のひとつ・ナーナイ族では虎は神様であり、虎を殺した者は不幸になるとされる。樺太アイヌの曾祖母[註 64]を持つタタール人。1881年のアレクサンドル2世暗殺実行犯の一人で、ロシアの指名手配犯。暗殺から20年以上経ってもロシア側から命を狙われている。暗殺実行時には15歳。皇帝殺害後、ウイルクやソフィアとともに10年以上の逃亡を続けた末、樺太経由でウイルクと日本へ渡る。その前にウラジオストクで写真館を営む日本人・長谷川幸一から日本語を学んだ。実は長谷川は日本軍のスパイとしてロシアに潜伏していた鶴見中尉の仮の姿だが、キロランケは気付いていない様子である。
亜港監獄を脱獄したソフィアとともに流氷を通って露西亜の大陸側に渡ろうとしていたが、アシㇼパを追ってきた谷垣・月島・鯉登と戦闘になり奮戦するも銃と刃物に倒れる。アシㇼパが金塊の鍵を思い出したことを知り、安心したかのように息を引き取った。
携帯している小刀(マキリ)のモデルは平取町二風谷在住のアイヌ工芸家、貝澤徹[55]に作ってもらっている[56]
インカㇻマッ(アイヌ語: Inkarmat
声 - 能登麻美子
キャッチフレーズ - 神出鬼没の見る女[46]
苫小牧勇払のコタン[註 9]に現れ居ついた、良く当たると評判の謎の占い師の女。アイヌ女性の慣習として口周囲に入れ墨を彫っている。名の意味は「見る女」。細面の美女で、アシㇼパからは「イカッカㇻ・チロンヌプ(誑かすキツネ)」と呼ばれている。「顔に傷がある男性が好き」と杉元に気がある素振りを見せ、彼女をやきもきさせる描写がある。アシㇼパの両親と面識があるとしているが、アシㇼパは両親から彼女のことを聞かされておらず、またキロランケとの面識も無かった。
占いには「シラッキカムイ」と呼ばれる先祖伝来の白狐の頭骨を使うほか、手のひらを上に向けて第六感を働かせる「千里眼」を使ったり、ある状況が「頭にふと浮かんだ」りするが、事前に関係者と接触した場面もあるため、その能力が本物か偽物かは曖昧な描写となっている。
孤児で子供の頃から占いをしながら放浪しており、アシㇼパと同じくらいの齢の時、小樽でウイルクと出会い、共に放浪していた。ウイルクに想いを寄せていたが、彼がアシㇼパの母と出会った後に彼の元を離れた。現在着ている衣装はウイルクの元を離れた時に渡されたもので、彼の母の形見である。ウイルクと別れる際、インカㇻマッが北海道の東の地で死ぬため、彼とは二度と会えないと占いで出ていた。その後、アイヌの金塊強奪事件を知ってウイルクの死を調べる中、遺留品を持つ鶴見に「ウイルクは金塊強奪の際にキロランケに殺され、のっぺら坊は金塊の在処を知るキロランケの仲間」と告げられ、それを信じている。
白石に苫小牧の競馬場に連れ出され[註 9]、キロランケが参加したレース以外の馬券を占いで的中させている。これは金塊強奪事件の犯人を突き止めるため、馬券からキロランケの指紋を手に入れるためであった。
アイヌの女として金塊を取り戻すため、そしてウイルクの娘であるアシㇼパを助けるために行動していると言い、アシㇼパのコタンへ赴く前、鶴見から谷垣を利用するよう助言を受け、谷垣と共に彼女を探す旅に出る。その過程で谷垣に何度か助けられるうちに惹かれてゆき、後に相思相愛となった。
アシㇼパからは、ウイルクから彼女のことを聞かされてないこと、「杉元・白石・キロランケの中から裏切り者が出る」と忠告しフチを不安にさせたこと、谷垣を利用し追ってきたことなどから怪しまれている。また、尾形からは鶴見と内通しており怪しいと見られているが、インカㇻマッは鶴見を利用しているだけと発言している。
網走監獄襲撃時の発言から、本心ではアイヌの金塊に興味なく、アシㇼパとウイルクの身を何より案じ、杉元や土方より鶴見に信頼を置いていたことが伺える。また本物ののっぺら坊であるウイルクは、双眼鏡越しに大人になった彼女を見て、少女の頃に別れたきりのインカㇻマッと認識した。インカㇻマッはキロランケが何処かへ合図を送ったのを目撃、直後にウイルクが狙撃されたことから、脱出時にキロランケと口論になり揉み合った際、キロランケのマキリが腹部を刺さったのを抜かずに重傷を負った。第七師団の下で治療中。
携帯している小刀(メノコマキリ)のモデルは北海道網走郡在住の彫刻家・藤戸幸夫が作ったもの[57]
チカパシ(アイヌ語: Cikapasi
声 - 渡辺明乃
疱瘡の流行により家族が亡くなったため、アシㇼパのコタンの老人たちによって育てられた少年。名前は「鳥(チカプ、陰茎の隠喩)を立てる(アシ)=勃起」という意味で、亡くなる前の親から正式な名として付けられた。村の子供たちとあまり交流せず、狩りに興味を持っていた。谷垣はチカパシの狩りを盗み見る姿を自身の少年期の姿と重ねた。猟を見せてくれた事を切っ掛けに谷垣らを慕うようになり、旅立った彼らを追い掛け、以後同行することになる。性に興味があり、少々ませている部分がある。が、オチウを目撃した時には生々しさに怖気づいてしまった。谷垣とインカㇻマッが恋仲になった後は、二人が結婚して本当の家族になるよう提案している。
周囲の大人に安全なコタンへ戻るよう促されても「待ってる人がいない」「居場所がない」と語り、結果的に谷垣が身柄を預かる形となっている。釧路以降はリュウと行動を共にし、谷垣を追って樺太へ渡り、杉元一味のアシㇼパ追跡行にも同行する。
キラウㇱ(アイヌ語: Kirawus
声 - 前野智昭
釧路付近のコタンに住むアイヌ。常にアイヌ独特の模様のバンダナを額につけている。名前の意味は「角がついている」で、子供の頃に鹿の角をつけて遊んでいたことに由来する[58]。当時のアイヌは払い下げの軍用銃を猟に使っており、アシㇼパが未だに弓と毒矢で遊びでない猟をしている様子を「変わった子供」と評した。二瓶とは知り合いで、10年以上前[註 65]に一緒に狩りをしたことがある。エゾシカ惨殺犯が二瓶の銃を持っていたことから、持ち主の谷垣を犯人と勘違いし追っていた。後に姉畑の行為を仲間のアイヌと共に目撃したため誤解が解け村長に説明し、谷垣とは和解する[註 12]
杉元一味がコタンを去った後、コタンが蝗害に遭ってしまう。そのため食い扶持を稼ぐべくヤン衆をしていたところ、土井新蔵の一件で土方一味と知り合い、共に行動することになる。
エノノカ(アイヌ語: Enonoka
樺太アイヌの少女。名前の意味は「フレップ(コケモモ)」、フレップをたくさん食べてすべて吐いたことに由来する。チカパシと同じ齢だが、しっかり者。そろばんが使える[59]
祖父と共に犬橇で大泊(現在のコルサコフ)へ行商に来ていたが、帰り道で犬橇から落ちるも祖父に気づかれず置いて行かれ、一人で森を抜けようとしていたところを「見慣れないアイヌの少女」を追う杉元たちに助けられた。
エノノカの祖父(アイヌ語: Henke
犬橇の所有者。孫娘のエノノカからはヘンケ(おじいちゃん)と呼ばれ、本名は不明。アイヌ語話者で日本語が判らず、また耳が遠い。
行商からの帰路、孫娘が橇から落ちたことに気づかなかったものの、エノノカが杉元たちに助けられた後に合流し、杉元たちをコタンへ案内した。鯉登の意向で犬橇の操者として彼に雇われ、エノノカと共に杉元たちのアシㇼパ追跡行に同行することになる。

パルチザン

ソフィア・ゴールデンハンド(ロシア語: София Золотая Рука
パルチザンのリーダー。前歯がすきっ歯の大柄な年配の女性。義賊でもあり、法廷でつけられた「黄金の手(ゴールデンハンド)」の愛称で呼ばれる。
ウイルクやキロランケが実行犯だったアレクサンドル2世暗殺事件の首謀者だが、証拠がないため処刑されておらず、アレクサンドロフスカヤ監獄(通称・亜港監獄)[註 20]に収監されている。
ロシア貴族出身でロシア語・フランス語を喋る[60]
ウイルク
アイヌの項のウイルク、「のっぺら坊」と入れ墨の脱獄囚の項ののっぺら坊を参照。
ユルバルス
アイヌの項のキロランケを参照。

