級地制度
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級地制度(きゅうちせいど)とは、生活保護による扶助を行う際に、生活保護法第8条第2項に基づき、地域ごとの立地特性や生活様式などに応じて生じる物価・生活水準の差を、生活保護の基準額に反映させることを目的とした制度である[1]。
級地制度の概要
編集級地の地域区分は、市町村を単位として区分される[2][3]。東京23区(特別区)は1つの地域として区分される[2][3]。
日本全国を1級地から3級地まで3つに分類し、さらにその各級地の中で「○級地-1」「○級地-2」と2つに分け、6段階で級地を区分する方式となっている[2][3]。保護を受ける市町村が属する級地により生活扶助基準額が変化する[2]。
生活保護法第8条
(基準及び程度の原則)
- 第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
- 2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。
制度の変遷
編集生活保護法が成立した1950年(昭和25年)以降、地域格差を是正するため、当該市町村の人口規模、必要とされる生計費、家賃や物価の地域差、消費水準や消費実態・生活様式や慣行等々を勘案し、級地区分の考え方が7回にわたり見直しされている。1987年4月からは現行の6級地制が施行された。
期間 | 区分 | 概要 | 最大格差 |
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1946年3月 - 1946年6月 | 6地域区分割 | 人口規模に応じ、地域毎に必要な生計費を算定する標準生計費方式を採り入れた。 | |
1946年7月 - 1951年4月 | 3地域区分割 | 6地域区分割を統合して3区分した。 | |
1951年5月 - 1953年7月 | 5級地制 | 物価の地域格差に着眼した。最高を1級地、最低を5級地の5区分とした。 | 100対85.9 |
1953年7月 - 1957年3月 | 6級地制 | 地域格差の内訳として物価と消費の水準、生活様式を加味した。5級地制に加えて更に上位の特級地を設定した。 | 100対70.0 |
1957年4月 - 1978年3月 | 4級地制 | 物価差・消費実態・生活慣行。 | 100対73.0 9%均等差 |
1978年4月 - 1987年3月 | 3級地制 | 100対82.0 | |
1987年4月 - | 6級地制 | 100対77.5 4.5%均等差 |
級地区分一覧
編集2018年(平成30年)10月1日現在の、都道府県別の級地区分の一覧[3]を以下に示す。
1級地-1
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1級地-2
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2級地-1
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2級地-2
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3級地-1
編集北海道地方 | ||||
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東北地方 | ||||
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関東地方 | ||||
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中部地方 | ||||
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関西地方 | ||||
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中国・四国地方 | ||||
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九州・沖縄地方 | ||||
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3級地-2
編集1級地、2級地、3級地-1以外の市町村
脚注
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 生活保護制度 - 厚生労働省
- 級地区分表(平成30年10月1日現在) - 厚生労働省