日本陸軍・海軍関係者

寅次(とらじ)
声 - 内匠靖明
故人。第一師団。杉元の幼馴染。負けん気は強かったが、杉元には何をやっても尽く勝てなかった。しかし、自身の方が梅子をより幸せに出来ると想いを打ち明けて結婚し子を儲けた。その後、視力を失いつつある妻の眼病を治すため北海道で砂金を採りアメリカへの渡航を考えていたが、日露戦争・奉天会戦で致命傷を負い、杉元に妻子を託し戦死する。遺骨は指の骨だけになったが杉元により遺族へ渡された。
青山賢吉(あおやま けんきち)
声 - 佐々木啓夫[註 66][61]
故人。第一師団。谷垣のマタギ仲間で1歳上の義弟。谷垣の妹・フミを娶り山奥の小屋で慎ましく暮らしていたが、妻が疱瘡に罹患し、他の村人への感染と谷垣家への風評被害を防ぐため自身を殺して離村するよう妻に乞われ、苦渋の末、フミに手を掛けた後、小屋に火を点け誰にも真実を告げず独りで離村する。
疱瘡が発症しなかったときは命の使い道を探すよう妻に諭されたためか、村を出た後、関東第一師団へ入隊し、日露戦争に出征。二〇三高地での戦闘中、自陣に自爆攻撃を仕掛けてきた敵兵に飛びかかり、爆発の巻き添えで目も耳も潰れ瀕死の中、傍に居た何者かに、妻の殺害に至る経緯及び故郷の遺族に真相を伝えるよう懇願、最期にクルミ入りのカネ餅を味わったことで告白の相手が義兄・源次郎であったことを察し、安堵した表情を浮かべて戦死した。
第一師団で同じ小隊にいた杉元と交流があり、それが谷垣に見つけられるきっかけのひとつとなった。
有坂成蔵(ありさか なりぞう)
声 - 島田敏
陸軍中将。作中における三十年式歩兵銃(有坂銃)・二十八珊米榴弾砲[註 67]の開発者。長年の兵器開発の影響で騒音性難聴となっており、内容にかかわらず大声で話す癖がある。部下の南部が設計した新型武器の三八式機関銃[62]と三八式歩兵銃を鶴見に渡す。
鶴見から依頼されて、右足・右手を失った二階堂に仕込銃付き義足や箸入りの義手を贈る。
花沢幸次郎(はなざわ こうじろう)
声 - 宝亀克寿
故人。陸軍中将。元第七師団長にして尾形百之助の実父。尾形と同じ目と眉をしている。薩摩出身で幸次郎の父親も軍人の家系、鯉登平二少将とは旧知の仲。
近衛歩兵第一聯隊長陸軍中佐時代に、浅草芸者であった尾形の母との間に尾形を儲けるが、本妻との間に男児が生まれると尾形ら母子にぱったり会いに行かなくなった。
日露戦争・旅順攻囲戦時の参謀長。二◯三高地攻略で多大な被害を出したことの責任を取って自刃したと公ではなっているが、実の息子である尾形によって殺されている(自殺偽装)。嫡男の勇作が二◯三高地で戦死したことに対し「愚かな父の面目を保ってくれた」と書いた手紙を鯉登少将に送っている。
花沢勇作(はなざわ ゆうさく)
故人。第七師団歩兵第27聯隊。陸軍少尉で聯隊旗手[註 50]。花沢幸次郎の息子で尾形の腹違いの弟。詳しい素顔は不明。「ひとりっ子育ちのため、ずっと兄弟が欲しかった」と語り、異母兄の尾形が第七師団入隊後に初めて対面した際には、階級が下である尾形を「兄様」と呼び慕った。そうした立ち振る舞いを含め尾形は「高潔な人物」「眉目秀麗、成績優秀、品行方正」と評した。
聯隊旗手に選ばれたのは見た目や能力、人柄に優れていたことに加え、弾が当たらないというゲン担ぎの意味がある童貞であったためである。日露戦争への出征前に尾形から遊郭で童貞を捨てるように誘われたが断っている。旅順攻囲戦に出陣、あくまでも敵兵を殺さないという父の言いつけを守った。その後、戦死した。尾形は父の殺害時、勇作の死因について「(二◯三高地にて)自分が(勇作の)後頭部を撃ち抜いた」と語った。
樺太の旅中、狙撃戦の疲れから発熱した尾形が頭部から血を流す勇作の幻覚を間近に見ている描写がある。
鯉登平二(こいと へいじ)
声 - 大川透
海軍少将。大湊要港部司令官。鯉登音之進の父。薩摩出身で薩摩弁で話す。英雄[63]
網走監獄襲撃時に雷型駆逐艦を出した。親友の花沢中将の自刃を第七師団の責任とした中央(日本政府・陸軍省・海軍省の総称)へ強い不信を持っており、鶴見に協力している。
山田(やまだ)
杉元らが南樺太で会った曲馬団「ヤマダ一座」の座長。実は元陸軍将校のスパイであり、日露戦争前からロシア各地を巡業しながら情報を陸軍の特務機関に報告していたため、ロシアから命を狙われている。樺太公演を終えるとアメリカ巡業に行く予定。
山田フミエ(やまだ ふみえ)
ヤマダ一座内・踊り子、少女団の振り付けの先生。芸に厳しく情に厚い。山田座長と同じくスパイで、座長のことを三流スパイと一蹴する。
長谷川幸一
その他の登場人物の項の長谷川幸一を参照。

動物

レタㇻ(アイヌ語: Retar
キャッチフレーズ - 最後のホㇿケウカムイ[36]
白銀の毛並みを持つ雄のエゾオオカミ。アイヌ語で「ホㇿケウカムイ」と呼ばれる。幼獣の頃に親狼と共に熊に襲われた所をアシㇼパが保護、アイヌ語で「白」の意を持つ名をつけ育てられた。なおアシㇼパが駆け付けたとき親狼は既に死んでおり、毛皮はアシㇼパの防寒具となっている[64]。家族同様の扱いでアシㇼパに付き従っていたが、成獣になると本能が勝り、アシㇼパの下から巣立ち、番いのメスのエゾオオカミとの間に4匹の仔を儲ける。
アシㇼパの元から離れ、小樽付近の森に消えた後もアシㇼパの危機を臭いから察し、火急の事態に馳せ参じ、その身を呈してアシㇼパを護る。
19世紀後半には明治政府の方針によりエゾオオカミは害獣指定され、道内全土で徹底的な駆除が行われており、本編当時には記録的な大雪害による餌不足も相まって既に絶滅していたと考えられていることから、作中では猟師でもある二瓶と谷垣から「最後のエゾオオカミ」として狙われたこともある。
リュウ
アイヌ人に育てられ二瓶が猟犬として連れていたアイヌ犬[65]。羆も恐れない優秀で勇敢な忠犬だが、エゾオオカミやクズリには臆する。主の二瓶死後は遺品の猟銃と共にアシㇼパが引き取り、コタンに保護された。その後単身で釧路湿原に現れ杉元らと再会、杉元は谷垣へ渡った二瓶の愛銃を追ってきたと推測し、以降は主にチカパシと行動を共にする。
作者が飼っていた雑種犬と同名[66]

その他の登場人物

梅子(うめこ)
杉元と寅次の幼馴染で、杉元とは互いに想いを寄せ合っていた。杉元家に結核罹患者が出ようと駆け落ちも辞さぬつもりでいたが、杉元の説得で地元に残った。その後、自分に惚れていた寅次と結婚し、寅次似の息子を授かる。しかし、目を患った上に夫に先立たれ、戦争未亡人となる。清楚な佇まいながら気丈な性格。
杉元が金塊を探す動機となった人物だが、アニメ一期には登場しない。
渋川善次郎(しぶかわ ぜんじろう)
声 - 新垣樽助
最近になって樺戸集治監を出所した盗賊団の頭。土方、白石、熊岸とは集治監内で面識があり、土方に関しては樺戸にいた頃から本性を見抜いていたと語る。武之助(声 - 相馬康一)などの手下を集めて小樽に潜伏していたところ、その情報を掴んだ土方一味が来訪し、仲間に加わるよう頼まれるが、交換条件として土方の刺青人皮を要求したために交渉は決裂。土方一味の殺害を命じるも直後に土方に射殺され、手下も一人残らず殲滅された。
トーマス(英語: Thomas
声 - 梅津秀行
武器商人。港町で鶴見と月島に武器を引き渡した。鶴見が金塊を得て武器工場を作った暁には、質の良い日本製武器を買い付けてヨーロッパ[註 68]などに売ると話す。
日泥保(ひどろ たもつ)
声 - 飛田展男
茨戸で賭場を開帳していた小規模な鰊場の親方で婿養子。立場上、妻に頭が上がらない、うだつの上がらない男。一番子分であった久寿田との抗争の最中、妻に自分が実は子供のできない身体であることを明かされ、息子の出自について謀られていたことを知って逆上、こまざらいで妻を滅多打ちにして殺し、息子に銃を向けるも尾形により射殺される。
久寿田馬吉(くすだ うまきち)
声 - 高木渉
元は日泥保一番の子分であったが、日泥が賭場を息子の新平に譲ってしまったことに激怒し、近所に新たな賭場を開き対立する。抗争の際、永倉の手により子飼いの警官隊共々斬り伏せられた。馬のような大きな離れた黒目が特徴。
江尻又助(えじり またすけ)
声 - 武虎[67]
茨戸分署の警察署長で、ケツアゴが特徴。茨戸の抗争を揉み消してきたが、あるときから突然馬吉に肩入れするようになる。しかし札幌本署に贈賄する日泥には手を出せずにいた。日泥が持つ刺青人皮を狙い、土方に撃たれ死亡する。
日泥新平(ひどろ しんぺい)
声 - 上田燿司
日泥保の息子だが、血の繋がりはなかったことが抗争の最中に判明する。当初は悪ぶっていたが実際は意気地の無い小心者でもある。父の妾・千代子(声 - 大地葉[67])との間に子供ができた。抗争勃発に怖気づき、愛する者達のため身の丈にあった未来図を描く。抗争終結後、新天地で一からやり直すため、千代子と共に茨戸を後にする。
日泥保の妻
声 - 橘U子
日泥一味を実質的に取り仕切る女将で、冷酷非情な業突く張りの守銭奴。馬吉との取引に応じた振りをして夫や息子を含めた一同を欺くが、放火された番屋に隠していた刺青人皮を運び出そうとする場で新平の真実を暴露、逆上した夫により滅多打ちにされ殺される。
夏太郎/亀蔵(かんたろう/かめぞう)
声 - 夏太郎・羽多野渉[68]
元は茨戸の日泥一味の若衆。そこでの騒動の後、共に土方の手下となり、小樽の隠れ家で留守番をしていた。東松屋商店で行われている賭場に持ち込まれた刺青人皮の噂を聞き、土方に認められるため、寝込み強盗を行って手に入れようと画策したところに坂本慶一郎と蝮のお銀が現れる。この刺青人皮は第七師団の罠であったことから戦いに巻き込まれ、亀蔵は坂本に銃弾の盾にされ死亡。夏太郎はお銀が手に入れた刺青人皮(実は第七師団が仕込んだ贋物)を渡されて土方に届けて以降、土方・杉元らの旅に同行している。
山本(やまもと)
声 - 柳田淳一
「山本理髪店」店主。業務の傍ら町の情勢を教える一市民であったが、永倉の強要により抗争の取り引きの片棒を担ぐハメになるも無事生き残る。
エディー・ダン(英語: Eddie Dun
来日25年になるアメリカ人牧場経営者で、希少な物品の蒐集が趣味。不心得者からアイヌ伝来の花嫁衣装を買い取り、買い戻しに来たアシㇼパらに元の買値の数倍にもなる売値を提示した。一触即発の事態となったが、牧場経営を脅かす赤毛羆の出没に頭を痛めていたため、その駆除を条件に取り引きに応じる。杉元らが羆を退治したことで約束の品物を引き渡すと共に、羆退治の際に弓を壊してしまったアシㇼパに代わりの弓を贈る。さらに、和彫りとは違った入れ墨の存在が夕張にあるこという情報を一味に伝える[註 9]。「友人のフォード君」から貰った試作品のフォード・モデルTを所有。
仲沢達弥(なかざわ たつや)[註 57]
声 - 田中秀幸
若山の子分で男色の相手でもある凄腕の壺振り。親分・若山に同行し一服していた空き家にて杉元らと遭遇、即興で家主に成りすますも、若山が男娼を買ったことに憤慨しており、若山の企みを当て付けで破綻させる。羆の襲撃から逃れ、杉元らと共にダンのフォード・モデルTに乗り込んで空き家を脱出するも、走行中の車から落下した若山の仕込み杖を取ろうとした際に車外に転落し、羆の餌食になる寸前の仲沢を「姫」と呼んで救出せんと立ち向かった若山共々致命傷を受け、手を握り合いながら死亡する。
江渡貝弥作(えどがい やさく)
声 - 内田雄馬
キャッチフレーズ - 夕張の服飾怪物[46]
「江渡貝剥製所」代表の青年。奈良県出身で、剥製作りに適した環境を求め夕張に移住した[69]
作品を褒められたことは無く母の歪んだ愛情を受けて育ち、唯一の理解者だった父を母が殺し、その父に似てきたとして母に去勢されている。心臓発作による母の死後もその歪んだ愛情が人格の一部を占め、母の剥製を作成し、生きているという妄想で精神の均衡を保っていた。動物の剥製制作の他、炭鉱事故で土葬された遺体を使った人肉剥製や人体部位を素材にした被服やガジェットを多数製作している。
第七師団から墓荒しの容疑を受け白を切るも、亡母を始めとする人間の剥製を鶴見に発見されるが、鶴見が軍服の下に纏った刺青人皮を見せたことで心を開き、作品を褒められ才能を讃えられたため、鶴見を激しく慕うようになる。鶴見に諭され亡き母の支配から解放された後、偽の刺青人皮作製を依頼され、試行錯誤の末に6枚分の刺青人皮の偽物を完成させる。しかし動向を探っていた尾形の襲撃を受け、完成品を鶴見に届けるべく逃走し、炭鉱に逃げ込むも、発破をきっかけとしたガス爆発による落盤で身動きが取れなくなり、依頼品と鶴見への伝言を月島に託し炭鉱内で死亡する。
熊岸長庵(くまぎし ちょうあん)
声 - 古川登志夫
偽札犯で贋作師。元は画家だったが、絵画だけでは稼げず高級絵画の贋作や紙幣偽造などを手がけ、無期徒刑で樺戸集治監に収監されていた。鈴川の集団脱走計画に加わり逃亡、他の脱獄囚らが乗っ取ったアイヌ村で偽札製造を任されていた。村の異常に気づいた杉元らの乱戦の最中、脱獄仲間が誤って放った毒矢に当たり苦しみ悶える中、剥製屋の江渡貝について「自分と同じく、贋作には真作を超えたいがための拘りがあるはず」ということを伝えて息を引き取る。
かつて樺戸集治監に収監されていた白石とは旧知の仲で、家永とも面識があるような描写がある。女性の美醜に関する感受性に一般の感覚と乖離があり、そのことで白石が脱獄を繰り返す原因を作ってしまった。
大島又輔(おおしま またすけ)
樺戸集治監四代典獄。樺戸に来た永倉と家永に、熊岸が脱獄しようとして射殺されたことを告げた。だが本当は熊岸は鈴川の手引きで脱獄に成功しており、処分を免れるため脱獄を隠し、囚人らは死んだことにしている。
三船千鶴子(みふね ちずこ)
超能力者。かつて熊本の炭鉱会社の依頼で万田炭鉱を発見した。自分の能力を金儲けのタネにしようとする義兄の詐欺師である青原(あおはら)の詐欺の片棒を担ぐ罪悪感から彼の許を脱していた。インカㇻマッに「東に向かえば追っている男に殺される」と忠告する。
蝮のお銀(まむしのおぎん)
千枚通しを使い旅人を幾人も殺害して来た女盗賊。右肩から腹部にかけて蝮の入れ墨を施している。坂本慶一郎と夫婦になり銀行や郵便局を襲撃する。
小樽で夫の坂本や夏太郎らと共に賭場を襲撃、刺青人皮を手に入れようとするが、第七師団に包囲される。坂本と一緒に脱出を図るが、目の前で坂本は鶴見により銃撃される。鶴見の殺害を試みたところを鯉登によって斬首されるも、頭のみで鶴見の靴に噛み付く執念を見せた。荷物の中に隠されていた夫婦の赤子は鶴見の計らいにより、養育費と共にアシㇼパのフチに預けられている。
モデルは江戸時代から明治初期に活動した伝説の人物「蝮のお銀」[註 69][52]。また、実在の強盗犯・坂本慶次郎の妻は作中の蝮のお銀と同じ殺害方法を用いた[70]
石川啄木(いしかわ たくぼく)
実在した人物。本作では史実と少し異なる時期に釧路新聞社の遊軍記者となっている[註 70]。土方により写真付き新聞記事で世論を動かすための依頼を受ける。遊び好きで、白石とは馬が合う。
田本研造(たもと けんぞう)
声 - 津田英三
実在した人物。かつて土方の写真を撮った。土方からの依頼により杉元・土方一味の写真を撮影する。
長吉(ちょうきち)
ヤマダ一座の軽業師の少年。ヤマダ一座が面倒を見ている孤児の一人で、窃盗癖があり、岩息の刺青人皮が入った杉元の背嚢を置き引きした。軽業師の技術を駆使して逃走するも鯉登の追跡を振り切ることが出来ず、鯉登に軽業の才能があると最初に見抜き公演への出演を提案する。
紅子(べにこ)
ヤマダ一座の少女団の一員。谷垣より年下だが谷垣からは「紅子先輩」と呼ばれる。谷垣のことを「ゲンジロちゃん」と呼ぶ。少女団は全員が孤児であり、各地を巡業する傍ら里親を探しており、紅子は杉元ら滞在中に曲馬団を卒業する。
アンマー
ウイルタの老人。アンマーとはウイルタ語で「父さん」の意味で、本名は不明。
飼っている馴鹿が尾形に誤射されたことがきっかけでアシㇼパ・白石・尾形・キロランケと知り合う。一行の頼みで彼らを馴鹿に乗せ日露の国境を越えた際、尾形の三八式歩兵銃を装備していたためロシア兵から頭部を狙撃されたが一命を取り留める。
ヴァシリ(ロシア語: Васи́лий
ロシアの狙撃兵、国境警備隊。日露戦争時の戦友であるイリヤらとともにアレクサンドル2世暗殺の実行犯であるユルバルス(キロランケ)を待ち構えていた。装備はモシン・ナガン小銃
尾形と狙撃戦をして敗れ、顎を撃たれた。
スヴェトラーナ(ロシア語: Светлана
樺太でホワイトアウトにあった月島・鯉登が辿りついた燈台守夫妻の娘。日露戦争で日本軍がやってくる以前、ロシア軍脱走兵が燈台に来てしばらくすると行方不明になった。燈台[71]のおかげで命拾いした杉元が「お礼に」と捜索を約束し、アシㇼパの写真と交換で写真を預かった。
亜港監獄に収監されており、ソフィアからサンクトペテルブルク(ロシア帝国首都)の話を聞きたがっている。
燈台を訪れたロシア軍脱走兵と逃避行し、二人で強盗したため捕まり監獄に収監された。そのため、親に見せる顔がないと思っている。ソフィアが脱獄した際に脱獄したが、流氷上で座り込んでいるところを月島に保護された。
チヨタロウ
釧路の炭鉱会社のボンボン。チョウセンアサガオの毒に侵された牛山を拾ってモモの乾物で子分にするも、その凶暴さを兵器だととらえ、勇気を振り絞って抹殺を決意する。幼年ながらも自らの町を守りたい思いがある。
函館で異人の踊りを見たことがあり、下駄スケートゲロリを履いて氷上で舞う
長谷川幸一(はせがわ こういち)
ウラジオストクの長谷川写真館を営む眼鏡をかけた青年。ロシア語に堪能でロシア人の妻・フィーナと娘・オリガ(ロシア語: Ольгаラテン文字転写: Olga)を持つ。ウイルクやキロランケ、ソフィアが樺太に渡る以前に日本語を教えた。長谷川はウイルクを大久保利通、キロランケを木戸孝允、ソフィアを西郷隆盛の「維新の三傑」に例えた。別れるまでウイルクたちの正体に薄々勘付いていながらも関係を続けた。
実際は日本陸軍のスパイであり偽名であった。ロシア側に身元がバレ、オフラーナとの銃撃戦になりソフィアの誤射により妻子を失う。本名は鶴見篤四郎

料理

「グルメ漫画」を掲げ、作中で北海道に縁ある食材や料理(主にアイヌ料理)が登場。調理や食事が描かれ各キャラクターが多様な表情を見せる。また杉元やアシㇼパにより当時のアイヌにはなじみのない味噌が頻繁に登場する。以下、紹介・列挙する。なお、劇中では食事中にアイヌ語で「ヒンナヒンナ」という場面が多くあるが、これは「食べ物に対する感謝」の言葉であり、「美味い」という意味ではない。また、実際には食事中に言うことはない[52]

※作中にて淡水魚や狩猟で獲った獣肉などの生食場面があるが、あくまで物語当時の食生活を描いている創作物であり、実際にはウイルス性肝炎の感染や寄生虫、食中毒等の危険に留意することが必要である。

チタタㇷ゚
新鮮な肉や魚を刃物で叩いて細かく刻んだ、たたき肉料理。チタタㇷ゚とはアイヌ語で「我々が(チ)刻む(タタ)もの(ㇷ゚)」の意で、刻むときに「チタタㇷ゚、チタタㇷ゚」と言いながら複数の調理者が交代で刻むのが慣わしである。本来は生食だが、新鮮なうちに食べきれない場合は肉団子にして後述のオハウ(汁物)にすることもあり、これを杉元は「肉のつみれ汁」と表現している。本作においては肉の生食に慣れない和人たちの口に合わせ、新鮮なものを茹でてオハウの形で食される場面も多い。
用いられる部位は動物や調理量によって異なり、エゾリスエゾユキウサギ、ヤマシギ等、肉が少なく調理しづらい小動物は、毛皮や羽毛、胆嚢や腸の中身など食用に適さない部分を取り除き骨ごと刻み、無駄なく食べる。ある程度の大きさの動物は特定の部位のみチタタㇷ゚にすることもあり、本作では鹿の気管のチタタㇷ゚が登場した。なお、本来はを使ったものをいう。
エゾリスのチタタㇷ゚
丸ごと刻んだものを、プクサキナ(ニリンソウ)と一緒にオハウにされたものが登場。
イセポのチタタㇷ゚
イセポとはエゾユキウサギのこと。耳の軟骨を含め丸ごと刻んだものを、プクサキナプクサ(行者ニンニク)、オシロイシメジエゾマツタケといったキノコを干したものと一緒にオハウにされたものが登場。
ユㇰのチタタㇷ゚
ユㇰとはエゾシカのこと。セウリ(鹿の気管)を刻んだものが登場。
コタンコㇿカムイのチタタㇷ゚
コタンコㇿカムイ英語版とはシマフクロウのこと。気管、舌、脳味噌などを一緒に刻んだものが登場。
鮭のチタタㇷ゚
エラと氷頭、白子を刻み、砕いた焼き昆布と塩を加えたものが登場。
その他の生食
獲れたばかりのエゾリスやエゾシカなど動物の新鮮な脳味噌や目玉を生食する場面が頻出する他、鹿の肺や肝臓を生食する場面もある。また実食する場面はないが、カワウソなどの脳も生食すると語られている。他にもイトウの刺身、プクサの新芽、フキの若葉なども登場。
オハウ
アイヌ語で汁物のこと。具沢山でアイヌ料理の中心とされる。具でもある肉や魚で出汁を取り、野菜類を入れ、塩で味を付ける。上述のチタタㇷ゚のオハウも含め、杉元持参の味噌を溶かしいれる場面も多い。
エサマンのオハウ
エサマンとはニホンカワウソのこと。ぶつ切りにしてプクサで臭みを除き、プクサキナ、牛蒡や大根等根菜類を入れたものが登場。毒罠で捕獲したため生食はできなかったが、加熱により弱毒化されているとのこと。
キナオハウ
キナは、野菜や山菜のこと。「野菜が沢山入った汁物」の意。昆布と素焼きしたエゾハナカジカで出汁を取り、大根人参・ジャガイモ・ホウレンソウ等を煮込んだものが登場。
ユㇰオハウ
プクサキナやプクサを入れた鹿肉のオハウ。
イチャニウのオハウ
イチャニウとはサクラマスのこと。切り身にし、葉を落とし焼いて皮を剥いた蕗の薹の茎を入れた鍋に、フキやプクサを加えて塩で味付けしたものが登場。春の汁物の中では最も美味しいとされる。
カムイオハウ
この場合のカムイはヒグマのこと。ヒグマの肉のオハウ。
クンネ・エチンケのオハウ
クンネ・エチンケとはアオウミガメのこと。薄めた海水に昆布や干し魚で出汁を取り、アオウミガメの肉や内臓、おなか側の甲羅を細かく刻んだもの、オカヒジキを入れて煮込んだものが登場。アオウミガメは植物食のため肉は臭みがなく鶏肉のようにあっさりしており、汁はトロトロしている。
その他の鍋料理
鍋を使って調理しているが、特に「オハウ」と言及されていないものや、アイヌ料理ではないもの。
丸ごと煮
カワウソの頭の丸ごと煮、オオワシの丸ごと煮などが登場。
桜鍋
東京で流行中のすきやき風馬肉料理。馬の薄切り肉とキャベツ・牛蒡を鍋に入れ、砂糖、醤油、酒、味噌で味を付け、加熱で桜色になった頃合いの馬肉を溶き卵に絡めて食す。杉元たちは強奪した軍馬を証拠隠滅のため屠殺し食材とした。
トッカリの塩茹で
トッカリとはアザラシのことで「海の周りを移動する」の意。アザラシは血が濃いため肉は黒く血の臭いも強いが、しっかり煮込むことで血生臭さが消え美味となる。
なんこ鍋
空知地方の郷土料理である馬のを味噌で煮込んだもつ煮。江渡貝剥製所にて土方一派と杉元らを執り成すため家永が振る舞った。
あんこう鍋
尾形の母親が冬季によく作っていた鍋料理。
ラッコ鍋
ラッコは、アイヌの伝承によれば煮える匂いが欲情を刺激すると信じられており、食べる際は必ず男女同数を揃えるよう言い伝えられている[72]
くじら汁
シロイルカ(モニフンペ)肉、ギョウジャニンニク、ニリンソウ、杉元の味噌で作った汁物。
その他の焼き物
脂の乗ったカジカに塩を振り囲炉裏で焼いたもの、鹿の背肉に塩を振り炙ったもの、イトウの皮付き身の塩焼き、鮭の身の串焼きなどが登場。
イトウ刺し身と塩焼き
川で獲ったイトウの刺し身。鯱の竜田揚げの際に余った醤油を用いる。杉元は川のトロ、白石は鮭よりも上品な味と評した。
シシャモの焼き物
シシャモは鮭の漁期の後、釧路川に訪れる。アイヌはあまりシシャモを獲らないが、飢饉の時には獲って食べる。作中では焼いて食べた(味付けは不明)。
北海道甘味
花園だんご
小樽の花園公園(現・小樽公園)名物の串団子
にしん蕎麦
身欠きニシンの甘露煮を載せた蕎麦。京都発祥だが、鰊漁で栄えた北海道でも盛んに食べられた。北海道のものは関東と同じ濃い目のツユ。
ニヘイゴハン
二瓶鉄造が獲れたての羆を調理したもの。心臓焼き血の腸詰煮が登場。羆の血は滋養強壮の効果が高く食すと精力が付くと二瓶は語っている。
ルイペ
「とけた(ル)食べ物(イペ)」の意、立木に吊るした半冷凍の鮭の切り身。
ニシン漬
白米身欠きニシン、キャベツ、大根、人参を入れ米麹で発酵させた保存食。
竜田揚げ子持ち昆布の串揚げ
浜に乗り上げた鯱(レプンカムイ英語版)の脂肪を鍋で煎って油を出し、赤身肉を酒と醤油で下味をつけて片栗粉をまぶし、油で加熱調理した揚げ物。子持ち昆布も同様に揚げた。
エゾシカ肉のライスカレー
札幌の洋食屋で出されたもので、他の具材は不明。登場したカレールウがインドや東南アジアのものに近い汁型か、日本で独自に発達した粘性の高いルウかは判然としないが、アシㇼパは初めて見たカレールウを「オソマ(うんこ)」と評している。
冷製札幌ビール
札幌の洋食屋で出されたラガービール
松前漬け
数の子に細かく刻んだスルメイカコンブを醤油で味付けした松前藩発祥の御当地料理。
刻んだ沢庵を乗せた茶漬け
茨戸の一膳飯屋で土方が茶漬けを注文した際、細かく刻んだ沢庵を乗せるようリクエストして出されたもの。
カネ餅
マタギの携行食。日月にちなんだ縁起物で、凍りにくく保存が効き、他の食料が尽きた際に食べる最後の非常食。地域によってヴァリエーションがあるが、谷垣の出身地の阿仁では、水を加えた米粉に味噌か塩を混ぜ込んで葉に包み、囲炉裏の灰に埋め蒸し焼きにする。戸沢では味噌は厳禁とされる。谷垣は隠し味としてクルミを混ぜている。
日露戦争当時、谷垣が他にはないクルミ入りカネ餅を食べさせたことで、目も耳も潰れた賢吉が谷垣を認識した。また谷垣は白襷隊時の杉元にも分け与えたことがあるが、当時は互いに面識がなく気づいているかは不明。
カワヤツメうな重
小川で獲ったカワヤツメ(ウクリペ)を背開きにして串を通した身を炭火で炙り、醤油や酒、砂糖で作ったタレをかけた蒲焼。飯盒で炊いた熱々の飯にのせ、薬味に採取したワサビを使う。ウナギよりやや固めの歯ごたえのある身が特徴。
クトゥマ(筒焼き)
オオウバユリ(トゥレㇷ゚)の鱗茎から作った澱粉をヨブスマソウの茎の中に入れ蒸し焼きにした団子。牛山曰く「葛切りみたい」。ニジマスの筋子(チポㇿ)や味噌を付けても良い。オオウバユリの鱗茎はそのまま焼いて食べるだけでも美味な模様。
豆菓子
煎り大豆に砂糖を衣掛けした菓子。
トノト
アイヌの穀物酒。ヒエアワキビが主原料であるが、釧路方面では馬鈴薯などを用いる。
ハマナスの実
真っ赤に熟したものは生食可能。アイヌは魚の油につけたり、乾燥させ冬の保存食としたりする。
ペカンペ
ヒシの実のことで「水の上にあるもの」の意。採れたてのものは塩茹でにして飯に混ぜて食し、栗にも似た風味とされる。保存のために乾燥させたものは、皮を剥き実の白い部分を挽いて粉にして団子や餅の材料とする。
ニセウ
ドングリのこと。アイヌは実を茹でて干すことで渋を抜き、保存食とする。保存したものをそのままおやつとして食すほか、挽いて粉にして餅の材料とする。
イクラ料理
米とヒエの粥にイクラを入れたチポㇿサヨ、塩で煮たジャガイモを潰したものにイクラを混ぜたチポㇿラタㇱケㇷ゚が登場。
エタㇱペの脂身
エタㇱペとはトドのこと。アイヌには珍味と言われるが、白石曰く「物凄く臭い脂身」。
樺太アイヌ料理
フレップワイン
フレップとはコケモモのことで「赤い実」の意。甘酸っぱい。樺太の特産品。
フレップの塩漬け
コケモモの塩漬け。杉元曰く「しょっぱくて酸っぱくて甘い」。
ウイルタ料理
馴鹿の乳
ウイルタ民族の飼馴鹿の乳。飲むと甘くて濃い。
アリを塗ったリペースカ
アリとは飼馴鹿の乳で作る牛酪(バター)、リペースカとは麦粉を焼いた丸く平たいパンのこと。
ロシア料理
スーシュカ
ロシアの菓子パン。
ボルシチ
カブなどを入れるロシアの汁もの料理。
ペリメニ
ひき肉や野菜を入れる餃子のようなロシア料理。

書誌情報

日本国外版

中国語(繁体字)版 フランス語版 イタリア語版 スペイン語版 英語版 ドイツ語版
出版社 尖端出版 キューン BD出版イタリア語版 ミルキーウェイ出版 ビズメディア英語版 MangaCultドイツ語版
発行地域 台湾 フランス イタリア スペイン アメリカなど8か国 ドイツ
第1巻 2016年1月29日 2016年8月25日 2016年11月23日 2017年5月24日 2017年6月20日 2019年9月5日
ISBN 978-957-106-392-8 ISBN 979-10-327-0034-1 ISBN 978-88-6883-803-4 ISBN 978-84-16960-40-8 ISBN 978-1-4215-9488-0 ISBN 978-3-964332-56-1
第2巻 2016年1月29日 2016年10月13日 2017年2月1日 2017年7月27日 2017年9月19日
ISBN 978-957-106-393-5 ISBN 979-10-327-0036-5 ISBN 978-88-6883-863-8 ISBN 978-84-16960-54-5 ISBN 978-1-4215-9489-7
第3巻 2016年4月19日 2016年12月8日 2017年3月22日 2017年9月28日 2017年12月19日
ISBN 978-957-106-543-4 ISBN 979-10-327-0037-2 ISBN 978-88-6883-945-1 ISBN 978-84-16960-67-5 ISBN 978-1-4215-9490-3
第4巻 2016年6月6日 2017年2月9日 2017年5月24日 2017年11月30日 2018年3月20日
ISBN 978-957-106-746-9 ISBN 979-10-327-0060-0 ISBN 978-88-6883-973-4 ISBN 978-84-16960-81-1 ISBN 978-1-4215-9491-0
第5巻 2016年8月3日 2017年4月13日 2017年7月26日 2018年1月31日 2018年6月19日
ISBN 978-957-106-785-8 ISBN 979-10-327-0077-8 ISBN 978-88-3275-066-9 ISBN 978-84-16960-96-5 ISBN 978-1-4215-9492-7
第6巻 2016年9月12日 2017年6月8日 2017年9月27日 2018年3月27日 2018年9月18日
ISBN 978-957-106-882-4 ISBN 979-10-327-0088-4 ISBN 978-88-3275-161-1 ISBN 978-84-17373-12-2 ISBN 978-1-4215-9493-4
第7巻 2016年11月22日 2017年8月24日 2017年11月29日 2018年5月29日 2018年12月18日
ISBN 978-957-107-041-4 ISBN 979-10-327-0100-3 ISBN 978-88-3275-162-8 ISBN 978-84-17373-29-0 ISBN 978-1-4215-9494-1
第8巻 2017年1月18日 2017年10月12日 2018年1月17日 2018年7月31日 2019年2月19日
ISBN 978-957-107-188-6 ISBN 979-10-327-0138-6 ISBN 978-88-3275-163-5 ISBN 978-84-17373-40-5 ISBN 978-1-4215-9495-8
第9巻 2017年5月31日 2017年12月7日 2018年3月28日 2018年9月27日 2019年4月16日
ISBN 978-957-107-288-3 ISBN 979-10-327-0161-4 ISBN 978-88-3275-164-2 ISBN 978-84-17373-52-8 ISBN 978-1-9747-0447-7
第10巻 2017年8月30日 2018年4月5日 2018年5月30日 2018年11月29日 2019年6月18日
ISBN 978-957-107-579-2 ISBN 979-10-327-0277-2 ISBN 978-88-3275-165-9 ISBN 978-84-17373-71-9 ISBN 978-1-9747-0448-4
第11巻 2018年2月6日 2018年6月7日 2018年7月18日 2019年1月31日 2019年8月20日
ISBN 978-957-107-816-8 ISBN 979-10-327-0280-2 ISBN 978-88-3275-481-0 ISBN 978-84-17373-88-7 ISBN 978-1-9747-0449-1
第12巻 2018年5月4日 2018年9月20日 2018年10月3日 2019年3月28日
ISBN 978-957-108-085-7 ISBN 979-10-327-0317-5 ISBN 978-88-3275-552-7 ISBN 978-84-17820-03-9
第13巻 2018年7月6日 2018年12月6日 2018年12月5日 2019年5月29日
ISBN 978-957-108-233-2 ISBN 979-10-327-0341-0 ISBN 978-88-3275-604-3 ISBN 978-84-1782-0213
第14巻 2018年12月28日 2019年3月21日 2019年1月30日 2019年7月30日
ISBN 978-957-108-469-5 ISBN 979-10-327-0401-1 ISBN 978-88-3275-667-8 ISBN 978-84-1782-031-2
第15巻 2019年5月3日 2019年6月20日 2019年3月27日
ISBN 978-957-10-8538-8 ISBN 979-10-327-0422-6 ISBN 978-88-327-5750-7
第16巻 2019年8月27日 2019年9月19日 2019年6月26日
ISBN 978-95-7108-683-5 ISBN 979-10-327-0491-2 ISBN 978-88-3275-837-5

特別版

シルバーカムイ
原作第15巻発売記念して敬老の日にちなみ特設サイトで主要人物を老人化したリメイク『シルバーカムイ』が配信された。リメイクされたエピソードは第20話「食い違い」、第51話「殺人ホテルだよ全員集合!!」、第52話「無い物ねだり」、第53話「不敗の牛山」、第54話「ことづて」、第115話「蝗害」、第116話「青い目」の7話分となる[73]
シルバーカムイ 年末年始版
週刊ヤングジャンプ 2019年4&5号特別付録。第101話「鯉登少尉叱られる」、第148話「ルーツ」、第127話「本当のチタタㇷ゚」の3話分を2~4ページでリメイク。

テレビアニメ

第1期が2018年4月より6月までTOKYO MXほかにて放送され[74]、第2期が同年10月より12月まで放送された[75]。2019年7月には第3期の制作が発表されている[76]。ナレーションは立木文彦

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ
Winding Road[78](第1話 - 第12話)
作詞 - Kamikaze Boy, Jean-Ken Johnny / 作曲 - Kamikaze Boy / 編曲 - MAN WITH A MISSIONKohsuke Oshima / 歌 - MAN WITH A MISSION
第1話では、エンドロールで「オープニングテーマ」と表記され楽曲が使用されている。
「レイメイ」[79](第13話 - 第24話)
作詞 - さユり & Hiro / 作曲 - さユり & sho / 編曲 - MY FIRST STORY / 歌 - さユり & MY FIRST STORY[80]
第13話、第24話では、エンドロールで「オープニングテーマ」と表記され楽曲が使用されている。
エンディングテーマ
「Hibana」[78](第2話 - 第12話)
作詞 - Ray / 作曲 - Reiji / 編曲 - Reiji & Tsuyoshi Sato / 歌 - THE SIXTH LIE
「時計台の鐘」[81](第14話 - 第23話)
作詞 - 吉野寿 / 作曲・編曲・歌 - eastern youth

各話リスト

話数サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督原作該当話
第1期
第一話ウェンカムイ 高木登三條なみみ川越崇弘
  • 羽山淳一
  • 小園菜穂
第1話 - 第2話
第二話のっぺら坊 粟井重紀
  • 西道拓哉
  • 松下純子
  • 櫻井拓郎
  • 鎌田均
第3話 - 第7話
第三話カムイモシㇼ 二宮壮史深瀬重徳岡紘平第8話 - 第12話
第四話死神 入江信吾沖田宮奈小野田雄亮
  • 山中正博
  • 上西麻耶
第13話 - 第17話
第五話駆ける 柳井祥緒鳥羽聡
  • 飯飼一幸
  • 八木元喜
第18話 - 第22話
第六話猟師の魂 吉永亜矢西村聡白石道太
第23話 - 第27話
第七話錯綜 イシノアツオ東出太江上潔
  • 中村勝利
  • 伊藤裕次
  • 第28話 - 第31話
  • 第33話
第八話殺人鬼の目 入江信吾三條なみみ古賀一臣
  • 浦野達也
  • 関口雅浩
  • 第34話
  • 第36話 - 第39話
第九話煌めく 吉永亜矢沖田宮奈深瀬重
  • 日向正樹
  • 袴田裕二
第40話 - 第44話
第十話道連れ 谷村大四郎白石道太
  • 八木元喜
  • 大西秀明
  • 山本美佳
第45話 - 第50話
第十一話殺人ホテルだよ全員集合!! 入江信吾神谷智大平田豊
  • 小園菜穂
  • 平野絵美
第50話 - 第54話
第十二話誑かす狐 高木登鳥羽聡
  • 和田高明
  • 山中正博
  • 上西麻耶
  • 第55話
  • 第59話 - 第63話
  • 第70話
第2期
第十三話江渡貝くん 高木登沖田宮奈三好正人
  • 宮西多麻子
  • 岩田幸大
  • 上西麻耶
  • 第70話 - 第74話
  • 第76話
第十四話まがいもの 吉永亜矢江上潔
  • 中村勝利
  • 伊藤裕次
第77話 - 第81話
第十五話昔の話をしよう 高木登もりたけし中川聡
  • 大西秀明
  • 山中正博
  • 芦屋耕平
  • 第81話 - 第83話
  • 第85話 - 第87話
  • 第90話
第十六話旭川第七師団潜入大作戦!! 石川健朝日向正樹
  • 第91話 - 第95話
  • 第97話
第十七話腹の中 吉永亜矢沖田宮奈深瀬重
  • 八木元喜
  • 和田高明
  • 平野絵美
  • 第97話 - 第100話
第十八話阿仁根っ子 鳥羽聡小園菜穂
  • 第101話 - 第102話
  • 第75話 - 第76話
  • 第108話
第十九話カムイホプニレ 沖田宮奈鈴木卓夫内田裕
  • 第108話 - 第109話
  • 第87話
  • 第111話
  • 第113話 - 第114話
  • 第101話
  • 第103話
第二十話青い眼 入江信吾東出太
  • 第115話 - 第119話
第二十一話奇襲の音 吉永亜矢亀井幹太深瀬重
  • 日向正樹
  • 宮西多麻子
  • 第118話 - 第124話
第二十二話新月の夜に 谷村大四郎江上潔
  • 中村勝利
  • 兵渡勝
  • 尾形健一郎
  • 第125話 - 第131話
第二十三話蹂躙 高木登もりたけし
  • 三好正人
  • 石川健朝
  • 上西麻耶
  • 八木元喜
  • 山中正博
  • 宮西多麻子
  • 芦谷耕平
  • 大西秀明
  • 日向正樹
  • 第131話 - 第136話
第二十四話呼応 三條なみみ深瀬重
  • 和田高明
  • 小園菜穂
  • 平野絵美
  • 第135話 - 第139話
OVA(単行本同梱版)
OVA第1話(15巻同梱)茨戸の用心棒 谷村大四郎塚田拓郎日向正樹-
OVA第2話(17巻同梱)怪奇!謎の巨大鳥 小園菜穂-
OVA第3話(19巻同梱)モンスター -----

放送局

日本国内 テレビ / 第1期 放送期間および放送時間[75]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [82] 備考
2018年4月9日 - 6月25日 月曜 23:00 - 23:30 TOKYO MX 東京都 製作参加
2018年4月10日 - 6月26日 火曜 1:00 - 1:30(月曜深夜) BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
火曜 1:44 - 2:14(月曜深夜) 札幌テレビ 北海道
火曜 1:59 - 2:29(月曜深夜) 読売テレビ 近畿広域圏 MANPA』第1部
2018年4月14日 - 6月30日 土曜 1:00 - 1:30(金曜深夜) 時代劇専門チャンネル 日本全域 CS放送 / 『時専S40』枠 / 字幕放送[83]
日本国内 テレビ / 第2期 放送期間および放送時間[75]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [82] 備考
2018年10月8日 - 12月24日 月曜 23:00 - 23:30 TOKYO MX 東京都 製作参加
2018年10月9日 - 12月25日 火曜 1:00 - 1:30(月曜深夜) BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
火曜 1:44 - 2:14(月曜深夜) 札幌テレビ 北海道
火曜 1:59 - 2:29(月曜深夜) 読売テレビ 近畿広域圏 『MANPA』第1部
2018年10月13日 - 12月29日 土曜 2:00 - 2:30(金曜深夜) 時代劇専門チャンネル 日本全域 CS放送 / 『時専シンヤ』枠 / 字幕放送
2019年4月4日 - 金曜 2:04 - 2:34 (木曜深夜) 南海放送愛媛県

インターネットではFODにて第1期は2018年4月9日より月曜23時30分に、同年7月14日土曜0時(金曜深夜)より第2話以降最新話限定で無料、第2期は同年10月8日より月曜23時に独占配信[75]

TOKYO MX 月曜 23:00 - 23:30 枠
前番組 番組名 次番組
ゴールデンカムイ(第1期)
ウマ娘 プリティーダービー(再放送)
ゴールデンカムイ(第2期)

BD / DVD

当初は第1巻から第3巻まで2018年6月26日から毎月順次発売される予定であったが[84]、映像クオリティを向上させるため1か月延期された[85]。 Blu-ray/DVD初回限定版 第四巻~第六巻の予約・購入者向けに「原作者・野田サトル書き下ろしドラマCD」のプレゼントあり[86]

発売日[87] 収録話 規格品番
本編 ショートアニメ BD初回版 DVD初回版
1 2018年7月27日 第1話 - 第4話 第1話 - 第3話 + OVA1話 GNXA-2121 GNXA-2131
2 2018年8月29日 第5話 - 第8話 第4話 - 第7話 GNXA-2122 GNBA-2132
3 2018年9月28日 第9話 - 第12話 第8話 - 第11話 GNXA-2123 GNBA-2133
4 2019年1月30日 第13話 - 第16話 第9話 - 第15話 GNXA-2124 GNXA-2134
5 2019年2月28日 第17話 - 第20話 第16話 - 第19話 GNXA-2125 GNXA-2135
6 2019年3月27日 第21話 - 第24話 未定 GNXA-2126 GNXA-2136

OVA

コミックス アニメDVD同梱版として、2018年9月19日発売の原作コミックス第15巻の限定版に長編「茨戸の用心棒」と短編「怪奇!謎の巨大鳥」を収録したOVAのDVDが同梱[88]。長編「茨戸の用心棒」の冒頭およびラストシーンは、アニメ第12話「誑かす狐」冒頭および終盤の茨戸のシーンと同じものが使われており、両者が並行する時間軸であることを示す演出となっている。

コミックス アニメDVD同梱版 第二弾として、2019年3月19日発売の原作コミックス第17巻の限定版に長編「恋をしたから脱獄することにした」と短編「恐怖の猛毒大死闘!北海道奥地に巨大蛇は存在した!」を収録したOVAのDVDが同梱[89]

ショートアニメ

ゴールデン道画劇場』(ゴールデンどうがげきじょう)はYoutubeで毎週月曜23:30に期間限定で配信されたショートアニメ[90]。監督は森井ケンシロウ、アニメーション制作はDMM.futureworks/ダブトゥーンスタジオ、音響制作はマジックカプセル[91]が担当。

テレビアニメ本編ではカットされた原作のギャグやパロディ、おまけ等のショートエピソードをショートアニメ化したもので、内容は全て原作準拠。公式サイトの解説によると「本誌連載時の扉絵やコミックスのおまけを中心にお送りするショートアニメ」。なおタイトルの『ゴールデン道画劇場』はアニメオリジナルだが、こちらもタイトルロゴを含め『ゴールデン洋画劇場』のパロディとなっている。

テレビアニメ本編のBD / DVD各巻に映像特典として収録。BD / DVD特典限定の新作も収録される。

挿入歌「カムイのゴールデン」(第10話)
作詞 - 葉月ゆら[92] / 作曲 - 森慎太郎[93] / 歌 - 小林親弘/白石晴香/伊藤健太郎/乃村健次/てらそままさき[94]
話数 サブタイトル 配信日 原作該当話
第1期
#1 リス編 2018年
4月16日
第5話
#2 ウサギ編 4月24日 第8話
#3 カワウソ編①[註 71] 5月1日 第14話
OVA1 カワウソ編② 1巻特典 第2巻おまけ
#4 シライシたたき編 5月8日 第3巻おまけ
#5 Nihei編 5月15日 第23話
#6 白石VSリュウ編 5月22日 第28話
#7 さよなら脱獄王・・・。編 5月29日 第36話
#8 森の仲間を踊り食い♪編 6月5日 第44話
#9 辺見和雄編 6月12日 第5巻おまけ
#10 カムイ大爆笑編 6月19日 第55話
#11 アザラシ編 6月26日 第63話
第2期
#12 見てる…編 10月9日 第73話
#13 江渡貝くぅぅんの“偽物人皮”制作日記より抜粋編 10月16日 第80話扉[95]
#14 ヤマシギの恋占い編 10月23日 第83話
#15 待ってろ白石編 10月30日 第97話扉
#16 ウキーッ編 11月6日 第100話
#17 セイピラッカ編 11月13日 第70話
#18 エゾナキウサギ編 11月20日 第101話
#19 釧路マタギ旅情編 11月27日 第11巻おまけ
#20 きちんと言えるかなぁ?編 12月04日 第119話
#21 ッピュウ☆編 12月11日 第126話
#22 ふたりのホクロ君編 12月18日 第126話

関連項目

脚注

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編註

  1. ^ 公式が「冒険(バトル)」と「歴史(ロマン)」と「狩猟(グルメ)」と銘打つ。
  2. ^ アイヌの遺体が見つかったのは苫小牧
  3. ^ のっぺら坊が捕まったのは支笏湖
  4. ^ a b 大日本帝国陸軍第七師団の史実での日本帰還は1906年(明治39年)3月。
  5. ^ 単行本の人物紹介において「杉元"一味"」「土方"一味"」との記載がある。アニメ版では「杉元"陣営"」「土方"陣営"」という表記に変更されている。また、「ゴールデンカムイ北海道オールスターズ総選挙」(2018年8月23日~10月8日開催)においては「杉元"一行"」「土方"一派"」「鶴見"一党"」という表記がされている。
  6. ^ a b ポーツマス条約により、北緯50度以南の樺太島(南樺太)が日本領になっている。
  7. ^ a b 史実では1908年(明治41年)10月に死去した榎本武揚は、犬童の台詞からまだ生存していることがわかる(第135話)。
  8. ^ a b 北海道に春を告げる鰊の群来とは、3月~5月にかけて北海道の日本海沿岸に鰊が産卵のために押し寄せること。(4巻37話)
  9. ^ a b c d e f アニメでは白石が家永より得る情報が日高ではなく夕張に変更となった。そのため、原作では白石が家永より得た情報で日高へ向かう途中に勇払のコタンおよび苫小牧競馬場へ立ち寄るが、アニメでは長沼のコタンおよび長沼競馬場に立ち寄った後に白石が家永より得た情報で夕張へ向かう流れに変更された。
  10. ^ a b アニメでは夕張で襲撃を受け二手に分かれた杉元・土方一味が合流するのが深川村(93話)から芦別に変更となった。
  11. ^ a b 史実の旅順攻囲戦では臨時気球隊が導入され、戦況偵察に活躍していた。
  12. ^ a b c アニメでは獣姦シーンが描写できないため、姉畑支遁のシーンはカットになった。
  13. ^ 鶴見「今年8月、釧路沿岸で蝗害が発生」(131話)。
  14. ^ 一味の中で、尾形の写真は撮影されたのか、されていないのか不明である。白石は石川啄木と一緒に遊廓に行っていたので撮影していない。
  15. ^ 現在のコルサコフ
  16. ^ 現在のユジノサハリンスク
  17. ^ 現在のポロナイスク
  18. ^ 作中に登場する国境標石には『天第二號』と描かれており、これが設置されていたのが幌内川岸辺。
  19. ^ 反体制派過激派組織「人民の意志」党員。
  20. ^ a b アレクサンドロフスク・サハリンスキーポーツマス条約以降、亜港(あこう)と呼ばれていた。
  21. ^ 燈台があったのは新問より手前の、樺太東海岸。
  22. ^ キロランケは長谷川とはウラジオストクで別れたきりだと語り、本名を知らない。
  23. ^ a b タタール語で「虎」の意味。
  24. ^ ポーランド語で狼。
  25. ^ a b アニメ監督の難波日登志「杉元とアシㇼパはオーディション。他のキャラはアニメにした時のイメージに合う役者さんをオファー」
  26. ^ 顔の傷が付いたのは戦争の早い時期。ゴールデンカムイ(公式)@kamuy_officialの2017年5月19日のツイート2019年4月8日閲覧。
  27. ^ 杉元自身が金鵄勲章について言及しており(1話)、兵士の場合は功七級~功五級が与えられる。
  28. ^ 作中で彼の年齢については明言されていないが、満期除隊の場合は通常23~24歳である。(満20歳時の徴兵検査後、日露戦争当時の大日本帝国陸軍の場合現役3年、予備役4年)
  29. ^ ゴールデンカムイ(公式)@kamuy_officialの2017年11月29日のツイート2019年4月8日閲覧。,「キャラクターの年齢」に関して 「オソマ < チカパシ < アシ(リ)パ < 夏太郎 < 鯉登少尉≒江渡貝くん < 杉元≒谷垣≒二階堂 < 尾形 < インカ(ラ)マッ≒白石 < 月島軍曹 < キロランケ≒鶴見 < 辺見 < 牛山 < 二瓶 < 家永≒永倉 < 土方≒フチ」ゴールデンカムイ質問箱Q&A保管箱 Q.40
  30. ^ a b 当時ポーランドという国はなく、樺太はロシア帝国の罪人流刑地となっていた。
  31. ^ 「この集治監に20年出入りしていた」
  32. ^ 第25聯隊第26聯隊、第27聯隊、第28聯隊
  33. ^ a b 史実の第七師団は明治29年(1896年)創設。
  34. ^ 三十年式歩兵銃は500メートルほどが有効射程と言われているが表尺自体は2000メートル。
  35. ^ アイヌ語「メ エコッ」(寒さで 死ぬるもの)
  36. ^ 尾形の第七師団出奔時にはまだ師団に導入されていなかった。気球強奪時(99話)に杉元が師団員から奪った銃を尾形が使っている(114話)。三八式歩兵銃では三十年式歩兵銃の銃弾(三十年式実包)も使うことが可能。
  37. ^ ウイルタのアンマーと、一時的に交換した単発銃。
  38. ^ a b どの聯隊だったのかは不明だが、工兵。
  39. ^ 旧日本軍では兵役該当者の名簿を各市町村の役所の兵事係に作らせており、その中には家族や職業、宗教や趣味嗜好などを記載した「身上明細書」(昭和刊行「陸軍現役志願兵 : 一兵士より下士・将校への立身案内」参考)があるため、ある程度の地位にある将校には家族関係は明らかになる。ただし、190話時点で尾形が花沢中将に息子として認知されている描写は見られない。
  40. ^ アイヌ語「メコオヤシ」。アイヌには猫の化け物としてのオオヤマネコ伝承がある。
  41. ^ 屯田兵としての入隊の場合、史実での屯田兵最終募集は明治32年(1899年)。
  42. ^ フミの疱瘡罹患。また、家族に感染することを恐れての夫・賢吉への殺人依頼だった。
  43. ^ この頃から単行本化する際に「ムチムチ」と呼ばれる肉付きが良い体型に修正されるようになった。
  44. ^ 以降、鶴見とも普通に会話しており、言及はされていないが第七師団へ復帰したと推測される。
  45. ^ 徴兵検査で甲種合格の場合、下限は152cm。
  46. ^ 新発田にあるのは第二師団歩兵第16連隊
  47. ^ 橇を譲った相手は膝下を失った寅次を抱えた杉元であるが、お互いに気付いた描写はない。(150話)
  48. ^ 静岡にあるのは静岡連隊区豊橋大隊区で、通常は第三師団に属する。第七師団は北海道の人口が少ないために日露戦争のとき過半数が関東や東北出身の地方兵士で構成されていた。
  49. ^ アニメ監督の難波日登志「ネイティブに話せる方を探したのですが イメージに合う方がいなくて」「イメージの合う小西さんに」「薩摩弁は指導を受けながら」
  50. ^ a b 日露戦争初期に出征したのは陸士15期まで。陸士16期は増員として出征した者もいるが、陸士17期は戦争末期の卒業であるため出征していない。
  51. ^ 『ジゲン流』を冠する流派は複数あり、鯉登の流派は不明である。「新撰組の近藤勇に「初太刀をはずせ」と言わしめた」(99話ナレーション)のは、野太刀自顕流
  52. ^ 網走監獄は1909年(明治42年)の山火事の飛び火による火災でほぼ全焼しており、これらの建物は1912年(明治45年)の復旧工事で建てられたもの。
  53. ^ a b c 第15巻「前回までのおさらい」にて、杉元の集めた刺青人皮はすべて鶴見中尉に渡ったと言及されている。
  54. ^ アニメブルーレイ第1巻封入冊子の登場人物紹介における表記。第2話のEDクレジットでは「囚人」。
  55. ^ アシㇼパ「父と猟をしていた頃に二瓶の名前を聞いたことがある」(26話)とあるため、アイヌ殺害事件以前のこと。
  56. ^ 15巻149話で鶴見中尉の元に集められた刺青人皮の一覧(贋作含む)があるが、そこに家永のものは描かれていない。
  57. ^ a b アニメでは若山と仲沢の出演シーンがカットされた。
  58. ^ 単行本19巻同梱
  59. ^ アニメでは偽アイヌ村事件が描かれていない。そのため、合流した土方により芦別に呼ばれた設定となっている。
  60. ^ 「明治期に実在した凶悪犯」とナレーションがある(102話)が、名前と活動時期が若干違う。
  61. ^ アニメのEDクレジットおよびアニメブルーレイ第2巻封入冊子の登場人物紹介ではいずれも「アシㇼパの叔父」。
  62. ^ 日露戦争へは63名のアイヌ民族が従軍。(史実と同一人数)
  63. ^ キロランケが作った手榴弾が、日露戦争で手榴弾が使われるきっかけになった作中描写がある。
  64. ^ ツングース系の民族に借金のかたとしてアムール川流域に連れ去られた。
  65. ^ 二瓶の息子が亡くなった後のことなので、日清戦争後。
  66. ^ 秋田県出身声優
  67. ^ 作中で使用されている描写がある。史実では旅順攻囲戦(二◯三高地の戦いを含む)に18門が投入、奉天会戦でも使われた。
  68. ^ 第一次世界大戦開戦は1914年7月28日で、ヨーロッパ情勢も不安定な時期である。
  69. ^ 「明治期の北海道に実在し」とのナレーション(102話)。
  70. ^ 石川が史実で釧路新聞社の遊軍記者をしていたのは1908年(明治41年)1月から4月頃で、その前年は函館や札幌を経て小樽の新聞社にいたが、本作では夏から秋頃(年不明)に釧路新聞社にいることになっている。
  71. ^ 配信時には「カワウソ編」であったが、Blu-ray収録に伴い変更となった。
  72. ^ a b c d e f g h i j k 北海道はゴールデンカムイを応援していますスタンプラリー(2018/8/19(日)~2019/3/31(日))参加施設。
  73. ^ 作中で白石が収監されたことがある設定。
  74. ^ 冬季休業中(2018/11/5(火)以降)のAR取得場所はネクスト夕張
  75. ^ 冬季休業中(2018/12/1(土)以降)のAR取得場所は同敷地内の月形町役場

出典

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解説本

外部リンク